令和3年度 第1回 調布市再犯防止推進計画策定委員会 議事録 日時:令和4年1月25日(火)18:30~20:10 場所:調布市総合福祉センター2階 201~203会議室(オンライン開催) 【出席者】  1 出席委員:川村委員長,掛川副委員長,宮内委員,梶原委員,山本委員,小川委員,高橋委員, 藤井委員,高笠委員,小坂委員,宮地委員,福澤委員,鈴木委員,風間委員, 宇津木委員,石川委員,木村委員,山田委員  2 事務局:福祉総務課  3 傍聴者:0名 【資 料】 ・資料1 委員名簿 ・資料2 調布市再犯防止推進計画策定委員会【第1回】(パワーポイント資料) ・資料3 調布市再犯防止推進計画策定委員会設置要領 ・参考資料 再犯防止推進事業検討に関する結果報告書   1 開会 福祉健康部次長から開会の挨拶,配付資料の確認。委員・事務局紹介,委嘱状の机上配付(オンラ     イン出席者は郵送配付)をもって委員委嘱。 2 議事 (1)委員長及び副委員長の選出    委員の互選により,川村委員を委員長,掛川委員を副委員長に決定。 (2)計画策定の目的,国等の動向 委員:計画策定の目的,国等の動向について,事務局より説明をお願いします。 事務局:( パワーポイント資料P3~15の説明) 委員:本日は第1回の会議ということで,我々の共通理解をつくるためにインプット時間が長く情報量が多くなると思われます。ここまでの説明で気になったことや確認しておきたいこと等はございませんか。 (3)調布市の現状と課題の確認 委員:調布市の現状と課題の確認について,事務局より説明をお願いします。 事務局:( パワーポイント資料P16~25の説明) 委員:調布市の現状と,昨年度実施したヒアリングの結果からみる必要な支援として本人に対する支援だけではなく支援する体制の基盤づくりも重要であるとの説明でしたが,質問や意見はございませんか。 委員:P19で知能犯が増えてきているということが指摘され,ほぼ詐欺だということですが,これは特殊詐欺を示しているのですか。それとも食い逃げのようなものですか。内訳を教えていただきたいと思います。 事務局:詳細については確認したいと思いますが,振込詐欺等は含まれています。それは,P20のグラフで示されたように知能犯は20・30代が多いことからも推察できます。 委員:おそらく若年層が特殊詐欺で,高齢層が食い逃げのようなものであることは予測できます。 また,P25の表に「保護司を中心とした民間協力者への支援が必要」とあります。民間協力者で刑事司法の領域となると保護司が出てくるとは思いますが,保護司とは保護観察対象者に対して働くため,どのような趣旨でここに記載したのですか。 事務局:ヒアリングで,保護司の高齢化が進み活動を続けていくことが難しいという現状がわかったため,保護司への協力や負担軽減として何かができるのではないかということで記載しました。 事務局:保護司は,7月に実施される「社会を明るくする運動」を始めとして,犯罪の予防や更生保護活動を含め,再犯防止に最も密接な活動を行っていると思います。本計画を福祉総務課が所管することになり,密接な保護司とその関係機関を支援していくことが,地域の再犯防止や犯罪予防のネットワーク構築の基盤になるのではないかということで記載しました。 委員:司法福祉の領域では保護司が非常に重要な役割を果たしていますが,それだけですべての問題をカバーできるわけではありません。マンパワーを確保し地域の協力を得る際,保護司だけを念頭に置きそこで思考停止とならないようにという重要な示唆をいただいたと思います。 委員:保護司は対象者に対する保護観察が主な仕事ですが,啓蒙活動等も行っています。活動を市民にPRするため全国的な「社会を明るくする運動」を7月に強調月間として行ったり,対象者に対していろいろな活動に参加させることでできるだけ早い更生を促したりしています。これらの活動は保護司に限らず更生保護女性会や民生児童委員等も同様に行っており,これら全ての方を支えていこうという意味で記載されたのではないかと思います。 委員:社会的孤立の問題に対し地域の中でどのように居場所をつくっていくかを考え,さらに再犯予防に対する地域全体での取り組みをどのように進めていくかという観点も合わせて重要です。また,保護司をどのようにサポートしていくかも検討していくべきであり,地域を複眼的に見ていくことが必要です。 委員:再犯率と再犯者率は異なるものですので,言葉の使い分けをしっかりさせたいと思います。再犯率は一人の人が再犯する確率で,再犯者率は検挙された者のうちの再犯者の割合です。P4のグラフは「再犯率の推移」ではなく「再犯者率の推移」ではないでしょうか。 P21のグラフは未成年を含んでいないデータであると思われるため,犯罪白書等から持ってくる全国の値とは一致しないはずですが、このままでは混乱を与えかねません。 また,調布警察署は調布市と狛江市を管轄しているようですので,調布市のみのデータは取りにくいと思われます。P17とP19の表は認知件数の一部が検挙件数になるということで似通ったデータとなっていますが,内訳方法が異なっているため比較しにくく理解しづらくなっています。 P22のグラフについては,1年間のデータでは凶悪犯等は4人や5人といった少ない数値ですので,これで多い少ないとか割合が高い低いとか評価するのは問題があるのではないかと思われるため,数年間の数を出してみるとか平均値を取ってみる等の必要があるのでないかと思います。その上で対策を考えていくと思われますので,このような視点も入れて検討していただきたいと思います。 委員:統計データは計画策定の議論の前提となるものですので,誤解を招くようなデータが混じってしまうと本質を見誤ることになりかねないため,慎重にデータを解釈していかなければなりません。 事務局:用語の使い方や統計の分析上の問題はもちろんありますが,再犯防止については新しい計画ということで馴染みのない部分もあるため,脚注の付け方や用語の説明にも注意しながら今後の計画策定を進めていきたいと思います。 委員:P21の再犯者率は,全国が50.5,東京都が49.5,調布警察署が45.3で,東京都に比べ4.2ポイントと少なくはない差があると思います。これをどのように解釈すればよいかと考えていましたが,これらの数値はそのまま受け取ってしまってもいいのでしょうか。 委員:平成30年時点ではこの通りであったかもしれませんが,母数が少ない可能性があり、何年かの動向を見れば,調布警察署管内が本当に少ないのかたまたまその年が少なかったのかがわかるのではないでしょうか。 委員:母数が少ないことで変動が激しくなるため,1年だけ切り取って見るのではなく経年データを追っていくほうが傾向をつかめるのではないかということですが,今後事務局にはデータを提示する際は可能な範囲で取り入れていただきたいと思います。 委員:犯罪は年齢に関係なく発生するわけですが,中学や高校を出たくらいの子どもたちは卒業してしまうと情報が途絶えてしまいます。保護司は1対1で対応しますが,民生委員は地域全体で協力できる立場にあります。保護司や更生保護女性会の方及び民生委員共々,情報の共有が必要ではないかと思いますので検討をお願いします。 委員:個人情報の保護がとかく強調されていますが,民生委員の活動をしていく中では情報の共有をしていく必要があるということです。 事務局:コロナ前には,民生委員と保護司会の皆さんとで連絡会を毎年定期的に行っていました。コロナのためここ数年は開催できずにいますが,そういった取り組みを通じ,個人情報の共有は難しいですが,調布市の地域における特性等の視点から情報共有をすることは可能であると思われますので検討していきたいと考えています。 委員:社会的に孤立しがちな若年層にとっては,学校が唯一の社会との接点であり,学校を退学したり卒業したりしてしまうと,一気に社会とのつながりが失われてしまいます。社会的孤立をどのように解消するかという点において重要な論点かと思います。 (4)重点課題及び関連事業の確認 委員:重点課題及び関連事業の確認について,事務局より説明をお願いします。 事務局:( パワーポイント資料P26~32の説明) 委員:計画策定にあたっての市の考え方を提示した上で,再犯防止に関連すると思われる現在行っている事業を説明していただきましたが,質問等はございますか。 委員:P27に「現状取り組んでいる施策を再編」とありますが,P28以降には「現状の施策」に加えて「今後必要な施策」も記載されており,これらが本計画に取り込まれていくと思われます。既存の福祉的な施策だけとするならば,地域福祉計画のミニ版ということになってしまいます。再犯防止推進計画ということで必要な施策としていくつか新しいことも指摘されていますので,「再編」というよりは「再編も含めて」のようにすべきであると思います。 P31の「課題」に「保護司を中心とした民間協力者への支援が必要」とありますが,「今後必要な施策」としては「保護司,更生保護女性会,BBS会等の一層の周知」となっています。周知は大切だとは思いますが,昨年度の準備会においても「周知」だけではなく「支援」という言葉も加えて欲しいという意見も出たことが参考資料にもあります。実際には支援も行われていると思いますので,「支援」という言葉や具体的な支援の中身の記載をお願いします。 事務局:1点目の,各施策について新しい視点を計画に加えていくのかということと,今までの施策を反映した場合は地域福祉計画のミニ版になってしまうのではないかという懸念についてですが,これまで明確に再犯防止という視点では考えてこなかった分野に再犯防止の視点が反映されることにより,我々地方公共団体の職員が再犯防止についての認識を深める機会となり,その結果,庁内横断的な連携を図るようになるということを重視しました。福祉分野において地域福祉計画が基盤となる計画であり,本計画で構築しようとしているネットワークについても,地域共生社会の実現という大きな観点から見れば,認知症の課題や社会的な孤立もしくは貧困等の課題により,再犯せざるをえなくなってしまった現状もあることから,こうした地域共生社会の実現の観点を踏まえた中で本計画を策定していきたいと考えています。新たな視点についても,全く新しいものを模索していくということではなく,各施策の中で視点を変えたりのりしろを広げていったりすることで,これまではなかった活動等が出てくることもあると思われますので,まずはこのような観点から見直していきたいと思います。 2点目の,保護司への支援については,地域のボランティアとして行う罪を犯した方たちへの支援や犯罪予防の強化月間を含めた活動については,これまでも市としては協力体制を取ってきました。本計画を策定するにあたり,今まで気づかなかった課題も出てくると思われますので,保護司会とコミュニケーションを取りながら,市としてはどういったことができ,地域の関係団体の輪の中でどのように支援できるのかということを考えていきたいと思います。 委員:ほとんどの相談者は自分から罪を犯したことがあるとは言わないため,これまで市役所の方々は知らないうちに障がい者や高齢者や生活困窮者として支援してきました。そういった意味でも,今まで行ってきた事業が多く記載されることは当然であり,他市においても同様です。ただ,「現状取り組んでいる施策を再編」とまで記載する必要はないのではないでしょうか。このような表現では,それしか行わないと受け取られてしまいます。これから行う大半の施策は現状取り組んでいる施策になるでしょうし,保護司会等への支援もすでにかなり行っていただいていることは承知していますが,「再犯防止に取り組む」という視点から表現していただきたいと思います。 事務局:視点を変えて施策を展開していくということについては,単なる事業の羅列ではなく,再犯防止に資するような取り組みをしていくということが市民や関係団体にわかるような形になるように議論していきたいと思います。 委員:関連するであろう事業を羅列するだけではないという力強い言葉がありましたが,おそらくこのことは本計画を策定する上で非常に重要になると思います。さらに,さまざまな施策が,刑を終えた人に対しても利用されるようなものになっており運用されているかという視点で再度捉え直すことも必要ではないでしょうか。全国的な傾向としては,刑を終えた方はそれ以外の方と全く同列に扱われなくてはいけませんが,福祉の制度やサービスから敬遠され排除されてきたということがしばしば散見されます。そのようなことをできるだけ減らしていくため,本会議では批判的に評価し,どうやったら乗り越えられるのかを考えていくことが,本計画の成否を握る一つの鍵になるのではないかと思います。 委員:P28にある「市営住宅の優先入居」は明記すべきことではなく,「排除しない」のような表現に変えないと誤解を招くのではないでしょうか。地域の方々は,刑を受けたのか終えたのかもわからないのが現状で,役所関係の方しかご存じないのではないでしょうか。調布市民がどのように考えるかということがとても大切ではないかと思います。保護司は,誰が刑を受けたかを知ることはできますが外部に漏らすことはなく,わからないように支援することは可能です。しかし,保護司であることが知られると支援しにくくなり,市民のものの考え方に優しさが加わっていないと難しいと感じます。 事務局:昨年度の準備会においても「優先入居」ではなく「皆と平等に扱う」というような記載にすべきという意見がありましたが,修正が漏れていました。 委員:物的な住宅を確保するというだけで社会復帰につながるわけではなく,地域の中に居場所がありここにいてもいいという感覚が持てるかどうかが継続的な地域生活を支援していく上ではとても重要であるという示唆だと思います。 委員:P28の都営住宅や市営住宅・高齢者住宅については東京都と連携しながら行っている事業であり,入居の資格要件が60歳以上の高齢者や精神障がい者・犯罪被害者・生活保護者という方たちに限定し単身での入居が認められるとなっているため,若い方たちをどうしていくかという課題があります。都営住宅も市営住宅も入居倍率が40倍や50倍となっており,ほとんどの方が入れず,民間の賃貸物件を斡旋していくという事業を進めています。しかし「普通のアパートは借りられないため,借りる仕組みや支援が必要」と記載がある状況ですので,民間のオーナーに協力を求めているのですが,「就労しているか」「緊急連絡先があるか」「引っ越し等の初期費用があるか」「見守りがあるか」といった高齢者に対するものと同様の要請が,オーナー側から求められています。関係団体と上手につなげる等の連携を強化し,ネットワークをつくり,オーナーに理解を得るというようにしていけたらいいと思います。都の施策が変わらないと調布市としては追随しにくいのですが,このあたりの表現を再度整理しながら民間の賃貸物件も借りられるような見守りをつくっていく体制を検討していきたいと思います。 委員:都営住宅も市営住宅も,単身世帯の入居の場合は,単身であること以外にも60歳以上であるとか障がい者であること等の要件を満たさないと入居できないのですね。 委員:そうです。そのため,若い方が単身で入居したくても応募できないという現実があるということです。 委員:保証人の問題は自治体によって扱いが異なるようですが,調布市の場合は市営住宅への入居に対して保証人を立てなければなりませんか。 委員:そのとおりです。ただし,入居予定者の努力にもかかわらず保証人が見つからない状況も想定されることから,緊急連絡先の登録と家賃債務保証会社や保証人協会等の利用などによる入居保証の取扱いについても,検討しているところです。※ ※ 本発言は,委員会当日に音声不良があったため補記している。 委員:P28の「就労」については,障がいや高齢により仕事をすることが難しい場合,そういった方たちに対する居場所の支援についてはどのように考えられているかが具体的に表現されるといいのではないでしょうか。また,出所者を拒否しないことで支援していくという視点であると思われますが,それに加えて伴走型の生活支援等がないと,優先的に入居させるといってもその窓口にたどり着けません。日々の生活を一人ではきちんとやっていけず福祉的な支援が必要な人たちを取りこぼしてしまい,そこまで目が行き届かないものになってしまうのではないかという危惧が若干あります。本来の福祉的支援が必要な人たちに対してどのような支援ができるのかというところにもう少し踏み込んで記載したほうがいいのではないでしょうか。 また,所管部署としては福祉健康部福祉総務課がイニシアティブを取って進めているわけですが,福祉の目的は再犯を防止するところにはありません。再犯防止推進計画をつくっていく際にあえて「再犯防止」という言葉を使わないという考え方があってもいいのではないでしょうか。奈良県や明石市では「更生支援」という言葉を使っています。 事務局:単に住居の確保だけではなく,居場所づくりや就職した方を拒否しない社会づくり及びその方の抱える課題についての伴走的な支援や福祉的な支援等があって,初めてその方の支援が充足され,ひいては再犯防止に資するようになるのではないかということであると思います。まさに福祉部門が本計画を引き受けた1つの観点です。福祉健康部では,地域福祉計画や地域共生社会の実現の施策も所管しており,社会的孤立の問題や複雑化する課題に対する生活の支援をしてくという観点があるため,成育上の問題・高齢や障がいの問題を抱えている方に対し,そのような観点から支援していける体制をつくっていきたいと考えています。 また,「再犯防止」という言葉についてですが,まだ市民には馴染みのない言葉ですので,市民や支援する関係団体にとってはどのような言葉がいいのかを踏まえながら考えていきたいと思います。 委員:P28の「就労・住居の確保等」が必要であり最優先課題であったとしても,賃労働を想定した時に,そこに馴染めない方がいたり,本人は働く意欲があっても社会の側が就労の場を提供できなかったりするケースがあります。この「就労」とは何らかのコミュニティに所属しているか居場所があるといったように広く捉える必要があると思います。そうでないと賃労働ができない人が排除されてしまうということになりかねません。 また,計画の名称に関しては,他の自治体では「再犯防止」という名称を用いている所が多いようですが,社会防衛的な色彩を帯びています。しかし,本日我々が確認したように,再犯の背景には本人のモラルの問題だけではなく,社会復帰をしようにも生活基盤が整わないということがあるためそこに支援をしていこうという観点が必要になってきます。「再犯防止」という言葉にはそこまでのことをイメージしづらく,問題を矮小化させてしまう印象があります。名称の変更が難しいということであったとしても,少なくとも本会議では,単に社会防衛をするということではなく,支援をし,さらには社会の側をどのように変えていくのかということまで踏み込んで議論するということを本日の出発点としたいと思います。 3 その他事務連絡   事務局から今後の会議スケジュールを説明。また,次回開催は2月下旬を予定。