調布市教育委員会教育目標  調布市教育委員会は,教育基本法の精神を基盤とした下記の教育目標の実現に向け,施策を展開してまいります。  平成30年12月21日  調布市教育委員会決定  教育は,人格の完成を目指し,平和で民主的な国家及び社会の形成者として,必要な資質・能力を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。  また,調布市においては,調布市民が,生涯にわたり自己実現に向けた学習に主体的に取り組む,という生涯学習の考え方を基盤においた教育施策を展開する。  調布市教育委員会では,このような考え方に立ち,以下の教育目標を掲げて調布市の教育行政を進める。 学校教育では,調布の子どもたちが,徳・知・体の調和のとれた成長と,国際化,情報化の進展など,社会の変化に主体的に対応できる力を身に付けることを目指し, ○ 命の大切さを自覚し,人の尊厳を重んじ,互いのよさや違いを認め合うことのできる力を身に付けた子ども ○ 豊かな心,健やかな体を基盤に,確かな学力に基づいた「生きる力」を身に付けた子ども ○ 自ら社会貢献しようとする意欲をはぐくみ,社会的に自立するための基礎となる力を身に付けた子ども の育成に向けた施策を展開する。 社会教育では,市民の自己実現を支援し,市民がより豊かでうるおいのある生活を送ることを目指し, ○ 市民の要請を的確につかんだ学習の機会や場を提供する ○ 市民のつながりを深めるネットワークを構築する ○ 市民自らが学習の成果を生かすことのできる学習環境づくりを支援する などの施策を展開する。 また,学校,家庭,地域住民,その他の関係者は,教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚し,相互に連携・協働しながら調布の教育を支えていく,という認識のもと,地域全体で子どもたちの学びや成長を支える体制づくりを進めるとともに,学びの成果を地域社会に生かすなど,地域の教育力を高めていくことを目指す。 調布市教育委員会基本方針 平成30年12月21日  調布市教育委員会決定 教育目標の実現に向け,以下5つの基本方針及び調布市教育プラン(平成31~34年度(平成31年3月策定予定))に基づき,総合的な教育施策を推進します。 また,教育行政の推進に当たっては,調布市教育大綱及び総合教育会議における協議・調整等を踏まえ,市長との連携強化を図ります。 基本方針1 生命をいつくしみ,人の尊厳を重んじる心を育てる 【背景】 ○ 23万人余の市民が共に生きる調布市にあって,すべての市民が,命の重さを深く自覚し,人権尊重の理念を正しく理解するとともに,互いを思いやる心や,規範意識を高めていくことが求められている。 ○ 自他の命を大切にする心豊かな教育活動の推進が求められている。このため,「命の大切さ」や「自分の命は自分で守る」ことの大切さを,子どもたちに教えなければならない。 ○ 調布市立学校の給食において,食物アレルギーにより尊い児童の命が失われたことを決して風化させず,一人一人が命の重さや尊さを胸に刻み,自他の命を大切にしなければならない。 ○ 体罰や暴言の根絶に向け,教職員一人一人の人権意識を一層高めることが求められている。 ○ 全国的にいじめの認知件数が増加する状況にあって,国では「いじめ防止対策推進法」,東京都では「東京都いじめ防止対策推進条例」が制定されている。全ての児童・生徒が安心して教育活動に取り組むことができるよう,いじめをなくさなければならない。 【施策の方向性】 ○ いじめ・偏見・差別・虐待につながらないよう,人の尊厳を大切にする人権教育や心の教育,そして子育てにかかわる教育などを推進する。 ○ 教職員の人権意識を一層高める取組を推進する。 ○ 「調布市教育委員会いじめ防止対策基本方針」及び「学校いじめ防止対策基本方針」に基づき,いじめを決して見逃さず,いじめをなくすための組織的な取組を推進する。 基本方針2 「生きる力」を育て,個を伸ばす教育を充実する 【背景】 ◯ 小学校で平成32年度から,中学校で平成33年度から全面実施される新学習指導要領の移行期に入ることを踏まえ,各学校における教育課程の在り方や授業の改善が求められている。 ○ 変化の激しい社会にあって,自ら主体的に判断し,適切に行動できる,社会的に自立した人間としての基礎づくりや,社会に貢献しようとする精神の育成が求められている。 ○ 「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保に関する法律」の趣旨を踏まえ,学校や関係機関は,学校への復帰のみを目標にするのではなく,社会において自立的に生きる基礎を養うこととができるよう,多様な学びの場を提供していくことなどが求められている。 ○ 人はみな違った存在であり,それぞれが自己実現を目指して,個の状況に応じた学習に取り組めるよう,教育環境の充実が求められている。 ○ 食物アレルギーのある児童・生徒と他の児童・生徒が,発達段階に応じて互いの違いを認め合い助け合う中で,みんなが同じように給食の時間を楽しみ,食を通して成長できるよう,安全で安心な学校給食を提供しなければならない。 ○ 経済格差が,教育格差とその再生産や固定化につながり,子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されてしまう,いわゆる貧困の連鎖が社会問題化しており,総合的な対策が求められている。 ○ 調布市において,ラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されることを踏まえ,学校教育や社会教育の場においても,この機会を最大限に生かすことが求められている。 ○ 共生社会の実現に向け,障害のある人もない人も,可能な限り,同じ場で共に学び合うことができるよう,児童・生徒一人一人に必要かつ適切な教育的支援を行うことが求められている。 【施策の方向性】 ◯ 各学校において「社会に開かれた教育課程」「主体的・対話的で深い学び」「カリキュラム・マネジメント」の実現を図り,教育の質の向上を図るための取組を推進する。 ○ 子どもたちには,生きる力の柱となる基礎的な学力を身に付けさせるとともに,その基盤となる豊かな心と健やかな体の育成を重視した教育を推進する。 ○ 全ての子どもたちが将来への希望を抱き,安心して学び続けられるよう,スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカーを中心に,学校全体で子どもを見守り,必要に応じて,福祉的な支援につなげるなど関係機関との連携・協力を推進する。 ○ 適応指導教室「太陽の子」や分教室型の不登校特例校「第七中学校はしうち教室」の環境整備等により,不登校児童・生徒の居場所づくりや学びの場の充実を図り,社会的自立の支援を推進する。 ○ 食物アレルギー事故の再発防止,いじめや不登校対策,虐待など,学校を取り巻く諸課題に対応するため,学校・家庭・地域・関係機関が一体となって,情報共有及び連携に努め,児童・生徒一人一人の状況に応じた教育及び支援の充実を推進する。 ○ スポーツによる心身の調和のとれた発達を促し,進んで平和な社会の実現に貢献できる児童・生徒を育成する機会となるよう,オリンピック・パラリンピック教育を推進する。 ○ 全ての子どもたちが平等に教育を受けられるよう,障害のある児童・生徒一人一人の状況に応じて,合理的配慮の提供や基礎的環境の整備を行い,適切な指導及び必要な支援を行う特別支援教育を推進する。 基本方針3 学校・家庭・地域の役割と責任に基づいた連携を進める 【背景】 ○ 家庭や地域での教育が困難になっている社会と指摘されている状況にあって,学校・家庭・地域が子どもの教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚し,相互に連携・協働しながら,地域全体で子どもたちの学びや成長を支える体制づくりを進めることが求められている。 ○ 近年,全国各地で地震,台風・集中豪雨等の自然災害,熱中症事故や登下校中の子どもが巻き込まれる事故等が発生している。このため,自らの安全は自らが守るという自助意識と,地域で互いに助け合うという共助意識の醸成が求められている。また,学校は地域の避難所になることから,災害時に即応できる体制づくりや地域との連携を進めなければならない。 ○ 近年ICTの普及など,子どもたちを取り巻くネット環境が大きく変化しており,いじめや誹謗中傷などの問題をはじめ,スマートフォン等の長時間使用による生活習慣の乱れや不適切な利用による青少年の犯罪被害等につながるケースが増えている。 【施策の方向性】 ○ 子どもたちにとって,安全で安心な居場所をつくり,学習や体験・交流活動などを行うことができる取組を推進する。 ○ 学校・家庭・地域それぞれが,子どもの教育に関する情報や目標を共有し,互いに意見を交換し合いながら,教育に参加できる体制づくりを推進する。 ○ 地域と一体となって,より効果的な防災教育や防災訓練の取組を推進する。 ○ 学校・家庭・地域は,子どもたちのネット依存や,SNS等の利用に伴うトラブル等の課題を共有し,情報モラルを含むICTメディアリテラシーに関する意識啓発や指導などの取組を推進する。 基本方針4 安全で安心な調布の教育環境の整備を推進する 【背景】 ○  調布市では,市の人口増加の影響を受け,教育人口のさらなる増加が見込まれており,子どもの就学人数に応じた教室数の確保とともに,少人数・習熟度別学習指導や特別支援教育,ICT教育への対応など,教育環境の整備が急務となっている。また,学校施設の老朽化が進行しており,安全・安心の観点から早急なる施設改修等の対策が求められている。 ○ 食物アレルギー対策として,学校給食現場の状況を的確に把握し,給食室の整備・改善を計画的に進めることが求められている。 【施策の方向性】 ○ 教育人口の推移や施設の老朽化などを的確に把握しながら,調布市公共建築物維持保全計画に基づく維持保全や施設の状況に応じた老朽化対策,学習環境の改善,特別支援教育環境の充実に向けた整備を推進する。 ○  「(仮称)調布市学校施設整備方針(平成31年3月策定予定)」等に基づき,関係部署と連携し,市の公共施設マネジメントとも歩調を合わせながら,施設の建て替えや長寿命化の取組を計画的に推進する。 基本方針5 生涯にわたって自己実現を目指す機会を提供する 【背景】 ○ 人生100年時代を見据え,市民が生涯にわたって自己研さんに励み,自己実現を目指す活動を通して,より豊かで充実した生活を送るための環境づくりを支援することが求められている。 【施策の方向性】 ○ 地域の資源を活用しながら,市民の要請や思いを受け止めた学習の機会や場の提供,学習情報の充実を推進する。 ○ 市民自らが多様な学習活動を行い,互いに学び合うことで,新たな学びの機会や学びの成果を地域社会に生かせる環境づくりを推進する。