(2) 健康づくり・医療的な支援  障害のある方の健康維持や生活習慣病等の疾病の予防とともに,地域において適切な医療を受けられる体制を整備します。   現行計画期間の振返り ● 生涯学習交流推進課による出前講座の中で,健康推進課への依頼によって,保健師や栄養士・歯科衛生士の出張による健康教育・相談を実施しています。(健康推進課) ● 健診・検診の受診喚起に努めました。また,おおむね40歳以上の療養上の保健指導が必要な方または介護している家族を対象に,看護師・保健師の訪問指導を実施しています。(健康推進課) ● こころの健康支援センターで,精神疾患の理解や障害者雇用をテーマに講演会やセミナーを開催し,参加者は年々増加しています。 ● 訪問入浴サービスでは,平成27年度より夏季(7月~9月)における入浴提供日数の増加を図りました。 ● 休日や夜間の緊急医療等の地域医療体制の充実を図り,障害者歯科診療では,歯科保健指導を行っています。(健康推進課) ● 調布市医師会が運営する「ちょうふ在宅医療相談室」では,在宅医療の相談,往診医の紹介を行うとともに,年6回運営協議会を開催し,介護・医療の連携に関する課題の抽出と対応の検討を行っています。(高齢者支援室)   今後の課題 ◆ 障害児・者を地域で支える医療体制の確保  障害や疾病に関する専門的な治療以外でも,地域において障害児・者が受診できる医療機関は限られており,障害のある方を地域で支えられる医療体制の確保が必要です。 ◆ 知的障害者,精神障害者などへの健康管理の支援  障害のある方,とりわけ知的障害者,精神障害者においては,自身による日々の食生活などの健康管理が困難な方も多く,生活習慣病等の予防は大きな課題です。高齢になっている障害者も増加している中で,いつまでも地域で生活し続けられるために,健康管理のための支援が必要です。   基本的方向性 <健康づくりの支援の充実> ○ 障害者の高齢化が進んでいる中で,生活習慣病などの予防や早期発見・早期治療のため,各種健康講座の実施や健康診査などにおける障害者の利用促進などを通じて,障害のある方の健康増進を図ります。 ○ 精神保健や発達障害,高次脳機能障害などの普及啓発を通じて,障害に対する理解とともに障害の早期発見や適切な対応につなげます。 ○ 食事,入浴など健康な在宅生活の継続に必要なサービスの充実を図ります。  <地域医療の充実と連携促進> ○ ちょうふ在宅医療相談室との連携により,重度の障害のある方,高齢の障害者などを含め,誰もが適切な在宅医療を受けられる体制づくりを進めます。 ○ 障害者相談支援事業所,相談支援専門員を中心とした各種相談機関と地域の医療機関,訪問看護ステーションなどとの連携充実に努めます。   事業計画 <健康づくりの支援> 【主要事業】 No 1201 地域健康相談の推進・健康教育の推進 健康推進課 事業概要  健康づくり,生活習慣病予防を目的に,疾患のある方または危険因子を持つ方に必要な保健指導や健康管理に対する正しい知識の普及を図るため,各種健康教育や健康相談を実施しています。 今後の方向・目標  継続します。障害者や高齢者のグループからの健康教育の依頼も増えているのでより丁寧に安全に配慮して行っていきます。 【主要事業】 No 1202 健診・検診の実施 健康推進課 事業概要  疾病の早期発見だけでなく,健康づくりのきっかけとするため各種健(検)診を実施しています。(健増健診,各種がん検診(胃がん・大腸がん・子宮がん・乳がん・肺がん・前立腺がん・胃がんリスク),歯周疾患検診,B型・C型肝炎検診,結核検診) 今後の方向・目標  現在,健(検)診の案内には車いす対応の可否について掲載しています。また,窓口に相談にいらっしゃる方には希望に沿った医療機関を探し提案しています。  今後も,市民の状況や相談に応じていけるよう,医療機関への受入れ拡大について医師会と連携し検討していきます。 No 1203 訪問指導の推進 健康推進課 事業概要  40歳以上の療養上保健指導が必要な方またはその家族を対象に,保健師や看護師が訪問し,心身の機能低下の予防と生活習慣病予防,健康増進を図っています。保護者や子どもに障害や疾病があり養育支援目的で訪問指導を行っている方もいます。 今後の方向・目標  事業の継続については検討していきます。 【主要事業】 No 1204 精神保健福祉に関する普及啓発 障害福祉課 事業概要  こころの健康支援センターで定期的に精神保健福祉に関する講演会を開催しています。 今後の方向・目標  市民のこころの健康づくりや精神疾患及び精神障害者に対する理解を深めるため,研修や講演会を開催します。 No 1205 訪問入浴サービス事業 障害福祉課 事業概要  家庭において入浴が困難な身体障害者の自宅へ巡回入浴車を派遣し,入浴の支援を行うことで健康な生活の維持を図っています。 今後の方向・目標  身体障害者の健康な生活の維持と保護者の介助負担の軽減を図るため,入浴支援を継続します。 ⇒見込み量「第5章 2(2)① 訪問入浴サービス支援事業」(162ページ) No 1206 障害者配食サービス事業 障害福祉課 事業概要  心身の状態から買物や炊事の困難な障害者に対して,宅配により栄養バランスのとれた食事を提供するとともに,安否の確認を図っています。 今後の方向・目標  買物や炊事の困難な障害者が地域生活を送れるよう食事の面から支援するため,事業を継続します。 <地域医療の充実と連携促進> No 1207 地域医療の実施 健康推進課 事業概要 ○ 障害者歯科診療 一般の歯科医療機関では受診が困難な障害者の歯科診療を行っています。 ○ 夜間・休日救急体制の充実 市内医療機関の輪番制(日曜・祝日の日中)と,調布市休日夜間急患診療所(土日・祝日の準夜間)において,急病患者のための応急診療事業を実施しています。 ○ 小児初期救急平日準夜間診療の推進 平日準夜間の小児初期救急診療を調布市と狛江市と共同で,東京慈恵会医科大学附属第三病院内にて実施し,救急医療体制の充実を図っています。 今後の方向・目標  継続します。 No 1208 ちょうふ在宅医療相談室との連携 高齢福祉担当 事業概要  在宅で安心して医療を受けて生活していくために,調布市医師会が平成22年10月から在宅医療に関する相談や往診医の紹介を行っています。平成27年度から,市の委託事業として実施しています。 今後の方向・目標  ちょうふ在宅医療相談室の周知を図り,利用を促進するとともに,在宅医療に関する情報を適切に提供していきます。また,ちょうふ在宅医療相談室の運営協議会を,在宅医療に関する地域資源などの情報共有や,医師・歯科医師,薬剤師,地域包括支援センター等の連携の機会,さらには新たな取組の検討の場として運営します。 コラム かかりつけ医を持つということ 日常の健康のことなどをなんでも相談できる身近な「かかりつけ医」を持つことをお勧めします。風邪にかかったとき,市の定期健診や予防接種などをきっかけに,ご自分に合ったかかりつけ医を探してみて下さい。 医師の多くはそれぞれ専門分野を持っていますが,ご自宅から近くていつでも相談でき,医師との相性がよければ理想的です。健康上の困りごとはまずかかりつけ医に相談してから必要な医療の道案内をしてもらいましょう。また,軽い病状の自己対応法について皆さま自身が学習することも重要です。必要な正しい知識や,いわゆるメタボやフレイル(虚弱)の予防について,インターネット情報だけに頼らず,貴方自身に即した適切なアドバイスを受けて頂くことをお勧めします。 障がいをお持ちの方も「かかりつけ医」にアクセスしやすくなるように,調布市医師会は皆さまの便宜を図るべく努めてまいりますので,ご意見ご希望がございましたら是非ともお聞かせください。 西田 伸一(本計画策定委員。公益社団法人調布市医師会) コラム 障害者権利条約を実現する調布へ 今回の調布市障害者総合計画は,障害者権利条約を我が国が批准して初めて作成する計画です。あらゆる面で障害者の権利が保障され,社会への参加が出来る調布を作り上げる第一歩です。それだけに策定委員会では,真剣な討議がされたと,今回も委員会に加わらせて頂いた私は思います。あとは市民とともに,如何に実効性あるものにしていくかです。 もう1つ,障害者制度ではないが調布市民として当然受けられる施策を,障害者も受けられるようにすることも重要な課題と私は思います。策定委員会でも発言しましたが,成人検診は,健康と命を守る大切な制度です。しかし,障害ゆえに受診が難しい,発見が遅れる事があります。こうしたことを無くすためにも,医師会の協力を得ながら,権利としての成人健診を実現したいと思います。この様に,一市民として障害者も生活する調布のまちを実現するために,今後も多くの方々と討議を重ねていきたいと思います。 市橋 博(本計画策定委員。当事者)