議員提出議案第6号 医療扶助受給者の国民健康保険等への加入検討に対し慎重な対応を求める意見書提出について 上記の議案を提出する。 令和6年3月18日 提出者 調布市議会議員 山根 洋平 賛成者 調布市議会議員 川畑 英樹 同 磯邉 隆 同 阿部 草太 同 古川 陽菜 同 宮本 和実                    医療扶助受給者の国民健康保険等への加入検討に対し慎重な対応を求める意見書 厚生労働省の被保護者調査によると,生活保護受給者数は全国で約202万人であり,その世帯割合は高齢者世帯,障害者・傷病者世帯を合わせて80%以上となっている。また,その多くが医療を必要としている中,医療扶助は,自己負担が発生することによる受診抑制を招かないためにも不可欠な制度である。 このような状況の下,国は生活保護受給者を国民健康保険(以下「国保」という。)及び後期高齢者医療制度へ加入させることの検討を行っている。経済財政運営と改革の基本方針2022では「医療扶助の在り方の検討を深める」とし,生活保護受給者の医療扶助を公費ではなく,国保と後期高齢者医療の保険財政に移行させる方針を示している。 これに対して,令和5年6月7日の全国市長会の提言では,「生活保護受給者の国保等への加入に向けた見直しについては、社会保障制度の根幹を揺るがし、国保等の制度の破綻を招くものであることから、断固行わないこと」としている。 国保や後期高齢者医療制度の被保険者は,他の健康保険制度に比して低所得者が多い中,人口減少や社会保険の適用事業所拡大によって,とりわけ国保被保険者数がさらに減少することが予測されている。こうした状況に加え,医療扶助受給者が加入することになった場合,保険料の大幅な引上げや患者負担増を招くことが想定されるが,こうした事態は避けなければならない。 生活保護は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有するという憲法で定められた国民の権利を,国が保障するための最後のセーフティーネットであることから,医療扶助については今後とも国庫負担とすべきである。 よって,国におかれては,制度移行の議論について,こうした強い意見があることを踏まえ,社会保障の根幹理念に立って慎重を期すよう強く要望する。 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 令和6年3月 日 調布市議会議長 井上 耕志 提出先 内閣総理大臣   総務大臣   厚生労働大臣   衆議院議長   参議院議長