陳情文書表(令和2年11月10日受理) 受理番号 陳情第38号  件名 都立病院・公社病院の「地方独立行政法人」化の中止に関わる意見書提出を求める陳情 提出者の住所・氏名 (注)非公開情報 付託委員会 厚生委員会 (注)原文のまま記載 (陳情の趣旨) 2020年3月31日、小池東京都知事と東京都病院経営本部は都立病院・公社病院の「地方独立行政法人」化を2022年度内に行うとした「新たな病院運営改革ビジョン」を発表しました。 その内容は、府中市にある多摩総合医療センター、小児総合医療センター、神経病院をはじめとした都立病院8病院と多摩南部地域病院(多摩市)、多摩北部医療センター(東村山市)をはじめとする東京都保健医療公社6病院を全て東京都の直営から東京都が直接関与できない「地方独立行政法人」に切り替えるということです。 新型コロナウイルス感染症への対応を真っ先に行ったのが都立病院・公社病院です。東京の感染症指定病院は15病院 118床(3月時点)でそのうち80床(全体の約68%)を都立病院・公社病院の4病院が占めています。また、都立病院は、民間では採算が取れず運営困難な「感染症医療」「災害対策医療」「救急医療」「高度医療」「周産期医療」「難病医療」「小児医療」などを「行政的医療」として行ってきました。感染症対策ではECMO導入や陰圧室の整備など高額備品や設備の準備、医療従事者の訓練などが平時から行われています。だからこそ緊急時の早急な対応が可能であり、都民の命・暮らしを守り、地域医療を支える重要な役割を果たしています。 「地方独立行政法人」は、毎年補助金が削減され、独立採算が求められます。患者・利用者負担が増え、さらに、採算が取れない「感染症医療」や「難病医療」などの「行政的医療」は著しく低下することが危惧されます。このことは、10年前に先に「地方独立行政法人化」された東京都健康長寿医療センターでは「行政的医療」に関わる運営負担金が13%も減らされ、また、差額ベット料が新たに徴収され、入院保証料が10万円かかるなど患者負担が増えたことを見ても明らかです。 今回の新型コロナウイルス感染症では、知事が直接都立病院・公社病院にその対応を指示することができ、すぐに医療体制の整備が行われました。しかし、「地方独立行政法人」になると「新たな感染症」が発生した場合、東京都ができるのは直接の指示ではなく、「依頼」「お願い」「要請」となってしまいます。これでは対応に遅れが生じかねず、都民の命と暮らし、健康を守ることは困難になります。 「地方独立行政法人」は採算を優先し、感染症受け入れ病床を縮小、医療崩壊はより早期にかつ確実に起きます。そして、救える命も救えなくなってしまいます。 新型コロナウイルスの感染が収束せず、今後の拡大が危惧される中、今、東京都としてやるべきことは都立病院・公社病院を「地方独立行政法人」化して医療現場に不安と混乱を起こすことではなく、安心して医療に専念できるようあらゆる支援を行うことです。 東京都は直ちに都立病院・公社病院の「独立行政法人」化を中止し、地域医療の充実を図ることを求めます。 (陳情事項) 都立病院・公社病院の「地方独立行政法人」化は行わないよう東京都に対して意見書を提出していただくよう陳情します。