調布市せんがわ劇場運営委員会報告 せんがわ劇場のあるまちづくり推進に関する提言 平成25年3月 調布市せんがわ劇場運営委員会 目次 I 調布市せんがわ劇場運営委員会設置の目的             2 Ⅱ 主な検討事項                          2 Ⅲ 各回の主な議題と日程                      2 Ⅳ 「せんがわ劇場のあるまちづくり」の推進に関する提言       4 〔資 料〕 資料1  調布市せんがわ劇場運営委員会要綱             8 資料2  調布市せんがわ劇場運営委員会委員一覧          10 I 調布市せんがわ劇場運営委員会設置の目的  平成23年2月の調布市せんがわ劇場運営検討委員会からの提言を受け, “音楽・芝居小屋のあるまちづくり”を地域全体で推進するため,劇場の事業の今後の在り方や管理運営体制の今後の在り方について,市民・地域団体等と市の協働による検討を行うことを目的として設置された。  また,まちと劇場の結びつきから「指定事業」「劇場経営」年間全体の方向性を協議し,必要に応じて修正を求める役割も担う。 Ⅱ 主な検討事項 1 次年度の「指定事業」「劇場経営」年間全体の方向性の協議 2 平成25年度からの管理運営計画 3 平成25年度以降の管理運営形態    上記の事項を中心に平成23年度は5回,平成24年度は6回の会議で協議をおこなった。  平成24年度は,中長期の方向性としての10年後のせんがわ劇場の姿,中長期計画として「音楽・芝居小屋のあるまちづくりに関する管理運営計画書」改定に向けた検討を進め,24年11月に「調布市せんがわ劇場運営委員会中間報告 劇場にかかる事業及び管理運営体制に関する提言」をし,せんがわ劇場の管理運営にかかる計画の策定に向けて協議し検討を重ねた。  運営委員会での検討を受け,市は「(仮称)調布市せんがわ劇場管理運営計画」を平成25年4月に策定する運びとなった。 Ⅲ 各回の主な議題と日程 23年度第1回 6月30日 ○運営委員会の役割の確認,役員選出 ○劇場の運営体制の現状について報告 ○23年度全体計画案に関する報告 23年度第2回 7月28日 ○22年度劇場市民意識・ニーズ調査(23.3実施)報告 ○劇場経営の中長期の方向性の協議 ○将来の管理運営形態の選択肢について(提示) 23年度第3回 9月29日 ○24年度劇場事業計画案の協議 ○劇場経営の中長期の方向性について協議 23年度第4回 11月18日 ○将来の管理運営形態の協議 ○委員交代の報告 23年度第5回 1月26日 ○24年度劇場事業計画案の修正報告・協議 ○せんがわ劇場運営委員会中間報告(案)の協議 24年度第1回 5月14日 ○せんがわ劇場の中長期の方向性について協議 24年度第2回 7月24日 ○23年度劇場経営及び指定事業の評価・検証 ○10年後のせんがわ劇場(目指すべき姿)について協議 24年度第3回 9月18日 ○せんがわ劇場が目指すべき姿について協議 ○25年度劇場経営及び指定事業の全体計画について協議 24年度第4回 11月9日 ○せんがわ劇場運営委員会中間報告(案)について協議 ○管理運営計画の改定に向けた協議 ○25年度劇場経営及び指定事業の方向性について協議 24年度第5回 1月29日 ○管理運営計画の改定に向けた協議 ○運営委員会の追加開催について協議 24年度第6回 3月18日 ○管理運営計画(素案)について ○将来の管理運営形態の方向性について協議 ○運営委員会報告について協議 Ⅳ 「せんがわ劇場のあるまちづくり」の推進に関する提言  調布市せんがわ劇場運営委員会(以下,委員会)として,「音楽・芝居小屋のあるまちづくり」を推進するために,調布市せんがわ劇場(以下,せんがわ劇場)事業の今後の在り方や管理運営体制の今後の在り方について協議した。  協議において,まず第一に,何を目指す,どういう劇場であるべきかという将来の姿について検討した。そして,せんがわ劇場がめざす将来の姿の実現にむけて,事業の方向性と劇場経営の在り方,市民・地域と一体となった劇場のあるまちづくりについて検討した。  2年間の協議・検討の報告として次のとおり意見をまとめ申し述べるものである。    1 せんがわ劇場の中長期の方向性  せんがわ劇場のあるまちづくりを地域と一体となって推進していくためにせんがわ劇場は,「市民・地域の文化が育まれ,まちの誇りとなる劇場」を目指すべきである。      2 劇場経営の基本方針  中長期の方向性の実現に向け,劇場事業を支える安定した劇場経営が不可欠である。このため,今後は,劇場経営に関する次の点を重視していくべきである。 (1) 市の文化行政全体からの公立文化施設の役割の検証  グリーンホールや文化会館たづくりなど,せんがわ劇場以外の文化施 設も含めた文化行政全体から見て,各施設が果たす機能と役割分担,そして連携を総合的に検証していく必要がある。 (2) 劇場評価の実施  劇場全体のパフォーマンスを高めるため,統計等の分析により劇場評価を行い,劇場の状況の継続した把握を行っていただきたい。その際,様々な意見に対し一つひとつを改善していく姿勢をもち,劇場事業のあり方を検討するとともに,それを支える管理業務の体制強化が必要となる。   (3) 専門人材の配置・育成  劇場には地域の活性化と結びつけながら事業をプロデュースし企画制作する能力,舞台設備等をガイドする技術力,組織・事業を管理運営する能力など専門的能力を有する人材が必要となる。  とりわけ,劇場が自主企画制作による事業展開を図るためには,せんがわ劇場の特徴である市民の参加と協働,地域連携についてのノウハウも持つ人材が要となる。  このため,今後も継続的に専門的な人材を配置・育成していくべきである。   (4) 資金調達  事業の経費バランスを確認し,助成金や寄附金・協賛金など多様な自己資金の確保に努めていくべきである。   (5) 情報の発信・収集  芸術文化に親しむ土壌のある仙川地域の劇場として,情報発信,地域の情報収集といった広報・広聴活動を通じ,多くの人々がせんがわ劇場を知り,劇場の事業に関心を持っていただけるよう働きかけるべきである。   (6) 建物・設備の管理  利用者サービスを意識し,安全かつ快適な施設として限られた資金を有効に活用し維持できるよう,日常的な管理はもちろん,長期修繕計画を策定し計画的なメンテナンスを実施していくべきである。   (7) 危機管理の実践  日頃から危機管理に最善の注意を払い,危機発生を未然に防ぐことに努めるべきである。    3 劇場の事業全般の基本方針  中長期の方向性の実現に向け,次の4つの使命を重視して事業展開を行うべきである。 (1) 市民・地域と共に地域の芸術文化ネットワークを創造していくべきである。    小劇場ならではの強みを活かし,せんがわ劇場が地域の芸術文化を結び,これまで以上に市民や地域を巻き込み,連携し,劇場内だけではなく地域を舞台に事業を展開していくべきである。 (2) 舞台芸術を楽しむ市民の裾野を広げるプログラムを提供するべきである。    より多くの人が舞台芸術を楽しむことができるように親しみやすく,質の高い事業が求められている。また,裾野を広げることに繋がる舞台芸術に造詣の深い人をも惹きつけるプログラムも必要であろう。 (3) 舞台芸術を通じ,次世代を担う子どもたちや舞台芸術活動者を豊かに育てていくべきである。  10年後を見据え,芸術を通じて子どもたちを育てることは大きな使命である。子どもたちの豊かな育ちのために,鑑賞や事業への参加に繋がるものを提供すべきである。  また,次世代を担う舞台芸術活動者を対象とする事業を提供することは,10年後の劇場を支え地域の誇りとなる人材を育てることに繋がるものであり,積極的に実施すべきである。 (4) 市民の舞台芸術活動を活性化する,利用者の視点を大切にした施設貸出事業を行っていくべきである。    施設貸出事業は,市民の芸術文化活動の活性化や,市民への鑑賞の機会の提供に大きな役割を果たす。より質の高い舞台芸術活動が行えるように,施設貸出事業と劇場事業の好循環を作り出していくべきである。    4 将来の管理運営形態について (1) 目指す将来の姿の実現にむけて  劇場の中長期の方向性に向かって劇場経営の基本方針,事業全般の基本方針に基づいて管理運営が行われ,「市民・地域の文化が育まれ,まちの誇りとなる劇場」を実現していただきたい。その際は,運営委員会の検討を経て25年4月に策定予定の「(仮称)せんがわ劇場管理運営計画」を管理運営のバイブルとして地域と劇場が密接に関わる運営(劇場のあるまちづくり)をさらに高めていただきたい。 (2) 管理運営形態の決定にあたって  今後の管理運営形態については,次の6点を重視し検討した。  ア 開館から育んできた事業の柱となる部分を継承できること  イ 経営面,特に管理運営面で安定的な運営を行えること  ウ 単年度雇用ではない専門的な人材を配置し,育成できること  エ 事業の実情を踏まえ柔軟な運営を行えること  オ 市内文化施設を活かした有機的な事業展開ができること  カ 市内の学術機関との連携,市民,地域との協働を継続できること  管理運営の様々な形態の中で,実現性を鑑み,最終的に直営(事業を直接実施),直営(事業を業務委託),指定管理(民間事業者),指定管理((公益財団法人)調布市文化・コミュニティ振興財団)の4つに絞り,比較検討した。  直営においては,常勤の専門職の非配置,単年度会計主義などからもたらされる困難な面があるが,市がダイレクトに芸術文化を担う直営のいい部分を継続できる体制としていただきたい。  開館から5年で積み上げてきた実績,すなわち市民・地域との連携及び協働の劇場運営,劇場での事業制作などの良さを失わず,市の芸術文化行政を具現化していくには,市の関与が重要となる。管理運営計画に基づいた運営,事業展開について評価検証がしっかりとできる体制をとっていただきたい。 調布市せんがわ劇場がめざす将来の姿    調布市せんがわ劇場運営委員会要綱 平成23年6月29日 調布市要綱第96号 第1 設置   調布市せんがわ劇場(以下「劇場」という。)に係る事業及び管理運営全般について,市民等と市の協働により音楽と芝居小屋のあるまちづくりを推進し,劇場の円滑な運営を行うため,調布市せんがわ劇場運営委員会(以下「委員会」という。)を置く。 第2 所掌事項   委員会は,次の各号に掲げる事項を調査検討し,その結果を市長に報告する。 (1) 劇場に係る事業の検証及び評価に関すること。 (2) 劇場に係る管理運営体制の検証に関すること。 (3) 前2号に掲げるもののほか,市長が必要と認める事項 第3 構成   委員会は,市長が依頼し,又は任命する次の各号に掲げる者(以下「委員」という。)11人以内をもって構成する。 (1) 劇場周辺にある市内の自治会の推薦する者 1人 (2) 仙川商店街協同組合の推薦する者 1人 (3) 劇場周辺にある市内学術機関に勤務する学識経験者 3人以内 (4) 公益財団法人調布市文化・コミュニティ振興財団の推薦する者 1人 (5) 舞台芸術の専門家 1人 (6) 市民 2人以内 (7) 調布市立仙川保育園長    (8) 生活文化スポーツ部次長  2 市長は,前項第6号に掲げる委員については,公募を行い,その応募した者の中から選考することができる。 第4 任期   委員の任期は,2年とし,補欠委員の任期は,前任者の残任期間とする。ただし,再任を妨げない。 第5 委員長及び副委員長  委員会に委員長及び副委員長を置く。 2 委員長は,委員が互選する。 3 委員長は,委員会を代表し,会務を総理する。 4 副委員長は,委員長が指名する。 5 副委員長は,委員長を補佐し,委員長に事故があるとき,又は欠けるときは,その職務を代理する。 第6 会議   委員会は,委員長が招集する。 第7 意見の聴取  委員長は,委員会の運営上必要があると認めたときは,委員以外の者を委員会に出席させ,その意見を聴き,又は委員以外の者に資料の提出を求めることができる。 第8 庶務   委員会の庶務は,生活文化スポーツ部文化振興課において処理する。 第9 雑則   この要綱に定めるもののほか必要な事項は,別に定める。    附 則  この要綱は,平成23年6月30日から施行する。  調布市せんがわ劇場運営委員会委員一覧   氏名 団体分類 役職 片桐 雅教( カタギリ  マサノリ) 市民(仙川商店街協同組合) 委員長 鮫島(サメジマ) 貞雄(サダオ) 市民(地域の自治会) 有川(アリカワ) 博(ヒロシ) 市民(舞台芸術の専門家) 平成23年9月まで 山根(ヤマネ) 久幸(ヒサユキ) 市民(舞台芸術の専門家) 平成23年11月から 増(マス)坂(ザカ) 由夏(ユカ) 市民(公募) 笠原(カサハラ) 真志(マサシ) 市民(公募) 西原(ニシハラ) 稔(ミノル) 学識経験者(桐朋学園大学) 羽藤(ハトウ) 律(タダス) 学識経験者(桐朋学園芸術短期大学) 平成24年3月まで 越光(コシミツ) 照文(テルフミ) 学識経験者(桐朋学園芸術短期大学) 平成24年4月から 川井(カワイ) 扶佐子(フサコ) 学識経験者(白百合女子大学) 藤堂(トウドウ) 文(フミ)子(コ) 公益財団法人調布市文化・コミュニティ振興財団 平成24年3月まで 常(ツネ)廣(ヒロ) 大助(ダイスケ) 公益財団法人調布市文化・コミュニティ振興財団 平成24年4月から 市橋(イチハシ) 良子(ナガコ) 調布市立仙川保育園長 田口(タグチ) 学(マナブ) 生活文化スポーツ部次長 副委員長 調布市せんがわ劇場運営委員会報告 ~「せんがわ劇場のあるまちづくり」の推進に関する提言~ 発行日:平成25年3月 発 行:調布市 編 集:生活文化スポーツ部文化振興課(せんがわ劇場) 〒182-0002 調布市仙川町1丁目21番地5 Tel 03-3300-0611 印 刷:庁内印刷 1