令和3年度 第4回調布市文化財保護審議会会議録(抄) 【日時】令和3年12月22日(水)午後2時から 【場所】調布市教育会館201会議室 【事務局】 令和3年度第4回調布市文化財保護審議会を開催します。 はじめに,調布市文化財保護条例第45条の規定に基づき,会議の成立を確認し ます。委員定数7名,本日の出席委員6名で過半数を超えており,会議は成立し ています。 1館長挨拶 早野館長挨拶 2事務局報告 【会長】   事務局報告ののち質問,ご意見を伺います。 (1) 染地遺跡出土品展示見学会の開催報告(資料1) 【事務局】 多摩川住宅建て替えに伴い,染地遺跡第121地点の調査を行い,東京都埋蔵文 化財センターが,多摩川住宅の居住者を対象とした出土品の展示見学会を実施し ました。期間は,12月1日から3日まで延べ286人来場しました。土器,石 器,木製品等を展示し,かなり盛況でありました。 (2) 市天然記念物「シロハナヤブツバキ」樹勢回復作業について(資料2)  【事務局】 11月に剪定作業を実施しました。生育は非常に良く,来年度も引き続き樹勢回復 に努めます。今後の懸念材料としては,ツル性植物に覆われること,虫の発生や 病変が見られることです。いずれも樹勢に大きな影響を与えるものではありませ んが,引き続き対策を継続し,以前のような樹勢回復に努めます。 (3) 国史跡下布田遺跡史跡整備ニュースレターの発行について(資料3) 【事務局】 下布田遺跡の史跡公園化向け,市民や市職員にも広く史跡整備の進捗等を認識し てもらうことを目的に今年度から創刊しました。創刊号では,整備計画や近隣小 学校での取り組み等状況を掲載し,第2号では遺跡概要や昨年実施した市民ワー クショップの概要と主な意見等を掲載しています。配架場所は,図書館や地域福 祉センター等です。 (4) 深大寺近代文書等史料調査について(資料なし) 【事務局】 事務局で図版組みを行い,1月上旬に各先生から修正後データを受領次第,編集 作業を開始します。1月末に契約課に印刷製本依頼予定です。3月末に計3冊を 刊行予定です。 【岩澤委員】 染地遺跡に行ってきましたが,内容のある良い報告でありました。都の担当者に よると展示物はいずれ,全部が郷土博物館に移管するとのことでした。染地遺跡 はこれからも発掘は続くのですか。 【事務局】 多摩川住宅では,他にも建て替えの計画があり,今後も発掘調査が行われること になると思われます。 【稲葉会長】 見学者が非常に多かったようですが,地元の方以外も来場したのですか。 【事務局】 市報やホームページ等に掲載していませんでしたが,研究者や一般の来場もあり ました。 【木下委員】 染地遺跡は非常に興味深かったです。東京都から調布市にはどのように報告され ていますか。 【事務局】 現地調査期間中は,東京都や東京都埋蔵文化財センター,東京都住宅供給公社, そして調布市が参加し,月一回報告会が行われていました。整備作業期間中は, 案件があれば行われています。令和4年3月に報告書が刊行される予定です。 整備作業終了後,遺物は調布市に移管されることになっています。 【木下委員】 年度内に一通りの整備を終え,多摩センターに移ると聞いています。伊勢湾地 域で作られた土器が入ってきており,かなり広域の交流を物語っています。南 北に走る水路跡があり,条里地割がかつてあったのではないかと思われます。 【石川副会長】 シロハナヤブツバキのツバキ菌核病は,菌は木の上下に動くため,道路管理課が草 刈りをする際に落ちた花がらも一緒に持って行ってもらえるとよいです。 薬剤をかけているようですが,なかなか効果がないです。 【事務局】 花がらも取ってもらえるよう道路管理課にお願いします。 【稲葉会長】 下布田遺跡ニュースレターは定期的に出していくのですか。 【事務局】 もともとは,ワークショップの進捗を紙面で紹介する予定でしたが,今年は,コロナ の影響でワークショップを一度も開催できませんでしたので,下布田遺跡の史跡につ いて市民に幅広く周知することを目的に発行しました。今年度はあと2回程度の発行 できればと考えています。 【稲葉会長】 せっかく出しているのだから,関係者だけでなく広く関心を持ってもらえるようなも のにしていくべきです。調布史談会等協力できないですか。 【岩澤委員】 令和2年度のワークショップに参加したので,協力していきたいです。調布の代表的な 遺跡になると思うので,そこをうまく広報活動できればと思います。 【稲葉会長】  整備計画の今後の見通しはどのような状況ですか。 【事務局】 今年度は基本設計策定の予定でありましたが,コロナにより令和4年度に先送りとなり ました。今年度は基本設計に先立つ測量を実施しています。市や国の財政状況により, 今後も不透明な状態です。 【稲葉会長】 そういうことも含めた情報提供をしてはどうですか。 では,他になければ審議案件に移ります。 4 審議案件 (1) 深大寺所蔵「徳川氏寄進状」の文化財指定について 【事務局】 名称については,学術調査報告書にあわせ「徳川氏寄進状」としています。製作者は, 将軍家としています。指定理由の記載は,生駒委員にお願いする予定です。 【稲葉会長】 格式の高い寺には,古くから出しているもののようで,綱吉以降は,機械的にだしてい いるようで,名称については普通「御朱印状」と呼んでいるが,「寄進状」のほうがよ いのでしょうか。11人分が揃っているのは価値が高いです。 【八木橋委員】 他でも朱印状関係を文化財指定しているかどうか,他がどのように扱ってきているか, 事例を少しほしいです。貴重なものであることは間違いない。 【稲葉会長】 生駒委員不在のため別途審議しいたしたいです。 (2) 市指定天然記念物「絵堂のカゴノキ」の今後の管理について 【事務局】 前回の審議会後,他の場所への移植について業者に確認したが,結論としては周辺道路 が狭く車両が入れず敷地外への移植は不可能との見解です。敷地内での移植であれば可 能です。 【石川副会長】 物理的に移植はできないので仕方がない。もし,調布市で管理するならば絶対に倒れな いようにしないといけないです。 【佐藤委員】 根回りはどれくらいありますか。 【事務局】 胸高の幹回りが3.25メートルです。所有者の意向は,残してもらえるのはありがたい が,木があることで土地の価値が下がり売れなくなるのは困ります。また,木の周辺部分 を市に売却したところで,周辺に迷惑がかかる事も困るので,買うならしっかりと買って 頂きたい,年明けでもよいのでしっかりした見解を出してほしいとのことです。 【稲葉会長】 カゴノキがある経緯は。 【石川副会長】 この辺りでは珍しい木でもあり,自生ではなく植えたものと思われます。 【事務局】 配布資料にもありますが,富澤家が移っていた際に植樹したものと思われます。 【稲葉会長】 記念樹木と屋敷があり,そこに用水が流れていたという説明板を立てて残すくらいしかでき ないかなというのが私の意見です。 【石川副会長】 確かに用水は調布の歴史の中で大きな出来事です。 【八木橋委員】 現地に地元の役場跡のようなものがあったのではないかとの話があったと記憶しています。 もしそうならば,調布の歴史上大事な場所なので,調布市が保存していく必要があります。 ただ,市にも財政的,予算的なことがあるので,もしそのような事実が全く確認できなけ れば調布市としては,保存のために手は尽くしたが,結果として指定解除しか手がないと いうことになるのではないか。 【稲葉会長】 検討の過程を記録に残すべきです。用水がひかれたのは明治初期だったと思います。 所有者に古い話を聞いてもわからないでしょうか。 【事務局】 役場等の記録は見当たりません。敷地のどこに用水があったかも不明です。 【八木橋委員】 カゴノキが腐っていると倒木の危険度が高く,中央高速道路への影響もあるので,指定解除 理由になるのではないか。写真で見る限りは青々として見えるが,実際には倒木の可能性も ある危険樹木になっているという判断があれば解除やむなしと思います。 【石川副会長】 木の下部分に腐食したところがあるため,樹木医の診断をしたほうが良いと思います。 【八木橋委員】 診断費用に対する補助金は出せないか。 【事務局】 補助金を使う場合は,予算化をしないといければならないため,来年度になります。 【木下委員】 今後の道筋を市で考えてほしいです。今日の会議では,かなり傷んでいるのであれば,指定 解除やむなしという方向性の確認はできたと思います。ただ,歴史の検証はしたいと感じます。 【早野館長】 予算については,今年度,来年度両面から検討したいと思います。 【稲葉会長】 いつまでに先方に回答すればよいですか。 【事務局】 1月くらいには方向性を示したいです。市の買い上げについては,財政課に相談のうえ,次回 審議会で説明いたします。 【稲葉会長】 希少木など天然記念物以外に何か指定されていないか確認してください。 【事務局】 緑と公園課に確認してみます。 4.その他   (1) 次回開催日について 次回開催日は1月25日(火)午後2時からで決定します。