陳情文書表 (令和元年8月13日受理) 受理番号 陳情第12号 件名 在日コリアンに地方参政権を付与することを求める陳情 提出者の住所・氏名 (注)非公開情報 付託委員会 総務委員会 (趣旨) 本来ならば日本国籍を有しない在日外国人全てに参政権(ここでは地方参政権に限定、以下同様)を付与することを求める陳情が望ましいのですが、まずその前提として戦前から日本に在住する在日コリアンとその子孫たちが日本人同様に住民として納税等の法的義務を負いながらも、選挙権という基本的人権が認められていない問題について、住民の権利(憲法93条)として付与されるよう求める次第であります。 1945年解放時には約200万の在日朝鮮人が居住していました。その多くが帰国する中で、諸事情により日本居住を余儀なくされた約60万余の韓国・朝鮮人が、生活の本拠地を日本と定め、日本を故郷とし、日本に骨を埋める在日コリアンであり、現在は2~4世たちの人権としての参政権付与の問題なのです。 かつて、私たちの国で衆議院議員普通選挙(ただし成人男子のみ)が初めて施行された1925年には、日本在住の朝鮮・台湾人も日本国籍を有していたことから、45年までに383人が立候補し、96人が当選(地方議員。国会議員は1名-2回当選)、45年4月には本国居住の朝鮮・台湾人にも参政権が付与された歴史があります。戦後は、公職選挙法・国籍法は「当分間停止」となり、その状態が今日まで続いていることになるのです。 もちろん、日本在住コリアンが、その事態について手をこまねいて見ていたわけではありません。 生活権の基礎である国民健康保険や国民年金の適用を求める息の長い運動があり、また民族・国籍差別撤廃運動や就職差別撤廃、そして指紋押捺撤廃運動などが高まり、日本が79年には国際人権規約を締結、82年には難民条約批准といった動きの中で、最後は91年の韓日外相覚書でその是正について決着を見るに至ったのです。 それとともに、地方参政権獲得運動も高まり、87年には在日本大韓民国民団を中心に「在日韓国人の権益に関する全国統一要望」(第6次)活動が展開され、「住民」として地方自治体選挙への参加を要求、91年の覚書には「大韓民国より要望が表明」と明記、海部首相は「共生」のメッセージで応えたのでした。93年には岸和田市議会が「地方自治体の参政権」付与を求める意見書を政府・国会に提出、それを契機に 1、500もの自治体がそれに続いたのです。94年に福井地裁は、参政権付与は「憲法の許容範囲」と判じ、最高裁は「専ら立法政策上の問題」と判決したことから、自民党初め各政党は立法化に向けて急展開するに至ったのでした。98年の日韓共同宣言では金大中大統領が参政権問題に触れ、日本国会演説でも強調されました。98年10月には参政権案件として国会に初めて提出され、自公連立与党が「成立」を期することで合意に至ったのです。 ところが、2001年小泉政権樹立で事態は急変、この問題は頓挫し、日韓関係悪化の中で運動は中断し今日に至っているというのが事の経緯であります。 ところで、昨年の8月、国連の人種差別撤廃委員会が日本政府に対して今の事態を「差別」と言及したことは、差別の実態を世界に知らせるとても重大なことでした。 この4月、日本は、外国人労働者受け入れ拡大策に踏み切り、出入国管理法の改定もなされました。在留外国人が300万に達しようとし、うち外国人労働者が150万を超えようとする今日、一人の地域住民として、選挙・被選挙権が付与され、地域発展に寄与することは不可欠の時代となるでしょう。 ちなみに、世界的には、欧州を中心に、国政レベルでの選挙・被選挙権を認めている国は10カ国余でありますが、地方レベルでの被選挙権を認めている国は25カ国であり、選挙権(投票権)を認めている国は約40カ国と世界諸国の2割に近い普及にあります。 韓国は2005年に永住資格取得後3年以上経過した19歳以上の外国人に選挙権を付与しました。したがって、相互主義に立つならば、日本にとって、少なくとも在日コリアンに対する参政権付与は喫緊の課題と言えるのではないでしょうか。 以上に鑑みて、まずは在日コリアンに地方参政権が付与されますよう国に対して意見を具申され、法的措置が取られますように御尽力くだされたくここに陳情いたします。