3 成果目標  以下の分野については,特に具体的な「成果目標」を設定します。 (1) 福祉施設の入所者の地域生活への移行 (2) 精神障害者にも対応した地域包括ケアシステムの構築 (3) 地域生活支援拠点の整備 (4) 福祉施設等から一般就労への移行等 (5) 障害児支援の提供体制の整備等  成果目標の設定に当たっては,その項目や考え方について国が基本指針(※)を定め,市町村がその指針をもとに,これまでの実績及び地域の実情を踏まえて設定することとされています。 ※ 平成18年厚生労働省告示第395号「障害福祉サービス等及び障害児通所支援等の円滑な実施を確保するための基本的な指針」 (1) 福祉施設の入所者の地域生活への移行  福祉施設に入所している障害者の地域生活(グループホームや居宅生活など)への移行を推進します。   ※ 「第4章 1(3) 居住系サービス」における「施設入所支援」と同様に,障害児施設に入所している18歳以上の入所者を除いて算定しています。   第4期計画期間の振返り ● 施設入所者数は,利用者の高齢化による高齢者施設への転所,入院等から目標値以上に減少していますが,地域生活への移行は目標に達していません。長期入所者の高齢化が進んでおり,入所者における重度障害者の割合も多くなっています。 【目標1】施設入所者の地域生活への移行  平成25年度末時点の施設入所者数  139人  上記のうち,平成29年度末までの地域移行者数(推計) 目標値  5人(4%) 実績   2人(1.4%) 【目標2】施設入所者数の削減  平成25年度末時点の施設入所者数  139人  平成29年度末の施設入所者数(推計) 目標値  139人(±0人) 実績   136人(-3人)   第5期計画における成果目標 【目標1】施設入所者への地域生活への移行 ○ 国の基本指針  平成28年度末の施設入所者の9%以上が平成32年度末までに地域生活へ移行 ○ 調布市の考え方  過去の実績及び現在の入所者の実状から,第4期に引き続き国の基本指針とは異なり独自の目標を設定することとします。地域移行者数は,第1期から第4期まで各期間5人を目標としており,第5期においても同様の目標とします。  平成28年度末時点の施設入所者数  135人  上記のうち,平成32年度末までの地域移行者数 目標値  5人(3.7%) 【目標2】施設入所者数の削減 ○ 国の基本指針  施設入所者を,平成28年度末時点から2%以上削減 ○ 調布市の考え方  施設入所のニーズもなお一定数存在することから,国の基本指針とは異なり,平成28年度末時点の入所者数を超えないことを目標とします。  平成28年度末時点の施設入所者数  135人  平成32年度末時点の施設入所者数 目標値  135人(±0人) (2) 精神障害者にも対応した地域包括ケアシステムの構築  精神障害者が地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるよう,医療,障害福祉,介護,住まい,社会参加(就労),地域の助け合い,教育が包括的に確保された地域包括ケアシステムの構築を目指します。  ※ 第5期計画からの新たな項目です。   第5期計画における成果目標 【目標】保健・医療・福祉関係者による協議の場の設置 ○ 国の基本指針  各圏域・市町村において,保健・医療・福祉関係者による協議の場を設置する。 ○ 調布市の考え方  現在実施している「調布地域精神保健福祉ネットワーク連絡会」を本成果目標に定める協議の場として位置付け,各機関の連携をさらに深めながら,必要な支援体制の検討を行っていきます。   (該当・関連事業)    ・調布地域精神保健福祉ネットワーク連絡会(30ページ。No.1115) ※ 上記のほか,「精神病床の1年以上の入院患者数の削減」及び「退院率」に関する成果目標を,都道府県において定めることとされています。 (3) 地域生活支援拠点の整備  障害者の地域生活支援に必要な機能を集約し,地域におけるグループホームや障害者支援施設(入所施設)に附加した「地域生活支援拠点」を整備します。  地域の実情に応じて,地域における複数の機関が分担して機能を担う体制(面的な体制)として整備することも可能とされています。 【地域生活支援拠点の機能】  ○ 地域生活への移行,相談  ○ グループホーム等の体験  ○ 緊急時の受入対応体制の確保  ○ 人材の確保・養成  ○ その他地域の体制づくり等   第4期計画期間の振返り ● ドルチェ,ちょうふだぞう,希望ヶ丘の3か所の相談支援事業所を中心として,「面的な体制」として整備するとの方針のもと,各機能の充実を進めました。  ⇒ 「調布市福祉人材育成センター」(51ページ。No.1621)の設置 (平成27年度) ⇒ 在宅障害者(児)委託型緊急一時保護事業」(47ページ.No.1602)を拡充し,新たに重度重複障害者向けの事業を開始(平成29年度)   第5期計画における成果目標 【目標】地域生活支援拠点の設置 ○ 国の基本指針   各市町村又は各圏域に少なくとも1つ整備 ○ 調布市の考え方  拠点として必要とされる機能は一定程度整備されていますが,今後も引き続き「面的な体制」としての各機能の充実を図っていきます。  ■ 調布市における「地域生活支援拠点」の構成(面的な体制) 地域生活の移行,相談 事業名 ○ 基幹相談支援センター(26ページ。No.1101)     ○ 障害者相談支援事業(26ページ。No.1102)     ○ こころの健康支援センターの運営(相談事業)(26ページ。No.1103) グループホーム等の体験 事業名 ○ 知的障害者グループホームの運営(グループホームすてっぷ)(92ページ。No.2701) 緊急時の受け入れ体制の確保 事業名 ○ 在宅障害者ショートステイ事業(47ページ。No.1601)     ○ 在宅障害者(児)委託型緊急一時保護事業(47ページ。No.1602)     ○ 障害者を地域で支える体制づくりモデル事業(あんしんネット)       (28ページ。No.1108) 人材の確保・養成 事業名 ○ 調布市福祉人材育成センター(51ページ。No.1621) その他地域の体制づくり等 事業名 ○ 障害者地域自立支援協議会  (127ページ。No.3602) 図 調布市地域生活支援拠点(面的な体制) グループホーム等の体験 ・グループホームの体験機会の提供(3ヶ月~1年) 相談,地域の体制づくり ・障害者地域自立支援協議会の運営 障害福祉課と3か所の相談支援事業所による相談と自立支援協議会の一体的運営(地域課題の抽出と検討)  基幹相談支援センター(障害福祉課)  ドルチェ(身体障害・高次脳機能障害)  希望ヶ丘(精神障害)  ちょうふだぞう(知的障害)  こころの健康支援センター(精神障害・発達障害) 相談支援ネットワークづくり ・全ての事業所が特定相談支援事業(計画相談支援)を運営し,サービス調整を実施 緊急時の受入れ体制 ・あんしんネット ・在宅障害者ショートステイ ・委託型緊急一時保護 人材の確保・養成 ・福祉人材育成センター 今後の課題 各相談機関の専門性強化,「あんしんネット」の対象拡大,「福祉人材育成センター」の機能充実,「一人暮らし」の体験の場・機会の整備,身体障害者・精神障害者向けの体験の場・機会の整備 (4) 福祉施設等から一般就労への移行等  より多くの障害者が一般就労できるよう,福祉施設等での就労から企業等での一般就労への移行を推進します。   第4期計画期間の振返り ● 新規就職者はほぼ横ばいで推移しており,目標達成に至っていません。その一方で,定着支援(就職した後の継続支援)の対象者は年々増加しています。 【目標1】就労移行支援事業等(※1)を通じての一般就労への移行者数  平成24年度の年間一般就労者数  20人  平成29年度の年間一般就労者数    目標値  40人(2倍) 実績   26人 ※28年度 【目標2】障害者就労支援事業(※2)による一般就労者数  平成25年度の年間一般就労者数  54人  平成29年度末の一般就労者数(推計) 目標値  77人 実績   69人 ※28年度 【目標3】「就労移行支援」事業所の就労移行率(※3)  就労移行率 目標値  5割以上の市内事業所が 30%以上の就労移行率を達成    実績  83.3%(6事業所中の5事業所)の市内事業所が30%以上の就労移行率を達成        ※28年度     ※1 生活介護,自立訓練(機能訓練・生活訓練),就労移行支援,就労継続支援(A型・B型)を行う施設をいいます。 ※2 障害者就労支援事業:82ページ。No.2501 ※3 就労移行率 = 一般就労への移行者数 ÷ 就労移行支援事業の利用者数   第5期計画における成果目標 【目標1】就労移行支援事業等を通じての一般就労への移行者数 ○ 国の基本指針   平成32年度中の一般就労への移行者数を平成28年度の1.5倍以上 ○ 調布市の考え方  国の基本指針に沿って目標値を設定します。(目標値は第4期計画と同数)  平成28年度の年間一般就労者数  26人  平成32年度の年間一般就労者数 目標値  40人(1.5倍) 【目標2】障害者就労支援事業による一般就労者数  【目標1】に加え,就労移行支援事業及びその他の法に定める障害福祉サービスの利用による就労に限らず,より広い視点で一般就労への移行の推進を図るため,第4期と同様に独自に標記の指標により目標値を定めます。  平成28年度の年間一般就労者数  69人  平成32年度の年間一般就労者数 目標値  77人 【目標3】「就労移行支援」事業の利用者数 ○ 国の基本指針  平成32年度末における「就労移行支援」事業の利用者数を,平成28年度末から2割以上増加 ○ 調布市の考え方   国の基本指針に沿って目標値を設定します。  平成28年度末の「就労移行支援」利用者数  55人(平成29年3月)  平成32年度末の「就労移行支援」利用者数 目標値  66人(1.2倍) 【目標4】「就労移行支援」事業所の就労移行率 ○ 国の基本指針  平成32年度に全体の5割以上の「就労移行支援」事業所が,就労移行率3割以上を達成 ○ 調布市の考え方   国の基本指針に沿って目標値を設定します。  平成28年度の就労移行率   83.3%(6事業所中の5事業所)の市内事業所が30%以上の就労移行率を達成  平成32年度の就労移行率   目標値  5割以上の市内事業所が30%以上の就労移行率を達成 【目標5】「就労定着支援」1年後の就労定着率 ○ 国の基本指針  「就労定着支援」を利用開始して1年後の就労定着率が80%以上 ○ 調布市の考え方   国の基本指針に沿って目標値を設定します。  平成32年度における「就労定着支援」利用開始から1年後の就労定着率 目標値  80%以上 【目標6】障害者就労支援事業による一般就労者数  【目標5】に加え,就労定着支援の利用に限らず,より広い視点で一般就労への定着の推進を図るため,独自に標記の指標により目標値を定めます。  平成32年度における「障害者就労支援事業」による支援開始から1年後の就労定着率 目標値  80%以上 (5) 障害児支援の提供体制の整備等  障害児の地域生活を支えるサービスの提供体制を整備します。  ※ 第5期計画からの新たな項目です。   第5期計画における成果目標 【目標1】「児童発達支援センター」(※)の設置 ○ 国の基本指針  各市町村において,少なくとも1か所設置する。 ○ 調布市の考え方  「子ども発達センター」において,児童発達支援センターへの移行体制を整備します。   (該当・関連事業)    ・子ども発達センターの児童発達センターへの移行(59ページ。No.2109) 【目標2】「保育所等訪問支援」を利用できる体制の構築 ○ 国の基本指針  各市町村で「保育所等訪問支援」を利用できる体制を構築 ○ 調布市の考え方  既に「子ども発達センター」において,平成26年1月から保育所等訪問支援事業を開始しており,今後も同事業を継続して実施します。   (該当・関連事業)    ・保育所等訪問支援事業(59ページ。No.2108) ※ 児童発達支援センター:児童福祉法に基づく「施設」の名称。「児童発達支援」などの通所による療育のほか,保育所等訪問支援などの地域支援を行う,障害児支援の中核的な施設とされており,人員,設備などの要件が,「児童発達支援」事業のみよりも厳しくなっています。 【目標3】重症心身障害児を支援する施設の確保 ○ 国の基本指針  主に重症心身障害児を支援する児童発達支援事業所,放課後等デイサービスを各市町村に少なくとも1か所確保 ○ 調布市の考え方  平成29年10月に,市内に重症心身障害児を対象とする放課後等デイサービス事業所が開設しました。引き続き,開設経費等の補助制度の継続により,事業所の開設を推進します。  また,「子ども発達センター」の通園事業において,医療的ケアが必要な児童の受入れについて,課題整理,体制整備を行っていくとともに,「調布基地跡地福祉施設(仮称)」の整備への参画において,児童発達支援,放課後等デイサービス等の児童を対象とした事業の実施についても検討します。   (該当・関連事業)    ・子ども発達センターにおける医療的ケア対応(54ページ。No.1633)    ・調布基地跡地福祉施設(仮称)整備への参画(54ページ。No.1635) 【目標4】医療的ケア児支援の協議の場の設置 ○ 国の基本指針  各都道府県,圏域,市町村において,平成30年度末までに医療的ケア児の支援についての協議の場を設置する。 ○ 調布市の考え方  平成29年度より調布市障害者地域自立支援協議会に設置した「医療的ケアを必要とする重度障害児・者の地域生活のワーキング」を,本成果目標に定める協議の場として位置付け,必要な支援体制の検討を行っていきます。   (該当・関連事業)    ・障害者地域自立支援協議会の運営(127ページ。No.3602)