調布市条例第29号    調布市議会基本条例 目次  前文  第1章 総則(第1条―第4条)  第2章 議会と議員の使命及び活動原則(第5条―第7条)  第3章 市民と議会の関係(第8条)  第4章 市長等と議会の関係(第9条―第12条)  第5章 議会機能の強化(第13条―第17条)  第6章 議会事務局体制(第18条)  第7章 政治倫理(第19条)  第8章 政務活動費(第20条)  第9章 議員定数及び議員報酬(第21条・第22条)  第10章 条例の位置付け及び見直し手続(第23条・第24条)  附則  市民が地方自治体の長及び議会の議員を直接選挙するという二元代表制の下, 市民の代表として選ばれている議員と市長は,それぞれが市民の負託に応える 重要な役割と責任を担っています。  市長は執行機関であり,市議会は議事機関であるという役割に違いがあります が,市民の代表機関としては対等な関係にあります。市議会は合議制の機関とし て,市長は独任制の機関として,それぞれ異なる特性を生かして,市民の意思を 市政に的確に反映させるために,競い合い,協力し合いながら,調布市としての 最良の意思決定を導く共通の使命が課せられています。  また,近年の地方分権の進展により,地方自治体の自己決定権は拡大され,市 議会の役割と責務もますます重要なものとなっています。市議会は,市長その他 の執行機関の事務の執行について監視及び評価を行うとともに,議員間の活発な 討議により政策の立案及び提言を行う機関となることが求められています。その ため,市議会は,市民に分かりやすく開かれた議会運営の下,市民への情報提供 と情報の共有化を図るとともに,市民との対話等を通じて意見を正しくくみ取り, 調布市の行財政運営に反映させなければなりません。  こうした認識を市民と共有し,持続可能で自律したまちづくりを進め,市議 会の使命を果たすため,この条例を制定します。    第1章 総則  (目的) 第1条 この条例は,調布市議会(以下「議会」といいます。)の基本理念及 び議会運営の基本事項を定めることにより,議会が市民の負託に応え,公正 で民主的な市政の発展及び市民福祉の向上に寄与することを目的とします。  (市民) 第2条 この条例において「市民」とは,市内に住所を有する者,市内で働く 者及び学ぶ者並びに市内で事業活動を行う者及び団体をいいます。  (市民参加) 第3条 この条例において「市民参加」とは,次の各号に掲げることをいいま す。 (1) 議会が実施するアンケート調査等により,市民が意見を述べること。 (2) 第8条第3項に規定する議会報告会において,市民が意見を述べること。  (基本理念) 第4条 議会は,地方自治体の議事機関として,市民の意見を市政に反映させ るため,議会活動の基本理念を市民に分かりやすく開かれた議会とし,その 実現に向け,議会活動の情報公開,市民との情報の共有及び市民参加の推進 を図るとともに,公平かつ公正な議論を尽くし,自律した地方自治の確立を 目指します。    第2章 議会と議員の使命及び活動原則  (議会の使命及び活動原則) 第5条 議会は,市長その他の執行機関(以下「市長等」といいます。)の監 視及び評価をするとともに,市民の多様な意見を把握し,市政に適切に反映 させることを使命とします。 2 議会は,前項に規定する使命を果たすために,次の各号に掲げる原則に基 づき活動します。 (1) 議会活動は公開を原則とし,情報公開を推進します。 (2) 意思の決定に当たっては,論点・争点を明らかにします。 (3) 議会は,社会状況の変化に適応した議会の在り方について常に議論し,議 会改革を継続的に推進するよう努めます。  (議員の使命及び活動原則) 第6条 議員は,直接選挙によって選ばれた市民の代表として,公益性の見地 から,市民の多様な意見を市政に反映させることを使命とします。 2 議員は,前項に規定する使命を果たすために,次の各号に掲げる原則に基 づき活動します。 (1) 自己の能力を高める不断の研さんにより資質の向上を図ります。 (2) 市政の課題全般について,市民の意見を的確に把握します。 (3) 議会活動について,市民に対する説明責任を果たします。  (会派) 第7条 議員は,政策を中心とした理念を共有する者同士で,会派を結成する ことができます。 2 会派は,政策の立案,決定,提言等に関し,会派間の調整を行い,議会に おける合意形成に努めなければなりません。 3 議員は,1人の場合においても会派として届け出ることができます。    第3章 市民と議会の関係  (広報広聴機能の充実) 第8条 議会は,多様な広報及び広聴手段を活用し,保有する情報を市民に提 供するとともに,市民の意見を積極的に聴取します。 2 議会は,本会議,地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」といい ます。)第109条に規定する委員会(以下「委員会」といいます。)及び法 第100条第12項に規定する協議又は調整を行うための場を原則として公開 します。 3 議会は,市民に議案等の審議の経過及び結果の報告等を行うため,議会報 告会を開催します。 4 議会は,参考人制度及び公聴会制度を活用して,市民の意見又は政策的な 識見等を求めるものとします。 5 議会は,請願及び陳情の審議において,当該請願及び陳情の提出者から要 旨の補足説明の申出があった場合は,必要に応じて,その趣旨を聴く機会を 設けます。    第4章 市長等と議会の関係  (緊張関係の保持) 第9条 議会は,二元代表制の下,市長等との立場及び権能の違いを踏まえ,緊 張感ある関係を保持します。  (市長等への質問と議論の充実) 第10条 議員は,市長等に対して一般質問を行う場合,一括質問の方式又は 一問一答の方式により行うことができます。 2 市長等は,議員の一般質問に対してその論点を明確にするため,議長の許 可を得て,質問の趣旨を確認することができます。 3 市長が,議会において行う予算編成と施策等についての所信の表明に対し, 第7条第1項に規定する会派に所属する議員は,代表質問を行うことができ るものとします。 4 前項に規定する市長が行う所信の表明に対し,第7条第3項の規定により 会派として届け出た議員は,質問を行うことができるものとします。 5 議会は,市長等が提案する政策について,議論の充実を図るために,必要 に応じて説明及び資料の提供を求めることができます。  (議決事件の拡大) 第11条 議会は,市政における重要な構想等の決定に参画するため,法第9 6条第2項の規定により,調布市のまちの将来像を示す基本構想の策定又は 変更を議会の議決すべき事件とします。  (災害時支援) 第12条 議長は,調布市災害対策本部条例(昭和38年調布市条例第35号 )に基づく調布市災害対策本部が設置されたときは,これを支援するため, 調布市議会災害対策支援本部を設置することができます。    第5章 議会機能の強化  (政策の立案及び提言) 第13条 議会は,条例の制定・改廃,議案の修正,決議等を通じて市長等に 対し,政策の立案及び提言を行うものとします。 2 議会は,必要があると認めたときは,前項に規定する政策の立案及び提言 に向けた調査,研究等を行うため,政策研究会を設けることができるものと します。 3 政策研究会の組織及び運営については,議長が別に定めます。  (自由討議) 第14条 議会は,議案等の審議,審査又は調査において,議員相互の自由な 討議により,議論を尽くしてその合意の形成を図るよう努めるものとします。  (委員会活動) 第15条 委員会は,市政の課題に適切かつ迅速に対応するため,所管する事 務等の調査権を積極的に活用するものとします。 2 委員会は,委員会の審査又は調査に当たっては,市民に資料等を積極的に 公開し,市民に分かりやすい議論を行うよう努めるものとします。 3 前2項に規定するもののほか,委員会について必要な事項は,別に定めま す。  (議員研修の充実) 第16条 議会は,議員の政策の形成及び立案の能力の向上を図るため,議員 研修の充実を図るものとします。  (調査機関の設置) 第17条 議会は,市政の課題に関する調査の必要があると認めたときは,議 決により,学識経験を有する者等で構成する調査機関を設置し,議会の討議 に反映させるよう努めます。 2 前項に規定するもののほか,同項に規定する調査機関について必要な事項 は,議長が別に定めます。    第6章 議会事務局体制  (議会事務局体制) 第18条 議会は,議員の資質を高め,円滑かつ効率的な議会運営を行うため, 議会事務局の調査,政策法務その他の機能の充実及び体制の整備を図るもの とします。 2 議長は,議会事務局の職員に係る人事に関し,その任免権を行使するもの とします。 3 議長は,議会事務局の職員に係る人事に関して,市長にあらかじめ協議す るよう求めることができます。    第7章 政治倫理  (政治倫理) 第19条 議員は,市民の負託に応えるため,高い政治倫理観が求められてい ることを自覚し,市民の代表としての良心及び責任感を持って,議員の品位 を保持し,識見を養うよう努めなければなりません。 2 前項に規定するもののほか,議員の政治倫理については,別に定めます。    第8章 政務活動費  (政務活動費) 第20条 会派又は議員は,政策形成能力の向上等を図るため,政務活動費を 適正かつ有効に活用し,積極的に市政に関する調査研究及び政策提言を行う ものとします。 2 会派又は議員は,政務活動費の使途を公開し,説明責任を果たさなければ なりません。 3 前2項に規定するもののほか,政務活動費については,別に定めます。    第9章 議員定数及び議員報酬  (議員定数) 第21条 議会は,議員の定数の改定に当たっては,第5条第1項に規定する 議会の使命を果たすことを基本とし,市政に関する現状,課題,将来の予測 等を考慮するとともに,参考人制度及び公聴会制度を活用するものとします。 2 議員の定数は,別に定めます。  (議員報酬) 第22条 議会は,議員報酬の改定に当たっては,調布市特別職報酬等審議会 条例(昭和39年調布市条例第32号)第2条に規定する審議会の意見を反 映するほか,市政に関する現状,課題,将来の予測等を考慮するものとしま す。 2 前項に規定するもののほか,議員の報酬については,別に定めます。    第10章 条例の位置付け及び見直し手続  (条例の位置付け) 第23条 この条例は,議会の基本となる条例であり,議会に関する他の条例, 規則その他の規程を制定し,若しくは改廃し,又は解釈する場合は,この条 例の趣旨を尊重し,この条例との整合を図らなければなりません。  (見直し手続) 第24条 議会は,この条例の施行後,市民の意見,社会情勢の変化等を勘案 し,必要があると認めたときは,この条例の規定について検討を加え,その 結果に基づき所要の措置を講ずるものとします。    附 則  (施行期日) 1 この条例は,公布の日から施行します。  (調布市基本構想を地方自治法第96条第2項に規定する議会の議決すべき 事件として定める条例の廃止) 2 調布市基本構想を地方自治法第96条第2項に規定する議会の議決すべき 事件として定める条例(平成24年調布市条例第23号)は,廃止します。