第1章 計画策定の趣旨 1 計画策定の背景 (1) 調布市における障害者支援の計画的取組 調布市では,「利用者本位」「当事者の視点の重視」を基調に,この調布で,障害のある方が「その人らしい自立した生活の充実」を展開していけるよう,障害のある方の地域生活支援に,総合的・計画的に取り組んできました。 「はーとふるぷらんちょうふ」   (平成13年度~平成17年度) 「調布市障害者計画」       (平成18年度~平成23年度) 「第1期調布市障害福祉計画」   (平成18年度~平成20年度) 「第2期調布市障害福祉計画」   (平成21年度~平成23年度) 「調布市障害者総合計画」(調布市障害者計画・第3期調布市障害福祉計画)     (平成24年度~平成29年度) 「第4期調布市障害福祉計画」(調布市障害者総合計画の部分改訂)   (平成27年度~平成29年度) 現在は,平成24年3月に策定した「調布市障害者総合計画」(平成24年度~平成29年度)及び平成27年3月にその一部改定として作成した「第4期調布市障害福祉計画」(平成27年度~平成29年度)の計画期間中となります。 (2) 「障害者の権利に関する条約」の批准 一方で,国においては,平成26年1月に「障害者の権利に関する条約」(以下「障害者権利条約」といいます。)が批准されました。 この条約は,平成18年に国連で採択され,全ての障害のある方に対して「あらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有」と,「障害者の固有の尊厳の尊重」を促進することを目的としており,日本は140番目の締約国となります。 日本では,同条約にいう「合理的配慮」(※1)の理念と,「共生社会」(※2)の実現を盛り込むため,「障害者基本法」改正(平成23年8月)から,「障害者差別解消法」(※3)成立(平成25年6月)まで,国内法の整備が進められました。 今回の「調布市障害者総合計画」は,「障害者差別解消法」が平成28年4月に施行されて以降,初めての調布市の障害者福祉に関する計画となります。 ※1 合理的配慮:障害のある人から,社会の中にあるバリアを取り除くために何らかの対応を必要としているとの意思が伝えられたときに,負担が重すぎない範囲で対応すること(事業者においては,対応に努めること)が求められるものです。重すぎる負担があるときでも,障害のある人に,なぜ負担が重すぎるのか理由を説明し,別のやり方を提案することも含め,話し合い,理解を得るよう努めることが大切です。(内閣府リーフレット「「合理的配慮」を知っていますか?」より) ※2 共生社会;「全ての国民が,障害の有無によって分け隔てられることなく,相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会」として障害者基本法第1条(目的)に規定されています。 ※3 正式名称:障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律  (3) 障害者福祉制度改革の動向 他方で,前述以外にもこの間,国において障害者福祉の制度改革が進められています。 平成23年8月 「障害者基本法」の改正 平成24年4月 「障害者自立支援法」「児童福祉法」の改正 (相談支援の強化,障害児支援の強化) 平成24年10月 「障害者虐待防止法」(※1)の施行 平成25年4月 「障害者自立支援法」の「障害者総合支援法」(※2)への改正 (難病患者等の対象への追加,「障害支援区分」の創設,「重度訪問介護」の対象拡大など) 平成25年4月 「障害者優先調達推進法」(※3)の施行 平成25年6月 「障害者差別解消法」の成立 平成26年1月 「障害者権利条約」の批准 平成27年1月 「難病法」(※4)の施行 平成28年4月 「障害者差別解消法」の施行 平成30年4月 「障害者総合支援法」「児童福祉法」の改正(予定) (内容) 地域生活を支援する新たなサービス(自立生活援助)の創設 就労定着に向けた支援を行う新たなサービス(就労定着支援)の創設 重度訪問介護の訪問先の拡大 高齢障害者の介護保険サービスの円滑な利用 居宅訪問により児童発達支援を提供するサービスの創設 保育所等訪問支援の支援対象の拡大 医療的ケアを要する障害児に対する支援 障害児のサービス提供体制の計画的な構築 補装具費の支給範囲の拡大(貸与の追加) 障害福祉サービス等の情報公表制度の創設 自治体による調査事務・審査事務の効率化 ※1 正式名称:障害者虐待の防止,障害者の養護者に対する支援等に関する法律 ※2 正式名称:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律 ※3 正式名称:国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律 ※4 正式名称:難病の患者に対する医療等に関する法律  調布市では,このような流れに対応しながら,改めて,調布市の実情や社会の変化等も踏まえつつ,市民の誰もが「この調布で暮らして良かった」と実感できる地域づくりをめざしています。 2 計画の性格 (1) 計画の位置づけ 市町村にて定める障害者福祉に関する計画は,これまで以下の2つの計画がありました。現行の「調布市障害者総合計画」はこの2つの計画を一体化して策定しています。 障害者計画 【根拠法】障害者基本法第11条第3項 市の障害者のための施策全般に関する基本的な計画(計画期間:6年) 障害福祉計画 【根拠法】障害者総合支援法第88条第1項 市の障害福祉サービス,相談支援及び地域生活支援事業の提供体制の確保に関する計画(計画期間:3年) また,これらに加えて,平成28年5月に国会で障害者総合支援法・児童福祉法の一部改正が成立(平成30年4月施行予定)したことにより,障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス等についての「障害福祉計画」と同様に,児童福祉法に基づく障害児通所支援等について,以下の計画も新たに市町村で定めることとなります。 障害児福祉計画 【根拠法】児童福祉法第33条の20第1項 市の障害児通所支援及び障害児相談支援の提供体制の確保に関する計画(計画期間:3年) ※ 調布市では,これまでも「障害児福祉計画」に相当する内容の一部を「障害福祉計画」に含んで一体として策定しています。 この「調布市障害者総合計画」は,これらの計画を一体として策定します。 (参考)各章の主な内容と位置づけ 第1章 計画策定の趣旨 いずれの計画にも共通する事項 第2章 調布市の福祉の将来像 いずれの計画にも共通する事項 第3章 計画の基本的考え方 いずれの計画にも共通する事項 第4章 施策の展開 -事業計画- 主に「障害者計画」に該当 第5章 障害福祉サービス等の見込み量・成果目標 主に「障害福祉計画」「障害児福祉計画」に該当 第6章 計画の推進 いずれの計画にも共通する事項 (2) 計画の期間 計画の期間は,「障害者計画」部分については,平成30年度から平成35年度までの6年間,「第5期障害福祉計画」及び「第1期障害児福祉計画」部分については,平成30年度から平成32年度までの3年間(※)とします。 平成32年度末には,「調布市障害者総合計画」の部分改訂として,「障害福祉計画」及び「障害児福祉計画」部分の改定を行うこととなります。 ※「障害福祉計画」及び「障害児福祉計画」については,国が示す指針のもと,全国の都道府県及び区市町村で計画期間を統一して定めることとなっています。  (3) 他の計画との関係 次期「調布市障害者総合計画」は,以下の計画と整合性を図りながら検討を進めます。 調布市基本計画 市の他の保健福祉関連計画及びその他計画 東京都障害者計画・東京都障害福祉計画 3 計画の策定体制 本計画の策定にあたり,当事者や家族,関係機関の意見を反映し,より地域で生活する障害のある方の実態,ニーズに即した内容とするため,学識経験者,障害福祉サービス事業者,当事者,市民公募委員等で構成される「調布市障害者総合計画策定委員会」を平成28年度より設置し,2か年かけて計画の検討を行いました。 計画策定にあたっては,以下に掲げる調査等も実施しました。調査内容について計画策定委員会で検討を行い,また,調査結果に基づいて課題の整理を行いました。 (1) 調布市民福祉ニーズ調査の実施(平成28年度) (⇒詳細:巻末資料) 障害のある方の地域生活に関するアンケート調査及び住民懇談会を実施し,地域におけるニーズや課題の把握に努めました。 (2) 関係機関ヒアリング等の実施(平成28年度) (⇒詳細:巻末資料) 前述のニーズ調査に加え,障害のある方が地域生活において関わる様々な機関や企業等の立場から感じている課題,ニーズを把握するために,関係機関へのヒアリング調査等を実施しました。 ア 関係機関ヒアリング調査(8か所) イ 関係機関アンケート調査(5分野) ウ 各団体からの意見(4団体) (3) 調布市障害者地域自立支援協議会からの意見具申 (⇒詳細:巻末資料) 調布市障害者総合計画策定委員会とは別途に,調布市が設置し,障害のある人が暮らしやすい地域づくりを目指し,地域における障害者への支援体制に関する課題について情報を共有し,実情に応じた支援体制の整備について継続的に協議を行っている「調布市障害者地域自立支援協議会」から,次期計画についての意見具申を受けました。 (4) 中間報告書の作成 上記(1)から(3)における調査等の結果等をもとに,平成28年度は「地域生活におけるニーズ,課題の抽出」を検討テーマとして計画策定委員会での議論を進め,障害のある方の地域生活における課題の整理を行い,平成29年3月に「中間報告書」を作成しました。