令和3年度 第1回調布市医療的ケア児支援関係機関連絡会 議事録(要旨) 日  時 令和3年8月20日(金) 12時30分~13時45分 場  所 WEB会議(Zoomを使用) 出 席 者 1 調布市医療的ケア児支援関係機関連絡会委員(別紙参照)   福祉健康部健康推進課は代理出席 2 事務局(福祉健康部子ども発達センター) 議事次第 1 センター長あいさつ 2 変更のあった委員の紹介 3 議題 (1) 連絡会設置の目的について (2) 医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律について (3) 調布市の医療的ケア児及びその家族に対する支援の課題について 4 配付物 (1) 資料1 調布市医療的ケア児支援関係機関連絡会設置要綱 (2) 資料2 調布市医療的ケア児支援関係機関連絡会委員名簿 (3) 資料3 「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」について 議 事 録 1 センター長あいさつ(省略) 2 変更のあった委員の紹介 <あんあんの家 委員> <東京都立府中けやきの森学園 委員> <保育課 委員> <障害福祉課 委員>医療的ケアコーディネーター紹介。 3 議題 (1) 連絡会設置の目的について  <事務局>  本連絡会は,人工呼吸器を装着している障害児その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児とその家族が,心身の状況に応じた適切な支援を受け,地域において,安心して生活を営むことができるよう,医療的ケア児の継続的な支援に関する保健,医療,障害福祉,保育,教育等の関係機関が連携し,連絡調整,情報交換を図ることを目的としている。本連絡会の所掌事項は,医療的ケア児の現状の把握や分析に関すること,医療的ケア児の支援に係る関係機関相互の課題や情報の共有に関すること,医療的ケア児の支援に係る連携の強化に関すること,その他医療的ケア児の支援に必要な事項となっている。   (2) 医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律について  <事務局>   医療的ケア児に関しての法律は,平成28年6月に「障害者総合支援法及び児童福祉法の一部改正する法律」が施行され,「医療的ケア児」という言葉で明確に位置づけされて以降,平成31年3月に「医療的ケア児等総合支援事業実施要綱」が定められ,このたび「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が公布,3か月後,9月18日施行となる。 立法の目的として,医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに,その家族の離職の防止や,安心して子どもを産み育てるこができる社会の実現に寄与するとある。基本理念は,1.医療的ケア児の日常生活・社会生活を社会全体で支援 2.個々の医療的ケア児の状況に応じて,切れ目なく支援 3.医療的ケア児でなくなった後にも配慮した支援 4.医療的ケア児と保護者の意思を最大限に尊重した施策 5.居住地にかかわらず等しく適切な支援を受けられる施策とある。切れ目なく支援するということは各関係機関が濃密な連携を行う必要があることを示す。また,その支援においては,医療的ケア児が医療的ケア児ではない児童などと共に教育を受けられるよう,最大限に配慮しつつ適切に行われる支援であることが望まれている。適切な医療・保健・福祉サービスを受けながら,日常,社会生活を行える継続的な支援が必要である。  この基本理念に基づき,国や地方公共団体の責務や,保育や教育機関(具体的には,保育園・幼稚園・認定こども園・小中高等学校・特別支援学校・学童・児童発達支援・放課後等デイサービス等)の責務を定めるものとなっている。  支援措置として,国や地方公共団体は,医療的ケア児が在籍する施設(保育所や学校等)への支援,医療的ケア児及び家族の日常生活の支援,相談体制の整備,情報共有(個人情報の保護に十分留意しつつ),広報啓発,支援を行う人材の確保等がある。保育所や学校の設置者等の支援措置としては,看護師や喀痰吸引等が可能な保育士等の配置等がある。  この法律を施行後,3年を目途として法律の実施状況などを勘案,医療的ケア児の実態把握のために具体的な方策,災害時における医療的ケア児に対する支援の在り方について検討することとなっている。 (3) 調布市の医療的ケア児及びその家族に対する支援の課題について    市役所内各課より現状と課題を報告。      <委員(保育課)>  公立保育園在籍児1人に,訪問看護による導尿を行っている。人員の配置,必要物品の準備等受け入れ体制の課題がある。    <委員(児童青少年課)>  現在,医療的ケア児の利用人数は0人で,これまでの実績はない。可能な医療的ケアとしては,吸引・吸入・経管栄養等を考えている。まずは相談を受けて,医療従事者の配置を検討する。お子さんが入会を希望した場合,ケアを実施するにあたって引き継ぎ期間を設けるため,申込みから通所の準備が整うまで少し時間のかかるのが課題。そのため,希望される方を早期に把握できればと考えている。    <委員(障害福祉課)>  現在31人が利用。実施している内容は,計画相談,補装具・日常生活用具等の支給決定,それに伴う医療的ケア面の調整,コーディネート等である。また,災害時の個別支援計画や在宅レスパイト事業も実施。通所先が市内に少ない,あっても通えない,送迎がない等のため,保護者に負担のかかることが課題。在宅レスパイト事業を行っているが,コロナ禍であり,利用が難しいことも課題。子どもの在宅診療をしてくれる医療機関も,成人の機関に比べやや少ないと感じる。    <委員(健康推進課)>  2人の災害時個別支援計画を立てており,経過を見守っている。小さく生まれた子どもの情報が医療機関から届き,その状況を把握した結果で,病院から子どもが自宅に戻るにあたり,保護者に障害福祉課のサービスや他の施設を利用する時の情報の提供をしたり,他施設と連携して,ケースワークに参加している。小さい子どもは医療機関が中心にケアをしていて,健康推進課は具体的なサービスを持たないため,保護者と出会うタイミングが少ない状況。出会った機会を通して,丁寧に対応をしていくことを考えている。    <委員(指導室)>  市内の学校に3人の医療的ケア児がいることを把握しているが,いずれも自己管理しており,指導室では見守りをしている状況。東京都の医療的ケア児としてのカウントはしていない。今年,けやきの森学園に入学した児童はカウントしている。体制(組織,人員,施設等)が整っておらず,準備を進めることが課題。今後この会を通して,これから入学する子どもの情報の共有ができればと思う。また,市全体の課題として,医療的ケア児センターを必ず設置することにはなっていないが,保護者の立場にたてば,窓口を一本化していく必要があるのではないかと思う。    <委員(子ども発達センター)>  発達支援事業と通園事業の中で療育を提供しており,現在,医療的ケア児2人が通園事業を利用している。主治医からの情報提供書及び指示書等をもとに,症状やケアの内容を確認し,センターの医療的ケア指導医とケアの内容を検討し,手技を確認後,ケアを実施している。昨年は3号研修を受講し,看護師以外の職員も実施できるように体制を整えた。課題としては,場所や人の確保や他の園児との兼ね合い等がある。    <会長>  他の委員も日頃色々な課題に直面していると思うので,発言してほしい。機関によっては,成人を含め,幅広い世代を対象としているところもあると思うが,今回は18歳未満に限定した支援に対するものでご意見をいただきたい。    <委員(障害福祉関係機関)>  小学校から高校生までを対象に,放課後等デイサービスを実施している。今のところ大きな問題はなく進んでいるが,利用者の多様化の中,運営方針を変更し,対象年齢の幅を広げることになった。送迎に関しても,全員ではないが,地域によっては送迎をするようにした。今後,未就学児の受け入れも進める。また,ご家族や利用者が新型コロナウイルスに感染した際に,当事業所に通えない間のサポート状況,家での状況,再開までの経過等,うまく連携が取れるとよいと思う。市として,子どもや家族が新型コロナウイルスに感染した際の,フォロー体制の構築がされているのであれば知りたい。    <委員(保健関係)>  保健所では,新型コロナ感染症発症届を受け,疫学調査を通じ感染対策の業務を行っている。医療的ケアやフォローの必要な子どもの感染者や,親が感染したため,子どもが通所を制限される事例もあった。自宅療養を余儀なくされている状況の中,通所機関や子ども家庭支援センター等に連絡を取り合い,接触者の対応や家族への頻繁な声かけの依頼など連携して対応した事例もあった。  保健所では,自宅療養者には,基本的には毎日,健康観察のために電話連絡をするようにしている。実際はかなりの数の感染者で追いついていない状況にはあるが,特に医療的ケア等フォローの必要な方に対しては,毎日,保健所の同じ市担当保健師が電話でお伺いしている。 実際,コロナで発熱している保護者が小さな子どもを看るという非常に大変な状況で10日間過ごすケースもあり,綱渡りの状況であると認識している。中には,訪問看護ステーションに防護服を着て見守りを依頼することもあった。   非常に個別性の高い対応が必要で,地域から支えてもらいながら行っている状況である。    <会長>  保健所は,医療的ケア児を把握しながら大変な対応されており,助かる。これから感染者数が増える中,対応も増える現状がある。通所という主目的がある中では,子どもから子どもへの感染,その家族への感染,また関係機関の課題が出てくるのではないかと思う。そのあたりを非常に懸念しており,それらの課題についても共有したい。    <委員(障害福祉関係団体)>  重度心身障害児,医療的ケア児に対応している。医療的ケアもなく,重心でもない肢体不自由児の通所を,子ども家庭支援センターから依頼されるケースが増えており,現在2人程対応しているが,運営的に厳しく,さらに肢体不自由児を受け入れるのが厳しい状況。そこに医療的ケア児のような形で,何か対策があるとよいと思う。ちょうど(制度と制度の)間に入ってしまった,支援の必要な子どもも見受けられ,次の課題になるかと思うが,そこにも目を向けていただきたい。また,訪問看護で,子どもたちの在宅レスパイトも提供しており,今のところ,必要な時に必要な時間数を提供している。毎月ではなく,きょうだいのために母が外出をする場合の支援で,年間数回使われるということが多い。医療的ケア児や重症心身障害児でもない肢体不自由児で,どこにも通所できず,保育園もなかなか通えないような子どももいることを市で把握しているとは思うが,こちらも課題だと感じる。    <委員(医療関係)>  在宅レスパイト事業を利用契約している人でも,家族が急に体調を崩して,訪問看護で対応する時に,事前申請でないため利用できない状況がある。医療制度の中では,訪問看護が入れる時間や回数が決まっており,特に長時間の対応が難しい。緊急に在宅で,家族のレスパイトのために対応する時に,在宅レスパイトの制度をもっと運用できればよいと思うため,事業利用後に申請は難しいのかを知りたい。また,コロナ感染者が出て施設が休みになり,その子が感染していない場合は長時間でも対応できるが,家族が感染者になった場合は,基本的に成人同様,子どもの場合も短時間の訪問となる。今後の運営,支援,財源をどうするのか,今,話を聞いて感じている。成人について,医師会と話し合って今後の対応をしていくことになっているが,子どもについても,話し合っていきたい。    <委員(教育関係機関)>  78名の医療的ケア児のうち,調布市の児童・生徒は11人在籍し,医療的ケアは教員と看護職で行っている。医療的ケアのケア項目もだんだん広がってきており,対応している。課題として待 機の問題がある。医療的ケアを実施できる目途がたつまでの,待機の期間が長くなっている。去年は特にコロナへの対応があり,長くなっていた。このことから,新事業「保護者待機の短縮化事業」を始めることになった。まだ具体的な内容は決まっていないが,就学を予定する児童に対して,就学前の状態や情報を集めて実態を把握し,指導医の指示書を作ることを就学前から始めることになっている。就学前に,情報を密に連携をとりながら進めていけると,その後の保護者の待機期間が短くなっていくと思う。また,医療的ケア児が乗車できるバスを3年前より運行しているが,そこに保護者の協力が必要であり,登下校の時間に乗車できる看護師が見つかりにくく,活用できないという問題がある。    <委員(当事者団体)>  看護職以外に介護職が医療的ケアをできる部分があるが,地域の課題として,その手続きを受けている事業所や医師が少ない現状がある。    <委員(障害福祉関係機関)>  現在2人の医療的ケア児を受け入れており,胃ろうと経鼻経管による注入を行っている。年齢が小さいこともあり,状態が安定しておらず体調を崩すなどで休みが続くこともあり,現在は週2~3日ペースで登園している。子どもの動きに合わせて注入の方法を滴下ではなくシリンジにしたり,注入中の排便や嘔吐への対応,着替えやおむつ交換等に複数の看護師を配置し,保育等も行っている。指示書を早く作ると,児の状況に合わせた内容で実施できないこともあるため,入園後,よく話し合って決めることが必要と感じている。 また,医療的ケア児は急変もあるため,緊急搬送できる医療機関が近くにあればと思う。年度によって在籍児の状況が異なり,環境も異なるため,人手や医療的ケアを行うスペースの確保等,安定した医療ケアをどう提供していくかが大きな課題である。    <委員(当事者団体)>  保育園の時は体調を崩しやすく,小学校に入ってからも低学年時は規則的な生活をしていても体調を崩しやすい印象がある。年齢の小さい子どもを対象とすればするほど,体調に左右されると思 う。放課後等デイサービや未就学児の子どもをみている事業所で,呼吸器を使っている子が通える場所がとても少ない印象がある。医療的ケアが必要でも通えるところは増えてきたと思うが,呼吸器を使用していると,利用できるハードルの高さがある。また,保育園や学童保育所等で医療的ケア児受け入れていくとのことだが,私自身,医療的ケア児ではないきょうだいが学童保育所に通う等して力になってもらった。医療的ケアのある子ども以外の,きょうだいへのサポートが何かあるといいと思う。相談支援員の充実も必要である。相談をしても情報がなく,教えてもらっても医療的ケア児は利用できないサービスであることがあり,結局,自分で障害福祉課に相談したり,調べたり聞いたりして情報を収集し,サービス等を調整した。計画は書類を作ってもらっているだけという感じだった。緊急時の対応では,在宅レスパイトは使っていないが,早い時期からヘルパーに3号資格をとってもらい吸引注入をしてもらった。通所等の他でみてもらえるところと,家でみてもらえるところを,いかに充実させるか,私自身の生活がいかに守れるかを考えてきた。おそらく小さい子を持つ母たちは,看護職以外の人にケアを任せるのはちょっと怖いと思っているかもしれないが,「こういう制度を使ってみるといいよ」と声かけをしてもらうとよいと思う。    <会長> 慢性的な人員不足,あるいは小児期や,小児から成人に移行する時,症状に変化があった時等の連携は課題として挙げたい。医療的ケア児は個別のオーダーメイドの対応をしなくてはならず,特 に小児は呼吸一つとっても,呼吸レベルの状態によって全然課題が違ってくる。そこも大きな問題であると思う。 本日,多くの課題が出て,これらの課題の整理や分析等が必要であるため,連絡会設置要綱第7にある実務者会を持ちたい。実務者会の委員は,内容が多岐にわたることや新型コロナウイルス感 染拡大防止の観点から,市役所委員とさせていただき,実務者会のチーフは障害福祉課小形委員とする。    <事務局>  第2回医療的ケア児支援関係機関連絡会は令和4年1月頃を予定。    以上    1