陳情文書表 (令和2年2月21日受理) 受理番号 陳情第21号 件名 種苗法改定に関する意見書の提出を求める陳情 提出者の住所・氏名 (注)非公開情報 付託委員会 文教委員会 (要旨) 令和2年1月20日から開催されている通常国会で、種苗法改定法案が審議されます。 種苗法は、1998年に公布された、新品種を開発し、品種登録をした者の権利を守ることを目的にした法律ですが、種子をめぐる法律としては、2018年の種子法廃止により、それまで日本人の主食である種子(米・麦・大豆)の管理を国が行うことで、それらの国民への安全で安定した供給が守られてきていたということの基盤がなくされ、事業としての民間企業の参入が許されるようになりました。 今回審議される種苗法改定案では、現行の種苗法では原則認められている、農業者による登録品種の自家増殖(採種)を禁止し、育成者権者からの許諾制とすることが検討されており、許諾がない場合を違反とし、その農業者に対して10年以下の懲役もしくは 1000万円以下の罰金、またはその両方を科すという、しかも共謀罪の対象という、余りにも信じがたい内容となっています。 農水省は種や苗についてを、その特性によって、〈登録品種〉〈一般品種〉とに分けていますが、元来、種は植えられた場所の環境や、農業者の育て方によってどんどん特性が変わっていく生き物であり、そのために現在の種苗法21条では、「登録された品種及び特性により明確に区別ができなくなった品種について、いずれも自家採種自由」となっています。 現在、世界の種子市場の7割が既に多国籍化学企業に占有されており、このままもし種苗法が改定され、育成者権者による許諾がないと作物をつくれないように法律が定められてしまうとなると、ある日突然に日本の一農家が、多国籍化学企業から「権利を侵害された」として莫大な賠償を請求される事態になってしまうことが十分に懸念されます。そのようなケースは、カナダ最高裁判決の例があり、このことは、多国籍化学企業がいずれはあらゆる種の権利を完全に独占し、自社の一代限りのF1品種を毎年高額な値段で農業者に買わせ続けるという、今後の食の支配構造へとつながっていくことを示す判例であると言えます。 また、今回の種苗法改定案には、健康被害や環境汚染についても大変に重大な懸念があります。 多国籍化学企業は、自社でつくった一代限りの遺伝子組み換え種子(F1品種)を、同じく自社製の化学肥料・農薬とセットにして農業者に売る方式をとっています。 しかし今世界では、農薬・化学肥料の多使用や、遺伝子組み換え作物を摂取することによる健康被害、神経障害を理由に、nonGMOの風潮が高まって有機栽培の食べ物に帰っているという流れがあり、種子をめぐる多国籍化学企業は海外では頭打ちの状況にあります。(モンサントは主力製品である除草剤「ラウンドアップ」が、重大な健康被害をもたらしたとして世界中から訴えられており、2019年現在で5万件以上の裁判を抱えており、次々と敗訴している状況です。) そんな中、日本はその流れとは逆行して、遺伝子組み換えやゲノム編集など、それら企業の不自然な遺伝子操作の食べ物ばかりを国民にどんどん食べさせ、世界各国で使用が禁止されているその農薬をばんばん使っていかざるを得ないことになっていく仕組みの法律を、企業の思うままにつくらされようとしています。 日本人の現状は今、2人に1人の死因ががんである、発達障害の子どもたちや何らかのアレルギーを持つ人々が近年異常にふえてきている、精子の減少による不妊の増加、よく報道でもなされているようなすぐにキレたり、常識を疑うような異常な行動に躍起する多くの若者(自制心がきかなくなる脳の機能の異常)など、昔とは明らかに違ってきている体質や性質などがさまざま見受けられています。 それらの原因は、汚染された生活環境や、ストレスがたまりやすい社会になっていることなども非常に関係していると言われていますが、同時に一方で、それらは農薬漬けの作物や遺伝子組み換えの食物を食べ続けることが原因で発症するということが、世界中で科学的に証明された報告としてなされていることは周知の事実でもあります。 種苗法改定によりさらに強まる、継続的な農薬や化学肥料の多使用は、他の動物たちが暮らす自然環境もますます破壊していってしまいます。 この先の私たち日本人は、多国籍化学企業の無謀な支配下で農業をする人がますます減って食べるものがなくなり、あったとしても有害な食べ物ばかりで病気になり、身体だけでなく、神経も侵されて精神も正常な状態ではなくなっていってしまう等そのような取り返しがつかない、大変な危機的な未来に進むかどうかの、日本は今その岐路に立たされています。 以上のような理由によって、今国会に種苗法改定反対、慎重審議を求める意見書を提出し、調布市議会として日本の食を脅かす内容の種苗法には反対の立場をとることを求める陳情をいたします。 食と暮らしを守るため、種子条例を制定する自治体の動きなども、既に各地に広がってきています。日本の重大な岐路に、調布市も行動を起こしてそのうねりとなることを、心より願います。