議員提出議案第25号 地方公務員の一層の処遇改善を求める意見書提出について 上記の議案を提出する。 令和6年12月12日 提出者 調布市議会議員 山根 洋平 賛成者 調布市議会議員 川畑 英樹 同    榊原 登志子 同    青山 誠 同    阿部 草太   地方公務員の一層の処遇改善を求める意見書 人口減少社会では労働力の減少が深刻な問題となり,少子化によって労働市場に新たな労働力が供給されにくくなることで,事業者の採用活動における競争が激しくなってきている。こうした中,民間企業では人材確保が課題となっており,初任給を大幅に引き上げるなどの処遇改善を積極的に進めている。 日本経済団体連合会がまとめた2024年春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果の最終集計によると,集計可能な18業種 135社の総平均で,引上げ額1万 9,210円(前年比 5,848円増),アップ率5.58%(同1.59ポイント増)であった。この引上げ額は,現行の集計方法に変更した1976年以降で最も高い金額となり,アップ率も1991年の5.60%以来となる5%超を記録するなど,賃金引上げのモメンタムの維持・強化が数値にも明確に表れたと評価している。 また,2024年の人事院勧告では,こうした民間給与の上昇を受けた官民較差を11,183円と算定した上で,総合職大卒初任給を29,300円,一般職大卒初任給を23,800円の増額が勧告され,約30年ぶりの高水準のベースアップを求めるものとなっている。また,ボーナスについては0.10月分引き上げることを勧告したほか,給与制度のアップデートと称した,俸給,地域手当,通勤手当等,扶養手当,ボーナス,その他手当にわたる包括的な給与制度の整備についても勧告している。 このような状況の下,地方公共団体においても同様に,職員に関する処遇改善を積極的に進めなければ,人材の確保のみならず人材の定着や離職防止といった従来では課題として挙げられなかった事態に対処できなくなることから,時代環境に即した対応を迫られている。 よって,国等におかれては,地方公務員の一層の処遇改善を図り,もって公務を支える職員の質及び量を確保するとともに,公務組織のパフォーマンスを高め,住民の安全と生活を守る行政サービスの維持・向上を確実なものとするため,下記の事項について必要な措置を講ずることを強く要望する。 記 1 地方公務員の賃上げを持続的に行うことができるよう,給与関係経費及び社会保障費の増加に対応する財源を確保するための交付金等の措置を早期に実現すること。 2 組織パフォーマンスを向上させるため,給与制度において,特に重い職責を担う管理職員に対し役割に見合った処遇を確保することや,早期に昇格した者に高い処遇を確保することに重点を置き,職務・職責に応じた俸給体系への刷新を図るとともに,能力・実績をより反映することができる制度への見直しを行い,役割・活躍に応じた処遇を実現すること。 3 時代に即した働き方を推進するため,勤務間インターバルの確保やフレックスタイム制,テレワークといった柔軟な働き方につなげていくための取組を強力に推進すること。 4 仕事と生活の両立を支援するため,育児や介護を担う職員に対して各種休暇制度の充実を図るとともに,その職員と共に働く職場の同僚に対する金銭的報酬を充実させるなど,職場全体として両立支援制度を利活用しやすくなる風土づくりを強力に推進すること。 5 長時間の超過勤務の是正のため,業務の削減や効率化を図るだけではなく,業務量に応じた要員の確保ができるよう,定員管理において上限の拡大や合理化目標数の緩和を認めるなど,現場目線に立った人員配置や必要人員の確保が可能となるようにすること。 6 ゼロ・ハラスメントの実現に向けて,従来実施している各種ハラスメント防止に向けた取組にカスタマー・ハラスメントを加え,その認識を広げていくとともに,相談体制について,職場内の相談員に相談しやすい環境を整備するため,相談員の対応能力向上のための取組を推進すること。 7 公務職場で働く者の健康増進を図るため,健康管理体制の充実や健康管理担当者の能力を向上させ,心の健康だけではなく性差に応じた健康課題等の身体の健康についても相談対応が可能となるよう,実効的な改善策を行うこと。 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 令和6年12月  日 調布市議会議長 井上 耕志 提出先 内閣総理大臣  総務大臣  財務大臣  厚生労働大臣   衆議院議長  参議院議長  東京都知事