調布市市民参加プログラム 参加と協働のまちづくりを進めるために 平成16年11月 調  布  市 はじめに  調布市では,参加と協働を推進するためのシステム整備として「調布市市民参 加プログラム」の策定作業を進めてきました。 平成14年3月に市民参加を前提とした施策や事業の取り組みについて,市の 職員自身が認識を新たにし,全庁的に推進していくための課題の把握や市民参 加への基本的な取り組みの方針について検討を行い,その考え方をとりまとめ ました。  さらに,平成15年7月には「調布まちづくり市民フォーラム」が公募市民 と一緒に設置した「市民参加のしくみづくりを話し合う会」から,市民の視点 で捉えた市民参加を進めるうえでの市民と市が取り組むべき事項についてさま ざまなご提言をいただきました。 これらをもとに,行政活動の計画から実施,評価に至るあらゆる場面で市民参 加を推進するために,市民参加の範囲や基準,手続等を定めた市の通則となる 「調布市市民参加プログラム」を策定いたしました。  今後,このプログラムの実践を積み重ねながら「みんながつくる・笑顔輝く まち調布」の実現を目指して参加・協働のまちづくりを進めてまいりますので よろしく御理解,御協力をお願いいたします。   平成16年11月 調布市長 長 友 貴 樹 - 目     次 -  1 市民参加プログラム策定にあたって・・・・・・・・・・・3     ○市民参加と協働の必要性・・・・・・・・・・・・・・・ 3   ○市民参加プログラムにおけることばの使い方・・・・・・ 3  2 市民参加プログラムの性格と目的・・・・・・・・・・・・4    3 市民参加プログラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 第1章 市民参加手続の実践による市民参加の推進・・・・・・・ 5 <参考>市民参加手続を実践していく場合の手順例・・・・・・・ 9 第2章 市民からの提案等による市民参加の推進・・・・・・・・11 第3章 市の行政活動における市民・市民活動団体・NPO等 との協働の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12    <参考>市民・市民活動団体・NPO等と市が協働で事業を実 施する場合の手順例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13 第4章 着実に推進していくために・・・・・・・・・・・・・・14        資 料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15   1 市民参加プログラムの策定にあたって (1)市民参加と協働の必要性   社会や生活様式の変化により,市民の価値観やニーズの多様化が進み,市が市  民の多岐にわたる要望に一律に応えていくことが難しい時代となっています。地  方分権一括法が施行されて,国や東京都からの事務や権限の移譲が進み,自治体  の自己決定範囲も広がってきました。これからは,個々の自治体が市民の意見を  活かした特色のある運営を図っていくことが求められています。   こうした時代の流れや自治への関心が高まる中で,市民の要望にきめこまかに応  えるためには,市が行う施策に対して積極的に市民の参加を求め,これまで以上に  市民の意見を市の計画や施策に反映していくことが必要です。また,市の施策等に  ついて,市だけでなく,市民・市民活動団体・NPO等のみんなで担っていくため,  協働の推進も重要となってきています。     (2)市民参加プログラムにおけることばの使い方    ア 市民    市内に住所を有する者,市内に勤務する者,市内の学校に通学する者,市内    に事務所または事業所を有する団体等とします。ただし,市民参加の対象とす    る施策の内容や採用する市民参加手続によっては,その施策に対して興味や関    心のある人を含む等,広い解釈をする場合もあります。       イ 市民参加     市のさまざまな行政活動(構想・計画段階から実施,評価に至るまで)に関    して,自らの権利と義務を自覚しながら意見や考えを述べること。施策によっ    ては,実際の行動を伴う場合もあります。       ウ 市民参加手続     市のさまざまな行政活動(構想・計画段階から実施,評価に至るまで)に関    して,市民の意見を伺い,その意見を施策に反映するために用いる多種多様な    市民参加の手法の総称。ただし,このプログラムでは5ページで定めてある対    象事業を実施しようとするときを対象とします。        エ 協働     市のさまざまな施策の実現に向けて,市民・市民活動団体・NPO等と市が    対等の立場に立ち,共通の目標に向かってそれぞれの役割と責任を自覚し,お    互いが協力しあって取り組むこと。     なお,意見が異なった時に,お互いの意見を尊重し合意形成に努めることが    協働を進めるうえで重要なことと考えます。 2 市民参加プログラムの性格と目的  調布市は,これまでもそれぞれの担当において個別に市民参加手続を実践し,市民 意見の収集と反映に努めてきました。しかし,市役所全体で基本とすべきルールや基 準のようなものがなく,市民参加に対する共通理解や認識に温度差がある中で施策を 実施してきています。  そこで,市民のみなさんと市の職員が共有する,調布市における市民参加の基本的 なルールとして市民参加プログラムを策定しました。  なお,この市民参加プログラムは,市民参加を推進するための第1歩として策定し たものですが,内容的にはすでに取り組み中のものも多くあります。それらも含めて 市民のみなさんと一緒に実践をしていくなかで,さまざまなご意見,ご提案等をいた だきながら,適宜改善を加えていくべきものと考えております。 3 市民参加プログラム  このプログラムは,市が主体となって取り組む活動に,市民のみなさんの知恵と力 を活かす“参加”と“協働”によるまちづくりを実践するうえでの約束事と取り組み 方を示しています。     なお,市民のみなさんや職員等の研修や実践的な活動マニュアルとしてプレゼンテ ーションソフト版「市民参加プログラム」を活用していただきたいと思います。 第1章 市民参加手続の実践による市民参加の推進  1 市民参加手続を実践すべき対象事業 (約束事1)   市が,次に掲げる行政活動を実施しようとするときは,その活動内容に最も適し  ていると思われる市民参加手続を実践していきます。   なお,下記の5つは,市として市民参加を取り入れなければならない施策・事業  としますが,この5つの項目の境界や程度を一律に定めることは困難なため,概ね  このような事業に該当すると思われるものについて,市民参加を実践することとし  ていきます。また,下記以外でも市民の関心が高いテーマや市民の暮らしに身近な  テーマなどに市民参加手続を実践していく場合があることは言うまでもありません。   (1) 市の基本計画等の基本的事項を定める計画等の策定または改定 (2) 市の基本的な条例の制定改廃に係わる案の策定 (3) 市民に義務を課し,または権利を制限する条例の制定改正に係わる案の策定 (4) 広く市民に適用され,市民生活に重大な影響を及ぼす制度の導入又は改廃 (5) 大規模な公共施設の設置に係わる基本計画等の策定及び運営に関する方針の    決定または変更 2 市民参加手続への参加時期 (約束事2)   市民の意見を行政活動に反映させるためには,概要が決定してからの参加ではな く,構想段階からの参加が大切な場合もあります。  しかしながら,施策や事業の性格により,一律にどの時点・時期において市民参 加を求めるのかを,あらかじめ具体的に定めておくことは困難であり,その内容に 応じた適切な時期に行っていきます。 3 市民参加手続による市民参加の機会の拡大 (約束事3) 市ではこれまでも委員会等を設置し,市民の意見を伺う機会を設けてきました。 しかし,このような会議は開催時間や回数の問題の他,委員の定数の関係もあり, 参加していただける市民にも限りがありました。 したがって,今後は,市民参加を求める場合に,多種多様な市民参加手続のうち から,できるだけ多くの市民が意見等を提案しやすい方法を選択していくことで, より広範な意見を施策に反映していきます。 また,特に専門性を必要としている施策や地域性を持つ施策については,その内 容に詳しい知識を有する市民や,直接その内容に影響を受けると考えられる市民と 一緒に,意見等をいただきながら実施をしていきます。  なお,下記の市民参加手続例のうち,委員会方式及び意見提出手続(パブリック コメント)については約束事を定め,実施をしていきます。 <主な市民参加手続例> ○委員会方式 ○市民会議方式(シンポジウム,公開討論会,意見交換会,説明会 など) ○公募・アイディア募集・公開コンペ ○アンケート方式 ○モニター方式 ○意見提出手続(パブリックコメント) ○ワークショップ方式 (1)委員会等について    ア.市民公募委員の拡大     委員会等の委員には,特別な事情がない限り,合理的な範囲内で公募による市民を委員    として積極的に採用していきます。     なお,公募及び選考基準については,市がその都度定めていきますが,その場合も選定    指針は明確にしておき,また,構成員の男女比には配慮するよう努めていきます。    イ.重複委員の縮小   市民参加の推進のためには,地域のさまざまな立場の市民がメンバーに加わり,多様な    立場からの意見をもとに審議等が行われることが重要であると考えています。     したがって,同じ人が複数の委員会等のメンバーとして重複することや,再任を避け    るなどの配慮をするため,毎年度,委員会等ごとに委員の名簿を作成し,全庁的な取りま    とめを行っていきます。      ウ.会議の公開     庁内の調査では,ほとんどの会議は原則,公開で実施しています。会議を公開するこ    とによって,行政活動への市民の関心や参加意欲が高まり,実際に市が抱えている問題    等について,一緒に考え,取り組んでいくことにつながります。    そのために,会議の開催日程,議題や会議録等を公表し,会議の透明性を高めていきま    す。     また,より多くの市民に会議等を傍聴してもらうために,十分な傍聴席を確保したり,    傍聴者に会議の資料等を配布したり,傍聴しやすい時間帯に会議を開催するなどの工夫を    しながら開催をしていきます。     ただし,審議の内容については,プライバシーの保護等の配慮から,会議の非公開や会    議録を公表しないなど,それぞれの会議によって一定のルール(運営方法)を定めていき    ます。 (2) 意見提出手続(パブリックコメント)について    多くの市民参加手続は,直接会議等に出向かなければなりませんが,意見提出手続(パ     ブリックコメント)は,期間中であればいつでも,どこでも,だれでも参加できる手法 です。仕事や家事等で多忙なため,これまで参加が困難だった方々にとっても,意見を 述べる機会が確保でき,このような市民参加手続が,これからの主流になっていくもの と考えております。 したがって,今後は,市が作成した施策の原案等について,趣旨・目的・背景・内容・ その他関連する資料・位置付け等を可能な限り広く公表し,これらに対する市民からの 意見を書面等により広く募集し,その提出された内容を考慮しながら最終的に決定をし ていきます。また,意見がどのように反映されたのか,また,反映されなかった場合に は,その理由等についても修正案とともに明らかにしていくことにより,施策の決定過 程が明らかになり,市民ニーズにあった施策が可能となっていきます。 4 情報の公表 (約束事4―1)  多くの市民に参加をしてもらうためには,前提として,情報の公開・情報の公表・ 情報の共有化が重要であり,「参加と協働のまちづくり」を推進するためには欠かせ ないことから,市民参加に必要な情報について,8ページの「5 市民参加の結果 の取扱い(2)」と同様な方法で積極的に公表をしていきます。  なお,個人情報などの情報公開条例で定める不開示情報が含まれるときは,その 部分については公表できない場合もあります。   (1) 市民参加手続を伴う事業等の実施予定及び実践状況の公表について      市民参加手続を伴う事業等の実施予定について,内容が決定次第,なるべく早い段階 (可能な限り年度当初)で市民に公表し,市民もその内容について事前に学習するなど, 検討の準備ができるよう,市民と市で情報の共有化を図っていきます。     また,市民参加手続の実践状況も公表することとし,公表することによって,市民参 加手続が適正に運営されているか否かなど,透明性を確保し,市民と市の信頼関係の向 上を図っていきます。 (2) 市民参加手続の実践のための公表事項について    市民参加手続には,5ページの「3 市民参加手続による市民参加の機会の拡大」 でも述べたように,施策等の内容により,いろいろな方法が考えられます。これらの 市民参加手続を行うときには,事前に必要事項を公表し,市民が学習・検討する時間 を確保しながら実施をしていきます。      <公表する事項> ○対象とする内容 ○対象としている施策等について,すでに原案がある場合はその内容 ○日時及び場所 ○市民参加手続に参加できる市民の範囲と具体的な方法 ○その他必要事項 5 市民参加の結果の取扱い (約束事4-2) 市民参加が形骸化する大きな要因は,「意見や提案をしても,反映されないので は・・・」といった,参加した市民からの不信感から生まれてきます。したがって, 市民参加をした結果は,迅速かつ的確に市民に広く周知し,理解を得るように情報 を提供していくことが重要であると考えています。   (1) 施策への反映方法     実施した市民参加の結果を,所管部署だけでなく全庁的に捉え,市全体の視点で検討 し,不可能と思われるような結果や意見についても,その意見を行政活動に反映できな いかどうかさまざまな角度で検討をしていくことが重要であると考えています。      また,反映できなかった意見については,反映できなかった理由を説明しています。   (2) 公表の方法    市では,市民参加を求めた際に提出された意見・提案をどのように施策に反映させる ことができたか,または,できなかったかなど,結果について市民に公表し,理解を求 めていきます。     ただし,結果の中に個人情報などの情報公開条例で定める不開示情報が含まれるとき は,その部分については公表できない場合があります。     なお,公表の方法については下記の中から効果的なものを選択していきます。 ○市の発行する広報誌 ○市の窓口(公共の施設を含む)での供覧または配付 ○印刷物,刊行物の配付 ○ホームページへの掲載 ○ケーブルテレビ・ラジオ等のメディアの活用 ○市内の掲示板への掲示 ○その他効果的と思われる方法  など <参考> 市民参加手続を実践していく場合の手順例 手順1 市民参加の対象事業を決定します まず,実施予定事業が市民参加手続を実践すべき対象事業であること を決定します。 手順2 参加場面を企画します   市民参加手続を実践する際に,まず全体の流れを企画します。 Step1 市民参加の目的と有効性について整理をします。   対象事業の特性を勘案しながら整理をします。また,どのような目的をも って市民参加を実施することが有効なのかを考慮しながら企画します。 Step2 参加場面を組み合わせます。   市民参加手続を1場面に取り入れただけでは,一部の声しか聞こえない場 合があります。したがって,多くの市民の意見や公平性を確保するためには, 段階ごとに複数の参加の場面をつくる必要があります。また,それに伴い, 複数の参加場面の関係図も一緒に考えていくことが重要です。 Step3 有効な方法を選択します。   参加場面により市民参加手続は異なるので,どの方法が良い・優れている のではなく,目的に応じた方法を選択していくことが重要です。 Step4 期待する成果と実施方法を決定します。   Step1からStep3で述べたとおり,1つの市民参加場面において も各参加段階からいくつかの場面へ,また,その場面からいくつかの手法へ と分かれます。その手法別に“期待する成果”“対象者と人数”“呼びかけ方 法”について決定をします。 Step5 スケジュールを立てます。   市民参加手続を実施するためには,確実に市民参加が実施できるよう十分 余裕をもったスケジュールを組むことが重要です。また,市民が実際に参加 をする場面では,柔軟性を持たせたスケジュールをもつことに心がけます。 Step6 市民に提供する情報を準備します。   市民へ適切な情報を提供していくことにより,適正な判断と有効的な意見 や知恵を施策に反映することができます。 手順3 実践します  スケジュールに沿って実践します。 手順4 結果をフィードバックします    詳細は,8ページの「5 市民参加の結果の取扱い」を参照してくだ さい。 第2章 市民からの提案等による市民参加の推進 1 日常的な市民意見の把握 (約束事5)   市の活動に対して,意見や提案等を持っていても,さまざまな理由で積極的に表 明しない市民,また,意見等を提案したいがどの部署に話したらいいのかわからな いなど,躊躇している市民も多数いるのではないかと思います。したがって,市民 参加手続を実践しただけでは,十分に市民の意見を把握するのが難しい場合もあり ます。 しかし,市の施策を推進していくためには,さまざまな市民各々の意見が必要で あり,埋もれがちな市民の意見を掘り起こし,施策に反映していくことが重要であ ると考えています。  したがって,市民参加手続の実践だけでなく,日常的に市民の意見の把握に努め, 市自らが積極的に市民とコミュニケーションを図っていきます。    <具体的な方法> ○市長へのはがき ○インターネットを利用したメール ○ふれあいトーキング ○担当窓口(相談窓口含む)へ来庁または電話 ○市民フォーラム・地区協議会等からの提案   他 2 市民が自発的に提出した意見の取扱いについて (約束事6) 市では,毎日さまざまな部署にさまざまな意見等が寄せられています。これらは, まちの将来像として掲げてある「みんながつくる・笑顔輝くまち調布」を実現する ための貴重な意見と考えています。また,市民も提案した内容が市の施策に活かさ れることを望んでいるものと思います。  したがって,市民参加手続以外の市民から自発的に提出された意見等についても, 市民参加手続で提出された意見と同様に,効果的に収集し,積み上げられた意見の 内容の検討とあわせ,意見に対する対応・経過・結果や処理について記録し,市民 に公表をしていきます。また,将来的には,積み上げられた意見をデータベース化 し,市民がいつでも閲覧できるようなシステムを検討していきます。    <具体的な公表方法> ○提案された市民に直接状況を報告 ○市の発行する広報誌 ○ホームページへの掲載  他 第3章 市の行政活動における市民・市民活動団体・NPO等との協働の推進   1 協働での取り組みの必要性  協働による取り組みは以下に示す効果が期待され,行政活動の今後の在り方を加 味すると,協働での取り組みを進めていく必要があります。 効果1 市民の多様なニーズへの対応  市民の多様なニーズへの対応は,市のもつノウハウや人員等の資源だ けでは対応できない状況にあります。したがって,市の施策について市 とは異なるノウハウや情報,経験・人材,機動力等をもっている市民・ 市民活動団体・NPO等と協働しながら事業を推進していくことにより, さまざまなニーズに応えていくことができます。 効果2 市の体質改善   高度化・高質化したサービスの提供が求められている中,市民・市民 活動団体・NPO等と協働することにより,市と異なる仕事の進め方や 考え方等,違った視点からみることができ,職員の意識や事業のあり方 などを変えていく機会を得ることができます。  2 協働パートナーへの支援 (約束事7) (1) 育成の支援 協働パートナーとしての知識や活動力を高めるとともに,組織としての体制 を整えるなど,協働パートナーとして活躍できる基盤づくりの支援を行ってい きます。 <支援策> ○講師・スタッフ等の紹介 ○行政情報の提供 ○活動の場の提供 ○NPO法人等の設立に関する相談 (2) 実践活動を促す支援 協働パートナーとして,より一層活躍できる舞台を築くほか,より自立した 活動が可能になるような支援を行っていきます。   <支援策> ○団体間のコーディネート ○ボランティア団体等のデータベースの作成・公表 ○専用ホームページを活用した情報交換ならびに広報機関誌の作成 (3) 協働事業の企画提案の機会づくりの支援   協働パートナーの主体性や自主性を尊重しながら,協働事業の範囲を広げるために活 動しやすい環境づくりを進めていきます。    また,協働に関する研修・講座等を開催し,職員の協働に関する理解を深めることに より,市からの企画・提案だけではなく,さまざまな場面に応じた市民・市民活動団体・ NPO等から市への企画・提案ができる機会を提供していきます。   <参考> 市民・市民活動団体・NPO等と市が協働で事業を実施する場合 の手順例 手順1 協働にふさわしい事業を提案します   市民・市民活動団体・NPO等の特性が活かせ,市のみで取り組むと 非効率になる可能性の高い活動・事業や市が持っていないノウハウや活 動力などが必要とされる事業については,協働で実施していくことが適 しています。   また,市民・市民活動団体・NPO等からの企画・提案があった活動 や事業についても,協働の事業としてふさわしいか検討します。 手順2 効率的・効果的な協働形態を提案します   実施する事業に応じて協働の形態を選択し提案します。なお,協働の 形態には,6つ(共催,実行委員会,事業協力,指定管理者,業務委託, 情報提供・情報交換)に大別されます。 手順3 最適な協働相手を選定します   市民,市民活動団体,NPO等の活動内容・実績・安定性・財政状況 等により,適切な協働相手を選定し,事業を実施します。 手順4 事業を実施します   手順5 協働事業実施後の評価をします    協働の形態や協働相手は適切だったか,市民・市民活動団体・NPO等 の特性を活かせたかなど,事業実施後には評価を行います。また,評価結 果に基づいて,協働事業や協働相手の見直しを行います。  第4章 着実に推進していくために (1)プログラムは,市民参加推進室が事務局となり,市役所各担当課等の実践状 況を定期的に把握し,本プログラムを検討した庁内組織「調布市市民参加推進 連絡会」において必要な措置を講ずることとします。 (2)職員間の共通な理解と意識のもとに推進するため,定期的に実施状況を確認    する方法を検討する必要があり,行政評価との連動やチェックシートを作成す るなどの検討を進めていきます。 (3) 実施する担当課によって,異なる認識や実施方法では市民に混乱を招きます。 全ての職員が共通の理解のもと,着実に推進するためには,本プログラムより も詳細な手順や決まりごと等を明記したマニュアルを作成していきます。さら に,この内容を職員に定着させるための研修等も実施していきます。 (4)市報やホームページなどの情報媒体を活用し,実践状況に関する情報を提供 するとともに,さまざまなご意見等をいただきながら,改善に努めていきます。 資  料 1 市民参加推進連絡会の検討経過 2 市民参加推進連絡会委員・幹事名簿 3 調布市市民参加推進連絡会要綱 4 市民参加プログラム策定に関する提言 (市民参加のしくみづくりを話し合う会) 1 市民参加推進連絡会の検討経過 平成15年度 市民参加推進連絡会の検討経過 日 時 会 議 名 内    容 平成15年 9/25(水) 午後3時 ~4時30分 第1回市民参加推進連 絡会・幹事会合同会議 ○「市民参加のしくみづくりを話し合う会」からの 提言内容の確認 ○今後の作業スケジュールの確認 10/23(木) 午後3時 ~4時30分 第2回 幹事会 ○「市民参加プログラム」の体裁,内容についての 検討 11/7(金) 午後7時 ~9時 幹事会・「市民参加のし くみづくりを話し合う 会」意見交換会 ○「市民参加プログラム」に対する共通認識の確認 11/20(木) 午後3時 ~4時30分 第3回 幹事会 ○「市民参加のしくみづくりを話し合う会」との意 見交換会での確認事項についての検討 ○「市民参加プログラム」の計画期間と見直し時 期について ○「市民参加プログラム」に登載する「項目」 の検討 12/24(水) 午後3時 ~4時30分 第4回 幹事会 ○「市民参加プログラム」(素案)づくり ・内容の構成について ・文章の書き方について 平成16年 1/22(木) 午後3時 ~4時30分 第5回 幹事会 ○「市民参加プログラム」(素案)づくり ・第一次プログラム登載項目の検討 2/26(木) 午後3時 ~4時30分 第6回 幹事会 ○「市民参加プログラム」(素案)づくり ・素案内容の再検討 3/29(月) 午後7時 ~9時30分 幹事会・「市民参加のし くみづくりを話し合う 会」意見交換会 ○「市民参加プログラム」の内容の再検討及び意見 交換 平成16年度 市民参加推進連絡会の検討経過 日 時 会 議 名 内    容 6/24(木) 午後3時 ~5時 第7回 幹事会 ○「市民参加プログラム」(素案)づくり ・これまでの経過 ・市民参加プログラムの定義と形式について 7/30(金) 午後3時 ~4時 第8回 幹事会 ○「市民参加プログラム」(素案)づくり ・市民参加プログラムの性格と内容について 9/30(木) 午後3時 ~4時30分 第9回 幹事会 ○「市民参加プログラム」(素案)の決定   10/18(月) 午後7時 ~午後9時 幹事会・「市民参加のし くみづくりを話し合う 会」意見交換会 ○「市民参加プログラム」(案)の内容についての報 告及び意見交換会 10/25(月) 午前9時30分 ~午前11時 第2回市民参加推進連 絡会・幹事会合同会議 ○「市民参加プログラム」(案)の決定 2 市民参加推進連絡会委員・幹事名簿 調布市市民参加推進連絡会委員並びに幹事名簿 連絡会委員  会 長  生活文化部長        五嶋幸弘(平成16年3月31日まで)  会 長  生活文化部長        小林一三(平成16年4月1日から) 委 員  政策室次長         大和田正治  委 員  総務部次長         大浦幸男  委 員  財務部次長         辻本 務(平成16年3月31日まで)  委 員  財務部次長         長岡博之(平成16年4月1日から) 委 員  生活文化部次長       小林一三(平成16年3月31日まで)  委 員  生活文化部次長       風間政二(平成16年4月1日から) 委 員  子ども生活部次長      今村孝則  委 員  福祉部次長         藤本和成  委 員  環境部次長         砂田 正  委 員  都市整備部次長       井上 稔  委 員  教育部次長         牧野信雄(平成16年3月31日まで)  委 員  教育部次長         山岡稔和(平成16年4月1日から) 連絡会幹事  幹事長  生活文化部次長       小林一三(平成16年3月31日まで)  幹事長  生活文化部次長       風間政二(平成16年4月1日から) 幹 事  政策室政策調整担当主査   丸田繁樹(平成16年3月31日まで)  幹 事  政策室政策調整担当主査   平尾幸裕(平成16年4月1日から) 幹 事  政策室広報担当副参事    塚越博道  幹 事  総務部情報管理課長補佐   土方和巳  幹 事  財務部次長         長岡博之(平成16年3月31日まで)  幹 事  財務部財政課長       山本嘉秋(平成16年4月1日から)  幹 事  福祉部生活福祉課副主幹   広田茂雄  幹 事  福祉部健康課主幹      古坊吉美 幹 事  環境部環境保全課長     小豆畑耕一  幹 事  財務部資産税課主査     熊崎 裕  幹 事  教育部指導室指導係長    仁藤美保 幹 事  社会福祉法人         調布市社会福祉事業団すこやか施設長 花山美奈子 3 調布市市民参加推進連絡会要綱 調布市市民参加推進連絡会要綱 平成13年3月30日 要綱第31号 第1 設置 市民のまちづくり活動への支援や,市民と行政が協働して行うまちづくり施策を 総合的に検討協議し,本市の市民参画の仕組みづくりを構築することを目的として 調布市市民参加推進連絡会(以下「連絡会」という。)を置く。 第2 定義 この要綱において,まちづくりとは,市民の自主的な文化,環境,福祉等の活動 で,市と協働して行う施策をいう。 第3 所掌事項 連絡会は次の各号に掲げる事項について検討協議する。 (1) 本市のまちづくり活動に関する施策の報告,調整及び提言に関すること。 (2) 調布まちづくり市民フォーラム,地区協議会及び市民活動団体等に関すること。 (3) 市民参画の仕組みづくりに関すること。 (4) その他市民参加のまちづくりについて市長が必要と認める事項に関すること。 第4 構成 連絡会は,会長,副会長及び委員をもって構成する。 2 会長は,生活文化部長をもって充てる。 3 副会長は,委員の中から会長が指名する。 4 委員は,各部の次長をもって充てる。 第5 任期 委員の任期は,市長が任命した日から第1の目的を達成した日までとする。 第6 職務 会長は,連絡会を代表し,会務を総理する。 2 副会長は,会長を補佐し,会長に事故あるときは,その職務を代理する。 3 委員は,会長の命を受け第3に掲げる所掌事項について必要がある場合は,各部 課で検討協議を行う。 第7 招集 連絡会は,必要に応じて会長が招集し,主宰する。 2 会長は,会議の運営上必要があると認めるときは,関係職員の出席を求めること ができる。 第8 市民参加推進連絡会幹事会 連絡会に,市民参加推進連絡会幹事会(以下「幹事会」という。)を置く。 2 幹事会は,連絡会で協議する事項について調査・研究を行う。 3 幹事会は,別に定める幹事10人以内をもって構成する。 4 幹事会に幹事長を置く。 5 幹事長は,生活文化部次長をもって充てる。 6 幹事会は,幹事長が招集する。 7 幹事長は,必要があると認めたときは,幹事会に会長の承認を得て関係職員の出 席を求めることができる。 第9 事務局 連絡会の事務局は,市民参加推進室において行う。 第10 雑則 この要綱に定めるもののほか必要な事項は,別に定める。 附 則 1 この要綱は,平成13年4月1日から施行する。 2 調布市地区協議会活動推進連絡会要綱(平成10年調布市要綱第3号)は,廃止 する。 4 市民参加プログラム策定に関する提言(市民参加のしくみづくりを話し合う会) 市民参加プログラム策定に関する提言          平成15年7月27日 市民参加のしくみづくりを話し合う会 ○ 市民参加プログラムの基本的な考え方 「市民参加のしくみづくりを話し合う会」では、これまで21回にわたって市民参 加のしくみのあり方について議論を重ね、さまざまな問題点を抽出し、解決策の案に ついて模索してきました。以下の提言は、ここまで積み重ねられてきた議論に基づい て、現時点までに集約された調布市の市民参加における問題点と解決に向けての方向 性を示したものです。これは、市政に市民が実質的に参画しているという状況を創り 出し、それを維持・発展させていくためのしくみを確立するため、市民と行政が協働 しながら段階的に実現していくべき具体的方策と考えています。なお、提言は、7つ の部分から構成されていますが、各部分がお互いに関連しあっているために重複する ところは少なくはありません。何度も繰り返し述べられている部分は、おそらく、会 において本当に繰り返しの議論になった部分であり、市民がまさに現状での問題であ ると考えている部分であると言えます。 この提案は、行政に対して「あれが欲しい」「こうして欲しい」ということをいう ような単なる要望・要請ではありません。「市民参加のしくみづくりを話し合う会」 で長く行ってきた議論に基づいて、将来の「市民参加のしくみ」を見据えながら建設 的な提案をさせていただきました。よりよい市民参加のしくみをつくり、調布市を住 みよい町にしていきたいという想いは、行政活動に携わる職員の方々も、市民活動に 携わる市民も同じだと思います。この提案を単に「できるか・できないか」という観 点でとらえていただくのではなくて、この提案について行政と市民が対話しながら実 現させていきたいと思います。 ○ 提言の骨子 (1) 「市民参加のしくみ」における情報の共有 →計画策定段階・意思決定過程についての情報を開示する →市民の苦情・意見や提案等を集積するシステムを構築する (2) パートナーとしての能力向上 →施策分野ごとに日常的なコミュニケーションの場をつくる →市民と行政をつなぐリーダーを積極的に発掘していく →市民参加の時代に合わせて職員の勤務条件を変更する (3) 市民がすべての段階で参画できるしくみの確立 →構想段階・計画策定段階で市民を事業に巻き込む →実施段階での市民の自己決定を重視する →評価結果を公開する (4) 市民の提案を施策に反映するしくみの確立 →市民による、市民のためのサポート組織を設立する →市民のニーズをまず市民の中で調整する →行政内部に情報の一元化・集約する組織を設立する →市民提案に対するフィードバックを行う (5) 市民を中心とした市民参加のしくみ全体の評価・改善 →市民による評価を積極的に行う →市民参加のしくみ全体を評価する専門委員会を設立する (6) 行政の役割 →市民のサポーターという位置付けへ →行政の役割・責任、何が可能で何ができないかを明らかにする (7) 市民の役割 →行政に任せきりではなく自己研鑽を行う →市民団体が提言機能を拡充させていく ○ 提言 (1)「市民参加のしくみ」における情報の共有 市民が主役となるまちづくりを実現するためには、その基礎として行政と市民の情報の 共有化を図ることが不可欠です。しかしながら、調布市においては、行政と市民の間で必 ずしも必要な情報がやりとりされていないのが実情です。参加の基礎を築き、行政と市民 の間での厚い信頼関係を結ぶためにも情報の共有に努めることが必要です。 市民への市政情報の提供 市民参加を進めるに当たって、情報の共有は欠かせないものです。これまで、 行政は市報やその他さまざまな情報伝達の媒体を通じて情報の提供に努めてきた 実績はありますが、施策の決定や事業計画の策定にあたって、市民に対して常に 的確な情報が迅速に提供されてきたとはいえません。 また、市民から行政のさまざまな窓口に個々に寄せられてきた苦情・意見や提 案が全庁的に集積されておらず、それが行政課題であるか否かの判断や、寄せら れた意見がどのように市政に反映されていく経過が市民に公表されていないのが 実情です。 施策の決定や事業計画の策定にあたっては、実施する目的と理由、市民生活に おける効果、計画から決定までの意思決定の過程などの情報を市民に広く提供し、 市民と共有することが望まれます。これらの情報は、決まってからの情報ではな く、行政が何をしようとしているのか、何を問題だと考えているのか、を早い段 階から公表し、市民と一緒に考える機会を作ることが必要です。 市民が持つ情報の共有 市民が行政に伝えたい苦情・意見や提案があっても、どこに伝えればよいのか 分からないとか、行政に訴えてもなかなかとりあげてもらえないということで、 初めから敬遠したり諦めたりしている市民は少なからずいるものと思います。こ の、市民の苦情・意見や提案は、行政が適切に市民ニーズを理解して行政運営を 行うために重要な情報となるものの、現在のしくみでは、個別の市民が持つ情報 を行政・市民の間で広く共有し、市政に活かすことは難しいと思います。 情報の共有は、必ずしも行政が市民に情報を提供することによるものだけでは ありません。行政が市民の意見の把握に努め、もともと市民が持っていた情報を 共有化することで、市民ニーズをとらえたよりよい行政運営に繋げることができ ると思います。 市民意見の集積 せっかく市民が苦情・意見や提案を伝えても、それを集積するしくみがなけれ ばその意味はなくなります。さまざまな窓口に寄せられた市民の意見等を庁内全 体で一元的に集積するしくみがまだ調布市にはありません。どの部門にどのよう な意見がどれだけ寄せられ、どのように処理されたか、という経過や結果が、全 庁的に把握されていないのではと感じています。 集積された情報を分類・分析することにより、市民が何を求めているかを把握 し、市の行政課題を抽出すると共に、その意見を検討して明日の市政に活かすた めのしくみづくりが必要です。 市政情報処理システムの構築 情報を提供し、共有する手段として、市報・ホームページ・調布ケーブルテレ ビ・調布FMなどいろいろな媒体が考えられますが、今後はその一手段として市 に対する市民の苦情・意見や提案を庁内全体として集積し、検討し、施策に反映 していく市政情報処理システムの構築が必要です。そのためには庁内に日々寄せ られる情報を蓄積し、その苦情・意見や提案への対応や処理について記録してい くことが大切です。そして、その情報はデータベース化することにより、誰でも、 いつでも、容易に入手できるものでなくてはなりません。 具体的には、市民の日常の苦情・意見や提案に対応した担当職員がその場で庁 内のコンピューターに入力を行い、情報をコンピューターに蓄積します。その情 報は同時に「総合調整室(仮称)」に集約され、そこから実施部門に振り分けら れます。行政内部での施策の提案等も同様に担当から「総合調整室」に集約され、 同じように実施部門に振り分けられます。(→この部分については同時に(4)も ご参照ください) 従来、市民の苦情・意見や提案は関連した実施部門のみの外部に閉じた場所で 処理されていたため、その処理の経過が外部からは見え難く、正当に扱われてい ない場合でも異議を申し立てる先が無いのが実情でした。このような実情に対処 するためには、行政組織の中に「総合調整室」のような情報を集約する機関を新 設または再編成して、市民の苦情・意見や提案が、計画から実施に至るまで実施 部門でどのように処理されたかを全庁的に統括・管理し、内容を評価することが 必要です。そして、その情報を行政内部で閉じるのではなく、一般市民が行政職 員と同じように、計画から実施・評価に係わる経過を容易に知ることができるし くみを作ることが重要です。 実際にこのような情報管理システムを構築するに当たっては、どのような内容 をどのように蓄積するか、あるいはどのようなシステムが使いやすいのか、情報 をどのように分類するか、ということが具体的な問題となります。行政は、市民 との情報の共有化を適切に図るために、システムの設計の段階から市民と連携し て取り組んでいく必要があると思います。 (2) パートナーとしての能力向上 市民参加によるまちづくりを進めるためには、市民と行政のパートナーシップが必 要となります。その前提として、行政職員は市民参加に対する幅広い知識や深い理解 が必要となり、市民参加手法にも習熟する必要があります。また、市民も同様にパー トナーとしての基本的な力量やマナーを備える必要があります。 調布市には、さまざまな知識・技術・能力を持った市民が多数住まわれているもの と思います。しかし、現実にはそのような市民の力が市政に十分発揮されているとは いえません。このような人々に市政の主人公は市民であるという自覚を促し、市民が その持てる能力を十分に発揮することができるように、行政・市民双方での環境整備 が重要です。 行政と市民のコミュニケーションの場 現在、行政と市民が日常的にコミュニケーションをする場は「市長と語る・ふ れあいトーキング」などがありますが、現場の行政職員と行政サービスの利用者 である市民が、継続して意見交換・議論をする場はほとんどないと思います。ま た、そのような場があったとしても、行政職員と市民の個人的なネットワークに 基づくものが多く、外部に対しては閉鎖的な性格を持つことは否めません。そこ で、施策分野ごとに、日常的に行政と市民が意見交換・議論できるオープンな場 を設置することが必要だと思います。 具体的には、事業の計画段階や評価における対話ということになりますが、そ の際に行政職員は、単に「市民の意見を伺う」という姿勢をとるのではなく、市 民とじっくりと問題点を議論し、対策を一緒に考えていく必要があります。議論 の場に参加する市民にとっても、せっかくの議論が活かされなければ、その後の さらなる参加に向けてのモチベーションの維持は難しいと思います。行政・市民 がお互いに率直に対話する機会を持ち、信頼関係を積み上げていくことが、市民 参加によるまちづくりの第一歩となります。 リーダーの発掘 市民参加を円滑に進めていくためには、行政や対象となる分野についてある程 度の専門知識を持ち、集まってきた市民の意見を調整することができるリーダー の存在が必要となります。最終的にはリーダーが意見を集約しない限り、市民参 加とはいうものの市民が各個人でバラバラに意見を述べ合うだけに終わってしま うおそれがあります。今後、市民参加が重要性を増す中で、市民の中でリーダー 的役割を担える人を発掘し、育てることが重要となります。そのために、まずは 希望者を募ったうえで会議の運営(ファシリテイト)や行政についての専門知識 を得るための研修を行っていくことが考えられます。また、市民リーダーの養成 に当たっては、行政のイニシアティブだけではなく、市民団体の役割も重要とな るはずです。 リーダー的資質は、市民の側だけに必要なわけではありません。行政職員にも 同等の、あるいはより以上の資質が求められます。行政職員も、市民からの苦情・ 意見や提案にどのように対応するか、あるいはそれを行政運営にどのように活か すことができるか、というノウハウを蓄積させていかなくてはなりません。また、 市民参加の場面においては、参加者を納得させつつ実行可能な形で議論をまとめ ていくことが要請されます。このような資質は、単に決まったプロセスを踏めば 獲得できる、というものではありませんが、行政内部での研修や、市民との実際 的なやりとりの経験が重要となるのは間違いないと思います。 職員の勤務条件 市民参加を進めていくうえで、現行の勤務体制のままでは、職員にとって「市 民参加」が大きな負担となりかねない場合があります。特に、一般市民が参加可 能な時間と行政職員の勤務時間が合わないことは大きな問題です。仕事をしてい る市民にとって、現実的に市民参加が可能な時間は、ほぼ平日の夜間や土日とい った行政職員の勤務時間外になりがちです。この時間に勤務することは職員にと って超過勤務を強いることにならざるを得ないため、現状に見合った形での勤務 体制を確立することが必要となります。 また、市民参加を考える際には、職員の評価基準についても改善の余地がある と思います。市民参加を進めるためには、市民参加に対して積極的な姿勢を持つ 職員を高く評価することで、職員のやる気を生み出すことができるのではないで しょうか。現状のように、市民参加が時間外勤務を必要としている状況では、職 員としても負担が大きくなり、その勤務の部分が正当に評価されない限り、十分 な力を注ぎこむことが難しいと思います。市民参加への姿勢を評価することで、 この問題はある程度克服できると考えます。 (3) 市民がすべての段階で参画できるしくみの確立 事業を行うに当たっては、計画の構想段階から市民参加を行って、事業の進行管理 から評価まで一貫して参加できるしくみが必要となります。計画が策定されて変更が きかない状態となって初めて市民に公表するのでは、たとえパブリック・コメント (※)を求めたとしてもそこから事業の見直しがなされることは難しく、行政に対す る市民の不信感を生むことにつながりかねません。 市民が全ての段階で参画できるしくみを確立することで、行政に対する市民からの 信頼を生み出し、より良い市民-行政の関係を築くことが可能になると思います。 (※)パブリック・コメントとは、行政機関が政策の立案等を行おうとする際にそ の案を公表し、この案に対して広く国民・事業者等が意見や情報を提出する機会を 設け、行政機関は、提出された意見等を考慮して最終的な意思決定を行うというも のです。 構想段階への参加 施策の決定、事業計画の策定に当たっては、市民のニーズを把握することが最 も重要になりますが、現在のしくみでは、誰が市民ニーズを判断し、どのような かたちで取り入れられているのかは必ずしも明らかではありません。今後、市民 参加を進めるにあたっては、行政に寄せられた市民ニーズを整理して公開し、関 心のある人や団体を巻き込んでいかなくてはなりません。 そのためにはまず、(1)であげた情報の共有化を進めて市民が苦情・意見や提 案を伝えるための前提を築く必要があります。さらに、市民の提案を施策に反映 するしくみを確立(→(4))するほか、日々の市民意見の整理方法を明確にする ことや、各種委員会の市民公募枠を拡大して直接的に市民の意見を取り入れるこ とも重要です。 中間段階・計画策定の際の参加 ここで言う中間段階・計画策定の際の参加は、これまでの市民参加の中でもっとも疎 かになってきた部分であると思います。多くの市民がほとんど何も知らされていない状 態で計画策定が進み、計画を変更するのが難しいところで発表されて反対運動が起こる、 という構図は調布市のみならずさまざまな自治体で繰り返され、行政と市民の相互不信 を招く原因となっていました。 今後進められていく市民参加では、このような相互不信を繰り返さないために も、インターネットなどを通じて計画作りの中間段階で繰り返し市民への周知・ 公表を行い、計画の具体的な内容について市民と行政がやり取りする場を設ける 必要があります。また、計画について市民の意見を募集する制度としてパブリッ ク・コメントがありますが、これについても計画の変更が難しい状態になってか ら募集してもほとんど意味はないものであるために、計画の中間段階での募集を 積極的に行うべきだと考えます。 実施段階・運営への参加 事業の具体的な実施については、これまで行政が主に執り行ってきましたが、 現在の地方分権の流れを考えると、今後市民を中心とした実施体制というものが 真剣に検討されるべきだと思います。全国的にいわゆる「公設民営型」の施設は 増えており、特に施設管理などの分野で、運営に当たってある程度の権限が利用 者である市民に委譲されることは珍しくありません。 市民が実施段階に関わる中で、自分たちの希望を実現していくために、行政に どのくらい資源があるのか、そして市民がどれだけ負担しなくてはいけないのか ということをお互いに話し合い、理解しあっていかなくてはなりません。市民が 自主性を持ちながら行政と協働していくためには、行政が自分たちにできるこ と・できないことを市民にきちんと説明する一方で、市民の側も自分たちの責任 を意識し、責任を果たせない場合には役割分担の再検討を行うことが必要となり ます。 評価段階への参加 評価の重要性は近年つとに指摘されていますが、実際に市民が評価に関わる事例はま だまだ少ないのが現状であるといえます。経済の不振、財政状況の悪化が続く中で、よ り必要な事業を効率的に行うために、事業の評価に積極的に市民の声を取り入れ、その 後の事業に活かしていかなければなりません。そのためには、まず、評価に市民がかか わることができる状況を創り出すことが重要となります。そのために、実施事業につい て市民へのアンケートを行い、その公表をすることは、市民が評価にかかわる第一歩と 言えるのではないでしょうか。さらに、いくつかの重要な事業においては公募された市 民が定期的に評価・モニターをするしくみをつくることでも、市民は評価に携わること が出来ます。このような方法をとるときに、重要なのは評価結果を公表することである と考えます。評価の内容が悪い場合、公表に踏み切るのには勇気が要りますが、悪いと 評価された部分はその時点の評価として受け止めて、事業の見直しを図ることが必要で す。 また、市民も、評価のしくみを行政だけに任せるだけでは十分ではありません。個別 の市民が事業評価を行うことは難しいと思いますが、市民団体レベルで自分たちの得意 な分野について行政の実施事業を評価することは可能です。その際は、単なるないもの ねだりや、十分な吟味をせずに「これはだめ、あれもだめ」と批判するのではなくて、 行政の資源にも限りがあることを理解したうえで建設的な評価を試みることが重要です。 もちろん、市民団体が行う評価が、そのプロセス・結果についても公表されることが望 ましいのは言うまでもありません。 (4)市民の提案を施策に反映するしくみの確立 これまでも市民からの提案がさまざまなかたちでなされていますが、その中には施 策として実現したものもあれば、立ち消えになったものもたくさんあります。事案の 中には検討の対象になったのかどうかも不明なものもないとは言えません。 これは行政の意思決定の過程がわかりにくいことも起因しております。今後は、市 民からの苦情・意見や提案等を一元的に取り扱うことも視野にいれながら、行政の意 思決定過程の中に位置付けていく必要があります。それによって市民の提案というか たちでの参加を制度的に保障できると考えます。 市民による「市民相談窓口(仮称)」の設立 行政に対して苦情・意見や提案がある市民であっても、それをどこにどのよう に伝えればよいのかということはなかなかわかりません。また、市民から出され る苦情・意見や提案は、行政から見るとどのように分類・対応するべきなのかが わからず、対応に苦慮するということも少なからずあります。市民からの苦情・ 意見や提案を行政に適切に伝えるためには、この両者の橋渡しを行い、特に市民 が苦情・意見や提案をしたいときのサポートを十分に行うことができる資源と能 力を持った「市民相談窓口」の設立が必要になると考えられます。 ここで提案されている「市民相談窓口」は、市の組織の外にあって、市民が主 体となって運営するものを想定しています。この「市民相談窓口」で、市民から 出された苦情・意見や提案をより洗練されたものにして行政に提案を行うことで、 市民のニーズをまず市民の中で調整することができることになります。「市民相 談窓口」が市民のニーズを吸い上げ、独自の提案を行うためには、ボランティア のような無償の奉仕のみに頼るのではなく、専門性を持った専従の(市の人事ロ ーテーションに入らない)スタッフを揃え、一定の責任を付与することが重要で あると思います。 情報の一元化・集約のための組織 現在、市民から出された苦情・意見や提案は、市の各担当部門で受け付けたも のも市民相談窓口で受け付けたものも、一元化・集約されることなく担当部門に 振り分けられ、苦情・意見や提案を蓄積し、包括的に検討することが図られては いないのが実情であると言えます。 そこで、市民の声をより効果的に収集し、蓄積していくためには、情報を一元 化・集約するための「総合調整室(仮称)」<以下(仮称)省略>を創設するこ とが必要であると考えます。必ずしも新しい組織を作る必要はありませんが、こ れまでの組織を再編・統合するとしても、市民に対して確実に責任を持ちうる組 織としなくてはなりません。 ここでは、苦情・意見や提案等の情報を一元的に集約・蓄積・保存・管理し、 担当部門(プロジェクト・チームを含む)への振り分けまでを行います。集約さ れた情報はデータベースとして管理され、関心ある市民の自由な閲覧に供されな くてはならないと考えます。市民の使い勝手のよさを考えるのであれば、同じデ ータベースに、市民からの情報だけではなく、行政内部の計画策定が現在どのよ うな状況にあるのかという計画の中間段階での情報を置き、行政が計画中の事業 全体に関するデータベースという位置付けを与えるのが望ましいと思います。 市民へのフィードバック ここで提案されている「総合調整室」は、市民から出された苦情・意見や提案 を担当部門に振り分けた後、担当部門での検討状況をフォローアップするととも に、事業の進捗管理を行う必要があります。それは、「総合調整室」が、市民か らの受けた苦情・意見や提案について、元の市民にフィードバックを行わなくて はならないからです。 これまでは、市民が出した苦情・意見や提案について、市庁内部でどのように取り扱わ れ、最終的にどう処理されたのかは明らかにされなかったのがいわば常態であったとい えます。これからは、市民本位の市政を行う観点から、苦情・意見や提案の検討結果は、 一定期限内に必ず、出した市民本人へフィードバックすることが望まれます。そして、 「総合調整室」は市民と担当部門の仲介的な役割を果たすべき組織であると考えます。 ここであげられているような任務を遂行するためには権限が必要となります。 「総合調整室」が権限を持たず、担当部門から十分な情報を得ることができない 限り、市民との橋渡しをしようとしても、現実には市民からの信頼がなかなか得 られないという事態が起きかねません。 なお、この組織が、情報の管理、プライバシーの保護には万全の注意を払わな ければならないことは言うまでもありません。 (5) 市民を中心とした市民参加のしくみ全体の評価・改善  当然のことですが、いくら素晴らしいしくみを創っても、それが実際に機能しなけ れば意味がありません。今回提案した市民参加を促進するさまざまなしくみを、「画 に描いた餅」にしないためには、しくみ全体が効率的に機能しているかを市民の視点 から継続的に評価する必要があります。 市民による「総合調整室」の仕事への評価・改善 「総合調整室」が市民からの苦情・意見や提案をきちんと取り扱い処理してい るかどうかは、既に述べた「市民の提案を施策に反映するしくみ」の生命線であ り、この部分が市民に信頼されない限り、いくら市民参加のしくみをつくっても うまく機能しないと思います。信頼を確保し、しくみをうまく回すためには、市 民自身がこのしくみを点検し、評価することが必要となります。そのために、定 期的に市民が「総合調整室」の仕事を評価・モニターすることは重要です。 また、「総合調整室」の仕事を評価・モニターすることで、各担当部門がどの 程度市民参加を重視しているのかを明らかにすることができます。担当部門を個 別に評価することは市民にとって大きな負担となりますが、各担当部門を評価す る「総合調整室」を見ることで、市民としてもより効率的に市民の苦情・意見や 提案がどのように取り扱われているかを確認することができます。 市民参加のしくみ全体を評価・改善する専門委員会 市民参加の現状を継続的に評価するためには、評価の専門委員会の設置が有効である と考えます。どんなしくみでも、作ったその日から古くなります。しくみを取り巻く時 代環境や人々の意識や価値観は絶えず変化しています。そのような変化に対応するため に、ここで提案されている専門委員会は、上述の「総合調整室」を中心にしくみのどこ に不具合があるのかを調べ、改善案を提言し、しくみの進化をはかる機能を担います。 調布市は基本構想で「みんながつくる・笑顔輝くまち調布」を掲げ、市民参加を前提と した協働を市の基本姿勢としていますので、専門委員会による改善案は市長に提言され ることが望ましいでしょう。 専門委員会は半数以上を市民公募とし、会議・議事録は原則公開とします。そして、改 善を求めたことに対しては、改善が実際になされるまでフォローアップをすることが求 められます。 (6)行政の役割 市民参加が進んでいくことによって、行政の役割が相対的に軽くなるわけではあり ません。市民と行政が協働していく時代においては、行政は全市的な視野にたって調 整を行い、市民をサポートしていく役割が重要になります。もっとも、行政サービス の供給者・提供者から支援者・補助者へ、という役割の転換については、1980年代 ころから理念としては市民活動の支援・補助が謳われていたものであり、現在は、そ れをいかに実現するかが問題になっていると思います。 活動支援制度の充実 まず、市民が活動をしやすい環境作りを進めることが必要です。ある日市民が問題意識 をもったとしても、何をどこからはじめてよいか分からない、という状況は珍しくないと 思います。市民活動の「初心者」である人々は行政から見ると勉強不足で無理なことを考 えているように見えるかもしれませんが、現実には誰もが「初心者」から始まるわけです。 新たに活動をはじめる個人・グループへの人的支援も含めて、市民活動の「芽生え」を支 援することは、将来の市民参加の拡大に向けても非常に大きな意義があると考えます。将 来的には、行政内部にそのための専門スタッフを育成することも必要となるかもしれませ ん(市民活動のインキュベーター)。 さらに、既に活動を行っている市民団体への活動助成もひとつの大きな役割で あるといえます。非営利の市民団体は運転資金も厳しいところが多く、参加して いる市民の持ち出しが少ないわけではありません。そこへ助成の拡充を行ったり、 会議室スペースの提供を行ったりすることで、市民団体に係わる個人の負担を減 らし、より多くの参加を生むことができるのではないでしょうか。その際の具体 的な方法としては、単に行政が市民団体を選んで助成を行うだけではなく、例え ば杉並区が既に導入しているような、市民自らが市民団体を選んで自分が払う税 金の一部から助成を行う、という制度も検討に値するものです。 市民団体間の調整・交流促進 市民参加を今後さらに広げていくためには、市民団体間の交流が充実されなくてはな りません。市民参加において、これまでは行政←→市民という関係が主でしたが、今後 は、市民←→市民の関係が重視されるべきだと考えます。行政←→市民が個別でやり取 りを行い、要望や意見を伝えていた従来のスタイルから、市民同士でもやり取りを行い 意見の交換をすることで、「行政が一部の市民の意見を聞く」という批判もなくなり、多 くの市民の意見を集約することができます。 このような変化ははじめのうちは多くの困難を抱えるかもしれません。しかし、参加 する市民が次第に知識を身に付け、行政-市民間あるいは市民同士での相互理解が深ま っていくことで、地方分権やひいては市民の自主性を高めていくことにつながると考え ます。 さらに、もしある市民団体が他で使えるノウハウや技術を持っていたとしても、団体 間の交流がない限りそのノウハウや技術は伝わりません。個別の団体がもっているノウ ハウや技術を伝播できることも、市民団体間の調整を行うことのメリットです。 行政の役割・責任の明確化 ここまで繰り返し述べられているように、市民参加を謳いそれを進めることは、全て を解決する万能薬というわけではありません。市民参加を進める過程においては、市民 だけでは解決することができない問題が生まれてくるのは明らかです。その際、行政は 全市的な観点から、市民間の利害調整を行う役割が期待されることになります。 行政が信頼されるためには、行政全体として明確なヴィジョンを持つほかに、各担当 部門において事業の目的・目標、さらには事業の意思決定における責任の所在を明確に 示すことが重要です。事業の目的・目標を明確に示すことで、行政が行った判断が目的・ 目標に照らして妥当かどうかを市民が判断することが可能になります。さらに、意思決 定における責任の所在を明確にすることで、事業に問題があった場合にそれをどこに持 ち込めばよいかが分かり、市民としても「たらいまわしにされる」ような不安を取り除 くことができると思います。 (7)市民の役割 市民参加の基本的な意義は、市民が自分たちの周りの問題を、自分たちで積み上げ て解決していくことにあります。行政が行う事業が複雑化し、行政のキャパシティー も限界に近づいている中で、市民が行政に依存しきってしまうようなかたちを今後も 続けていくことは非常に難しく、市民が自分たちの環境を良くしていくために、自ら できることは自分たちで解決していく姿勢が重要になると考えられます。 その際、市民も、個人個人の権利があるとともに集団としての義務が発生すること に自覚的となり、公共における個人として市民参加を行っていくことが必要となりま す。 市民の自己研鑽 行政に任せきりではなく、市民が自律的に自分たちの問題を処理していくため には、市民が自分たち自身の能力を高める努力をしなければなりません。「(6) 行政の役割」で述べられているように、市民の能力を高めるためには行政の協力 が重要である一方で、市民自身が自分たちの責任についての自覚を持ち、自己研 鑽に努めていく必要があります。市民も市政への参加を求める以上、自分たちが 全くコストを払うことなく行政の責任ばかりを問う姿勢を続けることはできませ ん。行政に何ができて、何ができないかを理解したうえで、建設的にかかわって いくことによって、市民と行政が協働を進めることができると考えます。 市民団体の提言機能拡充 市民の中で市民参加を進めるリーダーとして、これからは市民団体の役割がま すます重要になってくることは間違いありません。特に、今後の市民団体には、 行政の事業提案とは必ずしも同じものではない独自の事業提案を行う機能が要請 されるようになると思います。現在でも提言機能をもった市民団体はありますが、 現状では対案作りのために十分な資源・能力を持ち合わせているとは言えず、そ の役割は必ずしも多くの市民に認知されているとはいえません。市民が主役とな るまちづくりを進めるためには、市民団体がそれぞれの得意分野で提言機能を充 実させ、行政と協働しながら実際の事業を進めていくことが必要となります。 ■ 終わりに はじめに述べたことの繰り返しとなりますが、この提案は、行政に対して「あれが 欲しい」「こうして欲しい」ということをいうような単なる要望・要請ではなく、こ の提案をたたき台として行政と市民が今後の市民参加のしくみについて一緒に話し 合って決めていくことを志向するものです。そのため、「市民参加のしくみづくりを 話し合う会」では、この提案を出して終わりというのではなく、今後の市民参加のガ イドラインの策定を見据えて、この提言に対する行政側からのフィードバックを強く 望んでおります。 まずは、市民が長い時間をかけて検討し、創りあげてきたこの提案について、行政 側でも十分に検討していただきたいと思います。技術的な問題の整理など専門的な検 討を要する部分も多く、ご苦労もあるかと思いますが、今後「市民参加プログラム」 を協働して実施していくためにも、検討の進捗状況を適宜ご報告いただく機会を設け ていただければ、と思います。 以上 登録番号 (刊行物番号) 2004-115      調布市市民参加プログラム                -参加と協働のまちづくりを進めるためにー     発行日  平成16年11月       発 行  調布市      編 集  生活文化部 市民参加推進室  〒182-8511調布市小島町2-35-1  ℡ 0424-81-7036 印 刷  庁内印刷