令和4年度 第2回調布市高齢者福祉推進協議会 議事要旨              令和4年9月22日(木)午後6時30分から          オンライン 1 開会 2 新しい高齢者福祉推進協議会体制について (1) 委員・モニター員の紹介 3 議題 (1) ケアラー支援ついて (2) 見守り体制について (3) 在宅生活を支えるサービスの充実について 4 その他 (1) 提出物の確認について (2) 第3回推進協議会等について 5 閉会 1 開会  オンライン開催にあたっての注意事項等を御案内し,欠席者の報告,配布資料の確認 2 新しい高齢者福祉推進協議会体制について  委員・モニター員の紹介 3 議題 (1)ケアラー支援について 【事務局説明】 ○事務局 議題(1)については,ケアラー支援に関する計画や取組等に関してお話ししたのち,ケアラー支援全般を推進されている調布ゆうあい福祉公社からご説明いたします。  それでは,資料2-1をご覧ください。まず,「ケアラー」とは何か,改めてになりますが確認させていただきますと,「心や身体に不調のある家族などの看病・療育・世話・気づかいなどを無償で担う方」のことを指します。近親者や友人,知人へのケアも該当しますが,約7割の方がご家族へのケアと言われています。この説明からも,ケアラーの行為自体は,家庭や社会を築くうえでの自然な行為であり,ケアラー自体に一律に問題があるという訳ではありません。ケアラー自身の心身の健康を損ねたり,学業・仕事に制約を受ける,また,生活に支障を来し貧困や社会的孤立を招く,等の行き過ぎたケアの負担が問題であるということです。  今日まで,介護保険制度の創設によりケアラーの負担軽減が図られてきましたが,近年の社会的環境や家庭環境等の変化もあり,ケアラーと一口に言っても多様な形でケアに携わる方が大変多くなっている状況です。ダブルケア,老老介護,ヤングケアラーなど,皆さんもよく耳にされていることかと思います。特に最近では,ヤングケアラーへの関心が高まっており,その実態調査や支援策の検討が活発に行われています。  ここでは,一例として,就業しながら介護をしている方の調査結果をお示しします。参考1は少し古いデータになりますが,都内だけでも全就業者の5.4%にあたる42.5万人超の方が就労しながら介護している状況にあります。また,介護・看護を理由に離職された方は,調査対象期間の1年間だけで,7.8千人に上り,男女比は1:3と女性の方が多くなっております。この7.8千人のうち,調査対象期間の1年間で,比較的早くに就業復帰された方は400人,5.1%となっており,この割合は,離職理由の中でも最も低い再就業率となっています。このことからも,介護者の負担は長期間に及ぶことが推察されます。  また,参考2には,市内で在宅生活をする要支援・要介護認定を受けている方を対象に調査した結果になりますが,回答いただいた約半数,45.1%の方が就業しながら介護をしている結果となりました。また,介護を理由に離職された経験がある方は7.1%でありました。調査1,2共に,今年度中に再調査が行われる予定ですので,ケアラーの現状の把握・分析,施策の評価・検討等に活用してまいりたいと考えております。なお,調査2については,後ほどもう少し紹介させていただきます。  次に,市の取組状況についてです。市では,平成12年に策定した第1期計画から,「家族介護者の支援」を計画に位置付けてきております。第1期計画では重要課題,第2期では施策目標の一つとして取り組んでまいりました。第3期,第4期では,他の事業に介護者支援の視点が落とし込まれる形で,項目から除かれた時期もありましたが,第5期計画から再度「家族介護者への支援」として単独で項目建てされるようになりました。そして,第7期計画策定時に始まった在宅介護実態調査により,介護者の実態や就労と介護の両立に向けた支援・サービスの提供体制の構築等に関する検討が強化され,第7期計画から,「ケアラー支援」が重点施策の一つとして位置付けられてきております。主な取組としては,表に記載がありますとおり,相談・情報提供の強化,レスパイトケアの促進,介護者講座の実施,ケアラー団体の支援等の充実となっております。  次に,現在進行中の第8期計画についてですが,第7期計画に引き続きケアラー支援を重点施策に位置付け,今までの取組をより充実・発展させていくこととしております。介護者の負担軽減,専門職業団体・機関との連携,ケアラー団体との連携,情報提供の4つの柱になっております。各種事業の取組については,後ほどご説明いただく調布ゆうあい福祉公社を始めとして,本日ご出席の委員の皆様にも日頃より大変ご支援をいただいているところであり,この場をお借りして改めてお礼申しあげます。  今月が終わりますと,3か年計画である第8期計画も折り返しを迎え,第9期計画の策定も進んでいくところとなります。冒頭でもお話した通り,ケアラー一人ひとりの置かれている状況や環境は異なり,その多様化は今後もますます進んでまいります。また,ケアラーとしての認識がない方や支援の情報が届いていない方など,引き続き継続して取り組むべき課題もございます。この点については,今後実施する調査等での現状把握と分析,変化するニーズや実態に合わせた支援の見直し,より多様で丁寧な支援体制・サービス提供・情報発信が重要になるものと認識しております。  次に,在宅介護実態調査の結果から,もう少し介護者の実態について紹介させていただきます。  一つ目が,介護者が不安に感じる介護についてです。在宅生活を継続するうえで,主なケアラーが不安に感じる介護について,17の選択肢から複数選択いただく設問です。ここでは,2016年から2019年を比較し,増減の変化幅が大きかった選択肢を紹介しております。見方としましては,要支援1・2を介護される方では,掃除・買い物・洗濯といった日常生活の支援に関して心配される方が7.0ptと大きく増加した一方で,外出の付き添い・送迎に関して心配される方が8.8pt減少しております。ただし,丸囲いの数字は選択された割合が多い順番を意味していますが,外出の付き添い・送迎が40.7%と,要支援1・2を介護される方にとっては依然として1番不安な介護でもあるようです。要介護については,説明を割愛しますが,全体の傾向として,介護度が重くなるにつれて排泄や認知症への介護不安が高まる傾向にありました。  二つ目が,就労の有無についてです。主な介護者の就労形態に関する設問です。2016年と2019年で極端な変化は見られませんが,フルタイム勤務とパートタイム勤務の割合がほぼ同率となり,就労しながら介護されている方の働き方が変化してきた印象を受けます。  最後に,就労継続見込についてです。就労している方の勤務形態別,介護度別の就労継続見込について,クロス集計した結果を掲載しております。本日は,就労継続がやや難しい,かなり難しいと回答された方を抜き出して紹介します。まず,勤務形態別に見ますと,フルタイム・パートタイム共に,やや難しいの割合が2016年から2019年にかけて減っておりますが,かなり難しいの割合が増えております。一方で,ここには掲載しておりませんが,なんとか続けていけると回答された方の割合が減り,問題なく続けていけると回答された方の割合が増える結果ともなっています。このことから,全体としてこの3年間で,問題なく続けていける方とかなり継続が厳しい方の二極化が進んでいる結果となりました。また,要介護・要支援者別に見ますと,要支援1~要介護1,認知度が比較的軽い状態にある方をケアする場合は,就労継続が難しいと思われる方が減少している結果となりました。  この調査結果からも,介護予防やフレイル予防により介護の状態を進行させないことは,ケアラー支援の観点からも重要な取組であることが改めて確認できました。また,在宅介護を延ばすための訪問介護や訪問看護など,在宅生活を支えるサービスの重要性も確認しております。今年度も本調査を実施しますので,ケアラーのニーズはどこにあるのか,効果的な支援は何かなど,調査結果を今後の施策検討に活用してまいりたいと考えています。  最後に,情報提供の一環として取り組んでいる介護者講座について,簡単ではありますがその活動を紹介させていただき,私からの説明を終わりにいたします。  市が主催する介護者講座は,認知症の方を介護するご家族を対象に,認知症について学ぶとともに,同じ介護者同士で意見交換を行い,介護者自身の気持ちや介護との付き合い方を整理し,介護者自身が自分らしい生活の仕方を自身で決めていけるようにすることを目的としています。介護者講座はコース制となっており,今年度は全7回で実施しました。定員は12人で,今年は,平均年齢が約61歳,最年少は41歳,最年長は78歳です。また,男女の内訳は,女性11人,男性1人でした。参加対象者は,認知症の方を介護するご家族,としていますが,加えて,全日程に参加可能であること,開催の目的に合っている方,に参加いただきました。また,今年度は,たづくりに加えて,クオール薬局にも会場として御協力いただきました。  今年度の講座内容は,認知症高齢者の心の理解,介護者自身の心に気づこう,認知症の介護について,サービスを上手に使おう,明日からの介護に向けて,等です。全日程に臨床心理士の資格を持つ講師の方をお招きし,様々な手法・ワークを用いて,介護者自身の今の気持ちや考えを引き出し,整理していただきます。講座の様子としては,各回,穏やかに進みますが,皆さん大変積極的にご発言いただきますし,講座終了後も参加者同士で会話が続くことも多いそうです。初めの方は,介護への戸惑いや不安,怒りといった感情が見られた参加者も,講座終わりにいただくアンケートでは,情報を知れたこと・同じ介護者と話すことで安心することができた,気が楽になった,思いやとにかく話したいといった感情を吐き出す場になった,ストレスと感じていいこと・それは皆さんも同じであることなど,前向きになれた,癒されたといった感想をいただいております。なかには,心の余裕ができたせいか悩みが増えたといった感想を持たれる方もいらっしゃいました。  そして,この講座に参加していただいた方を対象に,毎年同窓会も行っており,近況報告や意見交換を行い,交流を深めていただく機会を設けております。コロナ禍でも多くの方に安心してご参加いただけるよう,オンラインも取り入れながら事業を継続しているところです。今年度も,今月の13日にハイブリッドで開催され,私も会を視聴させていただきました。今現在も介護をされている方の様々な悩みや疑問に対し,皆が親身になって話し合う姿や,介護を終えられた方の当時の思いやアドバイスなどは言葉に重みもあり,大変印象的でした。この講座については,介護者支援の一つとして,引き続き取り組んでまいります。 ○ゆうあい 調布ゆうあい福祉公社のケアラー支援について,現在取り組んでいるケアラー手帳の進捗状況を中心にご報告させていただきます。まず福祉公社のケアラー支援のコンセプトですが,これからケアラーになる人への「備えとしての情報提供」,現在ケアラーが望む生活を我慢しなくてもよい「環境整備」,元ケアラーが経験を活かして関われる「活動のサポート」を通じて,ケアラーの方が孤立しない地域づくりをコンセプトに事業を展開しております。4つ書かれておりますが,だれでもカフェ(認知症カフェ)は,2014(H26)年から開始し,毎月1回,第4日曜日に開催しております。ケアラーの方も,ほっと一息つける居場所として参加いただいております。それから同じ年にケアラー支援マップの発行を,年に1回,最新の情報に更新して発行しております。それから,家族介護者向け介護技術講座を2016(H28)年から開始しております。ご自宅で家族が介護する場合のコツについて,介護の専門職が個別に実演を交えながらお伝えする講座を行っております。それから,ケアラー支援団体との連携,ネットワーク構築,後方支援ということも,2019(R元)年から開始しております。  今取り組んでいるケアラー手帳の作成についてご説明いたします。まず,作成の目的,背景についてご説明いたします。ケアラーの方たちが直面している問題をわかりやすくまとめられた資料といたしまして,日本ケアラー連盟,令和3年の「高齢者権利擁護を考える集い資料」を参照させていただいております。4つ,ケアラーの特徴として挙げられておりますが,1つ目,「介護は家族」に縛られている。介護は家族がすべきという考え方に縛られて,支援を求めたら「家族なのに介護をするのを嫌がっていると思われるのではないか」という心配から,SOSを出せず孤立する傾向があります。  2つ目に,ケアラーが支援の必要性に気づかない。客観的にみると支援が必要な状態であるにもかかわらず,「特徴1」の考え方を背景として,家族が介護をして当然だからと,体調が悪くても助けを求めることすら考えつかないケアラーの方が多くいらっしゃいます。  3つ目に,誰に何を相談したらいいかわからない。誰にとっても初めての経験となる介護は,突然始まり,わからないことばかりです。そのうえ,制度は複雑になっており,介護に関連する大きな変化にどうにか対応しようと精一杯の状況で,誰に何を相談していいのか困ってしまっている状況がございます。  4つ目に,将来の見通しがもてない。何歳になったらだいたいこうなるだろうといった予測ができる育児と違って,介護はあまりに多様です。そのため,将来の見通しがもてない,あるいはもちにくい傾向があります。いつ終わるか分からないというのも,介護の特徴なのではないかと思います。  それらケアラーの方々の特徴を踏まえて,調布の第8期の高齢者総合計画を確認しますと,重点施策の中にケアラー支援が含まれています。「ケアラー個人が尊重され,介護と同時にケアラー自身の多様な活動・社会参加の維持・確保が継続できるよう,ケアラーの身体的,精神的負担を緩和するための支援を充実する。」とする中で,5つある項目の1つ目に,相談体制の充実と積極的な情報提供がございます。先ほどのケアラーの特徴にありましたとおり,「積極的な情報提供」を行うために,ケアラーの集い場に参加したくても忙しく,また疲れている等の理由で参加できないケアラーの方ですとか,どこにも誰にも相談せずに介護で孤立しているケアラーの方々,そういった方には情報が届いていないのではないか,という課題が見えてきております。その対応といたしまして,周囲に相談せず居場所等に参加せず孤立しているケアラーの方に,「助けが必要だと気が付いてもらい,助けを求めてもらいたい。」「その一歩を踏み出せる「きっかけになるもの」を作りたい。」そこがケアラー手帳作成の検討に入ったポイントになっております。  実際にケアラー手帳を作成するにあたりまして,まずは情報を,皆さんからいただきながら集めて行こうと考えまして,ケアラー支援団体の学習会・意見交換会を2021年,昨年8月27日に開催いたしました。19人の方に参加いただきまして,包括職員,ケアラー団体,医療機関,市民ケアラーの方に参加いただいております。  小金井にございますNPO法人UPTREE代表阿久津美栄子氏にご講演いただきまして,「調布市版ケアラー手帳」作成に向けた意見交換,グループワークを行いました。UPTREEの方では,ケアラー手帳を発行しているということもございまして,講演をいただいております。グループワークでの参加者の意見の中で,「ケアラー手帳を自分の介護を客観的にみるためのツールとできたらよい。」ですとか,「ケアラーには余裕がない。読むことが疲れるため専門用語でなくわかりやすい言葉・メッセージがあるとよい。」「情報も大切だが,ほっと一息つけるような心をいやす言葉が入っていることが大切。」「介護者が主語になるような手帳であることが大切。」「経験者の声,アイディアを盛り込めるようにケアラーと一緒に作成できると良い。」といったご意見がございました。また,専門職の方からは,「相談を受けるときに制度の話になりがちだが,ケアラーが色々な感情を抱えていることも意識して相談をうけていきたいと感じた。」との感想もいただいております。アンケートでいただいたご意見としましては,会に来られない方,家族からの協力を得られない方,サービスの窓口にたどり着けない人,情報が使えない人,そういったら弱者を救い上げるシステムに手帳がなってくれたらよいとの感想もいただきました。  次に,「調布市版ケアラー手帳」作成に向けた情報収集の取り組みといたしまして,ケアラー支援団体の方々への意見聴取も行いました。ケアラーの居場所として活動している3か所(クローバー,メイプルカフェ,深大寺こもれび)のグループに訪問し,運営スタッフ(ケアラー,元ケアラー)から意見聴取を行いました。  手帳の内容面にいただいたご意見といたしまして,「認定調査で毎回伝えられるような困ったことを書き込める欄がほしい。」「介護は専門職に任せきるものではないことを伝えるような内容であること。」「他の家族との情報共有ができる手段になるとよい。」「ケアラーが倒れそうなときに頼れる病院等の情報が掲載されているとよい。」「実用的な情報をのせてほしい。」「一人じゃないということを強調してほしい。誰かにSOSを出してほしいと伝えてほしい。」「当事者の体験はヒントになり得る。事例は多くあるといい。」というご意見がございました。また,手帳作成後の届け方についてのご意見として,「広く知ってもらい,必要な時に渡せる体制づくりが重要。」「どこに置くのか,いつ,誰に渡すのか,使い方の説明等も重要。」とのご意見もいただいております。  2021年9月から,ケアラー支援団体の皆様からの情報を踏まえ社内で内容の検討を開始しております。その中で出てきたコンセプト案としましては『誰でも・どこでも・いつでも使えてケアラーが笑顔になる手帳』を考えました。内容案としましては,「客観的に支援が必要かどうかを知るためのセルフチェック」「フローチャート(必要な情報がすぐにわかるためのガイド)」「ほっとする情報(元ケアラーから今のケアラーへの体験,経験の言葉)」「市内資源情報(調布市の地域の相談窓口や居場所等の資源)」「ロードマップ(介護の過程を可視化し客観視するツール)」「記録欄」などがございました。目次のページを工夫し,見てすぐに必要な情報がどこにあるか分かるように表示することに。それから,ほっとする情報は,ケアラー支援団体や,ケアラーの方に,「支えになった言葉」や「リフレッシュの方法」等の経験を聴取するアンケートを行うことになりました。  「調布市版ケアラー手帳」の配布について,現在作成している段階ですけれども,原稿が上がってきている状況です。作成段階の原稿をケアラー支援団体,ケアラー,関係機関の方にご確認いただき,ご意見をいただけるような動きをしています。皆さまのご意見が反映されたケアラー手帳を作成していきたいと思います。来年の3月末に発行できるよう考えております。配布先としましては,調布市内地域包括支援センター,ケアラー支援団体,公社窓口に配架,また公社ホームページにも掲示し,必要な方が情報をとれるように考えております。  冒頭にございました,家族介護者向けの介護技術講座も今年度行っております。「体感して学ぶ介護のコツ」ということで,9月4日の日曜日に,ぷちぽあんで実施し,3人の方に参加いただいております。事前に聞き取りをしていた個別の相談に対して,実演を交えながら学んでいただきました。排泄の介助に関して,漏れないパット等のあて方ですとか,認知症の介護で夏の水分補給の方法等ご説明しております。  今後の取り組みですが,冬に,「ケアラー支援団体意見交換会,学習会」を予定しています。また,新しい取り組みになりますが,「ケアラーを支えられる人の養成」を検討しております。「ケアラーサポーター養成講座の開催」を来年2月に予定しています。ケアラーの居場所の継続,充実のため,ケアラーを支えたい人を募集し養成したいと考えております。ケアラーを支えるために必要な力としましては,傾聴の力,共感力が必要とうかがっておりますので,そうしたことを養う。また,必要な知識を得る。情報収集の方法を知る。ケアラー手帳の活用方法を学べるような講座を企画してまいりたいと考えております。  具体的な内容案ですけれども,ケアラーの経験談を聞き一緒に支援について考える。また知識として介護にかかる費用等を学ぶ。介護で使えるアプリ等を学ぶということを考えています。こちらの講座を終えられた方には,活躍の場として,ケアラー支援団体の居場所のスタッフ等をご紹介できればと考えております。 ○委員 資料2-1の2枚目の介護者講座について,令和4年度開催状況は,日程が全7回,定員が12人となっていますが,この定員は各回12人ということでしょうか。 ○事務局 ご応募いただいた12人の方に全7回の講座を受けていただきました。回ごとに違う方が参加するわけではありません。 ○会長 ケアラー手帳は対象の方に配布され,私たち一般の者が見ることはできないのですか。 ○ゆうあい ケアラーの方に届けたいということもありますが,どなたでも見られる形にしたいとも思っています。包括の窓口や手に取りやすい場所に置かせていただき,ご覧いただければと考えています。 (2)見守り体制について 【事務局説明】 ○事務局 見守りネットワーク事業の概要と令和3年度の実績報告についてご説明させていただきます。  まずこちらは,調布市の高齢者人口の推移を表した表になります。表を見てみますと,高齢者人口は徐々に伸びており,後期高齢者(75歳以上)の人数,割合も増加傾向にあるというのが現状で,今後はより増加が加速されることが予想されます。  続いて,こちらは調布市の地域包括ケアシステムのイメージ図です。この図の中心部分に見守りネットワークと書かてれており,地域包括ケアシステムのなかでも,根幹となっている事業ということがわかります。  続いて,見守りネットワーク事業を担っている地域包括支援センターについての説明を行います。1から6は介護保険法により定められている事業で,日本全国の地域包括支援センターが行っている業務なのですが,調布市では市独自の機能として「見守りネットワーク」の対応業務を,7番目に加えております。調布市内には8か所の地域包括支援センターがありますが,各包括支援センターに見守りネットワークの担当者を1人ずつ配置し,見守り対応業務に当たっていただいております。その際には,社会福祉協議会の地域支え合い推進員(SC),地域福祉コーディネーター(CSW)とも連携しながら対応していただいております。  続いて,見守りネットワーク事業の担当のみまもっと担当の役割について御説明させていただきます。大きく分けて3つの役割があります。みまもっと通報に対する対応,見守りネットワークの周知・啓発,見守りネットワークを通じた地域づくりの3点です。  また,調布の各地域包括支援センターには認知症地域支援推進員が配置されています。現在,少子高齢化で高齢の方が増えてきており,それにともない認知症になる方も増えています。地域全体が,認知症になっても暮らしやすく誰にでもやさしいまちになることを目指して,認知症地域支援推進員は活動しています。主な役割としては,医療・介護などの支援ネットワークの構築,関係機関と連携した事業を企画・調整,相談支援・支援体制の構築などです。  そしてここからは,見守りネットワークの概要について説明を行います。見守りネットワークは,みまもっとという愛称で呼ばれており,「地域包括支援センター」を核として,地域住民,関係機関,協力団体及び市が相互に連携し合うネットワークで,市内の高齢者だけでなく,障害のある方,経済的に困窮している方,など何らかの支援を必要としている方々を対象としています。住み慣れた地域で,安全で安心して暮らし続けられることを目的に行っている事業です。  左下の連携の流れをご覧ください。まず地域住民の方,協力団体の皆さま等が,日常生活や業務の中で,大丈夫かな?心配だな・・といった方を発見します。発見いただいたら,地域包括支援センターにみまもっと通報をしていただきます。通報を受けると,地域包括支援センターは寄せられた情報をもとに対象者の現状を把握し,本人の状況に応じて,介護保険の申請や福祉サービスなどの必要な支援に繋げます。通報をくださった方には,対応結果について,本人の個人情報に配慮した範囲内で,ご報告をします。以上が連携の流れになります。  そして,『見守りネットワーク』のモットーは,“ソフトな見守り・ゆるやかな働きかけ”です。高齢者の方を見張ったり,福祉サービスを強制したりするのを目的としているのではなく,個人の尊厳を尊重しつつ,本人のライフスタイルに合った支援につなげることを目的とした取り組みです。  続いて,こちらはみまもっとの連携図・関連図です。AゾーンとBゾーンで構成されています。表の上の部分であるBゾーンは調布市内全域を対象に活動をされている団体の皆さまのネットワークになっています。令和4年9月現在,72の団体と協定を締結させていただいております。下の部分のAゾーンは,市内8か所の地域包括支援センターを核とし,各地域で活動いただいている方々のネットワークです。  続いて,この表はみまもっと通報の件数と,地域包括支援センターが対応した相談件数を示したものです。上の折れ線グラフは地域包括支援センターの年間の相談件数の推移です。下の縦棒グラフは,年度別のみまもっと通報件数を示しています。コロナ禍に入ってから相談件数が大きく伸びており,通報件数も増加傾向にあります。  続いて,この表は令和3年度の通報をくださった機関別件数の表になっております。一番件数の多い「個人」については,主に近所の方からの通報となっています。個人に続いて,医院・薬局,民生児童委員,その他の団体,という順番で通報件数が多くなっております。4番目に多い,その他の団体については,例えば地域の集まりやサロンからの「参加者が最近頻繁に約束を忘れてしまう」といった通報や,お弁当の配食業者から「配達したお弁当がそのままになっている」等の通報となっています。最近の傾向としては,金融機関や郵便局,商店街,など民間企業からの通報が増えております。  続いて,通報内容についてです。ケアマネを含めて関係機関と連携・連絡した総計が258件と一番多くなっています。このような実績からも,みまもっとにおける見守りと,ネットワークの構築が重要であることが分かります。先ほど見ていただいた通報件数とこのスライドの対応結果の総計で件数が異なりますが,これは1回の通報に複数の対応があるため,このような結果になっております。  最後になりますが,途切れることのない医療・介護サービスの提供体制と地域のつながりを構築することが求められていますので,これを機に日々の生活の中で気がついたことを地域包括支援センターにご連絡いただきたいと思います。 ○会長 次に,見守りネットワークの協力団体であります自治会,民生委員,老人クラブに所属されている委員の皆様から,コロナ禍を経た現在の地域や高齢者の状況,変化など,普段の生活や団体が活動する中で感じられていることをお話いただきたいと思います。 ○委員 緑ケ丘2丁目自治会は460世帯ほどあり,駅は仙川で,三鷹市,世田谷区と隣接している地域になります。若い世代も非常に増えておりますが,高齢者の世帯が多く,高齢世帯だけ,あるいは高齢者一人暮らしも非常に多くなっております。  私どもの自治会では,隣近所の付き合いが密接な所もあります。特に高齢世帯が多く集まっている所は,「あそこのおばあちゃんはどうだ」とか「あそこのおじいちゃんの様子がおかしい」という話も結構聞きます。見守りという点では,昔ながらの近所付き合いで,ある程度つながっていると思います。  一方,若い世代の戸建てやマンションが非常に増えており,私が拝見する限りでは,若い世代が多く住んでいる所は,コロナ禍での在宅勤務により,夕方,近所でお父さんたちも集まり,子どもたちと一緒にお話をしたり,遊んだり,虫取りをしたりという様子も見られ,若い方は若い方なりのつながりを持ち始めていると思います。  ただ,お年寄りの世帯は,コロナ禍により人との付き合いや外出の機会も非常に少なくなっています。私たちが外に出て様子を見ることも少なくなった気がします。私も散歩をしながら,近所の方を見ると声を掛けたり,様子を伺ったりして,なるべくつながりを持ちたいと思って活動を続けています。  私どもの自治会は,全体で11の部があり,37個の班に分かれていますので,部と班それぞれでつながりがあると思います。最近,人とのつながりが希薄になっているという風潮もありますが,部や班の中ではかろうじてつながりが保たれていると思います。そういう部や班の単位を使って,今後も見守りやご近所付き合いをサポートしていきたいと思います。 ○委員 民生委員の立場から高齢者の方の見守り体制として,本日は私個人の取り組みについてお話申しあげたいと思います。  私が担当しております地域は戸建てが大変多く,昔から住まわれている方がいらっしゃいますので,かなり高齢になっている地域であると思います。私は月に1~2度そのお宅にお邪魔して,生活状態やお困りになっていることを直接伺う形で見守りをしています。そのような見守りをするようになったきっかけは,敬老金の贈呈という高齢の方へのお祝金の制度があり,それを直接届ける。また,世帯状況調査で,市内の70歳以上の方のお宅にお邪魔して,いろいろな状況を記入していただきます。このように1軒1軒お邪魔していろいろなお話をさせていただく中で,話の内容等から判断して,以後見守りに伺うという体制を取っております。  最近は,コロナの関係で直接お邪魔して届けることはしていません。自治会経由や,直接ご本人さんから連絡を頂いて,それを基にお伺いしております。直接お会いしてお話をさせていただいて,その方に対して支援が必要かどうか,相談内容によっては地域包括支援センターや社会福祉協議会に相談に乗っていただき,引き継ぐこともしております。また,地区内を巡回して,昼間であれば雨戸が開いているか,洗濯物が干してあるか,夕方であれば洗濯物を取り込んであるか,明かりがついているかを確認して回っております。 ○委員 私は市老連の会と,深大寺北町から東町を含めた地域の老人クラブに所属しております。会員は,ぎりぎりの30人です。調布市全体では33のクラブがあり,今年の4月時点で1,551人が参加しています。この2年間で2クラブ,200人近くの方が減りました。老人クラブの全国的な状況を見ると,65歳以上の10%~15%くらいの加入ですので,調布の場合は,全国の半分から3分の1くらいの加入状況です。  老人クラブの活動として,基本的には孤立を防ぐこと,多様なニーズに応える活動をすることによって高齢者がつながり,そのつながりが見守り,身心の健康の保持,必要な情報をキャッチする役割を果たしながら,高齢者の自立した生活を支えるところを担っていると言えるのではないかと思います。  老人クラブというと,高齢者が月1~2回全体に集まって話し合いをしたり,ゲートボールをしたり,清掃活動をしたりというイメージが強いと思いますが,最近の老人クラブはかなり変わってきています。コロナ禍で活動の把握がまだできておりませんので,2年前の資料から活動の中身を申しあげます。サークル活動は,全体の35クラブ,約250のメニューがあります。一番多い11メニューの活動を行っているのが2クラブ,10メニューが4クラブ,9メニューが3クラブ,8メニューが5クラブ,平均の7メニューが6クラブです。  活動メニュー別では,カラオケが32クラブ,輪投げが31,グラウンドゴルフが28,歩け歩け・ハイキングが21,手芸が15,健康麻雀が13,清掃活動が13となっています。かつて老人クラブの代名詞のように言われたゲートボールは9番目で,9クラブしかありません。また,囲碁や将棋についても囲碁が6クラブ,将棋4クラブということで,かつてのイメージからかなり変わっています。  この2年間はきちんと把握していませんが,健康吹き矢,ボッチャ,卓球が最近取り入れられて広がりつつあります。広がった背景には,市の連合会として新たなニーズも受ける必要があるので,健康吹き矢教室を5年間取り組んできて広がりつつあります。また,昨年度からボッチャ教室の希望があり,多くのクラブが参加して,今,各クラブで取り入れている所が増えつつあります。  活動参加することによって,各クラブが自分たちで発行している会報を配ったり,誕生会を開いてなかなか出られない人にもできるだけ来てもらって,来られなかった場合は誕生祝いの花などを届けるという形で,どういう生活を送っておられるのかを把握しています。お茶飲み談話的なことを活動の前後に行い,お互いの近況や参加していない会員の状況を話し合うという形で,情報が把握しておりますが,この情報が老人クラブから包括支援センターにあまりつながっていないというのが,先ほどの事務局からの報告でも出ていました。私どもとしては,老人クラブの会員になった方が,要支援の状態になったり,認知症に少し不安な状況が起きた場合こそ,老人クラブという高齢者同士のつながりの中で,自立を支えていけるようにしたいと思っていますが,残念ながらそういう状態になりますと,日本人の特性なのか,周りの人に迷惑をかけたくないということでご本人からやめられるとか,ご本人はそういう状態でも会員として続けていきたいと思いながら,家族からお話があってやめるということが多いことを悩みに思っております。  会員の平均年齢も80歳を超えていますし,会長の平均年齢は85歳近いので,その人たちに困難を抱えたご本人や家族に対して,上手に話してとどまってもらうことは大変難しい課題だと思います。包括支援センターや地域活動支援員の方たちの協力を頂く形で,家族の説得をしながら会員としてとどまり,地域の高齢者の輪の中でいろいろな活動に参加することで自立が支えられるようにすることが,これからの大きな課題だと思います。 ○会長 説明戴いた委員の皆様ありがとうございました。「みまもっと」は素晴らしい取り組みだと思いますが,今後の活動としてこうなったらいいなと思っていることがあったら教えていただけますか。 ○事務局 先ほどお示ししたAゾーン,Bゾーンといったところで,老人クラブ連合会,自治体,民生児童委員など,この地域活動をされている方と,地域の企業・団体がさらに連携を深めていくことによって,「みまもっと」のモットーである「ソフトな見守り ゆるやかな働きかけ」を充実することができると考えています。コロナ禍で関係が薄れていっている中,どうにかしていろいろな事業者とも結び付くことによって皆さんと連携を深めていき,見守りから漏れる人がいないような社会を目指したいと考えて,動き始めています。事業者は,今の72団体からさらに増やしていくように,調布市としても働きかけに努めているところです。 ○会長 ありがとうございます。今の説明を受けて,ご質問やご意見はいかがでしょうか。そういうネットワークが増えていく兆しがある,可能性を感じる地域になってきたということでよろしいでしょうか。 ○事務局 はい。企業におかれましても,CSRや社会貢献,SDGsという流れがある中で,どのように行政や地域と連携していけばいいのかというお声掛けが多くなってきています。今,企業も含めて,地域,団体,民間,皆で支えていくという流れが来つつあるところです。 ○委員 老人クラブは,他の団体との協力関係はまだそれほど進んでいませんが,運営は,社協の方に担っていただいています。自治会や民生委員の連合会とも,市議会のイベントで相互に宴席にお呼びするところまでは行っていますが,市の連合会としては,これから新たなニーズに応えるような教室や講座を拡充することに力を入れたいと思っており,歴史講座のようなものにも昨年から取り組んでいます。  コロナでこの2年間は実施しておりませんが,市の連合会として,体力測定会を毎年開催し,200人近く参加しています。これも発想を変えて,フレイルを予防するような学習と自分の体力を知ってもらう講座なども開き,会員以外の方にも使ってもらえるようなことを検討しています。  こういうことをやろうとすると,自治会や民生委員さんだけでなく,医師会,歯科医師会,薬剤師会にもご協力いただき,講座の中身を豊かなものにして,会員のつながりの強化と,未加入の人たちに地域の中で高齢者同士がつながっていくことが大事なのだということを分かっていただく。あるいは,部分的でも関心のあるメニューに参加してもらえるように議論を始めています。 ○会長 ありがとうございました。ソフトな見守り,ゆるやかな働きかけということで,いつまでも学ぶ人は元気なような気がしますので,そういう取り組みに皆で協力してネットワークが広がればいいと思います。 (3)在宅生活を支えるサービスの充実について 【事務局説明】 ○事務局 私からは,「在宅生活を支えるサービスの充実」についてご説明いたします。  調布市では,高齢者にとって暮らしやすいまちづくりを目指して,介護保険制度だけではなく,介護保険以外のサービスを含めた,総合的な内容のサービスを実施しています。一般施策とは,原則として,法律で定められた全国統一の基準により実施される介護保険サービスでは不十分と思われるものについて,補完することを目的として,調布市が独自に実施するサービスです。あくまでも介護保険制度を補うという位置付けですので,介護保険を利用できるサービスについては,介護保険が優先され,原則としてそちらをご利用いただきます。介護保険サービスを利用できない場合の対応や,介護保険には無いサービスなどを,一般施策として展開しています。一般施策でも法律に基づいて行う事業もありますが,在宅サービス係が実施する一般施策の多くは条例や規則,要綱などを制定し,できる限り調布市の高齢者のニーズに合うような事業を展開しているところです。  本日は,新型コロナウイルス感染症がまん延したことにより,これまで行っていた事業の実施変更や中止となったものを中心にご報告させていただきます。資料2-3をご覧ください。  市が行っている一般施策事業について,A4両面資料に事業名や事業内容,直近3年間の実績を載せております。この3年間ですが,令和元年度はコロナ前,令和2年度は新型コロナウイルスが流行し,コロナがどういうものなのかわからず不安におびえ,これまでの生活様式が一変した年,令和3年度は長期間,緊急事態宣言やまん延防止措置に振り回され,「ウィズコロナ」で過ごした年でありました。  各事業の細かい説明は割愛させていただきますが,3ページの下から3つ目「救急医療情報キットの給付」の申請件数が,令和元年度からだいぶ減少しています。こちらの事業は,65歳以上の在宅の方に,冷蔵庫に保管しておく筒型の容器をお渡ししており,緊急時に必要となる医療情報や,緊急連絡先をあらかじめ記入した用紙を中に入れておくことで,自宅での緊急時に救急隊員がキットの中の情報を確認して,速やかな医療活動に繋げるというものです。こちらが減少した理由ですが,後ほど説明させていただく「世帯状況調査」の調査票の回収方法に影響しており,コロナ前は,民生委員が対象者宅へ訪問して調査票の回収を行う際,この救急キットを紹介して申請件数を伸ばしていました。しかし,令和2年度からは感染症拡大防止の観点から訪問による調査票の回収は行わず,返信用封筒にて返送していただく方法に変更したため,救急キットの給付については市役所と包括で申請を受けた件数のみとなっています。  次に4ページの一番上「ふれあい給食事業」です。この事業は,70歳以上でひとり暮らし,高齢者世帯,日中独居のいずれかに該当し,自力通所が可能な方を対象に,市内4カ所の小学校のふれあい給食室において学校給食の会食や,健康体操,書道,絵手紙,音楽などの趣味活動,児童や地域の方との交流などを行っています。この事業の目的は,「バランスの良い学校給食の提供を通した高齢者の健康維持」と「児童や地域との交流,趣味活動を通した孤独感解消と介護予防」です。事業運営は調布市社会福祉協議会に委託しております。コロナが流行する令和元年度までは毎週実施しており,学校教育の側面からも核家族化が進む中,児童が身近に高齢者と交流できる多世代交流の場として貴重な機会となっていましたが,令和2年度からは感染症拡大防止により休止している状況でした。これまで利用者は毎週参加することで健康維持が出来ていたり,お友達や児童たちと交流機会があることでフレイル予防にもつながっていたところです。コロナ禍のため約2年この事業を休止していましたが,その間は社会福祉協議会の職員が電話で安否確認を行っていました。お声の感じからはお元気そうではあったものの,今年1月に一時的に時間を短縮し,感染症対策もしっかり行ったうえで事業を再開したところ,利用者はこれまで外出する機会が減ったことにより,毎週定期的に体を動かしていたことがなくなったことで筋力が低下するなど,フレイルの進行が目立っていたとの報告を受けています。4月からは月2回,隔週で時間を短縮して再開いたしましたが,感染症拡大防止の観点から児童との交流はまだ行われていません。また,学校給食も再開できておらず,現在は社協が用意してくださるお弁当を黙食するという状況で事業を実施しています。  次に5ページの敬老金ですが,調布市では80歳・85歳・90歳の方に5千円,100歳の方に1万円のお祝い金を贈呈しています。令和元年度までは各地区の民生委員が対象者宅へ訪問し,手渡しによる贈呈を行っておりましたが,令和2年度からは人との接触を避けるため,ご本人口座へ振込する形に変更いたしました。実施方法につきましては,9月上旬に対象者へ案内を送付し,口座情報等を記入して頂いた書類を返送してもらい,ご本人口座に振込みをします。返送がない対象者については再度案内用紙を送付しており,それでも連絡がつかない方は,実態把握のため職員による電話連絡や訪問を行ったり,以前地域包括支援センターに関わっていた方については,包括職員に再度訪問していただきました。贈呈率ですが,令和元年度,2年度は約99%,令和3年度は約97%となっております。毎年敬老金の時期になりますと,「私はもらっていない」とか「民生委員が勝手にハンコを押して受け取ったかたちにした」等,民生委員の方々が大変な思いをして訪問し贈呈してくださっているにもかかわらず,いわれのない電話や問い合わせがあり,ご迷惑をおかけしていましたが,「口座振込にしたことで,確実にご本人が受け取れるから,もらった・もらっていないといったトラブルが減って助かる」という民生委員からのお声もいただいており,口座振込にしたことで受け取る側も渡す側も両方にとって良かったようであります。なお,これまでの訪問による贈呈ですと,ご自身の担当地区の民生委員のお顔が分かったのですが,今年度からは郵送するお手紙に,「民生児童委員担当地区一覧表」を同封しまして,ご自身の担当地区の委員のお名前と電話番号が分かるようにいたしました。  次に敬老会です。市内の75歳以上を対象に調布市グリーンホールにおいて式典及びアトラクションを実施していました。敬老会につきましては,前回の推進協でお話させて頂きましたとおり,令和2年度は初めての中止,令和3年度においても中止とし,代替事業としてポストカードと花の種の記念品を郵送にて贈呈しました。令和4年度におきましても中止としたところであります。また,今後の敬老事業につきましては,現在部会を立ち上げておりますので,引き続き協議していく予定であります。  次に百歳訪問です。令和4年9月現在,市内在住の100歳以上の方は103人,100歳は43人いらっしゃり,最長寿者は109歳(女性)です。この事業は,新たに100歳になられた方で,ご本人の承諾を得た場合,市長や部長,担当地区の民生委員等がご自宅や施設に訪問し,花束と敬老祝金を贈呈していましたが,新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが立たず,訪問時における密閉,密集,密接の回避が困難なことや,多数の職員や担当者が訪問することで対象者やご家族の健康と安全の確保ができないこと等から,令和2年度から中止となっております。なお,対象者には,敬老金の書類と併せて,百歳訪問中止のお知らせの文書も同封して送付しています。この事業につきましても,部会のなかで引き続協議していく予定であります。  最後に世帯状況調査です。住民票上70歳以上の単身世帯及び高齢者のみの世帯の方の実態を把握し,今後の福祉施策策定の参考資料とするため,毎年実施しているものです。また,災害発生時や緊急時の対応に役立てるため,居住状況や緊急連絡先の調査も行っています。調査対象者は,新たに70歳になられた単身世帯及び,70歳以上のみで構成される世帯となった方へ調査票を送付しており,コロナ前までは調査票の回収は民生委員が行っていました。  令和2年度からは,新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止から人との接触を避けるために,訪問による回収は行わず,対象者へ郵送で書類を送付し,同封した返信用封筒にて返送していただきました。令和4年度におきましても同様の形で行っておりますが,ご不明な点やご心配なことがあれば,地域の身近な相談相手であるお住まい地区の民生委員にご相談ができるよう,送付する書類に「民生委員担当地区一覧表」を同封しました。  新型コロナ感染症対応として,見直し等を行った主なものは以上となりますが,高齢者は感染を恐れて人との接触を減らしたり,外出を控えたり,また,それにより気持ち的に今までより沈んでしまったりと,これまでの生活行動とは異なってしまったことで,フレイルや要介護度の進行が心配されます。さきほどふれあい給食事業でお伝えしたように,電話では声の感じから変わらずお元気そうな様子が伺えられたけれども,お会いしてみると足腰の低下やこれまで普通にできていたことがすんなり出来なくなっているなど,現状はやはり違うということが実情のようです。このような状況把握を1事業の担当者だけではなく,他の事業担当や様々な機関等と情報共有しておくことが必要であると,先般,市川顧問からもご意見をいただいたところであります。  引き続き感染症防止対策に取り組みながら,今後も支援を必要としている方にサービスが適切に提供されるよう,自宅で生活する高齢者を支援し,高齢者の健康維持に向けたサービスの提供を検討してまいります。 ○会長 こうして3年間を数字で追ってみると,こんなにも貴重なかけがえのない機会が失われているという切ない事実を突き付けられています。今のお話についてご意見,ご質問等がおありの方は,挙手をお願いします。 ○顧問 今日の説明は非常に丁寧になされていて,私自身も学ぶことができたと思います。  このような活動の中で,調布はどのような地域社会,コミュニティーを目指すのかということがいろいろ書かれております。それに向かってそれぞれがどのような役割を果たすかという検証を始める時期ではないかと思っています。それぞれ独自に活動していますが,目指すべきものがばらばらですと不十分なものになりますので,役割の合意が具体的に求められるところだと思います。  また,分野を超えて,領域を超えてということが問われてくると思います。「みまもっと」について,幅広く作用するという次のステップになってもいいのかなという気はしています。  地域のところで,8050問題などもありますので高齢者だけではとらえきれない,年齢も含めた対象を考えておきながら,今回の委員会で具体的な高齢者について議論するというように,少し幅を持たせることが必要だろうと思います。今,重層的支援体制整備事業など,大きな課題となっている制度,政策が出てきておりますので,そことの関わりが増えてくるのではないかと思っています。 ○会長 示唆に富んだお話をありがとうございます。一生懸命取り組んでいるからこそ,今一度,結局私たちはどんな社会にしたいのかというところに戻ることも必要なのではないかと思いました。 ○事務局 「みまもっと」の事業に関して,高齢者支援室が所管してはいますが,もともとは福祉健康部の事業となっていますので,高齢者に限らず,生活困窮者,障害者なども含めて地域の中で見守っていこうという事業になっています。平成15年くらいから行っている事業なので,市内では周知は進んでいますが,特に個人の方で,包括に情報提供して,介護医療の専門職につないで,あとは知りませんよという形で終わってしまうのが非常に残念だと思います。何らかの問題があって,生活のしづらさがある人も,専門職につないでいただいてある程度生活を立て直せば,その人はまた地域に戻っていけるというところがありますので,今後は,通報として挙がってきた高齢者,生活困窮者,障害者の方たちを1回受け止めて,もう一度地域に戻していく方法を模索していく必要があると思います。 ○会長 私たち医療・介護関係者でできることは限られていますので,そこは地域の力をお借りして,とは言え,重度の方を地域の人たちに面倒を見てくださいと言っても無理なので,そこは専門職が適切に関わりながら関係づくりをしていく。地域の人が困ったらいつでも相談してもらえて,地域の中にまた戻していけるような関係性を築いていくことが,調布市が目指す姿なのかなと思います。 ○委員 資料2-3は各年度の推移もあり,とても分かりやすかったです。特に私はふれあい給食事業に注目しました。令和元年度に3,000人以上の方が参加されているのに,令和3年度では68人ということでした。ふれあい給食事業はかなり豊富なニーズがあるのだと思うのです。高齢者にとってフレイル防止にもなるし,楽しみも大きいので,4月から再開されているということですけれども,何か工夫して,児童の皆さんと接触できるような方法を考えていただけたらと思います。 ○委員 ふれあい給食は,社協で実施しております。小学校で給食を食べることを皆さん楽しみにしていらっしゃって,コロナで実施できない時にも電話でアンケートを行っておりましたが,「元気でやっています」「コロナだからしょうがないよね」と言いつつも,いつできるのだろうと本当に楽しみにしていただいていました。今,隔週で実施していますが,実施できなかった期間にだいぶ機能が落ちている方が何人もいらっしゃいます。やっと来ることができるとか,ご家族に送ってもらってでも来たいという方がいらっしゃいました。来ると皆さん生き生きされていて,書道をやったり,手芸をやったりするのですけれども,作品を作りながら「楽しかった」と言って帰るので,非常にいい場だと思います。学校で行っているが故に学校の許可が必要ですから,感染が広がると難しいところがあるのですが,学校とも連携してやっていきたいと思いますので,皆さんよろしくお願いいたします。 ○顧問 子どもたちがお年寄りと会って,命の大切さや,老いていく,しかしそこまで生き抜いてきたという人間との出会いで得ることもあるので,ぜひそれも積極的に明確にしていただいて,子どもたちが,お年寄りや障害を持った方から学べるという側面も強調していただきたいと思います。  敬老金についても,従来は民生委員の方が持っていって,顔見知りになって,この人は大丈夫なのだ,振り込め詐欺ではないのだということが分かるような機会がありました。コロナ禍の文化の中で,出会うということ,いろいろな機会を開発して,会える,会って少し話せるという,パーソナルな,エッセンシャルな議論を今後どうしていくのかを丁寧に対応したほうがよろしいかと思います。電話でいいよと相談を受け,受けた先生がおかしいなと思うことがあるかと思いますし,電話では分からないこともあります。足が腫れて大変なことになっていたということもありますので,出会っていく場をどう作るかを今後の課題にしていただき,それが,どういう社会をつくるのかにつながるのではないかと思います。 ○委員 取り組みにつきまして,本当に参考になりました。保健所は,ここ2年間コロナの対応に追われていますが,一方で,フレイルの進行や自殺者の増加などに心を痛めていたところです。感染症につきましては,皆さんがいろいろな事業を再開するにあたってご心配なことも多いかと思いますが,地域づくり,健康づくりの上でも地域活動を活発化していくところは大事なことだと考えています。  事業を再開するにあたって,感染症の上でいろいろとご心配な場合には,保健所にもご相談いただきながら,一斉に再開するのは難しいかもしれませんが,少し試しにやってみるということもお手伝いできると思いますので,感染症については保健所をご活用いただければと思います。 ○会長 ありがとうございます。とても心強いお言葉を頂きました。他にございますか。  人はつながりの中で生きているということで,子どもたちも,会っていれば特別ではなくなりますので,お年寄りの方も同じ生きてきた人生の先輩,障害の方も,障害は個性であるという当たり前の違和感のないふれあいが大事だと思います。いろいろ困難はありますが,便利さと残したほうがいいことを皆で工夫しながら進めていければと思います。今後ともよろしくお願いいたします。今日はこれで終わりになります。 4 その他   事務局より事務連絡 5 閉会 - 4 -