議員提出議案第28号 労働時間の規制緩和に反対する意見書提出について 上記の議案を提出する。 令和7年12月11日 提出者 調布市議会議員 田村 ゆう子 賛成者 調布市議会議員 岸本 直子 同 木下 安子 同 鈴木 ほの香 労働時間の規制緩和に反対する意見書  新政権が進める「働きたい改革」の下,総合経済対策には,「人への投 資」として「心身の健康維持と従業者の選択を前提に、労働時間法制に係る政策対応の在り方を多角的に検討する。」と盛り込まれた。  労働基準法は,1日の8時間を超えて労働させることを原則禁じ,それを超えて労働させる場合には法律で定められた割増賃金を支払うことを義務づけるなど,厳格な労働時間の規制を設けている。このような労働時間の規制は,労使の力関係の格差ゆえに,労働者が長時間労働を強いられることを防ぎ,労働者の生命・身体・生活時間を守るために定められたものである。したがって,労働時間規制を緩和することは「心身の健康維持」と本質的に矛盾するものである。  また,労働基準法の規制は,労使の合意をもってしても,その適用を除外したり,規制内容を緩和したりすることができない「最低基準」と定められたものである。最低基準を曖昧にする方向で労働時間規制を緩和させる一方で,「従業者の選択」を強調することは,従業者の選択の名の下に1日8時間労働制をはじめとする労働時間規制が「例外の認定とそれへの合意」という形で骨抜きにされることを意味しており,多くの労働者が長時間労働を強いられる結果になることが目に見えている。  厚生労働省の試算によると,「もっと働きたい」と答えた人は 6.4%にとどまり,その多くは年収の壁を気にせず働きたいという層であり,月平均80時間を超えて働きたい人は 0.1%にとどまっている。  過重な労働や仕事のストレスによる死亡・疾患など「過労死等」での労災認定数は,2024年度 1,304件と過去最多を記録している。  現行の労働法制の下でも長時間労働が蔓延し,多くの過労死が発生し続けている中で,労働者の「心身の健康」を図るためには現行の労働時間規制を強化することこそ必要であり,それに逆行する労働時間規制の緩和を行うことは許されない。  よって調布市議会は,国による労働時間の規制緩和に反対する。   以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 令和7年12月  日 調布市議会議長 宮本 和実 提出先 内閣総理大臣  厚生労働大臣  衆議院議長  参議院議長