(5) 児童・生徒への教育 基本的方向性 特別支援教育の充実を図るとともに,その推進に向けての行政のネットワーク化を図ります。 児童・生徒が,いきいきと学校生活を送ることができるよう個々のニーズに応じた教育が受けられるよう,環境整備等を推進します。 学校管理職や学級担任,特別支援教育コーディネーター,さらには,スクールカウンセラーや専門家等とが連携を図り,保護者とともに,児童・生徒の個に応じた教育の充実に向けた取組を推進します。 不登校,いじめ,問題行動等の改善を図るため,市立学校におけるカウンセリング等の機能の充実を図るとともに,引続き不登校児童・生徒に対し,メンタルフレンドの派遣及び不登校生徒の学習支援を行います。 在学時から,将来の自立に向けた支援を展開していくために,教育・福祉・雇用等の関係機関の連携を強化します。 (注)特別支援教育:平成15年3月に文部科学省に設置された「特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議」が取りまとめた「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」において示されました。報告では「特別支援教育とは,従来の特殊教育の対象の障害だけでなく、LD、ADHD、高機能自閉症を含めて障害のある児童生徒の自立や社会参加に向けて、その一人ひとりの教育的ニーズを把握して、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するために、適切な教育や指導を通じて必要な支援を行うものである」とされます。 (注)特別支援教育コーディネーター:上記最終報告において,「小・中学校又は盲・聾・養護学校において関係機関との連携協力の体制整備を図るために、各学校において、障害のある児童生徒の発達や障害全般に関する一般的な知識及びカウンセリングマインドを有する学校内及び関係機関や保護者との連絡調整役としてのコーディネーター的な役割を担う者」として提言されています。 (注)スクールカウンセラー:「臨床心理士,精神科医,心理学系の大学の常勤教員など,臨床心理に関し高度に専門的な知識・経験を有する者であり、心の専門家として、専門性を有しつつ、教員等と異なる立場として外部性がある」方をいいます。(文部科学省HPより) (注)メンタルフレンド:心の友。学校に行きたくても行けない、友達と遊びたくてもきっかけがつかめないなどで、家に閉じこもりがちな子供達の心の支えになって、一緒に遊んだり話をしてくれるお兄さん・お姉さんのことです(東京都児童相談センターHPより)。 事業計画  特別支援教育の推進 特別支援教育を推進するため,管理職や特別支援コーディネーター等,職層や職務分担に応じた校内体制を推進する研修の充実を図り,個別の教育支援計画・個別指導計画の活用を進めます。通常の学級の特別な支援を要する児童・生徒に対して,各校に配置しているスクールサポーターの支援体制を充実します。一人ひとりの児童・生徒に応じた支援を実施するために, 医師や臨床心理士などで構成する専門家チーム等の巡回相談を継続して行います。 (注)個別の教育支援計画:福祉、医療、労働等の関係機関が連携して一人ひとりのニーズに応じた支援を効果的に実施するための計画であり、学校等の教育機関が中心となって策定する場合の呼称です。地域社会に生きる個人として、教育、福祉、医療、労働等の関係機関等による連携協力体制で支援 をしていくための道具(ツール)でもあります。なお、「個別移行支援計画」とは、卒業後の企業就労や福祉施設利用等の進路指導全体を視野に入れ、労働、福祉等との連携の下に、本人や保護者の意向を踏まえて、在学中及び卒業後の支援が適切に行われるよう、生徒一人ひとりについて策定するものであり、特定の時期における「個別の教育支援計画」と考えることが適当です。 個別指導計画:教育課程を具体化したもので、一人ひとりの指導目標や指導内容・方法の明確化を図るものです。障害の状態や発達段階に応じた指導目標を設定して適切な指導を行うよう、例えば自立活動や各教科等に作成するなど、個々の指導の方法や内容を盛り込んで作成します。従って、上記の「個別の教育支援計画」と「個別指導計画」は、目的や活用の場が異なるものです。 (以上は、全国特殊学校長会編『盲・聾・養護学校における「個別の教育支援計画」』2005 を参考。) (注)スクールサポーター:市立小学校での特別な支援を要する児童への指導補助等をする方です(小学校教員免許視覚保持者)。 特別支援教育の推進 指導室 事業概要 平成16年度から3か年の東京都の特別支援教育モデル事業を引継ぎながら,平成22年度東京都が策定した特別支援教育推進計画に基づいて,調布市特別支援教育推進計画(仮称)を策定し,市内における特別支援教育の推進をさらに図っています。 今後の方向・目標 調布市特別支援教育推進計画(仮称)では,特別支援学級及び通常の学級の指導の充実,支援体制の充実,関係機関との連携強化等について市内の特別支援教育の推進を図ります。 (注)特別支援学級:知的障害.肢体不自由.身体虚弱.弱視.難聴.その他障害のある者で、特別支援学級において教育を行うことが適当な児童及び生徒のために小学校、中学校、高等学校及び中等教育学校に設置された学級です(学校教育法第81条第2項)。 特別支援学校:視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。以下同じ。)に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とする」学校です。(学校教育法第72条) 介助員の配置推進 指導室 事業概要 特別支援学級に在籍する児童・生徒に対して,一人ひとりの障害の特性に応じた指導を充実して行くために,介助員を配置し,特別支援学級担任とともに,指導に当たっています。 今後の方向・目標 介助員の研修を充実し,特別支援学級担任との連携を進めていきます。 特別支援学級運営に係る発達検査等の実施 指導室 事業概要 障害のある児童・生徒の実態をより的確に行い,個別の教育支援計画や個別指導に反映し,指導の充実を図るために行っています。 今後の方向・目標 継続します。 教育相談の充実 心身の障害等を原因とする不適応や不登校,親の養育不安などに関する相談を,学校,地域,保護者などから受け,適切な支援をコーディネートするための教育支援コーディネーターの配置を継続します。支援が必要な児童・生徒に対しては,学校や福祉分野を含む関係機関と連携を図りながら,児童・生徒が置かれている家庭環境へのケースワーク等を行います。来所相談に結びつきにくいケースについては,ソーシャルワーカーが家庭に訪問するなどし,問題解決の糸口を見つけていきます。 (注)ケースワーク:生活上の諸問題を有する人やその家族に個別に対応し、当該問題を解決できるように支援すること。またソーシャルワーカーとは、上記ケースワークを行いつつ,その問題解決に向けて様々な社会資源や環境の調整・開発等を行う専門職のことです(社会福祉士等)。 来所相談・ソーシャルワーカー相談・電話相談(教育相談所) 教育相談所 事業概要 教育会館内に設置された教育相談所で,子どもに関する相談に応じています。 <来所相談> 子どもについての心配ごとで,主に心理の専門家の対応が必要と思われる問題について,子どもと保護者への継続的な面接相談を行います。必要に応じて子どもへのプレイセラピーや発達検査,保護者へのカウンセリング等,一人ひとりへのきめ細かな支援を行います。 <ソーシャルワーカー相談> 子どもだけでなく家庭支援が必要な場合の相談窓口となり,必要に応じて学校,福祉など関係機関と連携し,子どもを取り巻く状況の改善を図ります。 <電話相談> 子育ての不安や友達関係・いじめなどの相談を匿名でお受けしています。 今後の方向・目標 継続します。 スクールカウンセリング 教育相談所 事業概要 市立小・中学校全28校にスクールカウンセラーを配置し不登校,いじめ,問題行動等の改善について,子どもや保護者の相談,教職員への助言等のカウンセリング活動を行います。 今後の方向・目標 継続します。 教育センターの運営 指導室 事業概要 教育センター(教育会館5F)内に教育支援コーディネーター室を設置し,教育支援コーディネーター4名とスクールソーシャルワーカー2名が,障害のある児童・生徒やその保護者等の相談事業を行っています。 今後の方向・目標 学校管理職を経験した教育支援コーディネーターを配置し,学校の実情に応じて,スクールソーシャルワーカーと共に組織的に支援を充実していきます。 不登校などの悩みを抱える児童・生徒への支援体制の充実 学校を休みがちで不登校の兆候を示す児童・生徒に対して,スクールカウンセラーを活用し,不登校傾向のある児童・生徒に働きかけ,登校への意欲をもたせます。不登校の状態にある児童・生徒に対しては,原籍校復帰に向けた指導等を行うための教室の設置や,小集団での学習・活動等を通じて,対人関係能力の伸長や自立への援助のための集団適応指導を行います。比較的年齢の近い大学生が「お兄さん・お姉さん」という役割でかかわることにより,本人の精神的な成長や学校生活への前向きな姿勢の回復を目指します。 メンタルフレンドの派遣 指導室 事業概要 「不登校対策事業」として,東京学芸大学に委託を行い,教育心理学等を専攻する大学生及び大学院生による不登校支援を行っています。保護者の了解のもと,学校からの依頼により,不登校児童・生徒に対し,メンタルフレンドとしての派遣を行っています。 また,不登校生徒に教育会館内に来所してもらい,学習支援を行うテラコヤスイッチも行っています。 今後の方向・目標 今後も,大学との連携を深め,児童・生徒への支援を継続していきます。 小・中学校適応指導教室 指導室 事業概要 心理的要因等により不登校の状態又はその傾向にある児童・生徒に対して,対人関係能力の伸長及び自立への援助を行うために,適応指導教室小学校1教室・中学校1教室を設置しています。 児童・生徒の実態に応じて,一人ひとりの意欲を高めながら,複数の人数でなければできないゲームや作業を導入して,個人の心理的安定を図り,小集団の中での自立を援助するための適応指導を行っています。 今後の方向・目標 継続します。