議員提出議案第4号 「国の補充的指示」を含む地方自治法改正に反対する意見書提出について 上記の議案を提出する。 令和6年3月18日 提出者 調布市議会議員 木下 安子 賛成者 調布市議会議員 鈴木 ほの香 同   榊原 登志子 同   岸本 直子                 「国の補充的指示」を含む地方自治法改正に反対する意見書 2023年12月21日、第33次地方制度調査会は、岸田首相からの諮問に対して「ポストコロナの経済社会に対応する地方制度のあり方に関する答申」を提出した。この答申に基づき、政府は地方自治法の改正案を閣議決定し、今国会中に提案した。 答申には、国民の安全に重大な影響を及ぼし、個別法の規定で想定されていない「大規模な災害、感染症のまん延等の国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」への対応の必要性から、国が地方公共団体に対して「国の補充的な指示」を行使できるようにすべきとする、国の権限強化を求める内容が盛り込まれている。 答申は、「国の補充的な指示」を盛り込む根拠として、新型コロナ感染症への対応における問題点を指摘しているが、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく地方公共団体の事務は法定受託事務であり、既に国の指示権がある事務である。また法案での「補充的な指示」ができる「特例」についての要件も曖昧であることから、明確な根拠なく、国が自治事務への関与を強めることが懸念される。そうしたことから、全国知事会は、国と地方との適切な情報共有・コミュニケーションを図ること、国の補充的な指示は、地方自治の本旨にのっとり、目的達成のために必要最小限度の範囲とすること,国と地方公共団体の関係の特例として位置づけ、一般ルールとの区別を求める提言を行っている。 このような答申に基づいた地方自治法改正は、憲法の定める地方自治の本旨を否定することになり、2000年に地方分権一括法で定められた国と地方公共団体の関係を対等・協力から再び上下・主従へと後退させることが懸念されることから、多くの国民、地方自治体関係者との十分な議論が必要である。 よって調布市議会は、政府に対し、十分な議論を尽くし、「国の補充的指示」を含む地方自治法の改正を行わないよう、強く求めるものである。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 令和6年3月 日 調布市議会議長 井上 耕志 提出先 内閣総理大臣   総務大臣   衆議院議長   参議院議長