第1章 計画策定の趣旨 1 計画策定の背景 (1)調布市における障害者支援の取組 調布市では,「利用者本位」「当事者の視点の重視」を基調に,この調布で,障害のある方が「その人らしい自立した生活の充実」を展開していけるよう,市内に暮らす障害者の地域生活支援に,総合的・計画的に取り組んできました。 (2)障害者福祉制度改革の動向 他方,今日,国において障害者福祉の抜本的な制度改革を進めている状況にあり,めまぐるしい制度改革のただ中にあります。 障害者権利条約の締結に必要な国内法整備等,我が国の障害者制度の集中的な改革を行うため,内閣に「障がい者制度改革推進本部」を設置(平成21年12月) (注)障害を理由とするいかなる差別もなしに,すべての障害者のあらゆる人権及び基本的自由を完全に実現することを確保し,及び促進することを定めた条約。平成18年に国連で採択されました。 国の障害者施策の基本方針である障害者基本法の改正(平成23年8月) 障害者自立支援法の改正が検討されており(平成24年3月現在国会審議中),障害者総合支援法の施行が予定(平成25年4月) 「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律」により,新法の成立を待たずに,障害者自立支援法等が改正 (公布日である平成22年12月より段階的に施行) 障害者虐待防止法が成立(平成24年10月施行) 障害者差別禁止法案が国会に提出予定(平成25年) (注)国は平成24年3月に,「地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律案」を国会に提出しました。ここでは「障害者自立支援法」を「障害者総合支援法」として改正することが規定されています。 (3)調布市の障害者施策推進の課題 このような国の制度改革が進む中で,現行計画(障害者計画,第2期障害福祉計画)が平成23年度をもって計画期間の満了を迎えることから,平成22年度より,次期計画の策定に向けて検討を開始しました。 平成22年度には,調布市における障害者施策推進の課題を,市の実施事業の評価,関係機関へのヒアリング,市民福祉ニーズ調査の結果等をもとに,下記のように整理しました。なお,この課題の整理にあたっては,調布市障害者地域自立支援協議会からの報告も踏まえています。 地域における相談支援体制の充実(夜間や休日の緊急時の体制)  障害の早期発見と早期対応・支援のあり方(保護者や家庭をどのように支援していくのか) 学齢期の子どもの放課後等における地域活動の支援の方向 働くことについての支援の充実(作業所の工賃アップ,働く場の拡充) 本人や家族の高齢化への対応(ケアホームなどの居住の場の整備) 高次脳機能障害や発達障害への支援の推進 市民全体が暮らしやすい社会づくり(理解と交流のひろがり,差別を生まない社会づくり,まちづくりの視点の中への障害者支援の視点の位置づけ) 安全・安心な生活環境づくり(災害時の対応) 権利擁護体制の充実 必要な支援人材の計画的な育成 (参考)ヒアリング実施先 教育委員会,特別支援学校,特別支援学級,保育園,学童クラブ 障害福祉サービス(介護保険サービスも含む)提供事業者 バス事業者,鉄道事業者,タクシー事業者 グループホーム運営事業者 特例子会社,一般企業 公民館,体育館 大型スーパーマーケット 消防署 2 計画策定の目的 前述のように,国の制度改革の動向が不透明な中でも,改めて,調布市の実情や,社会の変化等も踏まえつつ,「市民の誰もがこの調布市で暮らして良かった」と実感できる社会づくりをめざすことを目的とします。 そのため,市の障害者施策の基本的指針となる障害者計画と,障害福祉サービスの見込み量とその基盤整備の方向性を定める障害福祉計画を「調布市障害者総合計画」として一体的に策定し,総合的な障害者施策を推進します。