陳情文書表 (平成29年2月21日受理) 受理番号 陳情第74号 件名 別居・離婚後の親子の断絶を防止する法整備を求める陳情 付託委員会 厚生委員会 (趣旨) 実効性のある面会交流が可能となるよう速やかに法整備を講じるように国の関係機関に意見書の提出についてお願いしたいと考えています。詳細は以降に示します。 我が国は、「児童の権利条約」(1994年)を批准しており、第9条3では「締結国は、児童の最善の利益に反する場合を除くほか、父母の一方又は双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触を維持する権利を尊重する」とあり、親子不分離の原則が明示されています。 2014年には、ハーグ条約も批准しており、「条約加盟国は子どもの利益が、監護権に関する問題において、最高位に重要であることを強く確信し、不法な連れ去りによる有害な影響から子どもを国際的に守ること、常居国に迅速に戻される方法を確立し、それと同時に子へのアクセスの権利を守ることが望まれる。これらを解決するため、この主旨に沿う条約を締結するとともに、下記の条項に同意した。」とあり、国際間の子どもの連れ去りは禁止されました。しかし一方、国内での子どもの連れ去りはいまだ容認されています。 国内においては、2012年には民法も改正され、同766条「父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項はその協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」と初めて、面会交流・養育費に関して、明記されました。 しかしながら、現行法制では、離婚届け出は、特段、面会交流・養育費を取り決めないでも受理され、面会交流の拡充・養育費の支払いは遅々として進んでいないのが、現状です。 これらの状況を受け、2014年3月、国会では超党派議員40名以上が参加し、「親子断絶防止議員連盟(会長:保岡興治・自民党)」が設立され、法制化への検討が進められておりますが、これらの動きを支援する必要があると考えます。 つきましては、別居親も子どもの頻繁で継続的な面会交流を行い、養育費を支出し成長にかかわっていくことで、離婚後の子どもの精神的及び経済的負担を和らげ、子どもの心の支えとなることに鑑み、「別居・離婚後の親子の断絶を防止するための法律」を速やかに整備することを求める意見書を国の関係機関に提出していただきたいと考え、陳情します。 実際に提出していただきたい内容につきましては、次に詳細を記載します。 (意見書について) 「別居・離婚後の親子の断絶を防止する法整備に関する意見書」。 我が国では、離婚に伴う子どもの親権・監護権争いを優位に進めるために、婚姻中における一方の親の同意なしでの「子の連れ去り」別居とその後の「親子引き離し」が後を絶ちません。一方の親は、みずからの同意なく他方の親に不当に子どもを連れ去られ、継続性の原則のもと、親権・監護権を奪われ、面会交流が認められず、愛する我が子と全くの断絶状態となってしまいます。このような親が多数存在し、その苦しさの余り自殺する親も相次いでいるのが現状です。一方的な子どもの連れ去り・引き離しは、子どもの成長に長期間にわたり悪影響を及ぼす非人道的行為であり、欧米の先進国では誘拐や児童虐待となるのに対して、我が国では法的な制限がなく、かつ家庭裁判所が監護の継続性を重視する余り、先に監護を始め、これを継続している事態を法的に追認していることから、生じています。子どもは、同居親・別居親双方から愛情と養育を受け続けることが子どもの健全な発達にとって好ましく、長期的に「子ども最善の利益」に資することとなることから、離婚や別居による悲惨な親子関係の断絶状態を解消及び防止するため、以下の5点を盛り込む法整備と関連する諸施策の拡充を求めます。 記 1 子どもの連れ去りの禁止 同意なく子どもを連れ去った場合には、子どもを速やかに元の場所に戻し、子どもの養育について話し合うこと。子どもを速やかに元の場所に戻すことに応じない場合には、子どもを連れ去られた親に暫定監護権を与えること。 2 面会交流の拡充 児童虐待防止の観点からも、親子が離れて暮らしている場合には、2週間に1度は泊まりがけで会えることとすること。面会交流の権利性を明確化し、年間100日以上は離れて暮らす親子が会えることとすること。 3 フレンドリーペアレントルール(友好親原則)の導入 主たる養育親の決定はフレンドリーペアレント(他方の親により多くの頻度で子を会わせる親)ルールによるものとすること。 4 養育計画の作成義務化 共同養育計画の作成を離婚時の義務とし、離婚の成立要件とすること。子どもと離れて暮らす親に年間100日以上の面会・養育を義務化すること。養育費を取り決めること。 5 DV法の運用改善 DVの判断は、被害を申し立てた者の主観的な意見を行政が安易に受理するのではなく、警察の捜査を義務づけ証拠主義とする。時に精神的DV主張については、双方の主張をきちんと聴取し、客観的な基準による専門家の確認の手順を加える。親権・監護権の獲得等を目的とする「ねつ造DV」は、悪質な行為と認定し罰則を強化する。