令和3年度における 基本的施策について 調 布 市 目  次 1 はじめに~令和3年度の市政経営に向けた諸課題への対応・・・・・・・ 1 2 まちづくりの基本理念の実現に向けて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 3 市政経営の2つの基本的な考え方による取組の推進・・・・・・・・・・・・・ 4 (1) 参加と協働のまちづくり ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  4 (2) 持続可能な市政経営の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 4 予算編成に当たって ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 5 主要な施策について(重点プロジェクトへの取組) (1) 「防災・防犯の面で安全・安心に暮らせるまち」をつくるプロジェクト・・・・ 7 (2) 「子ども・若者の健やかな成長・自立を支援し,子育てしやすいまち」をつ くるプロジェクト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 (3) 「高齢者・障害者にやさしいだれもが安心して住み続けられるまち」をつく るプロジェクト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 (4) 「にぎわいと交流のある活気に満ちたまち」をつくるプロジェクト ・・・・・ 11 (5) 「人と自然が共生するうるおいのあるまち」をつくるプロジェクト・・・・・・ 13 6 おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14 1 はじめに~令和3年度の市政経営に向けた諸課題への対応 ただいま,議長のお許しをいただきましたので,令和3年度の市政経営に対する私の基本的な考えを申しあげ,調布市議会の皆様及び23万8千調布市民の皆様の御理解と御協力を賜りたく存じます。 初めに,現下の最大の懸案である感染症への対応についてです。この1年余り,新型コロナウイルスの猛威が世界を震撼させ,今なお,その収束が見通せない状況が続いております。調布市においても,市民生活や地域経済は非常に大きな影響を受け,市民の皆様におかれては様々な局面で多くの困難に直面されていることと存じます。また,このコロナ禍の中で,医療の最前線で対応に尽力されている医師・看護師の皆様をはじめ,社会・生活基盤を支えるべく各現場で献身的な活動に従事されている皆様に,改めて深甚なる謝意と敬意を表させていただくものであります。 市は,昨年の早い段階から全庁連携体制を構築し,新型コロナウイルス感染症への対策として,「感染症拡大防止に向けた取組」,「市民生活及び子どもたちへの支援」,及び「地域経済への支援」の,3つの緊急対応の柱により,国や東京都の緊急対策と連動した取組や市独自の対策を機動的に実施して参りました。引き続き,市民一人一人の命と健康を守るための感染症対策と社会・経済活動の再活性化に向けた支援の両面に関して,国や東京都はもとより,調布市医師会や調布市商工会をはじめ,各種公共サービスを支える団体・事業者など,多様な主体との連携・協力を図りながら,適時・適切な対応を図って参ります。 その中で,調布市医師会の協力の下,これまで取り組んできた市独自のPCRセンターの運営や高齢者施設等におけるPCR検査の実施に加え,目下の急務であるワクチン接種体制の確保に向けては,今年1月に対策本部を設置し,医師会及び薬剤師会との協議を重ね,建設的な御意見をいただきながら,概ねの方向が定まったところです。高齢者に対するワクチン接種については,調布独自方式の「集団接種」をはじめ,市内約90の医療機関での「個別接種」,高齢者施設へ医師が赴き入所者へ接種する「施設接種」の3つの方式により,4月以降の実施に向け,鋭意,準備を進めております。さらに高齢者以外のワクチン接種の対象となる市民の皆様にも,できる限り早期に安心してワクチンを接種していただけるよう,医師会をはじめとする関係機関との連携・協力の下,万全の体制で準備に取り組んで参ります。 一方で,今般の感染症への対応を通じて,国と地方自治体のデジタル化の遅れや不十分なシステム連携などの課題が明らかとなりました。国はその対応として,昨年末に「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」を閣議決定し,行政のみならず国民による社会経済活動全般のデジタル化の推進と社会全体の変革に取り組むとし,今年の秋に「(仮称)デジタル庁」が創設される予定です。 また,東京都はこの春,現行の情報戦略部門を「(仮称)デジタルサービス局」に改編し,デジタル化による都民生活の質の向上に向けた取組の具体化・加速化を図るとしています。 市においても,こうした国や東京都の動向のほか,市民の意識や生活様式の変化,国と地方のシステムの共有化などの状況を捉えながら,市役所業務の改革に向け,デジタル技術の積極的な活用を進めて参ります。また,そのための組織体制を整備するとともに,地方公共団体情報システム機構や東京都への職員派遣をはじめとする人材育成や専門人材の活用,産学官民の連携などにも取り組んで参ります。  他方,昨年,市民に衝撃を与えた事象として,10月に,東京外郭環状道路本線トンネル工事現場付近において,調布市道等の陥没が発生し,その後,複数の空洞が確認されました。 市は,当該工事の事業者である国土交通省,東日本高速道路株式会社及び中日本高速道路株式会社に対して,事業開始以前より一貫して,市民の安全・安心確保について継続的な対応を求めてきており,その中で,今回の陥没や空洞の発見が相次いだことは,誠に遺憾であると言わざるを得ません。市は当該事象発生後,市議会と連名で,事業者に対して2度にわたり緊急要請を行い,早急な原因究明とともに,地域住民の安全確保,不安の払拭のため万全の対策を講ずるよう強く求めて参りました。また,本年1月には本事象に対する担当を人事配置し,組織横断的な体制を整備したところです。 このような中,2月に入り,事業者が設置した有識者委員会において,当該トンネル工事が陥没等の原因であることが明らかになりました。併せて,事業者からは個別の補償を進めることや地盤補修を行う方針が示され,住民説明会も開催されたところです。市は,引き続き,緊急要請した事項に対する事業者の取組状況や市民の不安解消に向けた対応について,事業者に確認して参ります。併せて,今後とも市民の安全・安心と生活環境を守る立場の地元自治体として,関係自治体と連携を保ちながら適切な対応を継続して参ります。 2 まちづくりの基本理念の実現に向けて 次に,基本構想に掲げたまちづくりの基本理念の実現に向けた取組についてです。調布市基本構想では,まちづくりの基本理念の一つに「共生の実現」を位置付け,市民一人一人が多様な個性や価値観を認め合い,国際社会との調和を図りながら,人権が尊重され,平和に暮らすことができる共生のまちづくりを進めることを掲げています。 この理念を具現化する好機である東京2020大会が1年延期となり,今年の7月に開催される予定となっております。大会本番に向けては,令和2年度における計画の枠組を基本としつつ,組織委員会及び東京都の方針や新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ,安全・安心を第一に必要な対応を図って参ります。そのうえで,市内で聖火リレーや複数の競技が実施されることから,オール調布で大会を盛り上げ,まちづくりへの多面的効果をもたらす有形・無形のレガシーの創出につなげられるよう,関連事業を展開して参りたいと考えております。 併せて,「平和の祭典」オリンピックと「障害者スポーツの祭典」パラリンピックが,市内で開催される意義を市民と共有しながら,令和2年に引き続き「パラハートちょうふ ~つなげよう,ひろげよう,共に生きるまち~」を標榜し,共生社会の重要性を市内外に発信して参ります。 また,市の国際交流平和都市宣言30周年の節目であった昨年において得られた交流を生かし,戦争の記憶を風化させることなく,平和の尊さを次代へ語り継いでいくため,引き続き,様々な平和祈念事業を展開する中で,中学生のピースメッセンジャー事業については,新たに長崎市への派遣を実施し,平和交流の成果を広く市民と共有することができるよう取組を推進して参ります。 併せて,男女共同参画社会の形成に向けて,第4次男女共同参画推進プランに基づき,人権の擁護や性の多様性の尊重,DV防止などの取組を引き続き推進するとともに,令和4年度からの次期プランの策定に取り組んで参ります。 3 市政経営の2つの基本的な考え方による取組の推進 続きまして,市政経営の2つの基本的な考え方による取組の推進についてです。「参加と協働のまちづくり」と「持続可能な市政経営」を,引き続き市政経営の基本的な考え方に据え,「行革プラン2019」に基づく取組を推進して参ります。 (1) 参加と協働のまちづくり 参加と協働のまちづくりについては,引き続き,多様な主体と連携・協働した実践に取り組んで参ります。参加と協働の前提となる市政情報の共有では,市報や市ホームページに加え,新たな手法を含む様々な媒体を通じた情報提供と積極的なパブリシティ活動を行います。また,調布のまちの魅力発信については,引き続き,SNSや多言語サイトなどを活用し,他自治体や民間事業者とも連携しながら,効果的な広報PRに取り組んで参ります。 併せて,コロナ禍による社会変化を踏まえるとともに,未来に向けたまちづくりを展望し,次期総合計画策定に向けた取組を進めて参ります。その過程においては,感染予防に留意したオンライン会議やコミュニケーションアプリの活用など創意工夫を重ねながら,幅広い年代からの意見の把握に努めるとともに,市内関係団体はもとより,大学や企業,NPO法人等,多様な主体と連携・協働した取組を実践して参ります。 (2) 持続可能な市政経営の推進 次に,持続可能な市政経営の推進については,行革プラン2019で掲げた各種取組を推進し,行政運営の不断の見直し,改善に取り組んで参ります。  その中で,長期的な課題である公共施設等マネジメントの推進では,調布市公共施設等総合管理計画の基本方針を踏まえ,施設の適切な維持保全のほか,個別施設の在り方,方向性を示す公共施設マネジメントの全体計画を策定いたします。 また,公民連携のモデル事業であるクリーンセンター跡地活用事業では,選定した事業者と連携し,高齢者の社会参加や多世代交流,そして地域コミュニティ活動の拠点ともなる施設整備を進めます。  調布駅周辺の大型公共施設である総合福祉センター及びグリーンホールについては,各施設における課題への対応と併せて,駅周辺のまちづくりとも連動させ,民間活力の活用や利用者等の意見を踏まえた施設機能などの検討を進め,施設整備に関する基本的な考え方を取りまとめ,今後の整備につなげて参ります。このうち総合福祉センターは,利用者の利便性確保はもとより,継続的な福祉サービスの提供を前提として,京王多摩川駅周辺のまちづくりと連動した施設機能の移転・更新に向け協議調整を進めて参ります。また,グリーンホールについては,中心市街地のまちの魅力を高める施設として,調布駅前広場との一体的な活用を見据え,現敷地での更新に向け,公民連携による事業手法を含め検討を進めて参ります。  市庁舎については,引き続き,狭あい化対策と並行して,財源確保方策も含め将来的な更新に向けた検討に取り組んで参ります。 こうした公共施設の更新に当たっては,公共施設マネジメントの基本方針に位置付けた施設機能の集約・複合化や多機能化,公民連携手法などの検討のほか,ユニバーサルデザインの考え方に基づくバリアフリーや環境配慮の視点に加え,日常的に使用する施設機能を災害時などの非常時においても活用していくフェーズフリーの視点など,多角的に検討を行って参ります。 簡素で効率的な組織体制については,納税者の利便性向上及び収納事務の効率化に向け,市税及び国民健康保険税の収納体制の一元化を図ります。 人材の確保と育成については,「第2期調布市人材育成基本方針」に基づき,仕事へのやりがい・意欲を喚起する取組や専門性を有する人材の確保・育成に取り組んで参ります。また,女性職員の活躍推進とともに,全ての職員のワーク・ライフ・バランスの健全化に向けて,「調布市職員の意識改革・働き方改革推進に関する方針」に基づく各種取組を進めて参ります。 4 予算編成に当たって 次に,予算編成についてであります。感染症拡大に伴う景気の悪化は市財政にも大きな影響を及ぼし,歳入の根幹を成す市税及び各種交付金については,例年とは次元の異なる大幅な減収影響を見込まざるを得ない状況です。そのため,市民の安全・安心の確保や市民生活支援の観点から緊急性の高い事業を優先する中で,全ての事業を対象に,義務的経費を除く経常経費の縮減を図るとともに,基本計画事業についても,複数年次を見据えた事業の進捗調整や事業費縮減に取り組むこととしました。 こうした極めて厳しい財政状況について全職員が共通認識を持つ中で,令和3年度予算編成においては,新型コロナウイルス感染症への対応など,市民の安全・安心の確保と市民生活支援に継続的に取り組むことを第一に,全庁一丸となった不断の事業の見直し・改革・改善に取り組むこと,さらに,厳しい財政環境の長期化も見据えた財政構造の改善と経常経費の縮減に取り組むことの,3点を基本姿勢として編成作業を行って参りました。 収支均衡に向けては,平成23年度以来10年振りとなる減収補てん債の借入れや,財政フレームを上回る財政調整基金の活用のほか,基本計画事業の一部進捗調整を行うことで,感染症対策や市民の安全・安心の確保をはじめとする重点的な取組については,最大限,意を用いながら総合調整を図りました。 この結果,令和3年度一般会計の歳入歳出予算は,総額901億2千万円となり,前年度と比較して28億7千万円,3.1パーセントの減となりました。目的別の構成比では,民生費が53.4パーセントで最大の比率となっており,以下,教育費が11.5パーセント,次いで,総務費 10.7パーセント,土木費8.6パーセントとなっております。 5 主要な施策について(重点プロジェクトへの取組) それでは,基本計画に基づく令和3年度における主要な施策・事業について,5つの重点プロジェクトを中心に順次申しあげます。 (1) 「防災・防犯の面で安全・安心に暮らせるまち」をつくるプロジェ クト はじめに,「防災・防犯の面で安全・安心に暮らせるまち」をつくるプロジェクトであります。 発災後10年が経過する東日本大震災をはじめ,これまでの地震や大規模災害への対策に加えて,近年の気候変動に伴う風水害への対策として,令和元年台風第19号での経験とその後の検証を踏まえ,調布排水樋管の遠隔操作化を実施するほか,市内の内水浸水想定区域図の作成に取り組みます。 また,今年度において修正や策定に取り組んだ「地域防災計画」や「国土強靭化地域計画」,「洪水ハザードマップ」に基づき,防災・減災対策の改善・強化を図って参ります。 災害時の情報伝達については,これまで計画的に進めてきた防災行政無線のデジタル化を完了させ,災害時の迅速な情報伝達手段を確保して参ります。さらに,避難所の開設状況や混雑状況をリアルタイムに専用ホームページで情報発信する機能や,災害対策本部と避難所の情報を一元管理・共有する機能を備えた,避難所受付・情報共有システムを導入します。 災害対策の本部機能を担う市庁舎及び文化会館たづくり西館の非常用電源については,72時間対応に向けた設計を行います。 消防力の強化に向けては,今後も引き続き,東京都や東京消防庁と連携を図り,常備消防力の維持・向上を推進します。また,消防団の災害対応能力の向上に向け,機械器具置場の建替えや改修,消防ポンプ車の更新,装備品の充実に取り組んで参ります。 このほか,災害に強い都市基盤の整備としては,東京都との連携を図りながら,特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震改修等の促進を図るとともに,住宅の耐震化を継続的に支援します。 防犯対策におきましては,引き続き,通学路や駅周辺への防犯カメラの設置を進めるとともに,商店会等の団体による街頭防犯カメラの設置を支援して参ります。 振り込め詐欺をはじめとする特殊詐欺被害の防止に向けては,調布警察署をはじめ,関係機関・団体と連携した啓発活動等に取り組むとともに,被害防止に有効な対策である自動通話録音機の貸出事業を継続して参ります。 (2) 「子ども・若者の健やかな成長・自立を支援し,子育てしやすいまち」をつくるプロジェクト 次に,「子ども・若者の健やかな成長・自立を支援し,子育てしやすいまち」をつくるプロジェクトであります。 子ども・子育て支援施策については,第2期調布っ子すこやかプランに基づき,待機児童対策をはじめとする多様な保育ニーズへの対応強化,妊娠期から子育て期にわたる切れ目ない支援の充実,特別な支援を必要とする子ども・若者や家庭への支援の充実の,3つの基本目標により,引き続き関連事業を総合的に展開して参ります。 その中で,まず,保育園の待機児童対策については,この4月に向け,認可保育園2園の開設,認証保育所2箇所の認可保育園への移行により,250人規模の定員拡大を予定しております。令和3年度においては,認可保育園1園の誘致・開設のほか,待機児童の状況を踏まえ,新規開設園等の空きスペースを活用して1・2歳児を受け入れる「年度限定型保育事業」等も活用し,ソフト・ハード両面から取組を推進して参ります。 併せて,保育従事職員の宿舎借上げをはじめとする保育人材の確保及び定着など,保育園の安定的な運営を支援するとともに,保護者の負担軽減,窓口相談体制の充実など,安心して子育てできる環境の整備に継続的に取り組んで参ります。 学童クラブについては,計画的な施設整備に努めるとともに,放課後子供教室事業ユーフォーとの連携による一体的な運営を引き続き推進することにより,放課後の児童の多様な居場所を提供します。 妊娠期から子育て期にわたる切れ目ない支援の充実に向けては,引き続き,庁内はもとより,関係機関・団体との連携により,母子保健施策と子育て支援施策を一体的に展開することで,妊婦や保護者の不安や負担感を解消し,安心して子どもを産み,育てられるまちづくりを進めます。 その中で,1歳前後の子どもがいる家庭を対象に,新たに育児パッケージを配布するとともに,子育て支援に関する情報提供や育児に関する相談対応を通じて,必要な支援につなげて参ります。また,児童の虐待防止に関して,子ども家庭支援センター内の児童虐待防止センター事業を直営化し,虐待の早期発見と予防的支援の充実に向けて,相談体制の強化を図って参ります。 教育施策においては,公立小学校の学級編制の標準を令和7年度までに35人へ順次引き下げるための法改正案が今国会に提出されました。学級編制の少人数化についてはその実現に伴い,子どもたちへのよりきめ細かな指導や教育環境の改善につながることが期待される一方で,調布市においては,かねて児童・生徒の増加による教室不足が課題となっており,更なる施設対策が必要となります。 このため,学校施設整備方針に基づく施設の老朽化・長寿命化対策と併せ,公共施設マネジメントの全体計画と整合を図りながら,今後の計画的な増改築や改修などについて検討し,適切な対応を図って参ります。また,学習環境の改善に向けた学校体育館の空調整備については,市立中学校全校への設置が令和2年度に完了し,令和3年度は市立小学校全校への設置完了に向けて整備を進めて参ります。 学習指導においては,新学習指導要領に基づき,主体的・対話的で深い学びの視点に立った授業改善に取り組むとともに,市立小・中学校児童・生徒全員に1台ずつ貸与するモバイル端末の活用により,情報活用能力の育成と個々の資質・能力に応じた学びの実現につなげて参ります。 地域との協働による学校づくりに向けては,地域全体で子どもたちの成長を支える体制を整備するため,計画的に進めてきた地域学校協働本部の市立小・中学校全校への設置が,令和3年度に完了します。併せて,副校長の業務を補佐する会計年度任用職員を追加配置するなど,教員の働き方改革に資する取組を進めて参ります。 特別支援教育については,特別支援教育推進計画に基づき,市立小・中学校全校で校内通級教室やスクールサポーター等の活用により,児童・生徒一人一人に応じた支援を推進します。 食物アレルギー対策については,引き続き調布市立学校食物アレルギー対応マニュアルに基づく取組を進めるとともに,柏野小学校における給食調理室の改修と合わせたアレルギー専用調理室の整備など,ソフト・ハード両面で不断の取組を進めて参ります。 (3) 「高齢者・障害者にやさしいだれもが安心して住み続けられるまち」をつくるプロジェクト 続きまして,「高齢者・障害者にやさしいだれもが安心して住み続けられるまち」をつくるプロジェクトです。  福祉分野では,8つの福祉圏域を基盤とし,地域福祉計画,高齢者総合計画及び障害者総合計画のいわゆる福祉3計画を連動させながら施策を展開し,地域共生社会の実現に向けて,引き続き取り組んで参ります。 地域福祉では,複合化・複雑化した様々な課題を抱える地域住民に対し,必要な支援や課題解決につなげていくため,8つの福祉圏域全てに配置した地域福祉コーディネーターを中心に,包括的な相談支援体制の構築に向けた取組を推進して参ります。 高齢者福祉では,令和3年度からの第8期高齢者総合計画に基づき,団塊世代の全てが後期高齢者となる2025年及びその先を見据え,高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう,より身近な地域できめ細かな相談・支援を行うなど,地域包括ケアシステムの深化・推進を図って参ります。その中核となる地域包括支援センターについて,福祉圏域に合わせた8つの担当区域による運用を開始するとともに,生活支援と介護予防の推進を図る地域支え合い推進員を増員します。 障害者福祉では,パラリンピック開催を契機とし,調布市福祉作業所等連絡会をはじめ,障害当事者とも連携しながら,様々な障害への理解促進と社会参加の促進に取り組んで参ります。 そのほか,福祉分野とスポーツ分野が連携した障害者スポーツの振興については,各分野の関係団体で構成する協議体を活用し,障害者の余暇活動の場の確保や,障害者をはじめ誰もがスポーツに参加できる機会の創出とその継続に取り組んで参ります。 セーフティネットによる生活支援については,昨年開始した調布市生活ほっとあんしん相談事業を継続し,関係機関と連携を図りながら,支援を必要とする市民に寄り添った対応を行って参ります。 受動喫煙対策については,引き続き医師会,歯科医師会等の関係機関とも連携しながら,調布市受動喫煙防止条例に基づき,市内各駅周辺等の路上喫煙対策など,次代を担う子どもたちをはじめとする市民はもとより,調布市に訪れる多くの方々を受動喫煙による健康被害から守る対策を推進して参ります。 (4) 「にぎわいと交流のある活気に満ちたまち」をつくるプロジェクト 次に,「にぎわいと交流のある活気に満ちたまち」をつくるプロジェクトについてであります。 地域経済を支える市内事業者への支援については,商工会や商店会等と連携しながら,市の実情に即した施策に取り組んで参ります。また,深大寺を中心とした観光振興や「映画のまち調布」の推進に向けて,観光協会や映画・映像関連企業など多様な主体と連携して取り組むことにより,にぎわいの創出につなげて参ります。併せて,「水木マンガの生まれた街 調布」の推進については,名誉市民・水木しげる氏の生誕100周年となる令和4年を見据え,作品や著作などの御功績を後世に伝えつつ,まちづくりに生かしていく方策について多角的に検討して参ります。 こうした取組とも連動させながら,東京2020大会を契機として,スポーツを通じた市民交流や地域活動を推進するほか,調布市ゆかりのスポーツ・文化関係者,団体等とも連携・協力し,市民の豊かな芸術文化・スポーツ活動を育む取組を推進して参ります。障害者スポーツの体験機会の提供をはじめ,パラアート展の開催,調布市商工会と連携した市内商店等のバリアフリー化の促進などを通じて,障害者理解及び,心のバリアフリーの推進を図るとともに,共生社会の重要性を市内外に発信して参ります。 まちの活力を生み出す都市基盤整備として,調布駅前広場については,市民参加の実践を重ね,南側ロータリーの一部を修正したロータリー計画図を決定しました。今後,令和7年度の完成に向けて,今年度中に最終的な整備計画図を決定し,段階的に整備を進めて参ります。鉄道敷地については,引き続き,貴重な都市空間を有効に活用し,市民交流やにぎわいの創出が図られるよう,緑道の用地取得や設計を進める中で,市民参加を実践しながら,地域特性を生かした整備に取り組んで参ります。 都市計画道路については,歩行者の回遊性向上と道路ネットワークの構築を図るため,調布3・4・28号線(蓮慶寺の通り),調布3・4・26号線(布田駅北側)及び調布3・4・21号線(つつじヶ丘駅南口)について,用地取得や設計,整備を着実に進めて参ります。 こうしたまちの骨格づくりを着実に前進させるとともに,将来的なまちづくりの展望の下,柴崎駅やつつじヶ丘駅周辺における沿線まちづくりの機運を高めながら,東部地区の抜本的な踏切対策に向けた取組を進めて参ります。 また,インフラ維持管理については,総合的な維持管理の在り方について検討を行いながら,個別計画の策定等を推進して参ります。 自転車等駐車場につきましては,自転車等対策実施計画改定版に基づく収容台数確保に向けた取組とともに,買い物などの一時利用に供する路上自転車駐車場の整備を行います。また,引き続き,民間事業者と連携したシェアサイクル事業を推進し,市民の利便性と市内の回遊性の向上を図って参ります。 ミニバスの運行における課題については,引き続き,バス事業者との協議を重ねるとともに,今後の地域公共交通の在り方について,地域住民を含めた協議の場を設置し,試行的な取組の検討,実践にも取り組んで参ります。 そのほか,良好な市街地の形成に向け,住民発意のまちづくり活動を支援しながら,地区の特性を生かす地区計画制度を活用したまちづくりを進めるとともに,市の都市計画の基本的な方針である都市計画マスタープランについて,近年の社会状況の変化やまちづくりにおける総合的な防災・減災等の都市政策課題を踏まえ,令和5年度を初年度とする次期プランの策定に向け取組を進めて参ります。 (5) 「人と自然が共生するうるおいのあるまち」をつくるプロジェクト 最後に,「人と自然が共生するうるおいのあるまち」をつくるプロジェクトについてです。 調布市は,都心に近い交通至便な立地でありながら,豊かでうるおいのある自然環境に恵まれています。この貴重な財産を将来世代に継承するとともに,海洋プラスチックごみ問題や食品ロス等の環境課題に取り組むべく,今年度改定の環境基本計画による新たな施策を推進することにより,環境負荷の少ない持続可能なまちづくりを追求して参ります。 また,東京都が進める「ゼロエミッション東京の実現」の取組と連携し,地球温暖化対策実行計画による施策を市民や事業者と協働して推進することにより,脱炭素社会の実現を目指して参ります。 資源循環型社会の形成に向けては,引き続き,一般廃棄物処理基本計画に基づく事業を着実に推進するとともに,市民・事業者との協働による各種取組を継続し,ごみの安定・適正処理に努めながら,ごみ減量と資源化の取組の一層の推進を図って参ります。 深大寺・佐須地域の自然環境の保全・活用については,都市の貴重な農地を生かした農のある風景を維持していくため,引き続き,市民団体やNPO法人等との協働により,里山や公有化した土地を活用した体験型の環境学習を推進するほか,農業公園の整備を進め,農の風景を継承する取組を推進して参ります。 都市農業の振興と都市農地の保全・活用については,都市農業振興基本法を踏まえ,昨年度策定した農業振興計画に基づき,「いきいきとした農業経営」,「農のある地域づくり」,「農地の保全・活用」の3つの柱により,関係機関や団体等との連携を図りながら,施策を推進して参ります。 また,東京2020大会の開催年としてのおもてなしの環境づくりについて,引き続き,市民や団体等との協働による花いっぱい運動を推進するとともに,ボランティアの更なる確保・育成を図りながら,大会開催後においても花と緑で彩るまちづくりに取り組んで参ります。 深大寺地区におけるまちづくりについては,引き続き地元街づくり協議会と連携し,深大寺地域の回遊性の向上や街なみ・景観に配慮した取組を推進して参ります。 6 おわりに 以上,令和3年度における市政経営について,所信を申し述べさせていただきました。 冒頭に述べましたとおり,長期化が見込まれるコロナ禍の状況にあっても,市は住民に最も近い基礎自治体として,市民の命と健康を守ることを第一に,市民に寄り添い,生活に安心をもたらすことができるよう,今後とも市として可能な対応を最大限追求して参ります。引き続き,市政の第一の責務として市民の安全・安心の確保と市民生活支援に誠実に取り組むとともに,コロナ禍による市民の意識や生活様式の変化を踏まえ,市民サービスの質の向上に向け創意工夫を図る中で,市役所業務の改革,改善を進めて参ります。 令和3年度におきましても,この未曽有の難局を乗り超えていくことに,全庁一丸となって最善を尽くすとともに,未来へつなぐまちづくりに向け,市民,議会の皆様と共に,歩みを進めて参る所存であり,ここに改めて,皆様の御理解・御協力をお願い申しあげる次第であります。 登録番号 (刊行物番号) 2020-192          令和3年度における基本的施策について             発行日 令和3年3月             発 行 調布市             編 集 調布市行政経営部政策企画課                 〒182-8511調布市小島町2-35-1                 ℡ 042-481-7368             印 刷 庁内印刷