委員会提出議案第1号 原発事故避難者への住宅支援の継続を求める意見書提出について 上記の議案を提出する。 平成28年6月15日 提出者 建設委員長 小林 市之 原発事故避難者への住宅支援の継続を求める意見書  福島第一原発の事故は,発生から5年以上が経過した今も,事故収束の見通しも立っておらず,政府の原子力緊急事態宣言はいまだに解除されていない。  政府の原子力災害対策本部は,昨年6月「復興の加速化」のもとに避難指示区域指定の解除・区域外避難者の住宅支援の2017年3月打ち切り,精神的賠償の2018年3月打ち切りという,原発事故被災者に打撃を与える方針を打ち出し,福島県が公表した「避難者に対する帰還・生活再建に向けた総合的な支援策」も,民間賃貸住宅への家賃支援の対象を狭め,低い補助率でわずか2年間で終えようとするものであった。  しかし,多くの自主避難者と言われる区域外避難者は,避難の継続を希望している。住宅への支援策は,災害救助法に基づく「みなし仮設」として1年ごとに延長されてきた。子どもを抱えた避難者たちの多くが,そのたび,子どもの転園や転校を経験したり心配されたりしてきた。来年3月で支援が打ち切られると言い渡された被災者たちの,不安と困難ははかり知れない。  避難者を支援する団体,避難者を受け入れている自治体も,住宅借り上げ制度の複数年延長と柔軟な運用を求めてきた。  避難者の生活の最も重要な基盤となる住宅への支援策は,本来,憲法が保障する生存権に基づき,同法で想定されていなかった長期にわたる放射性物質による汚染という原子力災害の特性に対処するため,災害救助法ではなく,原発事故子ども・被災者支援法に基づく抜本的な対策や新たな法制度が必要である。  よって調布市議会は,政府及び東京都に対し,以下の点を求めるものである。 記 1 原発事故による避難者向けの公営住宅や民間賃貸などの無償住宅支援の延長を行うこと。現在の入居者に対して2017年度末で退去を迫らないこと。 2 各自治体の公営住宅の空き家募集の際には優先入居制度を拡大するなど,安心して暮らせる住まいの確保を支援すること。空き家活用施策や居住支援協議会での住宅確保要配慮者として原発事故避難者を位置づけること。 3 原発事故による被災者が避難を選択する権利を有することを認め,そのための国の責任を定めた,「原発事故子ども・被災者支援法」を遵守し,同法に基づく抜本的・継続的な住宅支援制度を確立すること。 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 平成28年6月  日 調布市議会議長 鮎 川 有 祐 提出先 内閣総理大臣  国土交通大臣  復興大臣  東京都知事