令和3年度第1回調布市健康づくり推進協議会 成人保健部会 会議録 日 時:令和3年11月5日(金) 18:57〜20:30 場 所:調布市文化会館たづくり西館 保健センター2階 予防接種室 出席者:委員5人 欠席者:委員1人 傍聴者:0人 議 事   1.開会   2.議題     (1)がん健診について     (2)歯周病検診について     (3)コロナ禍における健康教育等の状況について     (4)受動喫煙防止に関する取組     (5)調布市健康づくり始める会の支援について     (6)調布市国民健康保険の保健事業について     (7)高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施について   3.その他事務連絡等   4.閉会 (配付資料)   【資料1―1】調布市人口統計   【資料1―2】死因別標準化死亡比   【資料1―3】市実施のがん検診受診状況   【資料1―4】5がん精密検査の受診状況(性別・5年齢区分別) 【資料2】歯周病検診 【資料3】コロナ禍における健康教育等の実施状況について 【資料4】受動喫煙防止に関する取組   【資料5】調布市国民健康保険の保健事業について 【資料6―1】高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施 【資料6―2】高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に向けたデータ分析結果報告[抜粋] 【資料6―3】令和3年度実施状況 ○事務局から(次第1開会)  ・会議の公開の案内   ・出席委員の確認及び会議成立の確認 2 議題 ○事務局  (1)がん検診について (資料1―1)調布市の人口は,平成22年と比較して1万3,000人余り増加。高齢化率は徐々に上昇しているが,全国や東京都と比較して低い状態。男女とも人口が多い年齢区分は20歳以上59歳までとなっている。 (資料1―2)調布市の主な死因割合と5がんの30歳以上の死亡者数。国立保健医療科学院ホームページに掲載されている2009年から2018年の死因別標準化死亡比。なお,乳がんと子宮がんについては掲載がないため,北多摩南部保険医療圏保健医療福祉データ集の平成26年度版から令和2年度版の数値で,東京都を基準にして作成している。  調布市の特徴は,全死因とも国や都と比較して低い。胃の悪性新生物は,国や都と比較して男性は低いが,女性は国や都が改善してきているのに対し横ばいとなっている。 気管,気管支,肺の悪性新生物の男性は下降傾向にあり,女性は上昇傾向で,2018年には国と同等。慢性閉塞性肺疾患の男性は年々上昇し,国や都と同等。女性は下降傾向にあり,国や都と比較して低い状況。関係する受動喫煙対策について,後で報告したい。 急性心筋梗塞,虚血性心疾患は男女ともに国や都と比較して高い状況。自殺は,男性は全国や都と比較して低いが,女性は高い状況。自殺対策については,第2回全体会で御報告したい。乳がんは平成24年度から下降していたが,平成28年度以降上昇に転じており,一時的なものか経過確認が必要。子宮頸がんは平成29年,平成30年と上昇。 内視鏡による胃がん検診,前立腺がん検診以外は受診率が減少傾向。令和元年度の年度末から新型コロナウイルス感染症の影響を受け,令和2年度は特に受診率が低下。内視鏡による胃がん検診は,国の指針に基づき,令和元年度に50歳から64歳までの偶数年齢を対象に開始し,令和2年度には66歳と68歳に拡充しているが,コロナ禍でも高い受診率を維持。一方で,バリウム検査は減少傾向が続いている。(資料1―1の2ページ)胃がんは30歳から40歳代でも死亡者がいる。40歳代の胃がん検診受診率の向上が課題。 大腸がん検診は,検便の提出という手軽さからか,ほかのがん検診に比較して受診率が高い状況。平成30年の全国がん登録罹患数・罹患率報告によると,大腸がんは部位別,年齢調整罹患率で見ると,男性は1位,女性は乳がんに次ぐ2位。さらなる受診率の向上が必要。  次に,肺がん検診,調布市は40歳以上の方を対象に申込制で実施している。受診者数が著しく少なく,受診者数を増加させることが重要課題。  次に,子宮頸がん検診,平成27年度は16.1%で,平成28年度以降低下し,10%程度の低い受診率が続いている。  次に,乳がん検診,平成27年度は15.6%で,平成28年度以降低下し,子宮頸がんと同様に低い受診率が続いている。  以上のことから,課題である検診受診率向上に共通することとして,がん検診の必要性の理解を高める啓発や,SNS等を活用するといった周知方法の検討,医師会の御協力を得ながら,実施方法や案内など検討していく予定。当面の対策としては,妊娠,出産,子育てと女性の生涯に大きな影響を及ぼす子宮頸がん,乳がんの受診率向上を優先的に対応したいと考えている。  資料1―4,5がんの精密検査の受診状況  一次検診の受診率と間違えやすいため,精密検査の受診率については受療率としている。要精密検査となった方の精度管理は,医療機関や御本人に文書や電話で5回の受療勧奨の問合せと3回の受療勧奨を行っている。  胃がんの内視鏡検査は100%に近い受療状況。本人の同意が得られれば,その場で保険診療として組織検査等を実施できるためと推察する。  胃がんバリウム検診や大腸がん検診につきましては,未受療の方がいる。高齢になると未受療者率が高くなる傾向にある。  乳がんは40歳から54歳の比較的若い世代に未受療者が多い状況。  電話勧奨で未受療理由を聴き取ると,要精密検査の結果を認識していない方や,自覚症状がないから,高齢のため,内視鏡の検査は2年から3年に1回と医師から指示を受けているという方が多くいた。また,改めて受診し精密検査を受けることを面倒と感じる,精密検査の結果を知るのが怖いという方もいた。  今回は単年度でしたが,精密検査受療率の経年分析を行い,がん発見者の過去のがん検診及び精密検査受療状況の確認,受療勧奨を重点的に実施する対象の検討や受療勧奨通知文の内容,不安を軽減できるよう精密検査の方法の紹介,啓発資料の作成などを検討し,受療率向上に努めたい。 <質疑応答> ○委員  資料1―3―1の胃がんのところ。令和2年度のバリウムがとても減っているというグラフではあるが,内視鏡検査が2年に1度しか検査ができないということを考えると,便宜上令和2年度のバリウムの人数に令和元年度の内視鏡の受診者も加えると,前年度にかなり近いような数になるのかと見ている。今日の新聞には,がん検診が3割ほど減っているという話もあったが,調布市は幸いそこまではいかず,前年度比で9割前後までは受けている状況かと捉える。医師会の先生方がコロナの緊急宣言明けに,予定以上に予約を取って検査をしてくださったおかげでもある。  乳がんや子宮がんは,それでも少し少なめという感じだが,2年に1度ということで,昨年受けなかった人が今年受けているとか,何かそのような傾向があるのかどうか,もしつかんでいることがあれば,事務局に聞いてみたい。 ○事務局  乳がんと子宮がんは2年に1回ということですが,昨年受けなかったから受けているという方は何人かいると思うが数字として把握はしていない。ただ,申込制検診の中で申し込むに当たって,昨年度,受診控えをしたという話は何件か聞いた。 ○委員  今回,追加の資料として子宮頸がん検診と乳がん検診の,多摩地区の周りの市の比較を具体的に調べて出していただいて大変よかった。こういう具体的なものを出していただくと,今後どこが他市に比べて受診率が低くて劣っている原因かというのがよく分かると思う。  今までこの会に何度か出席したが受診率を上げることが必要という話は毎回出ているが具体的にどのようにしたらそのように持っていけるかという具体的なことまでがなかなか出てこなかった。今回は子宮頸がんとか乳がんだが,個々のがんで受診率が周りの自治体と比べて低いものがあったら,大変だと思うが,このような調査をぜひまたやっていただいて,具体的な対策を練っていくのが必要かと思う。   受診率向上に関しては,医師会も積極的に対策を協力して講じていきたいと思うので,ぜひ協議をする場を設けていただければ,御協力していきたいと考えている。 ○事務局  女性がんもだが,今後ほかの検診についても,医師会の先生方と相談させていただき検討会を持ちたいと思っている。お願いしたい。 ○部会長  今回のがん検診,調布市は先ほど委員からも話があったように9割程度,日本全体では3割程度下がっているということで,数値の差が大分出ているが,何か工夫されたとかはあるのか。 ○事務局  医療機関で,予約枠を広げてくれたりしたことがあると思う。また,少人数であるが。バリウム検査の集団健診日程を調整して,受け皿をつくる努力はした。検診を中止した期間分を延長,医師会の先生方の協力で調整した経緯もあった。 ○部会長  武蔵野市の受診率がちょっと高いが,全員対象に受診票を送るというのは,調布市は予算の関係でそこまではできないというのがあるのか。 ○事務局  これは20歳以上の女性。人口数が多いので,その分の郵送料だけでも莫大になってしまう。その分の予算を確保するというのがかなり厳しい状況。 ○委員  自己負担金額というのは大分差があるようだが,これについては。 ○事務局  調布市が有料にしているものは,胃の内視鏡検査と乳がん検診と前立腺がんの検診のみ。低い金額で,代わりに全ての検診で自己負担を導入している市町村もあり,一概に決まりはなく,自治体ごとで決めているもの。調布市の場合,今まで無料だったものは,できるだけ無料を継続できるようにし,新規に導入したものは自己負担金を導入したという経緯がある。 ○部会長  大腸がん検診は,便の検診ではなくて内視鏡に代えていくとか,そういう方向はどうか。 ○事務局  国の指針が検便となっている。内視鏡検査をがん検診としては実施できない。 ○事務局  (2)歯周病検診受診状況について(資料2)  平成30年度から令和2年度までの個別通知の総受診者数と総受診率は,いずれも女性が2倍近く高く,年齢別の受診率でも女性が高い状況。中央のグラフのとおり,受診率は男性が5%台,女性はコロナの影響がなかった平成30年度でも11.1%と受診率が低い状況。ページ下のグラフのとおり,3年間の平均の性別,年齢別受診率は,35歳から60歳までは同様の傾向だが,70歳になると男女の差は小さくなっている。  2ページ目の(1)のイ。申込制検診の受診者数は,新型コロナウイルス感染症の影響を受けて,令和元年度,令和2年度は受診者数と受診率がともに低下。受診率は40%台で,個別通知に比較して高いものの,ほかのがん検診等の申込制検診と比較して低い状況。  次に,2ページの(2)受診結果は,一番下のグラフのとおり,要精密の割合が平成28年度は83.3%,平成29年度以降も60%以上が継続。異常なしの割合は7%から9%台を推移。  続いて,3ページ,申込制検診は,個別通知と比較すると要精密の割合が若干低くなり,要指導の割合が増加している。歯周病検診は歯周病の予防と早期発見,早期治療の開始につなげ,口腔の健康の保持ができることを目的としている。また,近年,糖尿病や認知症など,全身疾患との関連性があることが分かり,口腔だけでなく,生活習慣病の発症や重症化を予防し,社会生活を営む上で必要となる心身機能の維持向上に重要であることも分かってきている。  これまで20歳を迎える女性に子宮頸がんに関する啓発とがん検診の周知を行う際に,併せて歯周病と歯周病検診について周知してきた。男性の受診率が低いことから,来年度以降は20歳の男性にも歯周病についての啓発と歯周病検診の周知を行い,受診率の向上に努めていきたいと考えている。 <質疑応答> ○委員  部会長にお聞きしたい,歯周病は何パーセントぐらいの人が持っているのか。 ○部会長  国民の70%程度が歯周病と言われている。 ○委員  では,まだまだ受診率が低い。 ○部会長  私から質問。国の方針で,骨太の方針が毎年出る,今回も歯科では生涯にわたる口腔の維持とか検診という言葉が出てきているが,地区によっては100歳まで個別検診等をしている市町村がある。歯科にあまり関心のない市町村は大体同じような形でいくが,ここに来て,骨太の方針が出ているところで,市町村によってはもっときめ細かく検診をしているところもある。調布市としては今後,その辺,いかがか。  先ほど事務局からも説明があったように,全身の疾患と非常に関係が深い。あと,医科とのレセプト,歯周病の突き合わせると,診療報酬でも大分差が出ているというのはデータとして出ているので,多分御存じだと思うが,その辺,事務局はいかがか。 ○事務局  対象年齢を拡大というのもあるが,現状まず対象となっている世代の受診率がかなり低いので,まずこちらの世代の受診率の向上を優先的に考えている。 ○事務局  (3)コロナ禍における健康教育等の状況について(資料3)  (1)骨粗鬆症予防教室の実施状況は表のとおり。新型コロナウイルス感染拡大防止のために,昨年度から参加者が密にならないよう定員を36人から30人に減らし,受付時間の分散化などを工夫して行っている。今年度,既に18歳から64歳女性対象の若骨というものを開催しているが,定員に対して8割から9割の来所があった。65〜70歳の老骨の教室も同じ状況。事前にキャンセルが出た場合は,ほかの希望者に連絡し,一人でも多くの市民の方が利用できるように留意している。  (2)今から始める健康づくりシリーズは,実施状況は表にあるとおり。昨年度は1回当たりの定員を35人から15人に減らして実施。一回に来所される人数は,令和元年度までは定員に対し4割程度だったが,令和2年度は6割の方が来所した。今年度は1回実施し,少人数だが,申込者全員が参加した。  (3)ピンクリボンキャンペーン。今年度は10月の1か月間,京王線調布駅改札口近くのトリエA館地下1階コンコースのデジタルサイネージに,乳がんの関心を高めるために,乳がんの罹患状況や検診受診状況をパワーポイントにして上映した。内容は,右の参考@,参考A,参考Bなどに記載のとおり。机を設置して,写真のような啓発グッズの配布も行った。通勤途中の人が多く往来する場所のため,多くの方に啓発できたと思う。来年度は,ほかの事業でもこの場所の活用を考えている。  そのほか,資料はないが,今年度は昨年度に続き,地域に出向く出前講座など健康教育が難しい状況だった。学童に出向く健康教育については,テーマを今年度は「お口の健康」として,昨年同様,紙面の資料を作成中。また,就学前の年長児を対象とした保育園の保護者向けの健康教育は,昨年度作成した紙面資料を希望の園に配布して,子どもの生活習慣や保護者の検診受診の大切さについて伝えている。  新型コロナウイルス感染症の影響は来年度も継続すると予測される。このような状況でも実施可能な健康教育活動の方法を検討していく。 <質疑応答> ○委員  骨粗鬆症の予防教室というのは,具体的にはどういうことをやっているのか。よく知らないが,骨密度を測ったりしているのか。 ○事務局  骨密度はDXA法で,レントゲンで橈骨の写真を撮っている。今年度はコロナの影響でできなかったが,18歳から64歳の女性に関しては,予防の視点を大きく取り上げて,栄養のお話を栄養士から,運動のお話は実技を含めて運動指導士が行っている。65〜70歳対象の老骨は,予防の視点というよりは,今の状況を知っていただいて,必要な方には受診を促している。内容は違うが,検査方法は一緒。その後のサポート体制を年齢に合わせて変えている。 ○委員  時間としては1時間とかそれぐらいか。 ○事務局  両方ともトータルすると半日,9時ぐらいから11時過ぎぐらい。会場を広くとり,ウォーキングの実技をしているが,今年度はコロナの影響しっかりできてはいない。18歳から64歳までの方は,運動に興味のある方がとても多く,参加されるとすごく一生懸命やってくれるという印象がある。時間は2時間程度。 ○部会長  骨粗鬆症は,女性の方で70歳を越えると急激に増えてきて,治療方法も,前は飲み薬が多かったが,最近注射薬など治療法も変わっている。転んでしまって,大腿骨骨折から歩けなくなるという方も多いようだが,その辺,この治療の方法はどんどん進歩していくのか。高齢の女性の方はすごい勢いで骨密度が下がるようだが。 ○委員  いろいろいい薬も出ているので,特に今,注射をすると結構よくなるみたいだ。ただ,それは整形外科の専門の先生のところでないとなかなか難しいと思う。  あと,骨密度はDXA法でやらないと正確には分からない。うちでも手でやっているが,一番大事な大腿骨とか腰椎とかの骨密度と末梢の骨の骨密度は結構乖離する場合も多い。ですから,怪しいような方は,ぜひDXA法で正確に測れるようなところで一回測ってもらうのが一番重要かなと思う。特に大腿骨とか腰椎とかというのは,骨折することによってかなり動けなくなってしまうような重要な場所なので,そういうところの骨密度が低い方はしっかり治療しないと,将来的に寝たきりになるような患者さんも出てくるので,そういうことが大事かなと思う。 ○部会長  薬局で最近のBP製剤の処方はどうか。 ○委員  飲み薬について言うと,1か月に1回とか,そういう方が増えてきている。だんだんいい薬が出てきているので。注射の方もいる。 ○部会長  気をつけてほしいのは,歯科の場合,顎骨壊死を起こす人がまれにいらっしゃって,それの治療がめちゃくちゃ大変なので,薬との副作用として苦労している。 ○委員  なので,歯科にかかっているかというのは聞いたりする。聞いて,そういう場合はトレーシングレポートということで,歯科の先生方に今こういうお薬を使っていらっしゃいますと。でも,歯科の先生にそういうお話を聞かれましたかとか,お話ししましたかと言うのだが,ほとんどしていないみたい。なので,その辺のところは今後密にやっていったほうがよいと思う。 ○事務局  (4)受動喫煙防止に関する取組について(資料4)  初めに,(1)調布市受動喫煙防止条例の概要について。1つ目が禁煙区域の設定で,駅前広場や駅周辺の路上等喫煙禁止区域や,学校,児童福祉施設等に隣接する路上,市の施設,公園,広場を禁煙としている。  2つ目が子どもへの取組について。通学路における子どもへの配慮について定めており,調布市の通学路の電柱には啓発のための看板を設置している。  3つ目が啓発,教育の推進について,これは後ほど(3)市の取組で説明します。  4つ目が市民,事業者の責務について。条例により,市民,事業者は受動喫煙防止に努めることを定めている。  次に,(2)課題について,1つ目が条例の認知率。調布市市民を対象とした調査の結果,令和2年1月時点で条例を知らない方が約4割いた。  2つ目の課題が,過料の開始時期。条例では,(1),アの禁止区域のうち,駅前広場や駅周辺の路上でたばこを吸い,指導員が注意したにもかかわらず,たばこを吸い続けた場合,2,000円の過料を徴収することを定めている。また,実際にいつから過料徴収を開始するかは,条例施行後の状況を見極めながら判断することとなっています。現状としては,市として過料を取るためには,まだまだ状況を整える必要があると考えている。条例の認知率,禁止区域の掲示,現在行っている過料の対象区域のパトロールの状況,近隣自治体の状況などを踏まえ,今後も検討を重ねていく。  3つ目の課題が緑地・緑道の禁煙。左側が普通の道路,右側が緑道となっている。緑道や緑地は,現在は禁煙区域としていない。しかしながら,緑地・緑道内のベンチなどでたばこを吸う方が多く,受動喫煙被害の苦情が市に寄せられているところ。現在,緑地・緑道を管理する緑と公園課と緑地・緑道の禁煙について協議している。  最後に,(3)市の取組について。1つ目が条例の周知。課題でも述べたとおり,条例を知らない市民が約4割いるため,条例を知ってもらうための取組を実施している。路上での表示や広報活動,チラシの全戸配布やキャンペーン,過料の対象となる路上等禁止区域でのパトロールなどを実施し,条例を知る人,守る人を増やしている。  2つ目が子どもへの取組。受動喫煙は,体が未発達な子どもへの影響が大きいため,また,たばこは若いうちに吸い始める方がほとんどであるため,たばこの有害性について子どもたちに直接授業をしていただいている。  3つ目は,禁煙相談の実施。医師による禁煙相談を年1〜2回実施。医師が問診,相談を行い,相談者の健康状態に合った禁煙方法について提案している。  4つ目が路上等における受動喫煙についての個別相談・対応。苦情があった店舗などを直接訪問し,受動喫煙防止の協力を依頼している。  5つ目が庁内連絡会の開催。受動喫煙対策を市役所全体で横断的に推進するため,施設を管理する部署や教育,まちづくり,生活環境などの部署を招集し,会議を開催している。  今後もこのような取組を推進し,受動喫煙防止を推進していく。 <質疑応答> ○委員  緑地・緑道の禁煙ということで,苦情が多いということなのですけれども,具体的にはかなり? ○事務局  数は手元にないが,市民からの投書と申しますか,御意見というところで,川のそばにある緑道のところにあるベンチとかで吸っている方がいて,子どもが近くにいるときにそれはどうかという意見が複数あったりという事案がある状況。 ○委員  これとはちょっと別なのですけれども,調布市は喫煙所を絶対つくらないということで頑張っていただいているのですが,議員の先生は喫煙所をつくれという意見を言われていて,喫煙者からの要望が多いということを,医師会でもこの間,意見検討会をやったときにお話があった。ただ,内情としては,喫煙所をつくれという意見よりも,たばこを何とかしろという市民のほうが絶対的に多いという話も聞いているが,その辺はどうなのか。喫煙所をつくれという意見も,市に寄せられる要望としてあるのはあるのか。 ○事務局  喫煙所をつくってほしいという要望はあまりなく,御意見としてよくいただくのは,例えば近所のベランダで吸っている人がいて,その煙が流れてくるとか,個人の敷地内で吸っているものが道路側に流れてくるのでやめてほしいとか,店舗に喫煙の灰皿が置いてあるので,それが流れてくることで受動喫煙が生じているといった苦情とか,そこの撤去の要望とか,そういった意見のほうが圧倒的に多い状況。 ○委員  あと,喫煙所をつくれという要望の根拠の1つとして,ポイ捨てが多くなるということを必ず言うのだが,そういう苦情というのは具体的にあるのか。たばこのポイ捨てが増えてちょっと困るとか。 ○事務局  今,環境政策課で駅前のパトロールを行っているが,その中ではポイ捨てがあるので,パトロール員がそのときに吸い殻を拾ったりして処理はしているが,そういった苦情も一定箇所にまとめてポイ捨てがあるという苦情も受けている。特に駅前の少し隠れた部分が多いという形で聞いている。 ○委員  吸う方からは,吸える場所がないから道路で吸うしかなくて,道路に捨てるしかないみたいなニュアンスでの御意見をいただくことがあるが,そもそもそれがそれでいいというところが違うのではないかと思っていて,まだまだたばこの健康への害が正しくみんなには伝わっていないし,上っ面だけ肺がんでしょと。でも,たばこを吸っていても肺がんにならない人もいるではないか,みたいなことで片づけられている部分があるのかなと思うと,ここのところを調布としてもうちょっと深く皆さんに知っていただくことがまず一番大事と思っているので,ぜひ医師会の先生方,歯科医師会の先生方,また薬剤師会の先生方にも御協力を得ながら,子どもだけではなく,吸わない大人も,吸う大人も含めてたばこの害についてもっと広めていく必要があるのかと思っている。 ○部会長  たばこ税のことで,こことは関係ないかもしれないのですけれども,コロナ禍で都内のオフィス街では,自宅で仕事になったのでたばこ税が減ったと。多摩地区は皆さん自宅にいてホームワークしているので,たばこを買って吸う人が増えたので,たばこ税が増えたということを新聞報道されていたが,調布ではそのような傾向があったのか。 ○委員  担当課に確認しているが,具体的にそのような状況までは把握していないと聞いている。 ○部会長  御家庭で,調布などは在宅勤務の方が増えて,加熱たばこにして,自宅で吸ったときに子どもさんが受動喫煙されている可能性はなかなか目に見えないと思うが,その辺で以前,子どもの尿検査で喫煙状況が分かると提案したときには,検査料が高くて調布では無理だと言われたが,在宅で,皆さんおうちにいる環境の中で受動喫煙がどのような状況か市で調べられればお願いしたい。以上,要望です。 ○委員  禁煙相談の実施ということで,年1〜2回やっていらっしゃると。こういうのは具体的にどんな形で。 ○事務局  医師会の先生にお願いして,日程を設定して実施している状況。 ○委員  薬局にも禁煙についてということで,割といろいろ来るのだが,その際禁煙外来をやっている先生を紹介という形か。 ○委員  はい。ぜひ。今,チャンピックスが使えないので。 ○委員  最後に,喫煙所の問題だが,たばこの健康の被害とポイ捨てという美化の問題を同等に扱って,それで喫煙所をつくるというのは大きな間違いだと思うので,どうしてそういうことがまた言われるかというと,たばこの健康被害,どれぐらい健康に悪いのかというのがまだまだ周知が不十分だということなので,医師会としましても,そういう面も市と協力して周知に取り組んでいきたい。喫煙所をつくらないという方針はぜひ堅持していただければと思う。喫煙所を減らすことによって,何人かの方々はたばこをやめる気持ちになる方もいるので,それが一番重要だと思うし,喫煙所をつくったからといって,ポイ捨てが減るとは決して思えません。喫煙所をつくってもポイ捨てする人は必ずいるので,ぜひ今の方針を堅持していただければと思う。 ○部会長  歯科医師会からも,たばこを長期に吸っている人のお口の中というのは本当にひどい状態で,保険診療の報酬でも,たばこで歯が1本なくなった人の保険料は莫大にかかってくる。財政面からもたばこをやめてもらったほうが,医療費の問題解決に多少なってくると思うので,ぜひこの方針を進めてください。よろしくお願いいたします。 ○事務局  (5)調布市民健康づくり始める会の支援について  調布市民健康づくり始める会は,第1次の調布市民健康づくりプランをきっかけに発足した会。平成18年度発足から今年で16年目となる。現在会員は,昨年度末,令和3年3月31日時点で271人,そのうち男性が77人,女性が194人。会員の平均年齢は77.8歳。  令和2年度から令和3年度の上半期は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大予防のため,全てのイベント活動を中止した。令和2年度は,活動を中止している間,イベント実施に向けた協議,検討の場として,運動部会の定例会議を年5回,運営委員会を年3回開催した。また,令和2年度は,集まってのイベント活動ができない中でも,コロナに負けない健康づくりを楽しんで続けていただきたいという願いから,会報に運動部会スタッフからの声を寄せて発信したり,また自宅でできる体操とか,心の癒やしを届けるための在宅編のフラワーアレンジメントであったり,コラージュなどをチラシにして,年4回会報に同封して送付した。  令和3年度は,令和3年10月2日土曜日に,会員限定でウォーキングイベントを再開することができた。参加者は63人と例年に比べるとやや少ない人数だったが,久しぶりに再会を喜ぶ会員の皆さんの笑顔が印象的でした。また,5キロから6キロ程度のウォーキングコースだったが,当日は台風一過で暑い日となったこともあり,途中離脱してしまう方もいて,「20キロくらい歩いたようだった」などの声も聞かれた。会員の多くは御高齢のため,コロナ禍で外出ができなかったことによる脚力の低下等,影響は大きいと感じた。  今後も社会活動の参加機会をできるだけ確保できるよう,また新型コロナウイルス感染症の感染対策下での活動について,引き続き会員の皆さんと協議しながら進めていく予定。また,運営スタッフの高齢化が継続課題となっており,始める会の活動を持続できるように,次の世代の運営スタッフの育成についても,会員の皆さんと協議しながら模索していく。 ○事務局  (6)調布市国民健康保険の保健事業について(資料5)  初めに,1の特定健診について。受診率の実績値の推移については,図1のとおり。令和2年度は,新型コロナウイルス感染症による影響を受け,受診期間の延長等の対応等も行ったが,令和元年と比較すると,実績値で6.8%の減少が見られる。  図2は,法定報告値の推移。第3期調布市特定健診・特定保健指導実施計画では,令和2年度の受診率の目標値を58%と設定していた。市の受診率としては目標値には達していないものの,26市の平均を超える基準でここ数年は推移している。市では受診率の向上を図るため,前年度未受診者の方,健診初回年齢となる40歳の方,また隔年受診者及び前年度保健指導対象者への電話による受診勧奨を行っている。また市独自の取組として,特定健診以外の健診を受診した方に関して,健診結果の提供の協力を呼びかけている。提供いただけた方については,健診受診者としてカウントされるので,受診率の上昇にも寄与している。  今後の取組としては,引き続きコロナ禍でも安心して健診を受診していただける体制づくりに努め,受診勧奨を継続して,被保険者の方の健康増進や,疾病予防,早期発見のために体制を整えていきたい。またさらに,現在行っている電話連絡以外の受診勧奨以外の有効な方法も検討していきたい。  続いて,2の特定保健指導について。実績値の推移としては,図3のとおり。こちらも特定健診と同様に,新型コロナウイルス感染症などの影響を受け,事業利用者が減少した。また,緊急事態宣言による施設の停止もあり,予約していた日程を変更していただくこともあった。  実施計画としては,目標値を37.5%と設定していたが,図4のとおり,実施率と目標値には乖離があるのがここ数年の現状となっている。受診されていない方の理由としては,健診は年に1回の健診状態の確認の機会として希望される方も多い印象だが,保健指導に関しては,時間がない,特に自覚症状がなく困っていない,コロナのことがあり外出したくないといったような生の声が聞かれている。この方たちに,どのように呼びかけていくと行動変容につながるのかを含めて,来年度の勧奨方法を検討していきたい。  今後の取組としては,特定健診の結果返却の際に,医師の先生方から直接特定保健指導の医療勧奨を行っていただいた方は,利用への意識やモチベーションもしっかりしている印象があるので,引き続き医師会の先生方とも連携を図りながら事業を行っていきたい。  続いて,3の国保ヘルスアップ事業について。調布市の国民健康保険データヘルス計画の位置づけとしては,調布市の基本計画に基づき,調布市健康づくりプランとも連携したもの。このデータヘルス計画の下,効果的な保健事業が展開できるように事業実施を行っている。アの医療分析に関しては,記載のとおり。令和2年度は第2期データヘルス計画の中間評価を行い,後期に向けた計画の見直しを実施した。  イの糖尿病重症化予防事業に関して。この事業は,まず特定健診の結果と糖尿病のレセプトがある方から対象者を抽出し,その方へ事業紹介のプログラムを送付している。4ページに掲載している書面がプログラム案内の一部。それと同時に,対象者の主治医の先生方へもプログラムの説明と御案内,さらに参加に向けて協力の依頼文書を送付している。その後,対象者の方の参加希望の有無を確認し,希望者の方へは,こちらから普段受診をされている主治医の先生の基に生活指導票を記載させていただくような流れをとっている。効果的な指導が行えるように,毎月のフォロー内容の結果を主治医の先生と共有し,連携を図りながらプログラムに参加していただけるようにしている。なお,支援期間としては6か月。  課題として,近年は事業開始からの完了者の推移の表にあるように,プログラムの参加希望者が減少傾向にある。その理由の1つとして,アンケートからうかがえることが,仕事等で多忙なこと,糖尿病という基礎疾患があるので,新型コロナウイルスの重症化への懸念や,既に定期的な通院先があるため必要としないという声が上がっている。そのため,今年度から少しでも感染症のリスクを軽減できるよう,面談方法を今まで行っていました対面方法のみからオンラインでの実施も可能とし,選択できるようにしている。  今までの事業を利用した参加者の方からの経年のアンケートからは,プログラムを利用したことで,糖尿病について改めて深く学ぶことができた,生活を振り返るきっかけになった等の声が聞かれ,内容に関しては満足度の高いプログラムとなっている。対象者の方の健康寿命の延伸や医療費削減の面からも,重要な意義のあるプログラムなので,今後も医師会の担当の先生方とも相談させていただきながら,対象者の抽出基準や事業の進め方については検討していきたい。  続いて,ウの受療勧奨について。目的,概要については資料のとおり。こちらの検査項目の抽出基準に関してですが,特定健診の厚生労働省第3期の標準的な健診・保健指導プログラムや人間ドック学会の基準値を基に,医師会の担当の先生と相談し決定している。  項目については,高血圧,高脂血症,糖尿病の3項目が該当する方へ勧奨文を送付している。案内文は,資料下部に掲載している内容。こちらは過去3年分のデータの経過をグラフにしていて,受診レベルにある人は色つきで表記し,放置することで罹患しやすい疾患等をまとめて視覚的に分かりやすくなっている。さらに,送付対象者の中で著しく検査結果の悪い方には,通知後に看護職から電話勧奨及び現状確認を実施している。その後,3か月後に受診したかどうかの結果を行い,効果の測定をしている。その結果がこちらの表。  また,令和元年度より受療勧奨の一環としてCKD,慢性腎臓病の該当者の方に関しても,CKDの説明と受診の必要性を記載したリーフレットを一緒に送付している。  続いて,エの薬剤併用禁忌回避予防啓発事業について。こちらは例年一定期間のレセプトから,併用して服用すると重篤な副作用が出現する可能性があり,併用禁忌回避とされている薬剤を抽出して,その結果を各医師会の先生に情報提供をしている。その後,医師会,薬剤師会の先生方に御検討いただいて,会員の皆様に各機関へ周知していただいたり,情報共有を図っている。  令和2年度併用禁忌の組合せが1組,対象者としては1人,併用回避の組合せが130組,該当者は69人いた。また,加入されていない医療機関,薬剤薬局に関しては,保健所から開設情報をいただいて,保険年金課から直接情報提供を行っている。なお,併用禁忌の薬剤に関しては,前年度からの継続があるかどうかも確認しているが,過去3年においては,2年連続での継続利用に該当する対象者は見られず,もともとの該当者数が少ない中ではあるが,一定の啓発や注意喚起の効果は見られていると思われる。  さらに,4月と10月をお薬手帳活用周知月間として,市内の各医療機関・薬局にボスター掲示や声かけに協力していただくように声かけをしている。同時に,市報や市役所内設置のデジタルサイネージへの掲示も行い,市民への周知啓発に努めている。今後もお薬手帳の活用については,引き続き啓発活動を行っていきたい。 <質疑応答> ○委員  1つ教えていただきたいのだが,特定健診の受診率で,目標値を決めているのですが,この目標値の決め方は何かあるのか。 ○事務局  データヘルス計画を策定した際に,国の動向等を参考にして決めていると聞いている。 ○委員  保健指導の実施率は低いし,糖尿病性腎症重症化予防プログラムの参加も少ないので,何とか増やしたいなと思うが,なかなかいい考えが。 ○委員  薬剤の併用禁忌については,データをいただいて,医師会の先生との間でということだが,問題は何回も申し上げているが,会員外薬局であるとか,医療機関の先生がすごく飛んでいるところがある。調布市の医療機関で,都区内の医療機関だったりとか。だから,こちらとしては個別に連絡をして,注意をしてくださいと言われても,そこで止まってしまうような感じ。そういうところまでは連絡は行っているのか。 ○事務局  医師会・薬剤師会未加入機関に関しては,保険年金課より開設の薬局及び医療機関に関してと,同じ文書を送付している。 ○委員  分かりました。 ○部会長  歯科医師会は,糖尿病と歯周病の関係が非常に言われていて,歯周病の治療で,ヘモグロビンA1cを下げることができるので,ここにはあまり文言は出てこないが,歯科の業界では入っているので,文書にも何か一言入れていただけるとありがたい。 ○事務局  ありがとうございます。今回,報告文に載せそびれてしまったが,2年前より糖尿病のレセプトがあり,過去1年間歯科レセプトがない保険者の方に関しまして,歯周病検診の啓発のリーフレットと健康推進課で実施しております申込制の歯周病検診のチラシを送っている。部会長から御指摘いただきましたように,歯周病と糖尿病等との全身疾患の関係はすごく深く予防が大切というところで,保健所のリーフレット等も活用して,今後も少しずつですが,啓発活動は続けていきたい。 ○事務局  (7)高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施について  昨年度,全体会で資料6―1を御覧いただきながらお伝えしたとおり,令和3年度東京都後期高齢者医療広域連合から,被保険者である原則75歳以上を対象とした高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施事業の委託を受けた。東京都の広域連合の目的は,フレイルなどの心身の多様な課題に対応した保健事業を行い,後期高齢者の健康の保持,増進及び医療費適正化を資すること。  フレイルとは日本老年医学会が提唱した用語で,加齢に伴う予備能力低下のため,ストレスに対する回復力が低下した状態を表し,要介護状態に至る前段階として位置づけられる,身体的,精神的,社会的脆弱などの多面的な問題を抱えやすく,自立障害や死亡を含む健康障害を招きやすいハイリスク状態を意味すると定義されている。少しずつできる範囲から開始し,約半年が経ったので,現状について報告する。  一体的実施は企画調整担当が行う「分析,企画,コーディネート」と,支援担当者が行う「ハイリスク者への支援と,通いの場の参加者に対するフレイル予防の普及啓発」があり,これらを並行して実施している。  まず,分析・企画・コーディネートだが,昨年度から高齢者の保健事業・介護予防一体実施推進連絡会を実施し,庁内関係各課が集まり,高齢者のフレイル予防のための各部署の持つデータや実施事業の確認,各部署で何ができるかを考えているが,まだまだ情報共有が必要な状況。  また,実施には地域の健康課題を明確化することが必要で,KDBと呼ばれる国保データベースを中心としつつ,今年度当初に活用できる様々な情報を基に,国や都と比較した調布市の特徴と,調布市の平均と市内8福祉圏域との比較をし,特徴を考えた。  抜粋して報告する。調布市は令和3年度から小学校2〜3校ずつ8つの福祉圏域を定め,1圏域に1ずつの地域包括支援センターが配置された。  令和2年度の調布市の高齢化率は21.2%,東京都,全国の平均よりも低い状況。調布市の平均自立期間や平均余命の年齢は,そのほかの地域と比べて高いことが分かった。  調布市の被保険者は2万6,773人で,女性が6割を超えている。  年齢に関係なく,死因別死亡者数を見ると,悪性新生物が全体の3割,その他の全死因,3番目が心疾患,次いで老衰の順番。標準化死亡比で見ると,急性心筋梗塞,その他の悪性新生物が多いことが分かる。  次に,後期高齢者医療被保険者の医療編を見ると,被保険者の95.6%は何らかの医療を受けている。令和2年度の受診率は,外来,歯科ともにそのほかの地域と比較して高く,入院は低い結果。これは外来できちんと管理されているため,入院せずに済んでいるという読み方もできる。特に歯科受診率はかなり高く,日頃から歯や口腔の状態に気を配り,かかりつけ歯科医を持ち,口腔ケアなどを定期的に行っている方が多いと評価できる。  医科医療費の46.2%が生活習慣病で,ほかの地域と比較すると,精神,高血圧症,脂質異常症,心筋梗塞,動脈硬化などが高く,糖尿病や人工透析がある慢性腎臓病は低い結果である。  介護編を見ると,調布市の要介護認定率は21.1%で,ほかと比較して高い反面,調布市の1件当たりの給付費は,ほかの地域よりも低い状態である。  健診編について。後期高齢者健診の令和2年度の受診率は,前年度から減少し45.4%だった。そのうち,服薬などでコントロールできている方も含む結果数値から見る異常なしの方は31.8%だった。受診率が高く,結果異常なしが多い圏域は,染地・杉森・布田小学校圏域で,健診受診率が平均より低く,健診結果で血圧値異常者の割合が最も高い圏域は,北ノ台・深大寺小学校圏域だった。  後期高齢者健診の結果と調布市国民健康保険特定健診の結果から,血管を傷つける因子,内臓脂肪症候群以外の動脈硬化要因が高いことが,調布市の死因で急性心筋梗塞が多い理由の一因であることが考えられたため,男性40代からの肥満,空腹時高血糖, LDL高値解消のための生活習慣改善。女性40代から更年期以降には,LDLや血糖が高値になりやすいことを前提に,運動と食事などについての保健指導。後期高齢者には治療継続の必要性,日常生活の注意点の普及啓発を対策の案として考えた。  その他,令和2年度の介護予防・日常生活圏域ニーズ調査結果から,うつ,認知機能低下が考えられる方がそれぞれ全体の4割を占めていた。令和元年度から2年度の経過比較で見ると,コロナ禍のためか,閉じこもり傾向が考えられる方が1.5倍に増加した。  続いて,一体的実施のもう一方の「ハイリスク者への個別支援と通いの場の参加者に対するフレイル予防の普及啓発」について報告する。一体的実施では,この両方を圏域単位で実施することが決められており,実際の支援は高齢者支援室が行っている。  資料6―3の1つ目,ハイリスクアプローチと呼ばれる高齢者に対する個別支援は,健康状態不明者の状態把握,必要なサービスへの接続という事業。対象は,過去4年間,後期高齢者健診未受診,医療レセプトなし,介護サービス利用がない85歳以上の方とし,健診受診期間に合わせ,企画調整担当が年4回対象者を抽出し,今年度41人程度になる見込み。その後,高齢者支援室看護職が事前に手紙を送付。原則,家庭訪問により高齢者のための質問票等を用いて,現状把握と健康相談を実施。健診受診勧奨のほか,必要時受療勧奨,必要なサービス,相談先等を紹介している。  4月から12月生まれまでの対象者23人中21人は本人と会えたり,本人や家族と電話連絡が取れ,趣味や外出を楽しむお元気な方が多かった印象。一方で,医療機関が嫌い,介護サービス利用したくない,家庭で本人に役割がないことなどからの衰えが進んだ方もいた。連絡がつかない方の安否確認や,別の親族の方の介護申請等の相談のために地域包括支援センターに報告し,同行訪問,その後のフォロー継続を依頼したケースもあった。現在は1月から3月生まれの方に訪問中。  2つ目,ポピュレーションアプローチと呼ばれる通いの場等へのフレイル予防の働きかけの支援。今年度の対象は,介護予防の講座等からできてきた10の筋力トレーニングを行っている自主グループから募集し,実施した。10月末現在6か所で実施,57人が参加。支援内容は,各グループの拠点に高齢者支援室保険年金課の看護職が出向き,フレイル予防の普及啓発のほか,高齢者の質問票を用いた状態把握と健康相談。必要に応じ,サービスへの接続も考えているが,現在のところ該当者はいない。  グループの参加人数,希望時間枠,会場の状況,要望等により,毎回内容を調整しているが,コロナ禍で集まる機会が減っているため,当日,10の筋力トレーニングも行いたいと短めの実施となっている。口腔機能にも意識を持っていただくために,パタカ測定器を使用したり,後期高齢者健診の受診期間変更の周知と受診勧奨,申込制検診の公募期間には,後期高齢者歯科検診のPRも実施した。  ごく一部,体重が減少傾向にある方や聴力の衰え等から,個別の相談に時間をかける場面もあったが,多くは後期高齢者健診を受診し,かかりつけ医があり,社交的でお元気な印象で,参加者からフレイル予防が口コミでも広がるといいと思っている。  また,広く市民の皆様に対する介護予防事業はこれだけではなく,以前から高齢者支援室や地域包括支援センター等でも複数実施している。  75歳,80歳,90歳と年齢を重ねた方に生活習慣を変えていただくことや,心身の衰えを先送りにする努力を続けていただくことはなかなか困難である。75歳以前の若いうちから健診や筋力等の維持を認識し,疾病の重症化予防に努めてもらえるような健康づくりの推進もとても重要だと考えている。  この事業は,保険年金課が単独で行うものではなく,介護予防事業や介護保険の担当である高齢者支援室,各種健(検)診,健康教育を実施し,栄養士や歯科衛生士等の専門職が在職している健康推進課,特定健診,特定保健指導等を実施している国民健康保険の担当等と連携しなければ実施できない。もちろん,三師会をはじめとする関係機関の皆様の御協力や地域包括支援センター等の連携もなくてはならないものと考えている。  また,今年度から一体的実施を推進するため,健診受診期間を変更しました。あわせて,5月から後期高齢者健診に国統一の質問票を追加し,フレイルリスクがある方へ,受診した医療機関から歯科医療機関への受診勧奨や地域包括支援センターの紹介など,次のステップへつなぎをしていただいている。  始めて半年だが,このような状況となっている。 <質疑応答> ○委員  データ分析をとても興味深く拝見した。最後の事務局の説明にあったとおり,高齢者を見るだけではなく,若い世代からどうしていくかというところにつながっていくようなデータでもあり,また,ハイリスクアプローチやポピュレーションアプローチが高齢者だけではなく,若い世代からの取組が必要だというお話を伺い,確かにそのとおりで,ぜひみんなで連携してやってほしいなと思っている。昔はテレビも健康に関する番組というか,内容が結構多かったと思うが,最近,そのようなものが少なくなってきて,何かあると機能性食品みたいな,これを食べればいいみたいなものが多くなってきていて,昔みたいに,高血圧にならないために塩分を控えるなどということを,ある一定年齢以下の人がどれだけ意識しているかということが最近気にはなっている。なので,高齢者の状況を見ながら,若い世代から何をどう発信するかというような連携をしていくことが大事なのではないかと思う。  ただ,若い世代は忙しくて,市と接触する機会はないと思うが,いろいろな媒体を使って健康情報をキャッチできるようなところをつくっていくことで,何かの機会に,例えば健診でちょっと引っかかったときに医療機関にかかって,そこからうまくスタートできるとか,そんなところを地域全体でつくっていければいいなと思いながら聞いていた。 ○部会長  ありがとうございます。この高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関して,保健所から何かあるか。 ○委員  大変重要な分野だと思うし,この一体的な実施というのはすごく効率的かつ効果も見込めるところなのかなと思う。中でも地域ごと,福祉圏域ごとで分けたデータの比較だとか,そこら辺も大変興味深く拝見していて,さらにここに,介入によって差異が出たりとか,原因とかがもし分かってくるようだったらすごく楽しみだなというところもあるので,引き続きデータを教えていただければと思っている。 ○委員  急性心筋梗塞の死因が多いということで,受動喫煙も市条例ができたので,この辺が周知によって下がってくる可能性もあるので,そういう面も頑張っていかなければならないかなと思う。調布市は高い。喫煙も危険因子の大きな1つなので,受動喫煙防止条例ができると心筋梗塞とかが減るというデータもあるので,ぜひ減らすために,そちらも頑張っていかなければならないかなと,今再確認したところ。 ○部会長  私はどうしても歯科関係からで,歯科疾患と関連疾患に関する分析等で,医科レセプトと歯周病疾患の1人当たりの医療費の差が,歯周病ありなしで,東京都ではデータが出ているが,調布でも出ているか。 ○事務局  歯科の医療費があるかないかで,他のものというのは比べていない。 ○部会長  東京都では歯周疾患の治療ありで,医科のレセプトから算出すると医療費が1人85万円ぐらいかかっている。歯周疾患の治療なしの場合は1人170万円かかって,倍以上違うというデータが出ているので,調布市でもこういうデータを今後まとめていくのだと思う。ですよね,この一体化事業は。 ○事務局  どこまで膨大な分析データを分析する技術・力があるかというところであると思う。そのほかのことについても,低栄養のところがどうなのかとか,その方が持っている疾患とか,歯科にかかっているのかどうかというところも見ていきたいと思っているが,歯科を受診している方の半分以上が定期受診かかりつけ歯科をお持ちのようなので,そういったところも含め考えていきたいと思っている。 ○部会長  今後,高齢者の負担も2割になったりとか,医療費の問題,介護保険の初めのころは3,000円ぐらいだったのが,今は2倍,3倍と増えていて,高齢者の支払いも大分多くなっているので,そういうことを考えると,医療費の問題もいろいろ考えていかないと,こういうデータをしっかり取っていただいて,なるべく高齢者の負担にならないようにしてもらいたいなと思う。  それから,ここに書いてあるポピュレーションアプローチで,口腔機能チェックでパタカ測定があるが,結果としてはどのような結果が出たか。 ○事務局  年齢別にあなたは60歳以上の数値ですよとか,30代の数値ですよといったところに丸をつけてお渡しするのだが,ポピュレーションにいらっしゃっている方は本当にお元気な方が多いので,タが30代,カは60代とか,部分的にはギザギザはあるが,割とお若い結果が出ているよう。 ○部会長  パタカで測定して,この年齢だと悪い数値は出ないが,やはりそれに合わせて口腔機能の体操をしていただければ。10筋体操で体の体操はあっても,前からお願いしているが,ちょっとした口腔機能チェックをされているので,パの機能が落ちていると,どこの筋肉を鍛えなければいけないという口の体操もあるので,併せてやっていただけると効果的かなと思った。口腔機能チェックのパタカ測定というのは書いてあったので,提案である。 ○事務局  ありがとうございます。フレイルの予防のお話をしているときにパンフレットもお渡ししていて,その中にパタカの体操とか,そういったものも載せている。今マスクを外して,皆さんでやりましょうというのはなかなか難しいので,お話をしているが,1か所は口のことを中心に実施してほしいというところがあり,そのときはマスクを外して,窓も全開のところでやり,10筋の体操の後に,そのお部屋で,皆さんで後ろを向いてだったらできるかもしれない,10筋体操の後に,口でアとか,ウとか,ベとか,そういったものをやってみたいなといったグループもあった。 ○部会長  あともう一個,今回コロナで,高齢者の方が1年以上自宅に閉じこもっていて,どうしていましたかと聞くと,うちにずっといました,お菓子をいっぱいため込んで,ずっと動かずにお菓子を食べていましたということをおっしゃっていたので,今後そういう生活習慣を元に戻すような方向で考えていただけるとありがたいなという気持ちはある。 3,その他事務連絡等 今後の協議会の日程は,第2回全体会を令和4年1月21日金曜日に行いたい。                                  ――了―― - 1 -