陳情文書表 (平成29年11月27日受理) 受理番号 陳情第86号 件名 情報公開制度の不当な運用を改め、より適正な運用を求める陳情 付託委員会 総務委員会 (要旨) 調布市はすぐれた情報公開条例を持っているが、誤った運用により、市民の知る権利が不当に侵害されている実態がある。そのようなことのないよう、運用の課題を検討し、必要な改善を行い、より適正な運用をすることを求めます。 誤った運用によって市民の知る権利が不当に侵害されている例を以下に示します。 (1) 情報公開請求人(以下「請求人」という。)は平成28年3月1日付で、調布市長(以下「市長」という。)に対し、調布市情報公開条例に基づき、「現在策定中の調布市道路網計画に関する資料一式(前回申請日2015年12月11日及びそれ以降入手のもの)(あれば電子データも)」の公開請求を行った。 (2) 市長は、平成28年3月15日付で、上記請求に係る市政情報のうち、一部の文書については、2016年3月15日付27調都街発第3500006号「市政情報公開決定通知書」により全部公開としたが、「「調布市道路網計画(案)」等に関する説明会の開催結果について他4件」については2016年3月15日付27調都街発第3500007号「市政情報一部公開決定通知書」により一部公開とする決定を行った。 当該決定通知書において市攻情報の一部を非公開とする理由は、「調布市情報公開条例第7条第2号、5号及び7号該当[理由]未成熟かつ未確定な情報の公開により、市民の財産に不当に利益を与え、若しくは不利益を及ぼすおそれがあるため等」である。 一部公開とした5件の文書は以下である。(以下それぞれ「文書1」・・という。) 1 「調布市道路網計画(案)」等に関する説明会の開催結果について 2 平成27年度第6回調布市道路網計画有識者委員会の開催結果について 3 第5回庁内調整会議の開催報告 4 第6回庁内調整会議の開催について 5 第6回庁内調整会議の開催報告 このうちの文書1、 「調布市道路網計画(案)に関する説明質疑応答(抜粋)第1回平成28年1月15日及び第2回平成28年1月16日(合計11ページ)」について、この文書の一部公開された内容は、1から11のページ番号以外には、ページ1とページ7の以下の記述のみであり、それ以外は黒塗りであり、具体的な質疑応答の内容(があるとしても)も黒塗りである。 ページ1 調布市道路網計画(案)に関する説明質疑応答(抜粋) [第1回] 日時:平成28年1月15日(金) 午後7時~8時30分 場所:文化会館たづくり8階 映像シアター ページ7 調布市道路網計画(案)に関する説明質疑応答(抜粋) [第2回] 日時:平成28年1月16日(土) 午後2時~3時30分 場所:文化会館たづくり8階 映像シアター (3) 文書1については、市民対象の説明会の記録であるにもかかわらず、ほとんど全てを非公開にする決定は明らかに違法ないしは不当な決定と推認されるので、請求人は平成28年5月20日付で、文書1及び他の4件(文書2から文書5)について異議申し立てを行った。 他の4件については、文書1の市民対象の説明会とは違って、非公開の会合の文書であるが、説明会の記録を一部公開とするのと同じ基準、同じ解釈で一部公開(=一部非公開)したはずだから、それらについても不当に過大に非公開としたと考えられるので、これらについても条例違反がないか審査を求めるものである。 (4) この異議申し立てに対して、文書1については、平成28年8月18日付で、個人情報以外は全面公開された。当初の決定の誤りが是正された。文書2及び文書3は変わらずだが、文書4及び文書5は一部公開箇所が若干ふえた。 (5) しかし、なぜ当初誤った決定をしたか、どのように平成28年8月には正しい決定をしたか、それぞれの判断基準や解釈が示されておらず、それらが条例にのっとったものか明らかでなく、平成28年8月にもまた誤った決定をした疑念は拭い切れないので、平成28年11月17日付で、文書2から文書4について処分取り消しの審査請求を行った。 (6) その後、平成29年3月31日付の弁明書が処分庁である市長から出され、それに対する反論書を請求人は平成29年5月8日付で提出した。 最終的に平成29年6月12日付の裁決書が審査庁である市長から、請求人と処分庁である市長に出され終結したが、その内容は、時の経過により訴えの利益がなくなったので「却下」である。 残念なことは、審査人が問題提起した、上記(5)について何ら説明なしに幕引きを行ったことである。 (7) 以上を整理すると、以下のような問題が挙げられる。 1 公開の、市民を対象とする説明会の記録であるにもかかわらず、文書1がほぼ完全に非公開にされたことのおかしさは条例に照らせば自明のことである。異議申し立てでそのことが是正されたことから、当初の決定が誤りであったと確認できた。 しかし、不服申し立て(異議申し立て)をしないと、当初の決定のままで、内容において、知る権利が不当に侵害されることでもある。その理由は明らかにされないが、経験から言うと、市職員の情報公開条例の理解が十分でないことがその一因であり、市役所の中で部署によってばらつきがあり、特に都市整備部は理解が欠けていると思われる。 2 不服申し立て(異議申し立て)を行って、開示範囲が広がったとしても、原則2週間以内に公開という情報公開請求と違って、審査請求に時間制限の規定が条例にないので、審査を引き延ばされると、訴えの利益が時間とともに減少し、ついには、ある時点で訴えの利益がなくなる。つまり、運用によって合法的に知る権利が侵害されることが、不当にも可能であることである。この事例では、審査請求から裁決まで6カ月以上経過している。 3 不服申し立て(異議申し立て)について、情報公開審査会に諮られないまま、処分庁(市長)と同じ人格である審査庁(市長)で審査されることにより、中立性が担保されるか疑わしいことである。 以上に述べた事例のような不当な運用を改め、市民の知る権利を保証するために、調布市は調布市情報公開条例を十分に理解し、最初から適正に運用することを求めます。 以上について陳情いたします。