議員提出議案第5号 離婚後共同親権導入の検討に際し,子どもの最善の利益を最優先にした議論を求める意見書提出について 上記の議案を提出する。 令和6年3月18日 提出者 調布市議会議員 鈴木 ほの香 賛成者 調布市議会議員 木下 安子 同 磯邉 隆           離婚後共同親権導入の検討に際し,子どもの最善の利益を最優先にした議論を求める意見書 政府は令和6年3月8日,離婚後の子どもの親権について,父親と母親の双方に親権を認める「共同親権」を導入する民法の改正案を閣議決定した。改正案では,離婚の際に夫婦で協議の上,共同親権か単独親権かを決めることができ,協議で決まらない場合は裁判所が親権者を指定するとしている。 今回の改正案では,父母で協議の上,共同親権か単独親権かを決めるとしているが,父母の力関係によって共同親権を強いられることへの懸念の声が出ている。父母の関係が良好でない場合,対等かつ公平な話合いは困難である。また,DV被害が背景にある場合など,共同親権によって離婚後もDV被害や虐待が続くことへの懸念の声も当事者や弁護士から出ている。双方の合意形成を前提とした今回の改正案は,力関係の弱い親が不利になりやすい。離婚後も家庭内の不均衡な関係が引き継がれる懸念があり,子どもの最善の利益を保障するという観点での議論が十分ではないと言える。 令和4年6月に成立したこども基本法では,全ての子どもについて,自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会の確保が基本理念でうたわれている。しかし,現行の審議会には子どもの意見を代弁する立場の委員がおらず,子どもの権利保障の観点で議論が不足していると言わざるを得ない。離婚家庭で育った若者など当事者の声を聴き,実態に則した法改正に向けて丁寧な議論を尽くすことが必要である。 よって調布市議会は,政府に対し,離婚後共同親権導入の議論を深めるに当たっては,子ども目線に立ったあらゆるケースを想定し,子どもの最善の利益を最優先に議論を尽くすことを求めるものである。 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 令和6年3月 日 調布市議会議長 井上 耕志 提出先 内閣総理大臣   法務大臣   厚生労働大臣   衆議院議長      参議院議長