陳情文書表 (令和3年2月24日受理) 受理番号 陳情第42号 件名 調布市にゼロカーボンシティ宣言を求める陳情 提出者の住所・氏名 (注)非公開情報 付託委員会 建設委員会 (注)原文のまま記載 (陳情内容) 調布市が2050年までに二酸化炭素を実質ゼロにすることをめざす旨を市長が表明し(ゼロカーボンシティ宣言)、広く市民に周知することを求めます。 (陳情の理由) 1.要旨 地球温暖化による異常気象・激甚災害から調布市民の暮らしを守るため、調布市も、国、東京都、世田谷区や多摩市などと同じく、「2050年までに二酸化炭素を実質ゼロにすることをめざすこと」を宣言し、調布市の市民や事業者に広く周知いただきますようお願い申し上げます。 2.温暖化による影響 気象庁によれば、日本の年平均気温は長期的に100年あたり1.24℃の割合で上昇しており、日本の年平均気温の上昇は世界平均よりも速く進行しています 。 2019年の台風19号によって調布市でも多くの家屋が浸水し、市制施行後初めて避難勧告を発令して 6,000人以上の方が避難所に避難しました。気象庁は、地球温暖化によって台風19号の際の総雨量は11%増加したとの研究結果を公表し 、今後、地球温暖化に伴い、大気中の水蒸気量が増えることによって、猛烈な台風や豪雨などの異常気象の頻度も高まると警鐘を鳴らしています 。 3.世界の動き 2015年に採択されたパリ協定により、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して、2℃より充分低く抑え、1.5℃に抑える努力を追求する目標が掲げられ、日本もこれを批准しました。 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告によれば、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて1.5℃以内に抑えることが人類の生存にとって極めて重要であり、それを実現するには、世界全体で温室効果ガスの排出量を2030年までに2010年比で45%以上削減し、2050年までに「実質ゼロ」にしなければならないこと、早ければ2030年頃に気温上昇が1.5℃に達してしまうこと、既に温暖化に歯止めがかからなくなる臨界点を越える現象が起き始めていることなどが示されています 。 しかしながら、国連環境計画(UNEP)によれば、このままでは気温上昇は3℃以上になる見込みです 。また、2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行の影響で温室効果ガスの排出が前年比7%減となる見込みであるとされていますが、これだけ経済が大きな影響を受けても、たったの7%しか削減できないということは、今後は既存の社会システムを大きく変革しなければならず、コロナ後の経済回復のあり方を気候変動対策と整合したもの(グリーンリカバリー)にする必要があります。 4.国・東京都の動き このような状況の中で、昨年10月26日に菅内閣総理大臣が所信表明演説において、日本が2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現をめざすことを宣言しました 。菅総理は、「2050年カーボンニュートラルへの挑戦は、日本の新たな成長戦略」だと言っています 。また、昨年11月には、国会の衆参両院本会議にて、気候非常事態宣言が決議されました 。 国は、ゼロカーボンシティの取り組みを後押しするための事業を令和3年度予算において環境省の「ゼロカーボンシティ再エネ強化支援パッケージ」などで予定しています 。 東京都では、2019年5月に小池都知事が2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにすることを宣言しましたが 、更に、本年1月27日には、2030年までに温室効果ガスを2000年比で50%削減(2013年比換算では55.4%削減)することや、2030年までに再エネ電力の利用割合を50%まで高めていくことを表明しています 。 5.他の自治体の動き 全国でも2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロとすることを宣言した自治体は急激に増加しており、本年2月22日時点で東京都・京都市・横浜市を始めとする 275自治体(32都道府県、 161市、3特別区、61町、18村)が「2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロ」を表明しており、表明自治体の人口は約 9,944万人、GDP約441兆円となっています 。本年2月5日には、ゼロカーボンシティ宣言をした市区町村がその知見を共有し、脱炭素社会の実現に向けた具体的な取り組みのための議論を進めるために「ゼロカーボン市区町村協議会」が設立されました 。また、宣言にとどまらない先進的な取り組みとして、脱炭素条例の制定や、気候市民会議を行っている自治体もあります 。 6.むすび 政府、東京都、事業者、市民をはじめ、社会全体で脱炭素社会の実現に向けた関心が高まり、積極的な取り組み姿勢がみられる自治体への支援の動きもある中、ぜひとも調布市でも、ゼロカーボンシティ宣言を行って、市民や事業者に広く周知いただきますようお願い申し上げます。今、調布市がゼロカーボンシティを宣言する道を選択し、脱炭素社会の実現に対して前向きに取り組む姿勢を市の内外に明らかにすることにより、今後、同趣旨の宣言を行っている自治体と広域的に連携し、世界の平均気温の上昇を1.5℃以内に抑えることと整合する形で、2030年に向けた温室効果ガス削減目標 を更に引き上げ、市民や事業者と一丸となってその目標の実現に向かう未来を切り拓くことができると信じております。 上記の参考文献は、下記のとおりです。 気象庁「日本の気候変動2020」 https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ccj/index.html 気象庁 https://www.mri-jma.go.jp/Topics/R02/021224-1/press_release021224-1.pdf 前掲気象庁「日本の気候変動2020」 環境省 http://www.env.go.jp/earth/ipcc/6th/index.html UNEP Emissions Gap Report 2020 https://www.unep.org/news-and-stories/press-release/green-pandemic-recovery-essential-close-climate-action-gap-un-report 前掲Emissions Gap Report 2020 首相官邸 https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/statement/2020/1026shoshinhyomei.html 首相官邸https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202010/30ondanka.html 衆議院本会議決議(令和2年11月19日) http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/topics/ketugi201119.html 参議院本会議決議(令和2年11月20日) https://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/203/201120-1.html 環境省 http://www.env.go.jp/guide/budget/r03/r03juten-sesakushu.html 東京都 https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/policy_others/zeroemission_tokyo/strategy.html 東京都https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/policy_others/zeroemission_tokyo/carbonhalf.html 環境省 https://www.env.go.jp/policy/zerocarbon.html 横浜市 https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/ondanka/etc/zerocarbon-kyougikai.html 京都市 https://www.city.kyoto.lg.jp/kankyo/page/0000215806.html 京都府 https://www.pref.kyoto.jp/tikyu/jyourei-r2.html 徳島県 https://www.pref.tokushima.lg.jp/kankyo/ondanka/rules_01.html 長野県 https://www.pref.nagano.lg.jp/ontai/jourei26/index.html 前述の自治体を含め、2020年12月24日現在で、17府県、4政令指定都市、11市区町で地球温暖化対策推進条例の制定が確認されている。(http://www.rilg.or.jp/htdocs/img/reiki/082_Carbon_neutral.htm?fbclid=IwAR1UoeRoUYN-qtmbJ2AiH8k6zdYE_G3v3qc-_KxwFp_3u89etj6sV_P0E-M) 札幌市(気候市民会議) https://citizensassembly.jp/project/ca_kaken 本年1月20日から2月18日にかけて、調布市がパブリックコメントを募集していた「地球温暖化対策実行計画(案)」では、2030年度までに2013年度比で二酸化炭素を40%削減することをめざすこととされています。https://www.city.chofu.tokyo.jp/www/contents/1610502939922/index.html