第2章 計画の理念・基本的考え方 1 調布市の福祉の将来像  調布市においては,「調布市地域福祉計画」「調布市高齢者総合計画」「調布市障害者総合計画」を「福祉3計画」と呼称し,各分野の切れ目のない一体となった福祉の推進を図っています。  「福祉3計画」においては,以下のとおり共通の将来像と基本理念を掲げ,その実現を目指します。   みんなが 自分らしく 安心して   つながりをもって 暮らし続けられるまち   ―支え合い 認め合い ともに暮らす― 2 福祉圏域 (1) 「福祉3計画」における福祉圏域の考え方  福祉圏域は,福祉,教育,地域コミュニティ等の共通基盤である小学校区を基礎とし,それらの複数で構成される中学校区規模の8つの圏域です。  多問題を有する個人や家庭が抱える福祉課題に対応するため,専門機関等の担当エリアの整合や地域での顔の見える関係づくりを行うことで,より重層的な支援による解決を図る必要性があること等を踏まえ,地域福祉計画,高齢者総合計画及び障害者総合計画の福祉3計画の圏域の整理・統一化を図り,共通の福祉圏域としています。  ■ 福祉圏域の地域区分   1 みどりがおか・たきさか小学校地域  2 わかば・ちょうわ小学校地域  3 うえのはら・かしわの小学校地域  4 きたのだい・じんだいじ小学校地域  5 だいに・やぐもだい・こくりょう小学校地域  6 そめち・すぎもり・ふだ小学校地域  7 だいいち・ふじみだい・たまがわ小学校地域  8 だいさん・いしわら・とびたきゅう小学校地域 (2) 障害者福祉における福祉圏域への対応  障害者福祉の分野においては,これまで市内全域を1圏域として取り扱っており,基本的な考え方は本計画においても継続とします。  そのもとで,より地域福祉,高齢者福祉との連携を密にし,顔の見える関係づくりを進めるために,障害福祉課や各相談機関において,「福祉3計画」における福祉圏域と整合した相談員の配置等を進めます。 3 基本理念  市が目指す福祉の将来像の実現へ向けて,「福祉3計画」に共通する基本理念を以下のように定めています。  (理念1)一人ひとりが生涯にわたって,その人らしく生活していける地域社会   市民一人ひとりが住み慣れた地域において,生涯にわたって安心していきいきと自分らしい生き方ができ,必要な支援を受けながら,自立して暮らしていける地域社会を目指します。そのために,必要なサービスや支援が行き届く体制づくりと,社会参加を促す取組を進めます。  (理念2)誰もが社会の一員として互いに認め合い,尊重し合う地域社会   誰もが,孤立することなく,互いを尊重し合い,多様性を認め合いながらともに生きる地域社会を目指します。そのために,年齢,障害の有無,性別,人種その他の違いにかかわらず,市民一人ひとりが地域の一員としてつながりをもって暮らせる地域づくりを進めます。  (理念3)住民全体で支え合う地域社会   市民一人ひとりが当事者として,地域や生活の課題などについてともに考え,サービスの受け手にとどまるのではなく,できる力を活用して,地域の担い手となり,支援を必要とする人を支え合う地域社会を目指します。そのための体制づくりについて行政,市民,ボランティア,地域組織,事業者など多様な主体と協働しながら取り組みます。  (理念4)様々な課題を受け止め,包括的に支援する体制   個人や家族,地域が抱える問題は多様な側面を持っています。これらを解決していくためには,多くの担い手がそれぞれの強みや専門性をいかした,より一体的,包括的な支援が必要です。そのため福祉のみならず他分野とも連携し,個人や地域の課題に応じた切れ目のない支援を提供できる体制構築を目指します。 4 障害者施策推進の基本的考え方  「福祉3計画」の基本理念を踏まえ,その一つひとつを障害者福祉においてより具体化していくために,以下の基本的考え方のもと,障害者施策を推進します。  (基本理念1)一人ひとりが生涯にわたって,その人らしく生活していける地域社会  (1) 一人ひとりのニーズに応じた生涯にわたる切れ目のない支援   その人が必要とする支援は,障害状況だけでなくそれぞれの価値かん,生活スタイル,環境などによって異なるものです。本人のニーズ(本人自身が気付いていない,または表現できてない潜在的なニーズを含みます。)と自己決定を出発点として,個別性を重視し,一人ひとりに適切なサービスや支援を提供します。   また,そのような支援が乳幼児期,学齢期,成人期,高齢期等,ライフステージのどの段階においても,その移行期においても,制度の切れ目なく提供できる体制を整備します。  (基本理念2)誰もが社会の一員として互いに認め合い,尊重し合う地域社会  (2) 障害による差別や排除のない共生社会の実現  「必要かつ合理的な配慮」があらゆる場面において提供されることで,障害者の基本的人権や社会への参加が保障され,障害によって差別や排除を受けることのない社会をつくっていくことが必要です。そのために,物理的(ハード),精神的(ソフト)の両面からの「社会的障壁」の除去による地域の環境づくりを進めます。  その中では,障害のあるかたを,支援を受ける側としてだけでなく,社会の中で役割を持った存在として捉えることが重要です。一人ひとりが地域の一員として認められ,市民全体が障害の有無によってわけ隔てられることなく,相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指します。  (基本理念3)住民全体で支え合う地域社会  (3) 市民全体への関心の広がりと協働による取組  「障害者にとっての課題」は,「障害者だけの課題」ではありません。障害のある人にとって暮らしやすいまちづくりが,「全ての市民にとって暮らしやすいまち」に繋がるものと考え,市民全体の関心を引き出し,「みんなの課題」として考えられる地域社会の実現を目指します。  そのうえで,課題解決のために,公的サービスとともに,当事者,市民,ボランティア,地域組織,事業者など多様な主体との協働により地域で支え合うしくみづくりを図っていきます。  (基本理念4)様々な課題を受け止め,包括的に支援する体制  (4) 総合的・包括的な視点からの施策展開   障害のある子ども,障害者の高齢化など,本人の抱える課題はしばしば多面的,複合的なものとなっています。また,多様な課題を抱える家庭,介護者の高齢化による「老障介護」への対応など,本人だけでなく家庭・家族全体を支える視点も必要です。   障害のあるかたやその家族の生活課題を考えるにあたって,障害福祉の枠のみにとらわれない総合的,包括的な視点から,児童福祉や高齢福祉,その他保健,医療,教育,雇用など,多様な分野との連携を図りながら施策を展開していきます。 5 施策体系  前述の理念・基本的考え方を受けて,「調布市障害者総合計画」では,具体的に以下の3つの柱から施策体系を構築しています。  1 障害のあるかたと家族への地域生活の支援   ライフステージを通じて障害のあるかたの地域生活を支える基盤となる施策を展開します。また,本人だけでなく家族全体を対象として捉え,支えていく視点を持ちます。  2 ライフステージに応じた生涯にわたる切れ目のない支援   生涯にわたるライフステージのどの段階においても,その人らしい生活を支えていくため,主に「乳幼児期・学齢期」「成人期・高齢期」に分類し,各ライフステージによって変化する様々なニーズに対応した施策を展開します。  3 安心して住み続けられる地域の環境づくり  「障害」とは,社会によってもたらされるものであるという障害の「社会モデル」の視点に立ち,誰もが安心して住み続けられる社会をつくるために,地域の環境に働きかけ,変えていくための施策を展開します。  各施策については,平成30年3月に策定した「調布市障害者総合計画」で令和5年度までの計画を定めています。  「第6期調布市障害福祉計画」及び「第2期調布市障害児福祉計画」では,これらのうちおもに「障害者総合支援法」に基づく「障害福祉サービス」,「相談支援」及び「地域生活支援事業」並びに「児童福祉法」に基づく「障害児通所支援」及び「障害児相談支援」の提供体制の確保について定めます。 (施策体系)  以下の各施策全般については,令和5年度までの計画を既に策定しており,本計画では,以下のうち「障害福祉サービス等の提供体制の確保」について定めます。 1 障害のあるかたと家族への地域生活の支援 (1)相談支援 (2)健康づくり・医療的な支援 (3)移動の支援 (4)経済的な支援 (5)権利の擁護 (6)障害福祉サービスによる生活支援  ・福祉人材の育成・確保  ・医療的ケアが必要なかたへの支援 2 ライフステージに応じた生涯にわたる切れ目のない支援    乳幼児期・学齢期 成人期・高齢期 (1)発達相談・早期療育のための支援 (2)子育て施策における支援 (3)教育における支援 (4)放課後等の活動の支援 (5)働くこと・日中活動の支援 (6)余暇・学習活動の支援 (7)住まいの確保の支援 (8)高齢期の支援 3 安心して住み続けられる地域の環境づくり (1)障害理解と交流 (2)バリアフリーのまちづくり (3)情報提供 (4)地域ネットワークづくり (5)災害時の支援 (6)当事者の参画