陳情文書表 (平成28年11月25日受理) 受理番号 陳情第71号 件名 国分寺崖線樹林(隣接地)での開発行為に関する陳情 付託委員会 建設委員会 (趣旨) 調布市が「調布の森」として保全策を講じてきた調布市若葉町3丁目内の国分寺崖線樹林(隣接地)において、開発行為(宅地造成)が相次いでいます。これらの開発行為は、国分寺崖線樹林の環境・景観に大きな影響を及ぼすおそれがあるので,調布市が適切な対策を講じるよう陳情します。 陳情の趣旨をさらに具体的に述べます。 1 調布市若葉町3丁目内の国分寺崖線樹林は、調布市都市計画マスタープラン、調布市「緑の基本計画」などで「調布の森」と名づけられ、永続的に保全すべき貴重な緑の財産として、重点的に施策が講じられてきました。また、調布市景観計画では「国分寺崖線景観形成重点地区」に指定し、景観的な課題に重点的・積極的に取り組むエリアとされてきました。 2 同崖線樹林は、若葉小学校、第四中学校、市立図書館若葉分館が立ち並ぶ、この地域の良好な環境・景観を維持する上で大きな要素となっています。また地域住民だけでなく、広く調布市民や隣接区市住民に、豊かな緑に接して憩い、学習する場として親しまれています。 3 同樹林内の若葉町3丁目第1緑地、同第2緑地、同第3緑地では、市民のボランティア団体と調布市が協定を結び、協働して保全活動を行っています。地元自治会が同樹林地を通る坂道の清掃を定期的に行うなど、地域として同樹林を保全していこうとする機運が高まっています。 4 本年(2016年)になって同崖線樹林近辺において4カ所の開発行為(宅地造成)が発生しています。下記のAからD地点がそれで,D地点は既に戸建て住宅8戸がほぼ完成し販売中です。他の3地点については、本陳情提出時には着工されていませんが、既に標識が立てられているので、調布市への届け出・事前協議が開始されている模様です。 A地点 若葉町3丁目18-3ほか3筆 800.64㎡ 6区画 B地点 若葉町3丁目20-1ほか4筆  1725.83㎡ 13区画 C地点 若葉町3丁目28-12外  1195.38㎡ 8区画 D地点 若葉町3丁目23 8区画 5 これらの開発行為は宅地(A地点とD地点)、生産緑地または農地(B地点とC地点)で行われるもので、厳密には樹林地内とは言えないでしょうが、とりわけA地点とB地点は実質的に樹林の一部をなしています。また、C地点は崖線樹林から続く屋敷林や農地の中にあります。これら全ての地点が「国分寺崖線景観形成重点地区」にあることからもわかるように、これらの地点は崖線樹林の環境・景観と一体となっています。これらの地点での開発行為は、国分寺崖線樹林の環境(植生・動物相・地下水・大気など)と景観に大きな影響を与えるおそれがあります。 D地点を除く開発地の総面積は約 3,721平方メートルであり、これは若葉町3丁目第2緑地(約 3,460平方メートル)を超える広さです。調布市の緑の豊かさの指標である「緑被率」や「みどり率」の低下にもつながります。 6 これらの開発行為が行われているエリアは、上記から明らかなように、一般の市街地等に比べて、公共性がより高いエリアです。そこで行われる開発行為では周辺環境との調和により配慮し、影響をできるだけ低減することが求められます。「国分寺崖線景観形成重点地区」指定はその一例です。 7 既に開発行為の計画内容が明らかになっているA地点では、「崖線と一体となる緑のネットワーク」の形成や、長大なコンクリート擁壁が出現しないようにし、擁壁緑化などで圧迫感の軽減を図るなど、「国分寺崖線景観形成重点地区」の景観形成基準が実現できるか、心もとない状況と聞き及んでいます。 さらにA地点は東京都によって急傾斜地崩壊危険箇所に指定され、都市計画道路用地にもかかっています。これらの土地の属性にふさわしい安全で適切な宅地造成が行われるのか心配です。 8 既に進行中の開発行為を全面的にストップさせることはできないとしても、開発行為の内容が崖線樹林の保全にできるだけつながり、崖線樹林の環境・景観によりふさわしいものになるよう、調布市が必要かつ適切な対応をするように求めます。 差し当たって、次の2点の配慮を求めます。 (1) 調布市ほっとするふるさとをはぐくむ街づくり条例、同景観計画など関係法令等に定めることは、開発行為にかかわって行政が行うべき最低限の行為を示しているのであり、実際の業者に対する指導では、開発現場に固有な状況や地域住民の思いなどさまざまな要素を業者に説明し、理解と協力を求めてください。 (2) この件のように都市計画、環境計画、景観計画上に小さくない問題を生じさせる開発行為については、都市計画審議会、環境保全審議会、景観審議会などに付議して、学識経験者・市民委員を含む検討を行い、より適切な対応や、同じ問題を繰り返さないための今後の施策を決めてください。