委員会提出議案第1号 核兵器禁止条約に日本政府が参加することを求める意見書提出について 上記の議案を提出する。 平成30年3月20日 提出者 文教委員長 清水 仁恵 核兵器禁止条約に日本政府が参加することを求める意見書 昭和47年に生物兵器、平成5年に化学兵器という大量破壊兵器が国連で採択された条約によって国際的に禁止された。平成9年に対人地雷、平成20年にクラスター爆弾という非人道兵器が条約によって国際的に禁止された。そして平成29年7月7日、最後に残された非人道大量破壊兵器の核兵器が国連において122カ国の賛成多数で採択された核兵器禁止条約によって国際的に禁止されることになった。核兵器については、既に平成8年に国連総会から判断を下すように要請された国際司法裁判所(ICJ)が「核兵器の使用または威嚇は国際人道法に違反する」という勧告的意見を決定、「全面的な核軍備撤廃に向けた交渉を誠実に行い、完結させる義務がある」と裁定している。この国連での核兵器を廃絶に向かわせる努力が実を結んだのが今回の核兵器禁止条約の採択である。広島と長崎に原爆が投下されてから72年、被爆者たちが長年訴えてきた核兵器廃絶が現実のものとなる歩みが始まった。 しかし日本政府は、この核兵器禁止条約に賛成しなかっただけでなく国連での議論に参加もしていない。そしてこの条約が圧倒的多数の国の賛成で採択された後では「核抑止力の正当性を否定するものだから参加できない」という姿勢を明確にしている。確かにこの条約は開発、生産、実験、製造、移送、保有、貯蔵、使用、威嚇という核兵器にかかわる全ての運用を禁止、廃棄とその検証までを包括的に規定しているので、従来の日本政府の核抑止の考え方とは正反対の立場だと言える。しかしこの条約が採択されたことで日本政府が問われているのは、核保有の正当性を主張する側に立つのか、非人道大量破壊兵器を禁止して廃絶を希求する側に立つのかということである。 米国トランプ政権は今までのオバマ大統領の「核なき世界を目指す」という方針を転換して、核態勢の見直し(NPR)を発表した。通常兵器での攻撃にも核兵器で反撃できるように使用条件を緩和して、実際に戦争で使える小型化した核兵器を開発するという。「使える核」は論外であり、日本政府は容認するべきではない。核兵器を「抑止力」と考えるとしても、事故や誤作動、誤情報、テロなどによって発射または爆発させてしまうリスクが常にある核兵器とは今こそ決別すべきである。 平成29年に核兵器禁止条約の採択に尽力したことでノーベル平和賞を受賞して、日本の被爆者団体ともかかわりが深い核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)事務局長のベアトリス・フィン氏は本年1月に来日し、日本政府の方針転換を強く求めた。唯一の戦争による被爆国の日本の動向に世界の注目が集まっている。核兵器禁止条約は50カ国が批准した段階で正式に発効する。日本はその国々の中にあるべきである。 調布市議会は昭和58年に多くの市民の声とともに「わが国は、戦争による世界唯一の核被爆国として、また平和憲法の精神からも核兵器の廃絶と軍備縮小の推進に積極的な役割を果たさなければならない」という非核平和都市宣言を行っている。 よって調布市議会は、非核平和宣言都市の市民の代表として、日本政府及び国会に対して、国連で採択された核兵器禁止条約に参加して、批准への手続を始めることを求める。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 平成30年3月 日 調布市議会議長 田中 久和 提出先 内閣総理大臣 外務大臣 衆議院議長 参議院議長