あとがき −第4期障害福祉計画の策定を振り返って− この度策定された第4期障害福祉計画は,現行の第3期計画を踏まえながらも,国連障害者権利条約の批准,障害者総合支援法施行後初となる計画として,今後の障害福祉の方向性を見定める上でも重要性を帯びています。 その重要な計画策定の使命を担う第4期調布市障害福祉計画作成委員会には20名の委員が参加し,それぞれの立場からの意見表出,そして,その立場を超えた共通理解を進めながら,熱心な議論を展開してきました。 4回にわたる策定委員会の成果は,多様な障害の分野に視野を広げることができた,策定委員会での意見が計画策定に反映している実感を持てた等の,委員の皆さんの振り返りの中での発言に集約されています。まさに,それぞれの立場を超えて,単に数値目標の吟味だけに留まらない議論のプロセスの共有化につながったと言えます。 一方,障害福祉計画における文言案や数値目標案に関する確認作業ではなく,計画策定の基礎となる現状認識や今後の施策の方向について,より時間をかけた議論も必要との指摘もなされました。とかく,財政状況が初めにありきの計画策定ではなく,障害があることに起因して発生する実際の福祉課題を意識化し,課題解決に向けた取組みを計画に反映させていくことはとても重要であり,その積み重ねがあって初めて,まさに血が通った計画が実現するものと思います。そのため,計画が策定されたと同時に,その進捗を見守り,計画を超えたニーズが発生した時には,必要な対応について検討,提言していくことも,関係者に課せられた責務であると考えます。 その際には,策定委員会やパブリック・コメント等の機会になかなかアクセスできない方々がいるかもしれないことについて思いを馳せ,実際の計画の遂行と,その進捗管理を通して,こうした隠れてしまいがちな課題を常に汲み取っていくことも求められます。今回策定された第4期の障害福祉計画や具体的な成果目標を今後の調布市における障害福祉推進の道標としながら,障害者権利条約の趣旨でもある,障害を理由として誰も排除しない,排除されない共生社会の創造を力強く進めていくことを期待しています。障害福祉計画が,福祉サービスの受け手としての障害のある人のための計画に留まることなく,共生社会を目指す調布市の市民一人ひとりの皆さん自身の計画となることを願ってやみません。 朝日雅也(第4期調布市障害福祉計画作成委員会会長)