第2章 計画の理念・基本的考え方 障害者施策を推進していくにあたって,その推進の目標(ゴール)となる、あるべき姿(理念)や施策推進の考え方を,調布市障害者総合計画(平成24年度〜平成29年度)では次のように定めています。 第4期調布市障害福祉計画は,調布市障害者総合計画の部分改定にあたり,これらを基本的に継承します。 1 障害者施策の理念 ○ ノーマライゼーションと社会参加の推進 市民一人ひとりが,尊重され,社会・経済・文化活動などあらゆる分野の社会活動において,参加や利便が配慮されている地域社会の実現を図ります。 ○ 権利の擁護 市民一人ひとりが,生きがいを持って,いきいきと健康に暮らし,社会の役にたちたい,楽しいことをしたいなど主体的な生活者としてさまざまな要求をもち,その実現を望むことを基本的な権利として擁護します。 ○ 自己決定の尊重と選択性の保障 自分の暮らし方やその人生のありようを自らが決める,いわゆる自己決定の権利を最大限に尊重します。またこれを実現するためには,決定するための多様な選択肢が用意されていることが重要であり,そのうえで,本人自身が望むサービスを選択し,決定することができるよう支援します。 ○ 生活の質の向上を図るサービスの確保 人が,その人生をより豊かに,充実したものとするためには,安全,快適,その人らしさなど一人ひとりの生活の質が問われます。市民一人ひとりが豊かさを実感できるよう,公的なサービスの充実とともに,企業やボランティア等,多様なサービスを総合的かつ効率的に提供できる体制の構築を図ります。 ノーマライゼーションの理念は,1950年代に北欧で提唱された考えかたで,障害のあるかた,高齢者や児童など,なんらかの支援を要する人たちが,地域の中でともに生きていく社会があたりまえの社会であるという理念をいいます。 2 障害者施策推進の基本的考え方 その人らしい自立した生活の充実 障害の種別や程度に関わらず,その人にとってかけがえのない人生を,自らがその主人公として,地域社会の人々とともに暮らす中で,充実させていくことを意味します。 視点1 一人ひとりのニーズに,応じた支援  人は皆,それぞれ違う生活スタイルや価値観を持っており,多様な個性を持った存在です。その人にとっての適切な支援を追求していかなければなりません。 またニーズとは,他の誰でもない利用者本人のニーズを出発点とするとともに,顕在化されたニーズだけでなく,本人自身が気づいていない,または表現できていない潜在的なニーズにも目を向けていくことが重要です。 視点2 どのライフステージにも対応した生涯支援  乳幼児期,学齢期,成人期,高齢期等,ライフステージのどの段階でも,その人にとっての適切な支援を展開していかなければなりません。一人ひとりのかけがえのない人生を支えていくためには,特に,ライフステージの転換のときに,もれなく制度の切れ目がないように(シームレスに),しっかりと支えていくことを基本に,さまざまな施策を展開します。もちろん,乳幼児期からの障害だけではなく,ライフステージの,どの段階で障害を持った場合(中途障害)でも,その生涯支援を考えていく視点を持ちます。 視点3 ともに暮らす地域社会の実現  市民全体が,互いの人格と個性を尊重しあう社会を構築していかなければなりません。 今日の世界的な動向として,生活のしづらさを,もたらす大きな要因に,社会的な障壁の存在があることが着目されています。それは段差などの物理的な障壁だけではなく,文化・情報・制度面での障壁,意識上の障壁(心の壁)等,ハード・ソフト合わせた障壁です。国連の,障害者の権利に関する条約,等を踏まえ,そのような社会的障壁を必要かつ合理的な配慮により除去し,差別等の権利侵害のない地域社会を実現するために,まさに「地域の環境づくり」が重要となります。 まちが変わる,人と人とがふれあう,これを障害者施策推進の大きな方向性とします。 障害者基本法では,社会的障壁とは、障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物,制度,慣行,観念その他一切のものをいうと、されています。 3 施策体系 前述の理念・基本的考えかたを受けて,調布市障害者総合計画では,具体的に以下の 3つの柱から施策体系を構築しています。 T 障害のあるかたと家庭への地域生活の支援 どのライフステージの段階でも,その人らしい自立を、支えていくことを明確にします。そこで,乳幼児期〜学齢期、成人期〜高齢期に分類して,各ライフステージに対応した施策を展開します。また本人だけではなく家庭も支えていく視点をもちます。 U 地域の環境づくり 一人ひとりの生活を支えるため,生活のしづらさをもたらす,大きな要因である,社会的な障壁の除去に、着目します。地域の環境づくりにより,まちが変わる,人と人とがふれあう調布をつくっていきます。 V 福祉サービス等の充実 上記のT・Uに関わる福祉サービスを展開します。(これは障害福祉計画部分に対応します。) 第4期調布市障害福祉計画は,上記のうちVの福祉サービス等の充実に、主に対応します。 T障害のある方と家庭への地域生活の支援,及び,U地域の環境づくりに関する施策については,平成24年3月に策定した,調布市障害者総合計画で,平成29年度までの計画を定めています。 表題:施策の体系 1.障害者施策の理念 (1)ノーマライゼーションと社会参加の推進 (2)権利の擁護 (3)自己決定の尊重と選択性の保障 (4)生活の質の向上を図るサービスの確保 1.から2.へ 2.障害者施策の推進の基本的考え方 (1)その人らしい自立した生活の充実 視点1.一人ひとりのニーズに応じた支援 視点2.どのライフステージにも対応した生涯支援 視点3.ともに暮らす地域社会の実現 2.から3.へ 3.施設体系 (1)障害のある方と家庭への地域生活への支援 @相談支援体制の強化 A健康づくりの推進 B発達相談・早期療育体制の強化 C就学前の支援の充実 D児童・生徒への教育 E放課後等(地域生活)の支援の充実 F住まいの整備 G活動・学習等の場の整備 H働くことへの支援  I高齢期の支援の充実 (2)地域の環境づくり @情報提供体制の強化 A移動手段の整備 B安全・安心のまちづくりの推進  C理解と交流の推進 D当事者の参画の推進 E人材の育成・地域ネットワークづくり F権利擁護・苦情対応 G計画の推進・評価 (3)福祉サービス等の充実 ホームヘルプ,ショートステイ,補装具,移動支援,コミュニケーション支援など