調布市立学校における室内化学物質対応マニュアル 調布市教育委員会 調布市立学校における室内化学物質対応マニュアル 改正履歴 年月 平成17年7月 主な内容 初版発行  年月 令和4年11月 主な内容 別紙のうち3つの化学物質の室内濃度指針値を改正 (キシレン,フタル酸ジ-n-ブチル,フタル酸ジ-2-エチルへキシル) はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4    Ⅰ 学校での配慮事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4                          1 学校施設・教室環境について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4  (1) 換気に関すること ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4  (2) 床ワックス,消毒,殺虫剤,洗剤,芳香剤等の使用に関すること ・・・5  (3) 壁,床等の修理に関すること ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5  (4) 教育委員会との連携・協力に関すること ・・・・・・・・・・・・・・5  (5) 環境衛生検査の実施に関すること ・・・・・・・・・・・・・・・・・5 2 教育活動について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6  (1) 図画工作(美術),技術,水泳指導等の教科指導に関すること ・・・・・6   (2) 使用教材・教具・教科書等に関すること ・・・・・・・・・・・・・・6 3 児童・生徒の健康管理について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6   (1) 校医による定期健康診断及び健康相談に関すること ・・・・・・・・・6  (2) その他専門医による健康診断及び健康相談に関すること ・・・・・・・6 (3) 学級担任,養護教諭,スクールカウンセラー等の観察・相談・記   録に関すること ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7  (4) 家庭,保護者との連絡,相談に関すること ・・・・・・・・・・・・・7  (5) 関係教職員,医師,保護者等との連絡に関すること ・・・・・・・・・7 Ⅱ 教育委員会の配慮事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 1 教育委員会における役割等について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・7  (1) 教育委員会による情報収集及び提供等に関すること ・・・・・・・・・7  (2) 教育委員会職員対象の研修会の開催に関すること ・・・・・・・・・・8  (3) 学校における教職員研修に関すること ・・・・・・・・・・・・・・・8 Ⅲ 工事等の配慮事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 1 建築材料等について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8  (1) 工事で使用する建築材料等に関すること ・・・・・・・・・・・・・・8  (2) 備品・家具等に関すること ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 2 工法等について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9  (1) 換気に関すること ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9  (2) 養生期間に関すること ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 3 検査方法・検査基準について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9  (1) 国基準等に関すること ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9  (2) 検査時期に関すること ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9  (3) 検査における配慮事項に関すること ・・・・・・・・・・・・・・・・9 Ⅳ 化学物質の影響を受けやすい児童・生徒への配慮事項・・・・・・・・・・・9 1 学校での対応について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9  (1) 施設の修理に関すること ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9  (2) カーペットのクリーニングに関すること ・・・・・・・・・・・・・・9  (3) 個別指導計画の作成に関すること ・・・・・・・・・・・・・・・・・1 0  (4) 宿泊先,コンサートホール等校外活動の環境に関すること ・・・・・10  (5) 整髪料,化粧品等に関すること ・・・・・・・・・・・・・・・・・10 2 教育委員会での対応について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10   (1) 関係学校との連絡会の開催に関すること ・・・・・・・・・・・・・10  (2) 関係保護者等との連絡に関すること ・・・・・・・・・・・・・・・10 《参 考》   1 シックハウスの関連用語について ・・・・・・・・・・・・・・・・11  (1)シックハウス症候群 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11   (2)化学物質過敏症 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11  (3)室内化学物質とその指針値 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 (4)TVOCとその暫定目標値 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13   2 効果的な換気方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13    3 シックハウスにかかる専門医療機関 ・・・・・・・・・・・・・・・15 はじめに  教育委員会では,調和小学校で化学物質が放散された事実を踏まえて全市立小中学 校施設における化学物質の放散への対策を進めるため,このマニュアルを策定するこ ととした。  学校は,児童・生徒が日常生活の大半を過ごす場所であることから,学校における 良好な生活環境の維持・改善が求められており,学校施設の新築・改築・修繕はもと より,机・イス・棚などの備品類,また子どもたちが使用する文具類などから放散す る化学物質への対応や児童・生徒の健康管理,また,シックハウス症候群の正確な情 報収集・提供が必要となっている。  こうしたことから,児童・生徒が安全で安心のできる学校生活を送ることができる よう,これまでの専門家や保護者等からの意見や情報,そして教育委員会の経験等を 基に,調布市立学校における室内化学物質対応マニュアルを策定し,学校,保護者, 関係機関,教育委員会が一体となって取り組んでいこうとするものである。  なお,シックハウス症候群や化学物質過敏症については,医学界において未解明な 部分が多く,今後も,関係省庁の動向等に注視し,新たな情報の収集に努めるととも に、必要に応じて本マニュアルの見直しを行うこととする。 Ⅰ 学校での配慮事項    学校での換気や施設の維持管理及び児童・生徒の健康管理に十分留意するとともに, 学校内の組織体制の整備及び関係機関との連携を密に図る必要がある。 1 学校施設・教室環境について  (1) 換気に関すること ア 普通教室では,休み時間には必ず窓,欄間,廊下側の窓を開け,教室全体に 空気が流れるよう換気に努める。また,授業中でもできる限り窓の開放を行う。 さらに換気扇があれば,これも運転する。 イ パソコン室,理科室,音楽室など特別教室は,常時使用しないため換気が不 十分となっているので,使用開始前に通風を考慮して窓の開放を行うなど十分 な換気を行い,授業中も換気に留意する。なお,換気設備が設置されている場 合には,常に換気設備を活用して換気を行う。 ウ 休日あけの教室は,換気が不十分となっているので,使用開始前に通風を考 慮して窓の開放を行うなど十分な換気を行う。特に,長期の休業中も可能な限 り換気に努めるとともに,長期休業明けは,全部屋の十分な換気を行う。 エ アレルギー体質や体調が悪い児童・生徒が保健室に入室することを考慮して 備蓄薬品類の保管に留意し,必要に応じて通風を考慮して窓の開放を行うなど 十分な換気を行う。また,保健室の布団類は,よく乾燥させるなど消毒やダニ 対策を講じて,ダニアレルギーの予防に努める。なお,空気清浄機の運転状況 を常に確認する。 オ 冷暖房を行う場合には,室内が閉め切りにならないよう特に換気に留意する。 換気設備がある場合は十分活用する。また,休み時間には必ず窓を開け空気の 入れ替えを行う。  (2) 床ワックス,消毒,殺虫剤,洗剤,芳香剤等の使用に関すること ア 床のワックスがけは,原則年1回,長期休業中に行うものとし,新学期まで の間に十分な換気を行う。また,芳香剤・消臭剤は,ホルムアルデヒドやトル エン等シックハウス症候群と密接な関連があるとされている化学物質を含む ものは原則として使用しない。 イ 樹木の消毒については,枝の剪定等により極力消毒を行わない。やむを得ず 薬剤を使用する場合は,児童・生徒等に影響を与えないよう薬剤の種類,使用 方法,使用の日時等を十分に検討し,事前に周知した上で使用する。 ウ 殺虫剤等でクロルピリホス又はダイアジノンを含むものは使用しない。法令 等により薬剤散布の義務のある施設を除いて,原則として害虫等が発生してい ない限り,予防を目的とした定期散布は行わない。害虫等が発生した場合は, 発生源を除去するなどの環境改善や防虫網や粘着トラップ等物理的な方法に よる防除を検討し,殺虫剤等の使用は可能な限り避ける。  (3) 壁,床等の修理に関すること   学校等で実施する軽微な修理及び学校職員等が行う小規模な塗装等について は,塗料や接着剤等でホルムアルデヒドやトルエン等の化学物質を含むものは原 則として使用しない。なお,安全上及び学校運営上で,特に支障なければ長期休 業中に実施する。  (4) 教育委員会との連携・協力に関すること  学校と教育委員会は,教材,教具,また,床ワックスの使用や施設の修理等に ついて,相互に連絡・調整を図り,学校施設の良好な環境を保持する。  (5) 環境衛生検査の実施に関すること   ア 定期環境衛生検査  既存の教室等,室内におけるホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物につい ては,文部科学省の「学校環境衛生の基準」に基づき,毎年度定期的に測定を 実施する。また,当該物質が基準値を超えた場合は,換気を励行するとともに, その発生の原因を究明し,汚染物質の発生を低くする等,適切な措置を講じる。  なお,施設の使用に当たっては,当該物質の濃度が基準値以下であることを 確認してから開始すること。   イ 臨時環境衛生検査 (ア) 机,椅子,コンピュータ等,新たな学校用備品の搬入等に当たっては, 搬入後に文部科学省の「学校環境衛生の基準」に基づき,必要に応じてホ ルムアルデヒド及び揮発性有機化合物について測定をする。当該物質が基 準値を超えた場合は,換気を行うなど汚染物質の発生を低くするための適 切な措置を講じる。なお,施設の使用に当たっては,当該物質の濃度が基 準値以下であることを確認してから開始すること。 (イ) 新築・改築・改修等を行った際には,厚生労働省の示す13物質の濃度 が基準値以下であることを確認した上で引渡しを受けるものとする。 2 教育活動について  (1) 図画工作(美術),技術,水泳指導等の教科指導に関すること  図画工作等でのホルムアルデヒドを含んだ合板や接着剤等の教材は原則とし て使用しない。なお,やむをえず使用するときは,児童・生徒の体調に十分注意 し,気分が悪くなった場合は,別の場所で休むことを含め速やかに対応を行う。 特に,図画工作等を行う場合は換気に十分留意する。また,プールにおける塩素 の使用に当たっては,児童・生徒の体調に充分注意する。  (2) 使用教材・教具・教科書等に関すること  学校で使用するサインペン・マーカー,のり,教科書等各種印刷物の臭いで具 合が悪くなる場合があるので,児童・生徒の健康管理に十分注意する。また,蛍 光ペンや消しゴムなどで匂いのついた学習用品は極力持ってこさせないよう指 導する。   3 児童・生徒の健康管理について  (1) 校医による定期健康診断及び健康相談に関すること  定期健康診断時に,シックハウス症候群として現れやすいと言われている眼, 鼻,喉等について十分な観察診察を行う。また,必要に応じて学校及び教育委員 会は校医と連絡をとり健康相談日を設定する。  (2) その他専門医による健康診断及び健康相談に関すること  体調不良の状態が緩和しなかったり消失しない場合は,児童・生徒の保護者に, 専門医への相談や受診,また,保健所等への相談を勧める。 (3) 学級担任,養護教諭,スクールカウンセラー等の観察・相談・記録に関するこ と                  ア 学級担任や教科担任は,児童・生徒一人一人の健康状態を観察・把握し,体 調に異常があったときは保健室の養護教諭に連絡する。 イ 養護教諭は,既存の保健調査や定期健康診断の結果等を有効活用し,児童・ 生徒の既往歴や健康状態について把握しておく。また,児童・生徒から体調不 良の訴えがあった場合は,いつ,どこで,どんな症状があったかなどを確認し, 記録する。 ウ 児童・生徒から体調不良の訴えがあった場合,必要に応じてスクールカウン セラーを活用し,個々の児童・生徒の訴えに耳を傾け,きめ細かく相談に応じ ることにより,室内化学物質に関する正しい理解を促し,健康に関する不安を 解消するなど適切な対応を図る。  (4) 家庭,保護者との連絡,相談に関すること  学校が発行する「学校だより」や「保健だより」等を通じ,また,化学物質の 放散事案が発生したときは,保護者会において説明するなど,必要に応じた保護 者への情報提供を行う。また,併せて児童・生徒の健康状況を含め,心配なこと があれば学校に相談する等,保護者との連携に努める。  (5) 関係教職員,医師,保護者等との連絡に関すること  学級担任は,児童・生徒の健康状態の把握をするとともに,保護者・学校医等 との連絡を密にし,万一健康被害があった場合は,速やかに対応ができるように する。 ア 校長はコーディネーター役を果たす保健主任を中心に,学校医,学級主任, 養護教諭,保護者との間に役割分担を定めておき,組織的な健康管理体制の整 備に努める。 イ シックハウス症候群や化学物質過敏症の専門医療機関について把握しておく。 Ⅱ 教育委員会の配慮事項  シックハウス症候群等に関する情報の収集と提供を行うとともに,教職員や教育委 員会事務局職員の情報の共有化と認識を図る必要がある。 1 教育委員会における役割等について (1) 教育委員会による情報収集及び提供等に関すること  室内化学物質に関する情報の量は増加傾向にあるが,もたらされる情報の質は 様々であり,正確な情報に基づき,情報を共有化することが求められている。そ こで,教育委員会では以下の情報を収集し公表する。  ア 法令等の社会環境に関する情報  イ 室内化学物質の科学的な情報  ウ 健康被害と治療方法に関する情報  エ 学校における安全確保に関する情報  オ 専門医療機関に関する情報  カ その他,教育委員会が必要と認めた情報 (2) 教育委員会職員対象の研修会の開催に関すること  教育委員会は,シックハウス症候群に対する意識啓発と情報の共有化を図るた め,教育委員会職員に対し研修を実施する。  ア 教育委員会は,全ての教育委員会職員を対象に定期的な研修を行う。  イ 教育委員会は部内会等の会議を通じ情報提供を行う。なお,参加者は職員に 対し周知を図り,情報の共有化を図る。 (3) 学校における教職員研修に関すること  教育委員会と学校は,シックハウス症候群に対する意識啓発と情報の共有化を 図るため,教職員に対し研修を実施する。  ア 教育委員会は,保健主任等の教職員を対象に定期的な研修を行う。  イ 保健主任は学校において,職員会議等の場を通じて,全教職員に対し情報の 共有化を図る。  ウ 教育委員会は校長会・副校長連絡会の会議を通じ情報提供を行う。 Ⅲ 工事等の配慮事項  学校施設の工事等に際しては,文部科学省,厚生労働省,国土交通省などの動向に 留意しながら,最大限の室内環境対策を行っていく必要がある。 1 建築材料等について (1) 工事で使用する建築材料等に関すること  工事で使用するプラスチックや合板類,接着剤や塗料などの建築材料について は,各種情報収集により室内空気を汚染する化学物質の発生のない,若しくは最 も少ないものを採用する。また,建材等のホルムアルデヒド放散量について,日 本工業規格(JIS)及び日本農林規格(JAS)で規格化されているものについ ては,最も厳しい基準である最上位規格品(F☆☆☆☆)を使用する。 (2) 備品・家具等に関すること   新規に備品類を購入する場合には,グリーン購入調達基準等により,事前の見 積り段階から室内空気を汚染する化学物質の発生のない,若しくは最も少ないも のであるものを選定する。また,発注時の仕様書にもこのことを明記する。  なお,工場で作製された家具等は,他の家具等と分別に保管し,化学物質の吸 収・汚染を防ぐよう業者に指示する。 2 工法等について (1) 換気に関すること  より良い室内空気環境を実現するためには,換気することが有効な手段である ことから,工事中から窓開けによる通風及び強力扇風機や排風機等による強制換 気を実施し,常時換気設備がある場合にはこれも運転する。 (2) 養生期間に関すること  工事完了後から引き渡しまでの間,工事中と同様に,通風及び換気に努め,そ のための養生期間として十分な期間を確保する。 3 検査方法・検査基準について (1) 国基準等に関すること   工事業者は,厚生労働省が示す揮発性有機化合物13物質について検査する。 (2) 検査時期に関すること  工事業者は,上記13物質について工期内に検査し,その結果も工期内に確  する。 (3) 検査における配慮事項に関すること  原則的に人が長時間滞在する居室を検査対象箇所とし,室内空気採取及び分析 方法は厚生労働省が示す検査方法とし,分析機関は東京都が認める専門機関とす る。 教育委員会は,厚生労働省が示す13物質が指針値以下であることを確認後に引 き渡しを受けるものとする。 Ⅳ 化学物質の影響を受けやすい児童・生徒への配慮事項  化学物質の影響は個人差があり,また症状も多様なことから,当該児童・生徒の保護者 との十分な話し合いや連絡を密にし,対応が可能な最大限の配慮を図る必要がある。 1 学校での対応について (1) 施設の修理に関すること   学校等で実施する軽微な修理及び学校職員等が行う小規模な塗装等について は,実施する前に当該児童・生徒の保護者へ連絡し,修理後の対応を協議してお く。 (2) カーペットのクリーニングに関すること  当該児童・生徒が在籍する学校では,パソコン室や図書室などのカーペットを 清掃する場合は,洗剤等ではなく水洗いにするなどの配慮を行う。 (3) 個別指導計画の作成に関すること  当該児童・生徒について個別指導計画を作成する。各学年始めに計画立案し, 保護者と面談した後に完成させる。なお,学年末に評価を加えたものを作成し, 指導の成果・課題等について保護者に報告・説明を行う。 個別指導計画の内容  ア 過敏に反応する物質   イ 授業で使えない教材及び代替教材   ウ 受けることのできない授業及び代替措置  エ 既往症の有無  オ 緊急を要する症状が出た場合の処置  カ 保護者の要望  キ ア~カを考慮した授業の進めかた  ク その他必要な事項 (4) 宿泊先,コンサートホール等校外活動の環境に関すること  校外活動を実施する際には,活動先の施設や活動内容等における化学物質の有 無等について十分確認する。特に,施設のメンテナンスの時期を確認し,計画段 階から計画案を当該児童・生徒の保護者に周知し,配慮すべき事項を協議する。 実踏にあたっては,保護者の同伴を求める等の配慮を行う。 (5) 整髪料,化粧品等に関すること  整髪料,化粧品,タバコ,防虫剤の臭いのついた衣服など,揮発性のあるもの や臭いのあるものを避けるよう特に配慮が必要である。   2 教育委員会での対応について (1) 関係学校との連絡会の開催に関すること  教育委員会は,当該児童・生徒の在籍する学校と定期的に会合を開き,児童・ 生徒の様子や学習環境,施設環境等について意見交換を行う。なお,必要に応じ て医師等の専門家の意見を聞く。 (2) 関係保護者等との連絡に関すること  教育委員会は,学校と当該児童・生徒の保護者と学校では解決できない施設改 善等の課題に対して,必要に応じて会合を開き,児童・生徒の様子や学習環境, 施設環境について意見交換を行う。    《参 考》 1 シックハウスの関連用語について (1) シックハウス症候群  近年,住宅の高気密化や化学物質を放散する建材・内装材の使用等により, 新築・改築後の住宅やビルにおいて,化学物質による室内空気汚染等により, 居住者等の様々な体調不良が生じていることが指摘されています。症状が多様 で,症状発生の仕組みをはじめ,未解決な部分も多く,また様々な複合要因が 考えられることから,「シックハウス症候群」と呼ばれている。  厚生労働省所管の「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会」の 第8回~第9回の中間報告によると,「現状では,居住者にアレルギー,中毒, 未だ発生の仕組みがわからない症状を含めた様々な体調不良が生じ,それがな んらかの居住環境に由来するのではないかと推測される場合が『シックハウス 症候群』と便宜的に総称されているので,・・・」とされている。 (2) 化学物質過敏症  化学物質過敏症について,「平成9年6月13日付け快適で健康的な住宅に関 する検討委員会 健康住宅関連基準策定専門部会化学物質小委員会報告書(要 旨)」において,次のように報告されている。  『最近,室内空気環境と関連して注目を集めている問題に「化学物質過敏症」 がある。化学物質過敏症の定義については,現在まで日本では研究も少なく, 学会等であまり知られていないが,この問題の研究を進めている米国の研究者 の間では,「一般的には多量の化学物質に暴露されて一旦過敏症を獲得すると, その後きわめて微量の同系統の化学物質で種々の臨床症状が出現してくる状 態」と考えられている。その症状は,自律神経障害,精神障害,感覚器(嗅覚・ 視覚),抹消神経障害など多岐に わたるが,これらの症状や程度は患者の素因 や社会的,心理的要因によって異なる場合もあるとされている。  一方,毒性学等の専門家の中には,二重盲験試験などの客観的証拠が少ない ことなどを理由に,このような症状と化学物質との因果関係を疑問視する意見 もあり,化学物質過敏症なる症候群の存在自体をめぐって米国の一部の学会に おいては意見が分かれているところである。また,日本の学会においては,こ れまでのところ十分な議論が行われているとは言えない状況にある。  以上のことから,化学物質過敏症と室内空気中の化学物質濃度の関係につい ては,現時点における定量的な評価は困難であると考えられる。しかしながら, 化学物質過敏症の存在を否定することはできないので,当面は,室内空気環境 中の化学物質を可能な限り低減化するための措置を検討しつつ,今後の研究の 進展を待つことが適当である。また,我が国の関係学会においても関心が広が りつつあるので,この問題に対する客観的かつ広範な議論が展開されることを 期待したい。』  また,「平成12年6月29日付けシックハウス(室内空気汚染)問題に関す る検討会中間報告書―第1回~第3回のまとめいついて」では,『最初にある程 度の量の化学物質に暴露されるか,あるいは低濃度の化学物質に長期間反復暴 露されて,一旦過敏状態になると,その後極めて微量の同系統の化学物質に対 しても過敏症状を来す者があり,化学物質過敏症と呼ばれている。化学物質と の因果関係や発生機序については未解明な部分が多く,今後の研究の進展が期 待される。』と報告されている。 (3) 室内化学物質とその指針値(別紙参照)   化学物質について,現時点で有害と判明しているものについて厚生労働省は 13の化学物質を示し,室内空気中の濃度指針値を公表している。文部科学省 は6物質,工事を所管する国土交通省は文部科学省と一部違った6物質を示し ている。  化学物質とその指針値について,「平成14年1月22日付け シックハウス (室内空気汚染)問題に関する検討会中間報告書その4-第8回及び第9回の まとめについて」において,次のように報告されている。   『本検討会では, 室内空気中に存在する化学物質は全て多かれ少なかれヒト に何らかの影響を及ぼす可能性があるため, 公衆衛生の観点から化学物質の 不必要な暴露を低減させるため, 個別物質について対策の基準となる客観的 な評価を行ってきている。  ここで示した指針値は, 現時点で入手可能な毒性に係る科学的知見から, ヒ トがその濃度の空気を一生涯にわたって摂取しても, 健康への有害な影響は受 けないであろうと判断される値を算出したものであり, その設定の趣旨はこの 値までは良いとするのではなく, 指針値以下がより望ましいということである。 現状では, 居住者にアレルギー, 中毒, 未だ発生の仕組みがわからない症状を 含めた様々な体調不良が生じ, それがなんらかの居住環境に由来するのではな いかと推測される場合が「シックハウス症候群」と便宜的に総称されているの で, 多くの場合, 現状の研究では指針値が策定された物質と体調不良との間に 明確な対応関係は証明されていない。今後の研究, 調査が必要とされるが, こ れらが明確になる前であっても現時点で入手可能な毒性に係わる知見からこれ らの物質の指針値を定め, 指針値を満足するような建材等の使用, 住宅や建物 の提供並びにそのような住まい方を普及啓発することで, 多くの人たちが健康 悪化を来たさないようにすることができるはずである。  なお, 指針値は, 今後集積される新たな知見や, それらに基づく国際的な評 価作業の進捗に伴い, 将来必要があれば変更され得るものである。指針値の適 用範囲については, 特殊な発生源がない限り全ての室内空間が対象となる。  一方, 指針値設定はその物質が「いかなる条件においてもヒトに有害な影響 を与える」ことを意味するのではない, という点について, 一般消費者をはじ め, 関係業界, 建物の管理者等の当時者には, 正しく理解いただきたい。客観 的な評価に基づく室内濃度指針値を定めることは, 化学物質が健康影響の危惧 を起こすことがないように安全かつ適正に使用され, 化学物質が本来もってい る有益性が最大限生かされることに大きく貢献するはずだからである。』 (4) TVOCとその暫定目標値  TVOC(総揮発性有機化合物)については,「快適で健康的な住宅に関する 検討会議」報告書(平成11年1月)によれば下記のとおり報告されている。  『複数の揮発性有機化合物の混合物の濃度レベル。健康への影響を直接的に 評価するためには,個々の揮発性有機化合物(TVOC)についてガイドライ ン値を設定していく必要があるが,100種類以上に及ぶ微量の揮発性有機化 合物の全てについて短期間で健康影響評価を行うのは困難であり,またガイド ライン値が設定されていない物質に代替された結果新たな健康被害を引き起こ すおそれもあることから,VOC汚染を全体として低減させ,快適な室内環境 を実現するための補完的指標のひとつとしての導入が望まれる。』  TVOCの暫定目標値について,「平成12年12月15日 シックハウス (室内空気汚染)問題に関する検討会 中間報告書―第4回及び第5回のまと め」において,次のように報告されている。   『室内空気質のTVOC暫定目標値を400μg/立方メートルとする。  この数値は, 国内家屋の室内VOC実態調査の結果から, ある仮定(別添3. 2参照)に基づいて, 合理的に達成可能な限り低い範囲で決定した値であり, 室内空気質の状態の目安として利用されることが期待される。TVOC暫定目 標値は, 毒性学的知見から決定したものではないことから, 個別のVOC指針 値とは独立に扱わなければならない。今後TVOCについては, 実施される必 要な調査研究によって, 暫定目標値の妥当性の追跡とリスク評価に基づいた指 針の策定が必要である。また発生源や換気に注意し, 住宅の構造や日常の住ま い方の改善によって, 室内空気質の状態を向上させる取組みが不可欠である。』  なお,文中の別添3.2は省略させていただきますが,その中の注意書きで は,次のように記載されている。  『注)この暫定目標値は,竣工後居住を開始してある程度時間が経過した状 態における目安であって,竣工後入居してしばらくの間は,暫定目標値を越え る場合も予想される。またTVOCに含まれる物質の全てに健康影響が懸念さ れる訳ではないこと,またその中には日常の居住環境で用いられる発生源に由 来する物質が含まれることに留意すべきである。』   2 効果的な換気方法  換気には大きく分けると自然力を利用する自然換気と機械力を利用する機 械換気とがある。  自然換気は風力や温度差によって作られる気流によるもので,窓等を開けれ ば大きな空気の流れができる。機械換気は給気・排気とも機械力を使用するも のと,そのどちらかのみに機械力を使用することで気流を発生させるものであ る。  なお,自然換気と機械換気を併用することで更に換気効果をあげることは言 うまでもないことである。    平成15年9月12日に調和小学校プレイルームにおいて,トルエンの気中 濃度を,厚生労働省の示す方法(機械換気停止・密閉状態)と南側の窓3か所 のみを15センチメートル程度開けた状態(機械換気停止)での調査を実施し ている。  その結果,窓を少し開けた程度であるにもかかわらず,密閉状態の気中濃度 の約4分の1と大幅に改善効果がみられていところである(0.045ppm →0.012ppm〔指針値0.07ppm〕)。  このことからも窓開けによる自然換気は,室内空気環境を良好にするための 有効かつ効果的な手段である。  もちろん,すべての窓や欄間,高窓,出入口戸などを全開にできれば良いが, 雨や強風等の天候によってはそうはいかないときがある。そういった場合にも 次のイメージ図のように教室の対角線を原則に窓などを少しでも開けることで より良い空気環境にすることができる。  3 シックハウスにかかる専門医療機関    ・北里研究所病院      住所:東京都港区白金5-9-1     電話:03-3444-6161     電話受付時間:月~金(14時~16時)     診療科名:臨床環境医学センター   ・東京労災病院     住所:東京都大田区大森南4-13-21     電話:03-3742-7392     電話受付時間: 月~金(9時~12時・13時~16時30分)     診療科名:環境医学研究センター   ・国立相模原病院     住所:神奈川県相模原市桜台18-1     電話:042-742-8506     電話受付時間: 月~金(15時~16時30分)     診療科名:臨床環境医学センター   注)上記専門医療機関の受診は完全予約制です。