令和3年度第1回調布市入札等監視委員会の会議概要 開催日時 令和3年8月20日(金)午後3時00分から4時15分まで 開催場所 ウェブ開催 出席者 委員 櫻井務委員長(学識経験者) 本多秀毅委員(公認会計士) 柴田亮子委員(弁護士) 所管課(発注課) 環境部緑と公園課 都市整備部交通対策課 環境部下水道課 都市整備部道路管理課 事務局 総務部契約課 永山課長,安倍契約係長,三澤工事担当係長,吉澤主任 次第 1 開会 2 審査 (1) 抽出案件について ア 調布市多摩川市民広場改修整備工事(第2期)(不調・中止及び制限付き一般競争入札) イ 調布市立つつじケ丘南第2自転車等駐車場解体工事(その2)(制限付き一般競争入札) ウ 令2下水道長寿命化対策工事(その2)(不調・中止及び制限付き一般競争入札) エ 令和2年度仙川橋補修工事 (随意契約) (2) 審査結果集約 3 閉会 1 開会 令和2年度第2回調布市入札等監視委員会の会議概要の確認について ○委員長 それでは,令和3年度第1回調布市入札等監視委員会を開催する。 まず,令和2年度第2回調布市入札等監視委員会の会議概要について,事前配布された事務局案のとおり決定いたしたい。    (全委員了承) 2 審査 (1) 抽出案件について ア 調布市多摩川市民広場改修整備工事(第2期)(不調・中止及び制限付き一般競争入札) 【事業・工事概要説明】 ○緑と公園課 本件について,調布市多摩川市民広場は昭和57年に開園した都市公園である。場所は,調布市の京王線本線の布田駅より南側に位置し,多摩川に隣接する箇所にあり,河川敷へのアクセスもよい公園。また,公園開園以降,段階的に取得した公園東側の隣接地を公園管理業務スペースとして活用しながら現在まで利用し,今回の工事で一緒に改修を行う。 平成29年度に公園部分の拡張,全面改修設計内容については,住民との意見交換を行い,決定した。また,平成30年度に公園管理業務に係る施設の建築工事を行った。さらに,平成31年度には,トイレを改修するための設計を実施した。 本工事は,公園部の拡張,全面改修により公園機能の向上と利用者の安全を確保することを目的としている。また,本件とは別の発注となるが,トイレの建替えを行うことにより,利用者の利便性向上も図る。 なお,工事範囲について,多摩川市民広場は公園部分が約5,140平方メートルであり,調布市が管理する公園としては比較的大きい公園である。 工事内容は,健康遊具・ボール遊びを行うことができる広場や見晴らし台などの整備を行う。工事に先立ち,市民と意見交換会を行い,特に見晴らし台については,多摩川の土手沿いから,天気のいい日には富士山も見渡すことができると良いといった意見も寄せられたことから,園内から富士山を見渡せるようなベンチ型の見晴らし台を設置する設計としている。また,管理施設部分には,公園利用者と公園管理者が錯綜しないようにフェンスで囲い,管理車両が駐車できるようなスペースを整備する。   【入札・契約手続説明】 ○事務局 本件は,設計金額500万円以上の造園工事であることから,調布市制限付き一般競争入札要綱(以下「要綱」という。)及び調布市制限付き一般競争入札実施基準(以下「実施基準」という。)に基づき,制限付き一般競争入札により一度発注したところ,入札手続中に設計図書の確認が生じたことから手続を中止し,その後,同要綱等に基づいた再発注により落札事業者が決定し,議会の議決により契約に至った案件。 入札手続等に沿って一連の入札手続について説明する。 初めに,中止した第1回目の入札手続である。 本件の設計金額は5,000万円以上のため,発注に当たり,令和2年7月14日に開催した令和2年度第4回調布市業者指名等適格審査会に入札参加資格を付議し,承認されたことから令和2年7月20日に告示した。 発注内容については,調布市公共工事共同請負方式取扱要綱(以下,「JV要綱」という。)第3・対象工事の種類及び規模に基づき,特定建設工事共同企業体(以下,「JV」という。)として発注した。 対象の範囲は,地域区分を都内本店・支店とし,JVの代表者については特定建設業許可,経営事項審査結果通知書総合評定値900点以上及び履行の担保として平成25年4月1日以降における予定価格に対する2分の1以上の完成工事実績を求めた。 一方,JVの構成員については,建設業許可区分を特定または一般の建設業許可を有することとした。また,経営事項審査結果通知書総合評定値及び完成工事実績については,市外事業者に対しては750点以上及び2分の1以上とし,市内事業者に対しては600点以上及び造園工事の実績を有することとした。 また,JVに係る出資比率について,代表者は構成員中最大で,構成員は30%以上あることとし,さらに,それぞれほかのJVの代表者または構成員となっていないこととした。そのほか,市内事業者の受注機会拡大のため,JVの代表者及び構成員のいずれかのうち,少なくとも1者は,調布市内に本件工事に係る契約締結の権限を有する者を置く本店を有していることとした。 そして,中止理由については,主管課において植栽計画等を見直すことになったため,それと関連する設計図書の確認,変更等が必要になり,入札手続を中止することとした。 その後,主管課にて本件の再発注に向けて設計図書の修正等,準備が整ったため,令和2年10月13日に開催した第7回調布市業者指名等適格審査会へ入札参加資格を付議し,承認されたことから10月26日に告示し,申請書提出期限は11月10日で申込みは2者からあった。 11月25日に開札した結果,落札予定者の資格を審査し,提出書類にて要件を満たしていることが確認できたことから落札決定を行い,落札予定者との協議を経て12月2日に仮契約を締結した。 また,1者は辞退であったが,その理由は積算超過の旨を確認している。 最後に,本件は議会の議決に付すべき契約及び財産の取得または処分に関する条例第2条の規定により,令和2年第4回調布市議会定例会に付議し,議決されたことから令和2年12月18日に契約した。 事務局からの説明は以上だが,中止理由の補足を担当課から説明する。 ○緑と公園課   入札手続の中止に至った経緯について補足説明する。 市では,公園の質の向上を目指し,本来公園が有する機能が各地区で満たされるように,公園,緑地の機能再編に向けた取組を進めており,多摩川市民広場周辺区域においては,地域の核となる多摩川市民広場の機能について市民参加で議論を重ね,平成30年5月に多摩川市民広場改修と周辺区域の機能再編整備プラン(以下,「本プラン」という。)を策定した。 基本的に本プランに基づき設計を取りまとめたが,市民要望の高かったボール遊びなどのスポーツ広場において,より安全性を向上する観点から防球ネットを設置する内容としたところ,既存樹木との兼ね合い等から,発注後に全体の植栽計画等を見直す必要があることが判明したため入札手続の中止を依頼した。   【質疑応答】 ○委員 中止理由等に関連して,市民との意見交換会の実施について,条例等で定められているのか。 ○緑と公園課   本プランは,それぞれの公園に求められる機能を整理し,再編するという内容で,今回の公園整備は,その地域における核となるものである。また,本プランを策定する過程で,本公園も含めてそれぞれの公園に求める機能について,市民の多様な意見を吸い上げるための手法として,意見交換会を実施したという趣旨である。 ○委員    その点について,市民との意見交換会の結果を本プランとして策定したものを,後日変更したということか。 ○緑と公園課   市民と意見交換をした中で,ボール遊びができる空間の創出を求める声が多く,ボール遊びのできる広場を配置する内容としてまとめた。ただ,設計時において,防球ネットを新たに設置することで本プランの中に示していた内容等に変更が生じるため,改めて意見を確認する必要があると考えたことから,入札手続を一旦中止し,市民との意見交換会を再度行い,その後,植栽計画等も含めて設計の見直しを行った。 ○委員 経過については了解した。次に,価格について,見直した結果,金額よりも約50   0万程度安くなっているが,どのように変更したのか。 ○緑と公園課   大きな変更点としては,植栽計画の変更と防球ネットのフェンスの高さ等を見直した。その変更に伴って価格が減額となった。 ○委員  今の質疑に関連して,今回の植栽計画を見直した経緯を再度確認したい。率直にいうと過去実施した意見交換会のときと,発注時の状況が変化したことが要因の一つなのか。 ○緑と公園課   これまでの植栽に関する議論を踏まえ,本件については再度市民と意見交換したうえで見直しを行う必要があると判断した。 ○委員 了解した。 ○委員 本件は議会案件だが,議会から意見等あったのか。 ○事務局 議会に向けた事前の説明の中では,主に契約手続中に生じた中止や市民と再度意見交換をした点について質問等があったが,本件に係る経過を説明し,理解を得られたものと認識している。 ○委員   了解した。 ○委員長   では,本工事について,入札・契約手続が適正かつ適切に行われていたと,決定してよろしいか。 (全委員了承) イ 調布市立つつじケ丘南第2自転車等駐車場解体工事(その2)(制限付き一般競争入札) 【事業・工事概要説明】 ○交通対策課 本件は,平成15年4月に開設した調布市立つつじケ丘南第2自転車等駐車場の解体工事である。工事場所は,つつじヶ丘駅南口正面,バスロータリーに隣接する調布市東つつじケ丘2丁目1番地26である。契約締結日は令和2年12月4日で,工期は令和2年12月7日から令和3年3月18日まで。 起工理由は,つつじヶ丘駅南口から品川通りをつなぐ調布都市計画道3・4・21号つつじヶ丘南口線の整備事業着手に伴い,調布市立つつじケ丘南第2自転車等駐車場を閉鎖し,屋根や管理棟の撤去が必要となったため。この土地は,調布市土地開発公社が先行取得していたもので,道路整備着手までの期間,駅前放置自転車対策の一環として自転車等駐車場を整備し,管理,運営を行ってきた。 既存施設が屋根あり平置き式の自転車等駐車場のため,屋根の撤去から始まり,駐輪スペースのコンクリート基礎,アスファルト舗装,外灯・管理棟などの敷地内の設置物を撤去し,最後に,道路とつながっている上下水道管の撤去工事を行った。 また,道路整備工事施工までの間は,都市整備部街づくり事業課が管理をするため,事前に協議を行い,土ぼこりや不法侵入,不法投棄を防ぐため敷地にはアスファルト舗装を施し,既存の柵をバリケードとつなぎ囲いを行った。 本工事は,バス停に隣接していることから,利用者の少ない時間帯を選び,粉じん等が飛ばないように,しっかりと養生をして施工した。上下水道の撤去に関しては関係機関との協議及び調整のうえ,昼間の間に掘削範囲の切れ込みを入れ,バスの運行が終了した後,交通整理員を多く配置し,深夜から明け方にかけ掘削,撤去を行い,無事故,無災害で工事を完了した。 また,今後は道路の整備工事が予定されているため,アスファルト舗装の仮復旧範囲を少なくすること,廃棄予定であった倒れ防止柵を丁寧に取り外しリサイクル品として他課と調整することで建築副産物の抑制と工事費の削減に努めた。 【入札・契約手続説明】 ○事務局 本件は,設計金額500万円以上の解体工事であることから,要綱及び実施基準に基づき,制限付き一般競争入札により契約に至った案件。 本件工事を実施基準に照らすと,業種が解体工事のため,その他の工事に分類され,設計金額が3,000万円未満であることから,建設業許可区分は一般または特定の建設業許可を有していることとした。 続いて,地域区分及び総合評定値については,実施基準に照らすと,通常は市内本店及び1,000点未満とするところだが,市内本店及び支店事業者で解体工事に登録されている事業者がそれぞれ1者しかなく,さらに,確認できる実績の中において官公庁発注の解体工事の実績が確認できないことから,市内事業者のみでは十分な競争が見込めない状況であった。 また,本工事は,街づくり事業課が実施するつつじケ丘南側の調布都市計画道路3・4・21号線整備事業との兼ね合いで令和2年度中に工事場所を解体する必要があり,不調を極力回避しなければならない。 これらのことから,これまでの解体工事に係る発注と同様に,実施基準第3,対象者の範囲,第2項,第5号・対象工事等の金額,内容及び入札に参加することができる者の数などの状況により市長が必要と認める契約に該当するものとして別途定めた。 具体的には,地域区分を,実施基準で定める最大の範囲である都内本店・支店とし,総合評定値について,市外事業者に対しては一定の信頼性,履行能力を求める観点から総合評定値750点以上とし,上限は定めず,市内事業者に対しては市内事業者育成の観点などから総合評定値を有していることとした。 完成工事実績について,市外事業者に対しては一定の信頼性,履行能力を求める観点から,これまでの市外事業者に求めるものと同様に予定価格に対する2分の1以上の実績を求めた。 公告は11月16日,申請書提出期限は11月20日で,申込みは6者からあった。 12月2日に開札した結果,落札予定者となった市外事業者の資格を審査し,提出書類にて要件を満たしていることが確認できたことから落札決定を行い,12月4日に契約を締結した。 なお,不参加理由について,積算超過の旨を確認している。 【質疑応答】 ○委員 工事場所を具体的に示してほしい。 ○交通対策課 (図面を用いて,工事場所を説明) ○委員 了解した。あとは,入札に参加した業者について,市内事業者と市外事業者の割合はどうだったのか。 ○事務局     今回,参加した事業者は全て市外事業者である。 ○委員    了解した。あと,最低制限価格非公表としたのはなぜか。 ○事務局     最低制限価格は,低価格受注による工事品質の低下などを防止するもので設定しているところで,工事を適正に行うために定めている。 今回の解体工事の最低制限価格を非公表とした理由について,性質上ほかの建設工事と異なり,適正な廃棄物処理について配慮することが最も重要な工事であり,完成物の品質の確保について懸念されることが少ない工事である。そのため,調布市工事請負契約における最低制限価格設定の基準によらないで,最低制限価格を設定することとするが,価格を公表することが適当でない内容と判断したためである。 ○委員    了解した。これまで調布市では解体工事というのは何回かあったかと思うが,全て最低制限価格非公表になっているのか。 ○事務局     はい。 ○委員    了解した。それから,落札率が低い理由はなぜか。 ○事務局     落札率が低い要因として考えられることは,市内事業者での競争が見込めない状況で,対象の範囲を都内まで拡大していることが要因の1つであると考えている。 また,解体工事は,建築物などの撤去が主な内容であることから,施工内容を効率化している事業者において,入札金額を抑え,入札している点も落札率が低い理由であると認識している。 ○委員    今,解体工事の場合は,業者によっては施工内容の効率化が図れる部分もあるため,落札率が低くなると説明されたが,これまでの解体工事も落札率は低い傾向なのか。 ○事務局     落札率の関係で補足にもなるが,解体工事については低く出る傾向がある。事務局としても,落札率が低い傾向について少し気になっていたところで,以前から近隣自治体の落札状況も注目していた。その結果,他団体においては,最低制限価格未満の入札が多く見受けられ,落札率もかなり低い状況があることを確認している。やはり,解体工事は一般的な建設工事とは違い,効率化の部分であるとか,あとは推測になるが公共工事の積算だとなかなか反映できない部分などがあるのかもしれない。そのような理由から,落札率が低くなるといった傾向が表れてしまう。 また,最低制限価格及び予定価格の公表等については,各団体それぞれの考え方によって,実施している状況である。調布市では,工事については予定価格を事前公表している。このメリットとしては,事業者から市に対して,秘匿事項を探る行為がなくなることと,市としても,予定価格を事前公表することで,案件に対する適正な価格を示した上での入札となっている側面もあると認識している。 一方,解体工事に係る最低制限価格については,ダンピング防止の観点などもあるが,解体工事の性質に応じて,市としては公表すべきではないものと考えいる。ただ,最低制限価格について,近隣自治体では公表しているところもあり,案件によっては最低制限価格と同額のため,くじ引で決定するといったケースも確認している。また,最低制限価格を公表するか,非公表とするかといった市の考え方については,状況を踏まえて見直す必要も出てくるかもしれないが,現状における最低制限価格に関する取扱いは,各団体それぞれの考え方によって運用して差支えないものと理解している。 ○委員    了解した。では,工事内容について,資料によると埋戻しはないということだが,これは入札前の変更ということか。そもそもの金額の変更という点で少し気になった。 埋戻しの土か何かが本来は必要だったところ,不要となったということか。 ○交通対策課   内容については,設計変更を行ったが,金額の変更が生じなかったということである。 ○委員    了解した。 ○委員  入札結果とは直接関係ないかもしれないが,解体工事は,通常の実施基準で行うと,市内の参加可能事業者として市内本店及び支店がそれぞれ1者しかないということだが,市内の事業者を育成すること等を考えると,複数者が参加できるような環境がつくれると良い。本件工事の規模感だと,参加できる事業者がそれほど少ないのかなという印象を受ける。このような工事の場合,参加者をもう少し増やせるような工夫や方法はないのか。 ○事務局     工事関係の入札については,基本的には市内事業者の育成という観点を持ちながら実施している。ただ,解体工事は,これまでの発注案件も含めて市内事業者の参加が困難な状況のようである。事務局としても,市内事業者育成や,その他の状況を色々と確認したいという観点からも,年に1度,建設工事関連団体との意見交換会を実施している。その中で意見を聞きながら,参加者を増やせるような方策等について意見交換することができればなと考えているところである。ただ,現時点において,具体的な方策を持ち合わせていない状況である。 ○委員  了解した。 ○委員   確認だが,今回の入札手続について,市内事業者については総合評定値を有していることという条件としているが,この条件からすると,調布市の市内本店,あるいは市内支店の事業者はそれぞれ1者で,2つあるということか。 ○事務局     はい。 ○委員   その2者は条件に該当しているのか。 ○事務局     この2者については,参加資格は,総合評定値上は参加可能である。ただ,官公庁実績が確認できないことが課題となっている。 ○委員   本件については,結果として市内事業者が入札に参加しなかったものの,仮に参加して落札した場合に,説明にあった,「不調を極力回避しなければならない」という内容とのバランスをどのように考えていたのか。要は,参加して落札する余地があったことから,不調回避の考え方と市内事業者育成の考え方が相反するように感じた。その点について,どのように理解すれば良いのか。 ○事務局     不調を極力避けたいという点について,市内ではなかなか難しい状況の中で,対象の範囲を多摩地域に限定するやり方もあると考えられるものの,不調も避けなければならない点も踏まえ,実績などを確認すると都内まで広げることがふさわしいのではないかといったようなところが,まず1つ挙げられる。 一方で,市内事業者については,市内本店が1者,市内支店が1者あるが,それぞれの企業規模や総合評定値など具体的に把握している。そうした中,少し説明が弱いかもしれないが,市内事業者の参加を促すようなことも含めて,総合評定値を有していることのみを条件として付したという経緯である。 ○委員   もちろん市内事業者の育成も大切であるが,一方で,事業を適正に実施することが第一にあって,公共調達として着実に進めていかなければいけないという,両方のバランスをいかに取るかという問題で,入札参加資格をどのように設定するかという話になるのだと思う。本件の条件設定について,もう一度説明してほしい。 ○事務局     本件については,市内事業者の育成の観点から,市内事業者に対しては総合評定値を有していること,完成実績は求めない。ただ,参加できる対象者を広げたことに伴って市外事業者が入ってくることを想定し,その市外事業者が適正に履行できるのかどうかという観点から,予定価格に対する実績を参加資格として求めた。また,補足として,市外事業者まで対象範囲を広げて入札手続を実施する案件はあまりない。そうした状況の中,通常の案件と比べると市外事業者に対しては実績を厳格に求める必要があるものと考えている。その趣旨を,入札参加資格の条件として設定した。 ○委員 承知した。 ○委員長 では,本工事について,入札・契約手続が適正かつ適切に行われていたと,決定してよろしいか。 (全委員了承) ウ 令2下水道長寿命化対策工事(その2)(不調・中止及び制限付き一般競争入札) 【事業・工事概要説明】 ○下水道課 本件は,平成27年度に下水道長寿命化対策として,既設の下水道管の延命を図るべく計画を策定し,令和2年度末を期限とする予定工事の中で最後の工事として,本件を起工した。工事内容は,既設下水道管の中に新しい管を造るもので,更正工法により下水道管の直径が250mmのものについては延長約31.5m,直径が700mmのものについては延長約53mの工事を施工した。また,下水道管の直径が400mmのものについては,異なる工法により延長約3.5mの工事を施工した。    【入札・契約手続説明】 ○事務局 本件は,設計金額500万円以上の下水道施設工事であることから,要綱及び実施基準に基づき,制限付き一般競争入札により一度発注したが,開札時に不調となり,同要綱等に基づいて再発注したことで契約に至った案件。 初めに,不調となった1回目の発注手続を説明する。 本件の工事を実施基準に照らすと,業種が下水道施設工事で,設計金額が3,000万円未満であることから,建設業許可区分は一般または特定の建設業許可を有していることとし,地域区分についても実施基準のとおり市内本店とした。 次に,総合評定値についても,実施基準のとおり1,000点未満とした。 公告は12月7日,申請書提出期限は12月11日で,申込みは2者からあったが,12月23日に開札したところ2者辞退により不調になった。不調に係る辞退理由は,それぞれ技術者不足と工期不足の旨を確認している。 なお,1回目の発注における工期限は令和3年3月12日であった。 そして,不調となった結果を受け,本件の再発注に向けて発注内容を検討し,予算措置などの準備が整ったため,2回目の手続を行った。対象の範囲については1回目と同様で,業種が下水道施設工事で,設計金額が3,000万円未満であることから実施基準のとおり建設業許可区分は一般または特定の建設業許可を有していることとし,地域区分及び総合評定値についても市内本店,1,000点未満とした。 公告は令和3年3月25日,申請書提出期限は3月31日で,申込みは2者からあった。4月9日に開札した結果,落札予定者の資格を審査し,提出書類にて要件を満たしていることが確認できたことから落札決定を行い,4月13日に契約を締結した。 また,再発注における主な変更点は,汚泥滞留解消に係る業務追加,交通誘導員の追加により約54万円余の金額が1回目の予定価格から増額されている。さらに,工期についても,仮に1回目で契約できた場合と比較すると,実質1か月程度延伸されている内容と認識している。   【質疑応答】 ○委員 入札時期と積算内容について,不調になった内容からすると年度内工事の案件であったと推測するが,辞退理由に技術者不足等が挙げられていたことを踏まえると,1回目の発注時期は技術者等の不足や工事も重なることが多い時期なのだと思う。そのため,当初から今回の再発注の入札時期に手続を行えば,金額の問題は生じなかったのではないか。また,誘導員等の費用を再発注時に増額した点からすると,当初の発注内容について積算が少し甘かったということか。 ○下水道課    当該現場のうち,都道121号線は,管の直径が700mmで,施工範囲が一番長く,また,現場の南側に甲州街道と呼ばれる国道20号線との交差点がある。 この場所は,三鷹通りと呼ばれているが,東京都建設局の施工により,歩道と交差点を拡張する改修工事を行っている。 市としても,下水道課工事については,年間の施工予定に関する道路調整会議を行い,それに基づいて基本的に工事を実施している。当初,該当現場については,東京都の工事に合わせた内容で発注を調整していたため,12月に手続を行ったというのが実状である。 ただ,本件が不調になったことと,該当現場で施工中の工事が若干遅れたことが重なり,発注時期を調整する必要が生じた。また,最適な時期に発注するべく,関係機関と逐次相談しながら,確実に施工できる時期を確認したうえで再発注の手続を行った。 さらに,施工時期に制約がある中で,他の場所では施工できる時期でも,該当現場である三鷹通りに係る工事の施工時期に若干の乖離があったことから,工期を少し長く確保し,再発注行った。 次に,積算に関して誘導員等の追加経費が生じた点についてだが,当初の発注時期で施工することができれば,三鷹通りと甲州街道の交差点の伏せ越しの清掃と同時に施工し,滞留をなくした状態で工事を行う想定でいた。 ただ,不調により発注時期を調整する必要が生じたことから,施工までに間隔が空いたため,現場を再確認したときに,汚泥の滞留が見受けられ,該当現場から甲州街道までの伏せ越しの開始点まで一度清掃しなければならなくなった。そのため,甲州街道に対して交通規制を大きく行う必要が生じ,結果として,誘導員を増員することになった。 その他の現場に係る積算について,誘導員の配置といった点について一切変更していない。 ○委員 了解した。 ○事務局     補足だが,市全体としては,工事が比較的下半期に集中してしまうことにより,技術者が不足してしまう傾向があるということは事実として認識している。国も含めて,施工時期の平準化を目指すような流れが業界で出来つつある。 事務局としても,国の動きと同調としながら,内容によっては,予算措置の工夫等を先んじて実施している部分もあり,年度をまたぐ債務負担行為等を活用しながら発注している。 直近では,工事担当部署と事務局と意見交換する機会を設け,できるだけ下半期の工事ではなくて年度をまたぐ工事や,年度当初に工事を発注する余地はないかなどといった内容を議論しているところであり,施工時期の平準化については今後配慮していく必要があると考えている。 ○委員    入札手続とは関係ないかもしれないが,恐らく,今後も下水道に係る長寿命化対策工事は色々なところで実施することになるかと思う。今回,入札が2回行われたが,同じ事業者が参加している。入札に参加する事業者は限られているのか。 ○下水道課    市内事業者について調査しているが,この更正工法というのは工法が複数あり,今回の入札に参加していない事業者が受注している実績も確認している。 今回は,更正工法の中でも,下水道管のマンホールとマンホールの中に管が1本あり,そこに傘袋のようなものを入れ,それを膨らませて管を造る工法の工事である。この工法は都内の事業者であればどこでも比較的受注している内容で,この工法自体の種類が多岐に渡り,一般的には専門業者が施工することが多いことから,受注者が専門業者を下請業者として見つけ,施工している。実績としても,過去に別の市内事業者が受注している案件もあるため,事業者が限られている訳でないと考えている。 ○委員    了解した。 ○事務局     市内全体では本件の業種に登録している事業者が15者あるが,入札条件を設定したことで13者が参加できるような状態であった。 ○委員    了解した。 ○委員   最後に手続的なことになるが,公営企業の場合,特に議会の手続を要さないで繰越しが簡単にできるというように理解して良いのか。 ○下水道課    今回の件に関しては,建設改良費に限って,その性質から1事業年度だけは翌年度に繰越しが行えるということが公営企業会計の法律で定められ,それに則って進めた。 ○委員   一般会計のように議会の手続等は要せず,行政の判断でできるということか。 ○下水道課    はい。 ○委員   その意味では,先ほど説明があったが,施工時期の平準化については結構柔軟に,公営企業ほうが行いやすいという面もあると感じることから,制度をうまく活用しながら,施工時期を柔軟に対応できるようになると良い。 ○事務局     承知した。 ○委員長    3件目の審査については以上で終了とする。では,本工事について,入札・契約手続が適正かつ適切に行われていたと,決定してよろしいか。 (全委員了承) エ 令和2年度仙川橋補修工事 (随意契約) 【事業・工事概要説明】 ○道路管理課   本件の対象となる仙川橋は,仙川駅の西側に位置し,京王線をまたぐ橋(以下,「跨線橋」という。)で,仙川商店街のハーモニーロードの通りにある。 契約締結日は令和3年3月29日,工期は令和3年3月30日から令和3年8月24日まで。 本件は,平成2年に竣工した橋梁の補修工事。平成29年度の橋梁点検において橋梁の健全度が早期措置段階と判定されたことから,橋面の防水工,舗装工,地覆コンクリートの補修などを実施するものである。跨線橋であるため,当初は工事全体を鉄道会社に工事を委託する予定としていたが,協議が整わず,市施工の橋面工事と鉄道会社施工の桁下工事の2つに分け,桁下工事を鉄道会社から受注した事業者に,市施工の橋面工事を発注することに至った。 工事内容は,橋面舗装工,床版防水工,伸縮装置補修工,地覆補修工などである。 業者指定理由としては,この工事現場が鉄道営業線の直上に位置していることから,施工時には橋台上部に軌道側から防護工を設置して粉じん,殻などがホームや線路に落下することのないように配慮して工事を行うことが求められる。さらに,防護工は仮設構造物であるため,定期的に軌道内に入り点検を行う必要が生じる。 また,鉄道会社が発注した桁下工事と現場が近接しているため,同一施工業者であれば,現場条件を熟知しており,鉄道会社が指定する施工会社監督者の資格を有していることから,軌道内の作業も可能になる。加えて,桁下工事では,橋台上部に防護工を設置しているため,それを共有で使用することにより防護工の設置費用も節減できる。 これらのことから,本件は地方自治法施行令第167条の6第1項第6号(以下,「施行令」という。)に該当するものと考え,随意契約を希望した。      【入札・契約手続説明】 ○事務局 本件工事は施行令に基づいて特命随意契約をした。 特命随意契約を行う場合,施行令のとおり,「競争入札に付すことが不利と認められるとき」とあることから,特命随意契約を行うには明確な理由が求められる。 主管課からも説明があったが,本件に対する業者指定理由等を検討した結果,本件における工事場所は鉄道会社が発注している工事と交錯する箇所で,当該施工中の事業者に施工させることで,工期の短縮,経費の節減に加え,工事の安全,円滑かつ適正な施工を確保する上で有利となることが認められる。 また,仮に一般競争入札を実施するとなると,工事現場が錯綜することで事業者間の調整が必要となるのはもちろんのこと,工事の性質上,定期的に鉄道の軌道内に立ち入る必要が生じる。この場合には,鉄道会社が指定する施工会社監督者の資格が必要となるが,この資格は,限られた事業者しか取得していないため,実質的な競争性が働きにくい案件である。 こうした状況を踏まえると競争入札に付すことが不利となる工事であると考えられることから,鉄道会社が発注した工事を受注した事業者と特命随意契約をする結論に至った。 手続については,3月18日に事業者に対し見積りを依頼し,3月25日に見積り合わせを行った結果,金額は4,300万円で3月29日に契約を締結した。 【質疑応答】 ○委員   本件については,工事全体を鉄道会社に委託する予定であったものが,協議が整わず,市施工部分の工事を鉄道会社が発注した工事の事業者と同じ事業者が受注したものと理解した。ただ,結果として,当初想定していた内容が結論的には実現したということか。 ○道路管理課   お見込みのとおり,同じ事業者と市施工部分についても契約できたということで,結果としては当初想定していた内容が実現できた。 ○委員 その理解を踏まえると,同じ事業者が施工することが合理的だということが前提になる。それにも関らず,鉄道会社との協議が整わなかった理由はなぜか。 ○道路管理課   跨線橋には,桁下部分に鉄道の線路やプラットフォームがある,いわゆる軌道上にある点を踏まえ,電車の運行が停止している夜間にしか工事ができないことや,架線を傷つけてはいけないという制約があるため,鉄道会社に工事を依頼する意味合いは強い。また,工事場所は,仙川駅に非常に近接した橋梁で,商店街の通りに面しているため市民等の通行が非常に多い繁華街でもある。 工事を施工するには,地元の市民を含めた商店街との協議及び調整が必要になるが,地域住民とのやり取りについて,ノウハウのある市側で施工することが適していると鉄道会社側は考えたのではないか。そのため,鉄道会社側から,軌道部分の工事は施工するが,橋面部分の工事については市側で対応できないかという相談があり,結果として,今回の発注形態になった。 ○委員   理解した。今回は,関係者との調整は,やはり市役所が適任だろうという判断が働いたことで,このような発注形態になったという整理で良いか。 ○道路管理課   はい。 ○委員   了解した。あと,経費的にも,当初想定していたものと同じ程度に収まっているのか。 ○道路管理課   もともと予算化の時点で見込んでいた額にほぼ収まっている。 ○委員    仙川橋の所有権は,どこにあるのか。 ○道路管理課   仙川橋は,いわゆる市道としての道路の認定がかかっている橋であるため,所有権は市にある。 ○委員    了解した。 ○事務局 最後の案件であるため,今回の審査対象案件全般について補足する。 まず,本件と同種の特命随意契約は,これまで実績はなかった。今回が特殊な案件であったと理解しているが,今後も出てくる可能性があるものと見込んでいる。 今後,民間との協力や,協働により,工事を発注するということも想定される。例えば,民間企業が建設するビルの中に市が施設を持つようなことや,河川と下水道の関係の中で,河川工事の施工に合わせることで効率化が図れるという案件も出てくるかもしれない。そのため,今後も,契約の適正性を確実に確認していきたいと考えている。 また,別の審査対象案件の中で,施工時期の平準化が話題となったが,委員が指摘されるとおり下水道の分野は年度をまたぐ契約を発注しやすいところであると認識している。ただ,下水道工事も,渇水期や出水期との関係など,施工時期についてはある程度の制約があるものの,公営企業会計という特殊性があることから,下水道に係る工事などは,平準化に向けた取組は実施しやすいのではという印象を事務局ではもっている。 ○委員長 それでは,4件目の審査は以上で終了させていただく。本工事について,入札・契約手続が適正かつ適切に行われていたと,決定してよろしいか。 (全委員了承) (2) 審査結果集約 【審査結果】 今回は入札不調・中止案件を含む制限付き一般競争入札方式の案件3件及び随意契約の案件1件を選定し,審査を行った。いずれの案件も法令及び要綱等に基づき入札・契約手続が適正かつ適切に行われていた。 今回の審査案件については,地域住民との意見集約や調整等がポイントとなるものが見受けられたが,誠実に対応していることが確認でき,その対応を評価したい。市の役割として重要となる地域住民に向けた丁寧な説明等を引き続き実施されたい。 また,特殊な業種については,市内事業者が参加できるような取組を検討されたい。 その他,入札手続の不調及び中止の発生を抑制する観点からも,施工時期の平準化に向けた方策等を検討していくこと。 3 閉会 次回の委員会日程 新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ,別途日程調整を行う。