議員提出議案第29号 カジノを解禁する「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」に反対する意見書提出について 上記の議案を提出する。 平成28年12月12日 提出者 調布市議会議員 井樋 匡利 賛成者 調布市議会議員 二宮 陽子 同 大河 巳渡子 同 武藤 千里 同 雨宮 幸男 カジノを解禁する「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」に反対する意見書 本法案は「特定複合観光施設(IR)の整備」をうたっているが、本質は日本で許されなかった民間賭博=カジノを解禁しようというものである。 刑法は、刑罰をもって賭博を厳しく禁じている。「国民をして怠惰浪費の弊風を生ぜしめ、健康で文化的な社会の基礎をなす勤労の美風を害」し、「国民経済の機能に重大な障害を与える恐れ」(1947年11月22日、最高裁大法廷判決)があるからである。これを覆すカジノ解禁は許されない暴挙である。 カジノ解禁は何をもたらすか。暴力団の関与、マネーロンダリング、周辺地域の治安の悪化、ギャンブル依存症の多発、青少年への悪影響など、社会悪そのものである。さまざまな対策を講じるためには莫大な社会的費用を必要とする。カジノ事業者のもうけのために、社会悪を発生させ、莫大な公費を使うことには全く道理はない。 より深刻なのは、ギャンブル依存症の拡大である。我が国には、 536万人のギャンブル依存症の患者がいる。慢性、進行性、難治性で、放置すれば自殺に至る極めて重篤な疾患である。新たな依存症患者を生み出すことは許されない。 賭博には敗者が存在する。大数の法則で必ず胴元が勝つ、ここにカジノ営業の根拠がある。日弁連が行った破産調査によるとギャンブルが原因と見られる破産者は全体の5%に上る。カジノは多重債務者をつくり出さざるを得ない。 政府は、カジノを中核としたIRを「成長戦略」の目玉に位置づけているが、賭博によるあぶく銭を当てにした経済政策など、余りに不健全、経済政策の退廃である。 「健康で文化的な社会の基礎をなす勤労の美風」を害し、「怠惰浪費の弊風」を生じさせる本法案は決して成立させてはならない。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 平成28年12月 日 調布市議会議長 鮎川 有祐 提出先 内閣総理大臣 財務大臣 経済産業大臣 衆議院議長 参議院議長