令和6年度における

基本的施策について














調 布 市




目  次

1 はじめに~市政を取り巻く状況~ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   1

2 令和6年度の市政経営 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   3

3 市政経営の基本的な考え方に基づく取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   4 
 (1) 参加と協働のまちづくり ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   4
 (2) 効果的・効率的な行財政運営 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   4

4 主要な施策について(重点プロジェクトの取組) ・・・・・・・・・・・・   5
 (1) 安全・安心に暮らせるまちをつくる ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   5
 (2) 調布の宝である子どもたちを応援するまちをつくる ・・・・・・・・   7
 (3) 誰もが自分らしく安心して住み続けられるまちをつくる ・・・・   8
 (4) にぎわいと交流のある活気に満ちたまちをつくる ・・・・・・・・・・   9
 (5) 人と自然がおりなすうるおいあるまちをつくる ・・・・・・・・・・・・ 11

5 おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12












1 はじめに~市政を取り巻く状況~
  ただいま,議長のお許しをいただきましたので,令和6年度の市政経営に対する私の基本的な考えを申し上げ,市議会及び市民の皆様の御理解と御協力を賜りたく存じます。
  はじめに,元日に発生しました能登半島地震では,最大震度7を観測し,家屋の倒壊をはじめ,津波や火災,土砂崩れなどにより,多くの尊い命が奪われ,今なお,大勢の方々が,不安を抱えながら避難所などでの生活を余儀なくされています。改めて,被災された皆様に衷心よりお悔やみとお見舞いを申し上げる次第であります。市は,災害時相互応援協定を締結している富山市が行う石川県からの広域避難者の受け入れに協力するため,職員派遣を行っております。今後も引き続き,被災地域の早期の復旧・復興に向け,他団体と連携しながら,可能な支援に取り組んで参ります。
  昨年を振り返りますと,新型コロナウイルス感染症の類指定が変更された5月以降,それまで休止あるいは縮小を余儀なくされていた行事やイベントが本格的な再開の兆しをみせました。とりわけ,4年ぶりの開催となった多摩川での調布花火が成功裏に終わり,市内外からの大勢の来場者を魅了したことは,調布のまちに活気と賑わいを取り戻す象徴的な出来事となりました。令和6年度においては,こうした勢いをより本格化させていくため,様々な取組を活発に展開していきたいと考えています。
  他方,日本経済は,当面は緩やかな回復傾向が続くことが見込まれますが,海外の経済情勢や資源価格の動向等が国内の経済活動並びに市民生活に及ぼす影響を十分注視していく必要があります。長引く物価高騰に対して,市は,国や東京都の動向も踏まえ,引き続き,時宜にかなった支援を実施して参ります。
  また,様々な要因により,日常生活において困難を抱え,公的な支援が必要となる市民に対しては,きめ細かな支援を行き届かせることで,地域のぬくもりや,やさしさを感じていただけるよう,必要な取組を推進します。
  東京外かく環状道路に関しては,引き続き,市民の安全・安心の確保を最優先とした事業者の対応を求めて参ります。
  一方,世界情勢に目を転ずると,ロシアのウクライナへの侵攻や,パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘により,多くの一般市民が犠牲となる惨状がいまだ続いており,一刻も早く事態が収束することを願ってやみません。
  そうした現状に対し,市は引き続き,広島市・長崎市をはじめ,多摩地域の自治体との連携を深めながら,市民と共に世界の恒久平和に寄与すべく,たゆまぬ努力を重ねていく所存です。今後も平和の尊さを次世代へ継承するため,子どもたちの平和学習やその成果を広く市民に発信できる機会の創出を通じて,平和文化の振興を図るとともに,国際平和の礎となる国際交流・多文化共生の取組を充実させて参ります。
  共生社会の充実に向けては,これまで様々な分野において,「パラハートちょうふ」の理念の普及・啓発に取り組んできた中,令和7年度に国内初となるデフリンピックが東京で開催され,市内の武蔵野の森総合スポーツプラザも競技会場の一つとなります。こうした機会も捉えつつ,市は更なる障害理解の取組などを通して,誰もが暮らしやすいまちづくりを推進します。
  男女共同参画社会の形成に向けては,性別等にかかわらず,誰もが社会のあらゆる分野でお互いを尊重し,自分らしく,安心して暮らせるまちづくりに取り組みます。
  こうした取組と併行して,コロナ禍以降,地方自治体においても急速な広がりを見せているデジタル化,さらにDX(デジタル・トランスフォーメーション)への対応については,我が市においても一層加速させていく必要があります。市は今後も,調布市デジタル化総合戦略に基づき,多様な主体と連携しながら,様々なデータやデジタル技術の活用による行政サービスの改善を図るとともに,持続可能な市政経営を確立して参ります。また,これまでの市役所内における紙資料を基本とした仕事のやり方や業務プロセスの見直し,さらには,組織の文化・風土そのものを変革することで,より効率的な行政運営及び市民サービスの充実につなげられるよう努めて参ります。

2 令和6年度の市政経営
  令和6年度は,こうした市政を取り巻く状況を踏まえつつ,基本計画の2年次目として,施策の成果向上に向け,「デジタル技術の活用」,「共創のまちづくり」,「脱炭素社会の実現」,「フェーズフリー」の4つの視点により,横断的連携を図りながら,計画に位置付けた各施策
・事業の着実な推進に取り組みます。令和7年度には,京王線地下化と連動し,長きにわたり取り組んできた中心市街地の都市基盤整備において核となる鉄道敷地及び調布駅前広場の整備が,一部を除き完成いたします。この大きな節目に向け,令和6年度は重要な時期となることから,引き続き,着実に取組を推進して参ります。加えて来年の市制施行70周年に向け,市民と共に明るい調布の未来を展望できるよう,その前年としての諸準備を進めて参ります。
  次に,令和6年度の当初予算編成についてであります。
  令和6年度に向けては,歳入においてふるさと納税の更なる減収影響が予想される一方で,歳出では社会保障関係経費等の経常経費の増加,各種重要課題への対応に伴う多大な財政需要を見込んでおり,市財政は厳しい環境下にあります。こうしたことを踏まえ,令和6年度の予算を編成するに当たっては,基本計画及び財政フレームを基本とした計画事業の着実な推進を図ること,市民の安全・安心の確保と市民生活支援への継続的な取組と重要課題への対応を進めること,そして,今後の財政需要を見据え,財政の健全性を維持するため,歳入確保と経費縮減に取り組むことの3点を基本姿勢として,取り組んで参りました。
  当初予算における収支均衡に向けては,各種基金の活用を含めて,財源確保を図る中で,基本計画事業費等の精査や,新規・拡充事業の厳選に取り組む一方,市民の安全・安心の確保や市民生活支援,脱炭素化,デジタル化,都市基盤整備など,市政の重要課題への対応について,意を用いながら総合調整を図りました。
  この結果,令和6年度一般会計の歳入歳出予算は,総額1065億円となり,前年度と比較して67億3000万円,6.7パーセントの増となりました。目的別の構成比では,民生費が52.4パーセントで最大の比率となり,以下,総務費が11.8パーセント,次いで,教育費11.7パーセント,土木費10.0パーセントとなっています。

3 市政経営の基本的な考え方に基づく取組
  続きまして,市政経営の2つの基本的な考え方についてです。
  市は引き続き,「参加と協働のまちづくり」と「効果的・効率的な行財政運営」を市政経営の基本的な考え方に据え,行革プラン2023に基づく取組を推進して参ります。
 (1) 参加と協働のまちづくり
   参加と協働のまちづくりに関しては,市民参加手法の適切な運用のほか,参加と協働の前提となる市政情報の共有について,今月リニューアルした市ホームページの効果的な活用をはじめ,多様な媒体による情報発信に努めます。また,大学や企業,NPO法人等の多様な主体と連携を図る中で,適切な役割分担の下,共に考え,共に行動し,地域課題の解決に取り組む共創のまちづくりを進めます。
   設立から3年を迎える調布スマートシティ協議会では,引き続き,社会的課題の解決と経済的価値の創出の両立を目指し,新たな実証的取組を進めるなど,活動の活性化に努めます。また,市民ニーズを的確に捉えながら,デジタル技術を活用したサービスの創出に向け,庁内の各部門と協議会に参加する大学・企業等が連携した取組を重ねて参ります。
 (2) 効果的・効率的な行財政運営
   次に,効果的・効率的な行財政運営に関しては,事務の簡素化・効率化,財政の健全性維持などの観点を踏まえ,不断の改革・改善に取り組みます。
   デジタル化については,情報セキュリティやデジタルデバイド対策に意を用いつつ,市民が来庁することなく必要な手続等を可能にする「どこでも市役所」の実現に向けた取組や,情報システムの標準化への対応を進めます。あわせて,ペーパーレス化や生産性向上,多様な働き方の実現に向けて,職員の業務用端末のモバイル化に取り組みます。
   公共施設・インフラマネジメントについては,調布市公共施設マネジメント計画に基づく個別施設ごとの取組を推進します。総合福祉センターについては,引き続き,利用者及び関係団体から意見聴取を行うなど,京王多摩川駅周辺地区への移転・更新に向けた取組を進めます。民間活力を活用した新たなグリーンホールの整備に向けて,引き続き,最適な事業スキームの検討と併せて,市民や利用団体からの幅広い意見聴取や,新たに設置する専門家で構成する会議で検討を行うなどの取組を進めて参ります。市庁舎については,立体駐車場跡地の活用を視野に,狭あい化対策と併せたスペースの有効活用に向けた検討を進めます。神代出張所については,市民サービスの向上と執務環境の改善を図るため,暫定的な事務所機能の移転に向けて取り組みます。その他,PFI手法を活用した若葉小学校・第四中学校の一体的整備など,各施設における課題を踏まえた必要な対応を進めます。
   効率的な組織体制の整備については,民間活力の活用や組織横断的な連携を推進します。また,女性職員の活躍推進をはじめとする多様な人材の確保・育成や職場環境の整備,業務の生産性向上に資する働き方改革に取り組みます。

4 主要な施策について(重点プロジェクトの取組)
  続いて,令和6年度における主要な施策・事業について,基本計画に基づく5つの重点プロジェクトの取組を中心に順次申し上げます。
 (1) 安全・安心に暮らせるまちをつくる
   はじめに,「安全・安心に暮らせるまち」をつくるプロジェクトであります。
   冒頭で触れました能登半島地震における被害状況を目の当たりにし,改めて我が市としても防災・減災対策を通じて,市民の生命・財産を守る責務への思いを一層強くしたところです。
   そうした中で,市は,首都直下地震によるライフラインの損壊に備え,水・トイレ対策をはじめとする自助,共助の取組を強化して参ります。あわせて,地域防災計画の修正に取り組むとともに,新たに災害発生時における受援・応援体制を整備するなど,更なる地域防災力の向上に取り組みます。また,住宅の耐震化を促進するとともに,緊急輸送道路沿道などの建築物に対する助成制度の拡充により,耐震化を加速するほか,今年度中に策定する調布市災害廃棄物処理計画の実効性向上を図る取組を進めて参ります。さらに,土砂災害対策として,市内全域の擁壁やがけの実態調査と併せ,新たに民有地における対策工事の助成制度を設けるほか,市が管理する崖線樹林地や擁壁などの安全対策を進めることにより,防災都市づくりを推進して参ります。このほか,令和元年台風第19号の経験を踏まえた対策として,狛江市との連携による大規模ポンプ施設の整備,流域治水の考え方による浸水対策を定める調布市雨水管理総合計画の策定,3D都市モデルを活用した浸水リスクの可視化による意識啓発等に取り組みます。
   消防力の強化については,東京都との連携による常備消防力の維持向上を図るとともに,消防団における災害対応能力の向上に向け,資器材の充実や消防ポンプ車の更新と併せ,団員の新規加入促進のためのPRに努めます。
   防犯対策では,街頭防犯カメラの活用や子ども安全・安心パトロールの実施による犯罪抑止に取り組みます。また,特殊詐欺被害の防止に向けた対策として,金融機関等のATM周辺におけるサギパト隊員配置の継続のほか,自動通話録音機の貸出しに加え,新たにAIを活用したオートコールシステムの導入に取り組みます。
 (2) 調布の宝である子どもたちを応援するまちをつくる
   次に,「調布の宝である子どもたちを応援するまち」をつくるプロジェクトであります。
   市は,調布っ子すこやかプランに基づき,子ども・子育て支援施策を推進しており,令和6年度に策定する第3期プランについては,こども基本法に基づく市町村こども計画として,他の関連計画と一体的に策定し,引き続き,子ども・子育て支援の総合的な推進につなげて参ります。
   妊娠期から子育て期にわたる切れ目ない支援に関しては,多胎児家庭等における産後ケア事業の利用日数の拡大を図るほか,新たに母子健康手帳アプリの導入を進めます。あわせて,こども家庭センターの設置に向けた検討を進めて参ります。
   保育園においては,これまでの取組により,待機児童数の抑制を図ることができました。一方で,空き定員の増加への対応としては,引き続き,年度限定型保育事業や未就園児の定期的な預かり事業を実施します。また,新たに0歳児クラスの空き定員に応じた運営費補助などの対策を講じます。あわせて,共働き世帯における幼稚園の利用促進を図るため,他市に先駆けて,国の預かり保育料助成に市が上乗せすることで,支援を充実させます。
   学童クラブについては,入会保留児童数の状況を勘案しながら,計画的な施設整備と放課後子供教室事業との一体的運営を推進します。
   また,児童虐待防止やヤングケアラーに関する相談・支援体制を強化するほか,困難を抱える子ども・若者への支援として,子どもたちが意欲的に学習に取り組めるよう学習支援環境を充実させるとともに,相談体制の強化を図ります。
   さらに,保護者負担軽減の観点から,昨年4月から開始した,子どもの医療費無償化に加え,本年4月からは,東京都の補助事業を活用し,市立小・中学校における給食費を無償化します。
   学校教育については,コミュニティ・スクールの導入拡大や,ICT教育の更なる推進,民間スポーツクラブと連携した水泳指導を拡充します。また,部活動の地域連携に向け,部活動指導員の配置を拡充するほか,庁内関係部署や市内の関係機関等で構成する協議会を設置するなど,組織横断的な連携の下,取り組んで参ります。特別支援教育に関しては,新たに北ノ台小学校で特別支援学級を開設します。不登校児童・生徒に関しては,訪問型支援などにおける体制を充実させるなど,引き続き,一人一人に寄り添ったきめ細かな対応に努めて参ります。そのほか,学校の施設整備については,不足教室対策や計画的な維持保全に関する取組の推進により,適切な教育環境の確保に取り組みます。
 (3) 誰もが自分らしく安心して住み続けられるまちをつくる
   続いて,「誰もが自分らしく安心して住み続けられるまち」をつくるプロジェクトであります。
   令和6年度からスタートさせる新たな福祉3計画を基軸として,関連施策と連携を図りながら,引き続き,地域共生社会の充実に向け,分野横断的な取組を推進して参ります。
   市内8つの福祉圏域において,地域福祉コーディネーターを中心に,重層的支援体制整備事業の取組の下,多機関協働による包括的な支援体制の構築を図るとともに,地域における支え合いの仕組みづくりを推進します。また,高齢福祉に関しては,今年度に全ての福祉圏域に地域支え合い推進員の配置が完了したことを踏まえ,生活支援の充実や介護予防,認知症対策,フレイル予防などに取り組むことで,地域包括ケアシステムの更なる深化・推進を図ります。
   障害福祉に関しては,障害のある方が地域で安心して住み続けられるよう,市内で2箇所目となる重症心身障害者の通所施設の開設と併せ,障害者の就労へ向けた訓練プログラム等を実施する就労支援施設を開設します。また,東京2025デフリンピックの開催を契機として,手話言語及び障害者の意思疎通に関する基本理念等を定める条例の制定などに取り組みます。
   セーフティネットの取組においては,関係機関と連携し,生活困窮者の自立支援のほか,生活保護制度に基づく適正な保護と自立に向けた支援を行います。
   市民の健康の維持・増進に関しては,新たな調布市民健康づくりプラン・食育推進基本計画や国民健康保険データヘルス計画に基づく取組を推進するほか,自殺対策計画を改定します。そうした中で,総合的ながん対策については,新たにがん相談サポート事業や男性向けのHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン接種費用の助成を開始します。また,ウィッグ等の購入費助成を拡充するほか,がん検診の受診率向上や,HPVセルフチェックを活用した受診啓発,若年がん患者在宅療養支援などと併せて,調布市医師会等と連携しながら,がん検診のあり方を検討します。新型コロナワクチンの定期接種化への対応をはじめとする感染症対策や歯と口腔の健康,生活習慣病予防などのほか,受動喫煙防止対策にも継続して取り組みます。
 (4) にぎわいと交流のある活気に満ちたまちをつくる
   次に,「にぎわいと交流のある活気に満ちたまち」をつくるプロジェクトであります。
   まちの賑わいを創出する観点から,多様な主体と連携しながら,これまでの取組をさらに充実させ,まちの活力の一層の向上を目指します。
   文化芸術振興については,誰もが文化芸術に親しめる機会を創出するとともに,(仮称)調布市文化芸術振興ビジョンを策定する中で,更なる共生社会の充実や他分野との連携につなげて参ります。また,スポーツ振興については,東京2020大会など世界的なスポーツ大会のレガシーを継承する中で,今年度策定する調布市スポーツ推進計画に基づき,トップスポーツチームとの連携やパラスポーツの振興,パリオリンピック・パラリンピックに関する取組のほか,東京
2025デフリンピックの開催を見据え,東京都をはじめ,関係機関と連携した取組を推進します。
   地域経済の活性化に向けては,調布市商工会や調布市観光協会などと連携し,市の今後の産業振興施策の指針となる(仮称)調布市産業振興プランを策定します。
   また,調布花火をはじめ,古刹・深大寺や「映画のまち調布」など市内の豊富な地域資源を活用した観光振興を通じて,賑わいの創出につなげて参ります。加えて,「水木マンガの生まれた街 調布」に関しては,名誉市民・水木しげる氏の作品や世界観を後世に伝えつつ,まちづくりに生かしていくため,今後も更なる取組の推進を図ります。
   都市基盤整備に関する取組として,調布駅前広場及び鉄道敷地の整備については,中心市街地整備の総仕上げとして,その完成に向けた取組を着実に進めて参ります。また,都市計画マスタープランを踏まえた調布駅周辺の新たな将来像や方針を示すため,(仮称)調布駅周辺地区まちづくりビジョンを策定します。
   都市計画道路や生活道路については,一体的な道路ネットワーク機能の向上に向けて,計画的な整備を進めるとともに,調布市道路網計画の改定に向けた検討に取り組みます。また,各地域の特性を生かした市街地形成を図るため,引き続き,西調布駅周辺や京王多摩川駅周辺,北部地区などにおいて,地区計画を活用したまちづくりを進めます。東部地区における交通環境の改善に向けては,地元のまちづくりに関する機運を醸成しながら,令和4年度から京王線の連続立体交差事業調査を実施しています。あわせて,学識経験者等を交え,踏切道改良方法の比較検討を行う中で,鉄道の連続立体交差化の検討を行って参りました。引き続き,つつじヶ丘駅及び柴崎駅周辺のまちづくりを進めるとともに,交通環境の改善に向け,庁内の推進体制を整備し,関係機関との協議・調整を図って参ります。
   交通環境の整備については,事業者との連携による北部地域でのデマンド交通の実証実験を継続する中で,その効果などを検証するとともに,地域住民や交通事業者の意見も踏まえ,地域公共交通計画を策定します。また,自転車利用の促進に向け,引き続き,シェアサイクル・ステーションの拡大を図るなど,持続可能な公共交通ネットワークの構築に取り組んで参ります。
 (5) 人と自然がおりなすうるおいあるまちをつくる
   次に,「人と自然がおりなすうるおいあるまち」をつくるプロジェクトです。
   昨年の世界の平均気温は観測史上最も高くなり,国際社会においても,地球環境への影響について強い警鐘が鳴らされています。そうした中,脱炭素社会の実現に向けて,市は率先的な行動を示し,多様な主体と連携・協働しながら,オール調布で取り組んで参ります。
   市においては,新たに公共施設で再生可能エネルギー100パーセントの電力を導入し,二酸化炭素排出量の大幅な削減を見込むとともに,市民・事業者への再生可能エネルギーの導入促進を図ります。また,電気自動車の普及に向けて,庁用車への導入を進めるとともに,公共施設内に市民が利用可能な充電設備を整備して参ります。その他,小・中学校の照明器具や道路照明などについて,順次,LED化を進めます。
   また,市内の二酸化炭素排出量の約8割を占める家庭や事業所における脱炭素化を促進するため,省エネルギー設備やエネルギー高効率機器等の導入支援の充実を図るとともに,広報紙や環境学習,相談支援等を通じた市民への情報発信・意識啓発に取り組みます。
   これらの取組の推進に当たっては,市民や事業者などが参加する(仮称)「ゼロカーボンシティ調布推進協議会」を設置し,産学官民の連携を図って参ります。また,雨水の貯留・浸透機能の向上などに有効なグリーンインフラの活用について検討を進めます。
   循環型社会の形成に向けては,一般廃棄物処理基本計画に基づき,環境学習等による市民の意識啓発を図りながら,3Rの推進によるごみの減量・資源化に取り組みます。
   豊かな自然環境の保全に関しては,深大寺・佐須地域において,引き続き,公有地を活用した環境学習や農業体験の実施,崖線樹林地や農業用水路の現況把握に努め,その保全の在り方を検討して参ります。
   都市農業の振興及び都市農地の保全については,農業者に対する支援の充実と併せて,マルシェドゥ調布の取組や市民農園等を活用して,市民が農に触れる機会を創出します。また,こうした取組を推進するに当たっての指針となる調布市農業振興計画を改定して参ります。

5 おわりに
  以上,令和6年度における市政経営について,私の所信を申し述べさせていただきました。
  冒頭に申し述べましたとおり,能登半島地震では甚大な被害が発生し,復旧・復興に向けた支援の輪が全国の自治体に広がっております。市においても,引き続き,市民の安全・安心の確保と市民生活支援を市政の第一の責務として,市民生活に安心感をもたらすことができる市政運営に取り組みます。あわせて,まちづくりの大きな節目とともに迎える市制施行70周年などを見据えつつ,活気ある明るい未来に向けたまちづくりを進めて参ります。
  令和6年度においても市民生活や市政を取り巻く状況を的確に捉えながら,市民,市議会の皆様と共に,調布市基本構想に掲げたまちの将来像「ともに生き ともに創る 彩りのまち調布」の実現に向け諸施策を着実に推進して参る所存であり,ここに改めて,皆様の御理解・御協力をお願い申し上げます。
















登録番号
(刊行物番号)
2023-181
        
令和6年度における基本的施策について
            発行日 令和6年2月
            発 行 調布市
            編 集 調布市行政経営部企画経営課
                〒182-8511調布市小島町2-35-1
                ℡ 042-481-7368
            印 刷 庁内印刷