令和4年度財政援助団体等監査結果報告書 第1 監査の種類   地方自治法第199条第7項の規定に基づく監査 第2 監査の対象   所管部課 教育部郷土博物館(以下「郷土博物館」という。)  対象団体 一般財団法人調布市武者小路実篤記念館(以下「(一財)実篤記念館」という。)及び調布市遺跡調査会(以下「遺跡調査会」という。) 第3 監査の実施期間   令和4年12月1日(木)から令和5年3月17日(金)まで 第4 監査の範囲   令和3年4月1日から令和4年9月30日までに執行された財政的援助等に係る出納及びその他の事務 第5 監査の主眼点及び方法   監査の実施に当たっては,調布市監査基準に基づき,次に掲げる事項を主眼として,関係諸帳簿及び関係書類の照合,現地確認,関係職員からの事情聴取等,通常実施すべき監査手続を実施した。   監査の着眼点としては,次に掲げる事項を重点とするものとする。  1 郷土博物館 (1) 補助金 ア 補助金等の交付決定は法令等に適合しているか。 イ 補助金等の交付目的及び補助等対象事業の内容は明確か。また,公益上の 必要性は十分か。 ウ 補助金等の額の算定,交付方法,時期,手続等は適正か。 エ 補助金等の効果及び条件の履行の確認は,実績報告書等によりなされてい るか。 オ (一財)実篤記念館及び遺跡調査会への指導監督は適切に行われているか。 (2) 出資 ア 出資目的及び出資金額等は妥当か。 イ 出資団体の経営成績及び財政状態を十分把握し,適切な指導監督を行って いるか。 (3) 公の施設の指定管理    ア 公の施設の管理を行わせる団体の指定は,法,条例等に根拠を置いている か。    イ 指定管理者の指定は,適正・公正に行われているか。    ウ 管理に関する協定等の締結は,適正に行われているか。    エ 管理に関する経費の算定,支出の方法,時期,手続等は適正になされてい るか。    オ 事業報告書の点検は適切になされているか。    カ 指定管理者に対して適時かつ適切に報告を求め,調査し,又は指示を行っているか。  2 (一財)実篤記念館及び遺跡調査会   (1) 補助金((一財)実篤記念館及び遺跡調査会) ア 事業計画書,予算書及び決算諸表等と所管部局へ提出した補助金等の交付 申請書,実績報告等は符合するか。 イ 補助金等交付申請書の提出及び補助金等の請求,受領は適時に行われているか。 ウ 事業は,計画及び交付条件に従って実施され,十分効果が上げられているか。また,補助金等が補助等対象事業以外に流用されていないか。 エ 出納関係帳票の整備,記帳は適正か。また,領収書等の証拠書類の整備,保存は適切か。 オ 補助金等に係る収支の会計経理は適正か。 カ 会計処理上の責任体制は確立されているか。 キ 精算報告は適正に行われているか。また,精算に伴う返還金の返還時期等は適切か。 (2) 出資((一財)実篤記念館)   ア 定款及び経理規程等諸規程は整備されているか。   イ 設立目的(出資目的)に沿った事業運営が行われているか。 ウ 決算諸表等は法令等に準拠して作成されているか。 エ 事業成績,財政状況は適正に決算諸表等に表示されているか。 オ 経営成績及び財政状態は良好か。 (3) 公の施設の指定管理((一財)実篤記念館) ア 施設は関係法令(条例を含む。)の定めるところにより適切に管理されているか。 イ 協定等に基づく義務の履行は適切に行われているか。   ウ 利用料金の設定等は適正になされているか。   エ 利用促進のための努力はなされているか。   オ 公の施設の管理に係る収支会計経理は適正になされているか。また,他の事業との会計区分は明確になっているか。 カ 公の施設の管理に係る出納関係帳簿,記帳は適正になされているか。また,領収書類の整備,保存は適切になされているか。 第6 監査対象の概要  1 郷土博物館    ア 補助金((一財)実篤記念館)      (一財)実篤記念館の運営及び事業に必要な経費として,調布市一般財団法人に対する助成等に関する条例(平成7年調布市条例第2号)に基づき,補助金として,令和3年度は8,363万4,697円を,令和4年度は8,804万3,000円を交付している。      【補助金交付内訳】 補助対象事業 令和3年度確定額 令和4年度交付決定額 人件費 74,432,983円 78,191,000円 事務費 9,201,714円 9,852,000円 計 83,634,697円 88,043,000円    イ 出資((一財)実篤記念館) (一財)実篤記念館に対し,基本財産として300万円を出資している。    ウ 公の施設の指定管理((一財)実篤記念館) (一財)実篤記念館に対し,調布市武者小路実篤記念館の管理業務に係る指定管理料として,令和3年度は2,779万5,486円を,令和4年度は2,812万1,000円を支出している。    エ 補助金(遺跡調査会)      遺跡調査会の運営に必要な経費として,調布市遺跡調査会運営費補助金交付要綱(平成14年調布市教育委員会要綱第14号)に基づき,補助金として,令和3年度は2,276万1,762円を,令和4年度は2,298万 4,000円を交付している。      【補助金交付内訳】 補助対象事業 令和3年度確定額 令和4年度交付決定額 人件費 21,260,183円 21,471,000円 事務費 1,501,579円 1,513,000円 計 22,761,762円 22,984,000円 2 (一財)実篤記念館   (1) 名 称  一般財団法人調布市武者小路実篤記念館   (2) 所在地  東京都調布市若葉町1丁目8番地30   (3) 設 立  平成25年4月1日   (4) 目 的  調布市武者小路実篤記念館の事業運営をとおして,武者小路実篤の業績を顕彰し,調布市の文化と市民等の教養の向上に寄与すること   (5) 事 業 ア 資料の収集保存及びその調査研究 イ 資料の展示及び閲覧サービス ウ 講演会,講座等の開催 エ 資料に関する各種刊行物の編集及び発行 オ 武者小路実篤記念館<友の会>の運営 カ その他,調布市武者小路実篤記念館の管理運営のために必要な事業 キ アからカまでに掲げるもののほか,この法人の目的を達成するために必要な事業 (6) 組 織(令和4年4月1日現在) ア 理 事  6人(うち理事長1,常務理事1) イ 監 事  2人 ウ 評議員  5人 エ 職 員 14人(正規職員6人,嘱託職員4人,臨時職員4人) (7) 基本財産  現金 300万円  3 遺跡調査会   (1) 名 称  調布市遺跡調査会   (2) 所在地  東京都調布市布田6丁目61番地   (3) 設 立  昭和51年9月14日   (4) 目 的  調布市内の埋蔵文化財を調査し,その記録を作成するとともに保存活用方法を研究することで埋蔵文化財の保護と市民の教育・学術及び文化の発展に寄与すること   (5) 事 業 ア 市内埋蔵文化財の発掘調査 イ 出土遺構・遺物の整理調査 ウ 埋蔵文化財の保存活用方法の研究 エ 調査報告書の作成と公開 オ アからエまでに掲げるもののほか,目的を達成するために必要な事業 (6) 組 織(令和4年4月1日現在) ア 役 員  6人(うち会長1,理事5) イ 監 事  2人 ウ 調査団  4人(うち調査団長1,調査員2,専門員1) エ 職 員  2人 第7 監査の結果 対象事務については,上記のとおり監査した限りにおいて,法令等に従いおおむね適正に執行されているものと認められるが,一部に次のとおり留意を要する事項が見受けられたので,早急に改善措置を講じられたい。 1 郷土博物館((一財)実篤記念館に係るもの) (1) 展覧会終了後のパンフレットの販売価格等の取扱いにおいて,指定管理者制度導入に伴い(一財)実篤記念館と取り交わした確認書で翌年度以降の取扱いについて協議することとしていたにもかかわらず,協議していないものが見受けられた。 確認書に基づき,適正な事務の執行に努められたい。 (2) 郷土博物館が所管する規則等において,規定内容に不備があるものが多数見 受けられた。    規則等の定期的な見直しを励行し,適正な事務の執行に努められたい。  2 (一財)実篤記念館   (1) 契約事務について    ア 契約手続において,支出命令書の起票日後に検査をしているもの,事業終了後に契約をしているもの,契約納期を誤っているもの,保険契約申込書に申込日の記載がないもの,前払いの支出命令書に検査を行っているものなど発注から納品検査までの事務処理が適正でないものが見受けられた。      一般財団法人調布市武者小路実篤記念館の契約事務に関する規程等を整備し,適正な事務の執行に努められたい。  イ 請負契約において,借用作品運搬等一式の契約書に収入印紙が貼付されていないものが見受けられた。      印紙税法に基づき,適正な事務の執行に努められたい。 ウ 誘導サイン作製等業務委託において,規程等がないにもかかわらず,令和3年度から令和4年度までの2箇年度の複数年契約を締結し,かつ中間払いをしているものが見受けられた。      一般財団法人調布市武者小路実篤記念館会計規程等を整備し,適正な事務の執行に努められたい。 エ 空調設備保守点検業務委託において,事前に(一財)実篤記念館の承認を得ることなく再委託をしているものが見受けられた。 武者小路実篤記念館空調設備保守点検業務委託契約書に基づき,適正な事務の執行に努められたい。 (2) 会計事務について   ア 会計処理において,請求日より前に支出命令書を起票しているもの,金銭過不足の理事長への報告を怠っているものが見受けられた。   イ 残高の照合において,毎月1回預貯金の残高証明書により預貯金の残高を帳簿残高と照合しなければならないところ,残高証明書を取得していないものが見受けられた。 一般財団法人調布市武者小路実篤記念館会計処理規程に基づき,適正な事務の執行に努められたい。 ウ 事業協力に対する謝礼において,指定管理料で菓子折りを購入し,市の関係部署に配付しているものが見受けられた。   事業の財源は,市の税金から支出された指定管理料であることを再認識し,指定管理料の適正な執行に留意されたい。 エ 補助金に係る振込手数料において,指定管理料等で生じた手数料を補助金から一括で支払っているものが見受けられた。   調布市一般財団法人に対する助成等に関する条例施行規則等に基づき,適正な事務の執行に努められたい。 オ 展覧会終了後のパンフレットの販売価格等の取扱いにおいて,指定管理者制度導入に伴い調布市教育委員会と取り交わした確認書で翌年度以降の取扱いについて協議することとしていたにもかかわらず,協議していないものが見受けられた。 確認書に基づき,適正な事務の執行に努められたい。 (3) 現金等の取扱いについて ア 手持現金等において,(一財)実篤記念館で保管する現金の取扱いが不明 確なものが見受けられた。    イ 物品を購入した際に付与されるポイントにおいて,管理及び使用方法が不 明確なものが見受けられた。 ウ デビットカードの取扱いにおいて,貸出簿で返却時の確認のみを行い持出 時の確認をしていないなど管理方法が不明確なものが見受けられた。 一般財団法人調布市武者小路実篤記念館会計処理規程等を整備し,適正な事務の執行に努められたい。 (4) 人事管理について    ア 一般財団法人調布市武者小路実篤記念館職員の職務に専念する義務の免除に関する規程において,有給又は無給の取扱いが不明確なものが見受けられた。 一般財団法人調布市武者小路実篤記念館職員の職務に専念する義務の免除に関する規程の見直しを行い,適正な事務の執行に努められたい。 イ 一般財団法人調布市武者小路実篤記念館職員の就業に関する規則において, 法定休日及び法定外休日の取扱いが不明確なもの,時間外勤務手当及び代日休暇取得時の時間外勤務手当の割増率の適用が不明確なものが見受けられた。 一般財団法人調布市武者小路実篤記念館職員の就業に関する規則等の見直しを行い,適正な事務の執行に努められたい。 ウ 一般財団法人調布市武者小路実篤記念館嘱託職員等の就業に関する規則において,法定休日及び所定休日の取扱いが不明確なものが見受けられた。 一般財団法人調布市武者小路実篤記念館嘱託職員等の就業に関する規則の見直しを行い,適正な事務の執行に努められたい。 エ 嘱託職員及び臨時職員の時間外労働手当及び休日労働手当において,割増賃金の計算方法が適正でないものが見受けられた。 一般財団法人調布市武者小路実篤記念館嘱託職員等の就業に関する規則に基づき,適正な事務の執行に努められたい。 オ 交通用具を使用する職員に対し支給する通勤手当において,その要件とな る距離の算定を誤っているものが見受けられた。   一般財団法人調布市武者小路実篤記念館職員の給与に関する規程に基づき,適正な事務の執行に努められたい。 (5) 所管例規について    ア 武者小路実篤記念館<友の会>において,運用で会員の利用料等を減額にし     ているものが見受けられた。      規程等を整備し,適正な事務の執行に努められたい。   イ 一般財団法人調布市武者小路実篤記念館会計処理規程において,消耗備品の取得価格を1万円以上20万円未満としているが,同規程を改正せず,取得価格を3万円以上に変更した取扱いがなされているものが見受けられた。 例規の制定改廃手続の重要性を再認識し,適正な事務の執行に努められた い。   ウ (一財)実篤記念館が所管する規則等において,規定内容に不備があるも のが多数見受けられた。 規則等の定期的な見直しを励行し,適正な事務の執行に努められたい。  3 遺跡調査会 (1) 会計事務について ア 水道料金及びIP電話利用料金において,支払期限を過ぎて支払っている ものが見受けられた。     適正な事務の執行に努められたい。 イ 事業会計に係る消費税の確定申告後に生じた余剰金において,市に返還することなく,異なる会計である一般会計の繰入金(消費税繰入金)として処理し,翌年度への繰越金としているものが見受けられた。 調布市遺跡調査会会計規程等に基づき,適正な事務の執行に努められたい。   (2) 人事管理について ア 雇用保険において,加入条件を満たしているにもかかわらず保険料を納付せず未加入となっている職員が見受けられた。 雇用保険法に基づき,適正な事務の執行に努められたい。 イ 調布市遺跡調査会職員就業に関する規則において,法定休日及び所定休日 の取扱いが不明確なもの,事務局長の時間外勤務手当の計算に係る時間給額 が不明確なもの,時間外勤務手当の対象となる常勤職員及び非常勤職員の区 別が不明確であり運用で割増賃金を計算し支給されているものが見受けられ た。 調布市遺跡調査会職員就業に関する規則の見直しを行い,適正な事務の執 行に努められたい。 ウ 非常勤職員の週休日の時間外勤務において,代日休暇を付与すべきところ 時間外勤務手当を支給しているものが見受けられた。 調布市遺跡調査会職員就業に関する規則に基づき,適正な事務の執行に努められたい。 (3) 所管例規について 遺跡調査会が所管する規則等において,規定内容に不備があるものが多数見    受けられた。 規則等の定期的な見直しを励行し,適正な事務の執行に努められたい。