障害者総合計画の策定を振り返って 新しい障害者計画と障害福祉計画の策定にあたり,2年間にわたって同計画策定委員会における議論と取りまとめに参加させていただきました。 この期間は障害者制度改革の議論の真っ只中でもあり,国レベルでの制度改革の進展に期待をしながら,一人ひとりの障害のある人の地域における生活の質を向上させるためには,身近な自治体における具体的な施策の展開と,それに対する障害のある方を含めたすべての住民の理解と積極的な議論が不可欠なことを実感し,また,実践できたのではないかと思います。 議論の中では,現行の障害者計画・障害福祉計画の進捗状況について検証しながら,従来の施策体系では谷間に陥りがちな課題についても委員全体で共有することができました。時に理念の違いや,財政面での課題等にも直面せざるを得ないこともありましたが,障害の有無にかかわらず,誰もがこの調布で暮らしていることの喜びを実感できるように,切れ目のない,いつでもどこでも支援を受けられる体制づくりは,立場を超えて変わらぬ基盤となる考え方として,揺らぐことはありませんでした。そして,2つの計画を総合計画として統合化し,障害の有無にかかわらず,すべての調布市民の計画として,発信できる形になったことは大変意義深いことと言えます。福祉施策やサービスの提供を通じて,障害を理由として誰も排除しない,排除されないまちづくりや共生社会の創造へとつながっていくことを期待しています。 ところで,計画の推進にあたっては,常に制度そのもののあり方も含めて注視していくことが必要です。計画の着実な進行を見守りながら,同時に,制度に合わせて生活を組み立てるのではなく,サービスや支援の対象となる人々の願いに添った制度や施策を展開することの重要性を計画の実施にあたっての出発点としたいものです。 朝日雅也(調布市障害者総合計画策定委員会会長)