調布市教育委員会教育目標 調布市教育委員会は,教育基本法の精神を基盤とした下記の教育目標の実現に向け,施策を展開してまいります。 令和4年12月23日 調布市教育委員会決定 教育は,人格の完成を目指し,平和で民主的な国家及び社会の形成者として,必要な資質・能力を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。 また,調布市においては,調布市民が,生涯にわたり自己実現に向けた学習に主体的に取り組む,という生涯学習の考え方を基盤においた教育施策を展開する。 調布市教育委員会では,このような考え方に立ち,以下の教育目標を掲げて調布市の教育行政を進める。 学校教育では,調布の子どもたちが,徳・知・体の調和のとれた成長と,国際化,情報化の進展など,社会の変化に主体的に対応できる力を身に付けることを目指し, ・命の大切さを自覚し,人の尊厳を重んじ,互いのよさや違いを認め合うことのできる力を身に付けた子ども ・豊かな心,健やかな体を基盤に,確かな学力に基づいた「生きる力」を身に付けた子ども ・自ら社会貢献しようとする意欲をはぐくみ,社会的に自立するための基礎となる力を身に付けた子どもの育成に向けた施策を展開する。 社会教育では,市民の自己実現を支援し,市民がより豊かでうるおいのある生活を送ることを目指し, ・市民の要請を的確につかんだ学習の機会や場を提供する ・市民のつながりを深めるネットワークを構築する ・市民自らが学習の成果を生かすことのできる学習環境づくりを 支援する などの施策を展開する。 また,学校,家庭,地域住民,その他の関係者は,教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚し,相互に連携・協働しながら調布の教育を支えていく,という認識のもと,地域全体で子どもたちの学びや成長を支える体制づくりを進めるとともに,学びの成果を地域社会に生かすなど,地域の教育力を高めていくことを目指す。 調布市教育委員会基本方針 令和4年12月23日 調布市教育委員会決定 教育目標の実現に向け,以下5つの基本方針及び調布市教育プラン(令和5~8年度(令和5年2月策定予定))に基づき,総合的な教育施策を推進します。 また,教育行政の推進に当たっては,調布市教育大綱及び調布市総合教育会議における協議・調整等を踏まえ,市長との連携強化を図ります。 基本方針1 生命をいつくしみ,人の尊厳を重んじる心を育てる 【背景】 ・23万人余の市民が共に生きる調布市にあって,すべての市民が,命の重さを深く自覚し,人権尊重の理念を正しく理解するとともに,互いを思いやる心や,規範意識を高めていくことが求められている。 ・自他の命を大切にする心豊かな教育活動の推進が求められている。このため,「命の大切さ」や「自分の命は自分で守る」ことの大切さを,子どもたちに教えなければならない。 ・一人一人の児童・生徒が自分のよさや可能性を認識するとともに,あらゆる他者を価値のある存在として尊重し,多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え,持続可能な社会の創り手として育成することが求められている。 ・調布市立学校の給食において,食物アレルギーにより尊い児童の命が失われたことを決して風化させず,一人一人が命の重さや尊さを胸に刻み,自他の命を大切にしなければならない。 ・体罰や暴言の根絶に向け,教職員一人一人の人権意識を一層高めることが求められている。 ・全国的にいじめの認知件数が増加する状況にあって,国では「いじめ防止対策推進法」,東京都では「東京都いじめ防止対策推進条例」が制定されている。全ての児童・生徒が安心して教育活動に取り組むことができるよう,いじめをなくさなければならない。 【施策の方向性】 ・いじめ・偏見・差別・虐待につながらないよう,人の尊厳を大切にするとともに,互いのよさや違いを認めあう人権教育や心の教育,そして障害,国籍,性別等の多様性を認め合う共生社会の実現につながる教育などを推進する。 ・知識を得て理解するに留まらず,多様な人々との協働的な学びなどを通じて,様々な社会問題を地域社会や自分事として捉え,実生活や社会の変容につなげる力を育成するとともに,持続可能な社会の創り手としての意識の醸成を図る。 ・教職員の人権意識を一層高める取組を推進する。 ・「調布市教育委員会いじめ防止対策基本方針」及び各学校が定める「学校いじめ防止対策基本方針」に基づき,いじめを決して見逃さず,いじめをなくすための組織的な取組を推進する。 基本方針2 「生きる力」を育て,個を伸ばす教育を充実する 【背景】 ・学習指導要領で掲げる「主体的・対話的で深い学び」の視点に立った授業改善を推進することが求められている。 ・変化の激しい社会にあって,自ら主体的に判断し,適切に行動できる,社会的に自立した人間としての基礎づくりや,社会に貢献しようとする精神の育成が求められている。 ・指導の個別化等による「個別最適な学び」と,探究的な学習や体験活動等を通じた「協働的な学び」を充実させるとともに,これらの実現に向け,ICT環境の整備・活用と情報教育を推進することが求められている。 ・「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保に関する法律」の趣旨を踏まえ,学校や関係機関は,学校への復帰のみを目標にするのではなく,社会において自立的に生きる基礎を養うことができるよう,多様な学びの場を提供していくことが求められている。 ・人はみな違った存在であり,それぞれが自己実現を目指して,個の状況に応じた学習に取り組めるよう,教育環境の充実が求められている。 ・食物アレルギーのある児童・生徒と他の児童・生徒が,発達段階に応じて互いの違いを認め合い助け合う中で,みんなが同じように給食の時間を楽しみ,食を通して成長できるよう,安全で安心な学校給食を提供しなければならない。 ・子どもが抱える困難が多様化・複雑化する中で,それぞれの家庭環境に応じた支援が必要な子どもへの対応が課題となっている。 ・オリンピック・パラリンピック教育で培った「ボランティアマインド」「障害者理解」「スポーツ志向」「日本人としての自覚と誇り」「豊かな国際感覚」の5つの資質を,「学校2020レガシー」として継承していくことが求められている。 ・共生社会の実現に向け,障害のある人もない人も,可能な限り,同じ場で共に学び合うことができるよう,児童・生徒一人一人に必要かつ適切な教育的支援を行うことが求められている。 ・令和4年6月に「こども基本法」が公布され,令和5年4月から施行されます。本法律は,こども家庭庁の設置と相まって,常にこどもの最善の利益を第一に考え,こどもに関する取組や政策を我が国社会の真ん中に据えて強力に進めていくための包括的な基本法として,こども施策に関する基本理念や,国・地方公共団体の責務等を定めている。 【施策の方向性】 ・各学校において「社会に開かれた教育課程」「主体的・対話的で深い学び」「カリキュラム・マネジメント」の実現を図り,教育の質の向上を図るための取組を推進する。 ・子どもたちには,生きる力の柱となる基礎的な学力を身に付けさせるとともに,その基盤となる豊かな心と健やかな体の育成を重視した教育を推進する。また,「個別最適な学び」と「協働的な学び」の実現に向けて,更なるICT機器の整備・利活用を推進するとともに,教員の指導力向上,授業改善を通じて,児童・生徒の情報活用能力を育成する。 ・全ての子どもたちが将来への希望を抱き,安心して学び続けられるよう,スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカーを中心に,学校全体で子どもを見守り,必要に応じて,福祉的な支援につなげるなど関係機関との連携・協力を推進する。 ・小学生を対象とした適応指導教室「太陽の子」,分教室型の不登校特例校「第七中学校はしうち教室」の適切な運営や,訪問型支援事業の実施,中学生を対象とした適応指導教室の環境整備の検討等により,不登校児童・生徒の居場所づくりや学びの場の拡充を図り,社会的自立の支援を推進する。 ・食物アレルギー事故の再発防止,いじめや不登校対策,虐待など,学校を取り巻く諸課題に対応するため,学校・家庭・地域・関係機関が一体となって,情報共有及び連携に努め,児童・生徒一人一人の状況に応じた教育及び支援の充実を推進する。 ・「学校2020レガシー」の取組等を通じて,体を動かすことの楽しさの実感や運動習慣の定着化を図るとともに,チームワークや連携・協力する意識,共生社会の実現に向けた意識等の醸成を図る。 ・どの子どもも十分な教育を受けることができ,共に学び,共に生きる社会を目指し,すべての学校,すべての学級で特別支援教育を推進する。 ・「こども基本法」の施行を踏まえ,こども施策の策定等に当たっては,対象となるこどもや子育て当事者等の意見を反映させるために必要な措置を講じるなど,本法律の趣旨に基づく取組を推進する。 基本方針3 学校・家庭・地域の役割と責任に基づいた連携を進める 【背景】 ・学校や地域を取り巻く環境が複雑化・多様化する中で,よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創るために,学校・家庭・地域の連携・協働と役割分担により,地域全体で子どもたちの学びや成長を支える持続可能な仕組みを構築することが求められている。 ・学校教育の更なる充実に向けて,教員業務の見直しや教員の意識改革,人員体制の確保,教員の心身の健康保持はもとより,誇りややりがいをもって職務に専念できる環境整備等,学校の働き方改革に取り組む必要がある。 ・近年,全国各地で地震,台風・集中豪雨等の自然災害,熱中症事故や登下校中の子どもが巻き込まれる事故等が発生している。このため,自らの安全は自らが守るという自助意識と,地域で互いに助け合うという共助意識の醸成が求められている。また,学校は地域の避難所になることから,災害時に即応できる体制づくりや地域との連携を進めなければならない。 ・近年,子どもたちを取り巻くインターネット環境が大きく変化しており,いじめや誹謗中傷などの問題をはじめ,スマートフォン等の長時間使用による生活習慣の乱れや不適切な利用による青少年の犯罪被害等につながるケースが増えている。 【施策の方向性】 ・子どもたちにとって,安全で安心な居場所をつくり,学習や体験・交流活動などを行うことができる取組を推進する。 ・学校・家庭・地域が学校教育を取り巻く現状と課題,目標やビジョンの共有を図りながら学校運営に取り組めるよう,コミュニティスクールの計画的な導入と地域学校協働本部との一体的な取組を推進する。 ・「調布市立学校における働き方改革プラン」に基づく取組を推進し,学校教育の質の維持向上や魅力ある学校づくりの実現に繋げる。 ・地域と一体となって,より効果的な防災教育や,実践的な防災訓練の取組を推進する。 ・学校・家庭・地域は,子どもたちのネット依存や,SNS等の利用に伴うトラブル等の課題を共有し,情報モラルを含むICTメディアリテラシーに関する意識啓発や指導などの取組を推進する。 基本方針4 安全で安心な調布の教育環境の整備を推進する 【背景】 ・教育人口の増減や学級編制標準の引き下げなど,子どもの就学人数に応じた教室数の確保とともに,少人数・習熟度別学習指導や特別支援教育,ICT教育の充実など,教育環境の整備が急務となっている。また,学校施設の老朽化への対応については,安全・安心の観点に加え,環境に配慮した計画的な施設改修等の対策が求められている。 ・食物アレルギー対策として,学校給食現場の状況を的確に把握し,給食室の整備・改善を計画的に進めることが求められている。 ・学校における感染症対策を通じて,児童・生徒の教育を受ける権利を保障するとともに,医療的ケア児など全ての児童・生徒が安全・安心に教育が受けられるよう,必要な支援が求められている。 【施策の方向性】 ・教育人口の推移や施設の老朽化などを的確に把握しながら,調布市公共建築物維持保全計画に基づく維持保全や施設の状況に応じた老朽化対策,学習環境の改善,特別支援教育環境の充実に向けた整備を推進する。 ・「調布市学校施設整備方針」等に基づき,関係部署と連携し,市の公共施設マネジメントとも歩調を合わせながら,施設の建て替えや長寿命化の取組を計画的に推進する。また,施設の建て替えなどに当たっては,ユニバーサルデザインの観点に加え,省エネルギー化等,脱炭素社会の実現に向けた持続可能な教育環境を目指した学校施設整備を検討する。 ・感染状況に応じた対策を講じるとともに,医療的ケア児など全ての児童・生徒が安全・安心に教育を受けられるよう,人的支援や教員への研修等,支援体制を整備する。 基本方針5 生涯にわたって自己実現を目指す機会を提供する 【背景】 ・人生100年時代を見据え,市民が生涯にわたって自己研さんに励み,自己実現を目指す活動を通して,より豊かで充実した生活を送るための環境づくりを支援することが求められている。 【施策の方向性】 ・地域の資源を活用しながら,市民の要請や思いを受け止めた学習の機会や場の提供,学習情報の充実を推進する。 ・市民自らが多様な学習活動を行い,互いに学び合うことで,新たな学びの機会や学びの成果を地域社会に生かせる環境づくりを推進する。