議員提出議案第2号 中華人民共和国の海警法施行に対する適切な対応を政府に求める意見書提出について 上記の議案を提出する。 令和3年3月17日 提出者 調布市議会議員 狩野 明彦 賛成者 調布市議会議員 鈴木 宗貴 同 大野 祐司 中華人民共和国の海警法施行に対する適切な対応を政府に求める意見書 尖閣諸島は、歴史的にも、国際法上も我が国固有の領土である。 しかし、2020年1年間で尖閣諸島接続水域に入域した中国公船は延べ1,161隻、領海侵入については88隻に上り、極めて憂慮すべき看過できない事態となっている。 そのような下で、日本でいう海上保安庁に当たる中国海警局は、2018年に行政機関であった国家海洋局から中央軍事委員会傘下である中国人民武装警察部隊に管理が移り、海警局局長及び分局各局長は中国海軍出身者が占め、第2の海軍と言われるほど中国は力を入れてきている。また海警局は近年、急速に規模を拡大している。昨年の米国防総省報告書によると、2010年以降,排水量 1,000トン以上の海警局の船舶は約60隻から 130隻以上に急増。同報告書は「世界で圧倒的に最大の沿岸警備部隊」になっていると分析した。 1万トン級の大型船舶など新造艦の多くはヘリコプターの発着が可能で30~76ミリの機関砲など武器も搭載し、ベトナムやフィリピンなどと領有権を争う南シナ海でこれらの国の漁船に「違法行為があった」として発砲したり,衝突して沈没させたりするなどしてきた。尖閣周辺だけでなく南シナ海でも,法整備をきっかけに挑発的行為を正当化することが懸念されている。 2月1日に施行された中国海警法には、「中国管轄下にある海域に違法に入った外国の船舶を強制的に排除する権限を盛り込んだ上で、違法な活動を行う船が停止命令や立入検査に従わない場合は、武器の使用を認める」との規定があり、周辺関係者の懸念が強まっている。 中国海警法は、領海において沿岸国が強制措置を取ることを限定的に認めている国連海洋法条約の原則を大きく逸脱するものであり、条文をあからさまに無視した国際法違反であると、多くの有識者も指摘している。 ところが、日本政府は、「深刻な懸念」「同法が国際法に違反する形で運用されることはあってはならない」と表明するにとどまっていて、国際法違反との指摘には慎重となっている。 日本政府は、国民や関係者の懸念に応えて、海警法自体が国際法違反であることを指摘し、その撤回を求める外交的対応を行うべきである。 よって調布市議会は、我が国の主権と市民・国民・関係者の安全・安心と経済活動を守るため、関係機関へ下記を強く要求する。 記 1 中国政府に対し、国際法違反の海警法施行及び中国公船による尖閣諸島の領海侵入、接続水域入域に強く抗議し是正を求めること。 2 日本政府は、尖閣諸島が我が国固有の領土であるという毅然たる態度を堅持し、中国政府に対し、国連憲章と国際法の遵守を求め、国際社会に広く訴えるとともに、周辺諸国と連携し平和・外交的に問題解決を図ること。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 令和3年3月 日 調布市議会議長 渡辺 進二郎 提出先 内閣総理大臣 外務大臣 農林水産大臣 国土交通大臣 防衛大臣 衆議院議長 参議院議長