令和4年度 第7回調布市文化財保護審議会会議録 (抄) 【日時】令和4年12月23日(金) 午後3時~5時 【場所】調布市郷土博物館会議室 【出席】6人 稲葉会長,石川副会長,八木橋委員,佐藤委員,岩澤委員,生駒委員(途中から出席) 【欠席】1人 木下委員 【議事】 (事務局)「令和4年度第7回調布市文化財保護審議会」を開催します。まず「調布市文化財保護条例」第45条の規定に基づき,会議の成立を確認します。委員定数7人のうち,出席委員5人,欠席委員2人で,委員の過半数が出席していますので,この会議は成立します。それでは引き続き,郷土博物館長の早野よりご挨拶申しあげます。 1 郷土博物館長挨拶 (早野館長)御審議よろしくお願いします。 2 事務局報告 (事務局)それでは事務局報告に入ります。ここからは稲葉会長に議事の進行をお願いいたします。 (稲葉会長)それでは事務局報告に入ります。報告は,事務局から一括報告ののち,質問・意見を受けたいと思います。それでは報告をお願いします。 (1) 東京文化財ウィーク2022の実施報告について (事務局)東京文化財ウィーク2022の参加事業として,10月1日から11月30日までの期間中6つの企画事業を行いました。  はじめに収蔵品展「調布ゆかりの美術~市川銕琅・関野凖一郎~」を10月29日(土)から12月11日(日)まで郷土博物館で開催しました。参加者数は400人でした。2番目が文化財見学会「深大寺から史跡深大寺城跡へ」で,10月15日(土) 午前9時から正午まで,深大寺と史跡深大寺城跡を巡りました。解説は調布市郷土博物館学芸員で参加者は18人でした。3番目が文化財ウォーク「幕末から近現代を歩く~調布飛行場とその周辺~」で,11月5日(土) 午前9時から午後1時まで,府中市・三鷹市・調布市内を歩きました。解説は調布市郷土博物館学芸員で,参加者は7人でした。4番目の文化財講演会「下布田遺跡の時代―縄文時代晩期の人々―」は,明治大学の石川日出志教授を講師として,11月13日(日) 午後2時から4時まで,文化会館たづくり映像シアターで開催し,参加者は34人でした。5番目は自然観察会「下布田遺跡の樹木のはなし」で10月22日(土) 午前10時から11時30分まで,郷土博物館分室で行いました。文化財保護審議会副会長の石川晶生先生の講演の後,史跡下布田遺跡を歩いて回り,植生について説明を聞きました。参加者数は18人でした。6番目は「下石原八幡神社三匹獅子舞」で,10月2日(日) 午後2時から4時まで,甲州街道と旧甲州街道を繋ぐ道路で,道中舞を行いました。こちらは祭礼ですので,参加者数は未集計です。以上6事業の参加者合計は477人となっています。  また,公開事業として6事業を行っています。国宝「銅造釈迦如来倚像」,重要文化財「梵鐘」,都指定有形文化財「上石原遺跡第15地点出土二彩多口瓶」,天然記念物「佐須の禅寺丸古木」,国指定史跡「深大寺城跡」,都指定史跡「狐塚古墳」を通年の公開事業として挙げています。  特別公開事業としては,国登録有形文化財「白百合女子大学めぐみ荘」と国登録有形文化財「旧武者小路実篤邸」の2件を挙げています。  ガイドステーションは,調布市郷土博物館と調布市武者小路実篤記念館の2か所となっております。 (2) 市内発掘調査について  染地遺跡第128-2地点は,令和元年度から2年度にかけて東京都埋蔵文化財センターが多摩川住宅の建て替えに伴い実施した発掘調査の追加調査で,ABCの3か所の調査区画について確認しています。現在の地表面から約2m下で弥生時代から中世にかけての遺構確認面が見つかっており,長軸10mを超える弥生時代後期の大型住居跡などが確認されています。  次は下布田遺跡第209地点で,こちらは史跡の内容確認調査として,11月7日から12月14日にかけて調査を行いました。今回の調査地点の周辺では,過去の調査で合口土器棺墓や配石埋甕墓などが検出されています。今回の調査では,埋甕や集石が確認されました。  次に上ケ給遺跡第277地点ですが,12月14・15日に試掘調査を行った結果,道路状遺構が1条確認されました。これまでの発掘調査でも,同様の遺構が旧品川街道に並行するような形で何か所か見つかっており,その延長と考えております。本調査については,現在事業者と協議をしています。 (3) 市指定文化財「深大寺山門」茅葺屋根修理事業の完了報告について  こちらは,市の補助事業として行いました深大寺の山門の茅葺屋根修理事業ですが,8月18日から10月19日の期間で実施しました。先生方にも作業状況の現地視察をしていただきましたが,前回の葺き替えから15年以上経っており,大分劣化しておりました。今回の修理事業により本来の形に近い状態を取り戻すことができました。作業内容については,資料として添付しました。完了報告を御確認ください。 (4) 都指定文化財「木造慈恵大師坐像」修理事業について  12月1日に奈良国立博物館文化財保存修理所で行っております深大寺の「木造慈恵大師坐像」修理事業の進捗状況の確認を行いました。本事業は東京都の補助事業として行っており,視察には審議会から稲葉会長と木下委員に参加いただきました。  像の内部に鼠が巣を作っていた形跡が見つかるなど,状態の劣化が確認されています。修理事業は3か年事業として行う予定で,来年度は内部をクリ-ニングし,補修を行う予定です。 (5) 国史跡下布田遺跡史跡整備事業について  11月11日に行いました第2回の検討委員会と,こちらを受けて12月9日に作業部会を開催し,現在の下布田遺跡の進捗状況につきまして,今年度は史跡公園とガイダンス施設の基本設計を行っております。史跡公園につきましては,ゾーニングに応じた植生の配置等の検討,ガイダンス施設については規模感等に付,文化庁はじめ委員の先生方からも御指摘いただいており,今も検討中です。次回の委員会が最終となり3月1日を予定しております。 (6) 連続講演会・座談会「深大寺白鳳仏の来歴を探る」の開催について  深大寺と狛江市教育委員会,調布市教育委員会の共催事業として,「深大寺白鳳仏の来歴を探る」と題した連続講演会・座談会を行います。第1回は講演会「深大寺の白鳳仏と渡来人高麗福信」,令和5年2月7日(火)午後1時30分から午後3時まで,文化会館たづくり,くすのきホールで明治大学講師の荒井秀規先生に御講演いただきます。  講演会の2回目が「高麗郡と狛江郷」,令和5年2月18日(土)午後1時30分から午後3時まで,狛江市西河原公民館ホールで群馬大学名誉教授の森田悌先生に御講演いただきます。  第3回は座談会「高麗福信・満功上人と深大寺の白鳳仏」で,令和5年3月12日(日)午後1時30分から午後3時まで,深大寺本堂で荒井先生,森田先生,貴田正子氏(ノンフェクションライター),深大寺住職の4名で座談会を行います。 (7) 「旧佐橋家住宅」の国登録有形文化財への登録について  西つつじヶ丘に所在する「旧佐橋家住宅」ですが,10月31日付で国の文化財登録原簿に登録され,登録証が交付されました。これにより正式に国登録有形文化財(建造物)となりました。後日,日程調整が取れましたら先生方に現地を視察していただきます。  以上で事務局報告は終わります。 (稲葉会長)ありがとうございました。以上7点,御報告がありましたが御意見等ございましたらお願いします。 (稲葉会長)文化財ウィークですが自然観察会「下布田遺跡の樹木のはなし」の参加者は地元の人たちが多いのでしょうか。 (事務局)ワークショップを実施しているので,これに参加している方々も何人か参加しています。 (稲葉会長)収蔵品展「調布ゆかりの美術~市川銕琅・関野凖一郎~」の市川氏や関野氏はどういう方なのですか。 (事務局)地元では著名な方で,これまでも「たづくり」等で展示会を行ってきました。 (稲葉会長)染地遺跡の発掘調査は,東京都埋蔵文化財センターが行なっているが,常時どなたかが立ち会っているのですか。 (事務局)今回の追加調査は東京都埋蔵文化財センターではなく,事業者である東京都住宅供給公社と発掘調査会社が直接契約し,市の指導の下,発掘調査行っています (岩澤委員)上ケ給遺跡の旧品川街道に並行するような道路状遺構について知らなかったのですが,どのような状況ですか。 (事務局)これまでの調査で見つかっているものと延長するようなものが,旧品川街道に並行するかたちで走ってていて,ただ府中の方まで繋がっているかは,国領付近で見つかっているだけで分かりません。幅員は3-4mあります。本調査で詳しいことは分かってくると思います。 (稲葉会長)「深大寺山門」は,平成10年に市の文化財に指定されてから何度か茅葺屋根の葺き替えを行っていますが,今回はじめて補助金事業として実施したということです。葺き替えを繰り返すうちに屋根の形状が元の形とは変わってしまったため,昭和53年に行われた総合調査の際,作成された図面に則り復元し修繕した。銀杏の形をしたツマの飾りは,多摩地域の特徴的なもの。前回も議題に上げましたが,他自治体に比べ補助金額が少ないので,再度調査し検討してほしい。 (事務局)補助金額については,以前に多摩市が調査をしており,その結果がありますので,そのような事例を確認しながら進めてまいります。 (稲葉会長)「慈恵大師坐像」は3年後には修理を終えて戻ってくるので,それに合わせて深大寺では,大師堂の改修等を考えているとのことです。  それでは,つぎに審議案件に移ります。 3 審議案件 (1) 深大寺所蔵「黄檗版大般若経」の文化財指定について (事務局)前回の審議会で,指定理由説明書については概ねご了承いただきましたが,1点確認します。指定理由書の「11 指定基準」は(一)から(三)のうち(一)が該当するのではないかと考えていますが,いかがでしょうか。 (事務局)ありがとうございます。以上でよろしければ,これで答申書を作成いたします。 (2) 文化財説明板の文案について (稲葉会長)文化財説明板の文案について説明をお願いします。 (事務局)赤字で修正されているのが前回ご指摘いただいた所で,修正しております。 (佐藤委員)後ろから3行目「も手掛けており」を「と」に修正した方が,すっきりする。 (石川副会長)前から7行目「法涌、常啼」を「法涌と常啼」に,9行目「仏画であり」を「仏画で」に修正した方が良いと思う。 (八木橋委員)後ろから2行目赤字の「全て」は「すべて」に,後ろ最後の行「歴史的背景を伝える」を「歴史的状況を知るうえで」に修正した方が良い。 (事務局)分かりました。ご指摘いただい点を修正いたします。 (3) 市指定史跡「近藤勇生家跡」の今後の保存管理について (事務局)市指定史跡「近藤勇生家跡」の所有者の方から敷地内にある近藤神社については御霊を抜いて除却し,井戸部分は市に寄付するなりして,残余は売却したいとの申し出があります。 (稲葉会長)文化財として残したらいいと思うが。 (石川副会長)野川公園と合わせて活用を考えたらいいのではないか。 (事務局)活用方法については,できるものできないもの十分に検討する必要があります。 4 その他 (1) 次回開催日について (事務局)次回第8回の開催日は,令和5年1月27日(金)午後3時からです。 (石川副会長)これで,「令和4年度第7回調布市文化財保護審議会」を終了させていただきます。 以上