令和4年度 第9回調布市文化財保護審議会会議録 (抄) 【日時】令和5年3月2日(木)午後2時~4時 【場所】調布市郷土博物館 会議室 【出席】7人 稲葉会長,石川副会長,木下委員,八木橋委員,佐藤委員,岩澤委員,生駒委員(途中から出席) 【議事】 (事務局)「令和4年度第9回調布市文化財保護審議会」を開催します。まず「調布市文化財保護条例」第45条の規定に基づき,会議の成立を確認します。委員定数7人のうち,出席委員6人,欠席委員1人で,委員の過半数が出席していますので,この会議は成立します。それでは引き続き,郷土博物館長の早野よりご挨拶申しあげます。 1 郷土博物館長挨拶 (早野館長)御審議よろしくお願いします。 2 事務局報告 (事務局)ここからは稲葉会長に議事の進行をお願いいたします。 (稲葉会長)それでは事務局報告に入ります。報告は,事務局から一括報告の後,質問・意見を受けたいと思います。 (1) 深大寺所蔵「黄檗版大般若波羅蜜多経」の市文化財指定について (事務局)今年度御審議いただいた深大寺所蔵の黄檗版大般若波羅蜜多経の市文化財指定について,2月24日に行われた教育委員会第2回定例会で議決いただきました。現在告示の手続きを進めております。 (2) 第21回多摩川流域郷土芸能フェスティバルの開催について  コロナ禍で2年間中止となっていた多摩川流域郷土芸能フェスティバルですが,2月19日,狛江市のエコルマホールで開催され,調布市からは上布田はやし連が出演しております。 (3) 連続講演会・座談会「深大寺白鳳仏の来歴を探る」の開催について  調布市教育委員会,狛江市教育委員会,深大寺の三者共催により行われ,第1回講演会を2月7日(火)午後1時45分から午後3時15分の日程で,文化会館たづくり,くすのきホールにおいて,日本高麗浪漫学会副会長,明治大学講師の荒井秀規先生に「深大寺の白鳳仏と渡来人高麗福信」について御講演いただきました。143人の方に御参加いただき,当日アンケートを実施し,81人から回答をいただきました。集計結果は資料1の裏面のとおりです。感想としては,面白かった,分かりやすい,興味深い内容だったと概ね好評でした。 (4) 市内発掘調査について  国領町7丁目の上ケ給遺跡第277地点の発掘調査を,2月6日から27日の期間で実施いたしました。前回の審議会で,道路跡としての可能性を指摘していましたが,調査の結果,硬化面が認められなかったことから道路跡ではなく,何らかの溝と考えられます。 (5) 国史跡下布田遺跡整備事業について  昨日,下布田遺跡保存活用検討委員会が開催され,令和4年度は基本設計を策定いたしました。史跡公園部分とこれに隣接する郷土博物館分室があるところにつきまして,ガイダンス施設を建設する予定でその設計を行います。  史跡公園部分については,作り物の印象を少なくし,縄文の雰囲気のある空間と一体となった遺構表示があり,樹木の多い自然環境や広場でのんびり滞在できる居心地の良い空間を目指します。  ガイダンス施設は2階建て構造となっており,1階部分は展示施設,事務スペースと倉庫になっており,展示としては下布田遺跡の特徴を理解できるような説明をしてまいります。2階部分は体験学習室と史跡公園を展望できるデッキとなっています。  来年度に実施設計,令和6年度から史跡公園の工事,令和7年度にガイダンス施設の工事,令和9年度には開園を目指し事業を進めてまいります。 (6) 都指定文化財「木造慈恵大師坐像」の修理事業及び説明板設置について  都指定文化財である深大寺の「木造慈恵大師坐像」の修理事業を,奈良国立博物館にある文化財保存修理所で行っています。12月1日に稲葉会長と木下委員に同席いただき,作業の進捗状況の確認をいたしました。修理事業は3か年計画で行う予定で,初年度に当たる今年度は主にクリーニングと台座の修理を行いました。来年度以降,像本体の修理を進めてまいります。  以上が,事務局報告です。 (稲葉会長)資料2の上ケ給遺跡ですが,穴が溝に沿う形でありますが。年代は。 (事務局)溝跡からは,遺物はほとんど出ておらず,わずかに溝の底から中世の陶器が見つかっているだけで,詳しい時期は明らかではありません。また,遺構の性格についても,現状この溝跡が何なのかは分かっていません。 (稲葉会長)下布田遺跡の整備について,展示施設は新たに作るのですか。 (事務局)今ある郷土博物館分室を令和6年度に取り壊し,令和7年度に新たにガイダンス施設を作ります。現在分室にある展示品については,下布田遺跡出土のものを中心に展示してまいります。 (稲葉会長)展示の在り方,収蔵倉庫については,現在の郷土博物館(場所が多摩川浸水想定区域にある)も含め検討が必要ではないでしょうか。 (木下委員)郷土博物館でも,調布の歴史の流れが分かるような展示の仕方をお願いしたい。 (事務局)郷土博物館については,令和6年に開館50周年を迎えますので,それに向けて常設展の内容変更を考えています。また,ガイダンス施設の管理運営については,職員が常駐する方向で検討しています。  また,下布田遺跡整備については,周辺の遺跡(狐塚古墳)を含めた一体的な整備を行ってまいります。 (稲葉会長)それでは,つぎに審議案件に移ります。 3 審議案件 (1) 市指定史跡「近藤勇生家跡」の今後の保存管理について (事務局)市指定史跡である「近藤勇生家跡」について,公有化に向け庁内で調整,検討を進めています。土地所有者との協議や庁内での手続き等がありますので,現時点ではその方向で進めているということまでしか言えませんが,具体的な話も今後進んでまいりますので,その時に適宜御報告してまいります。 (稲葉会長)いつまでに決めればいいのですか。 (事務局)土地所有者からは,今年いっぱいには解決したいと言われています。 (2) 文化財説明板の設置について (事務局)来年度の文化財説明板の設置については,候補に挙がっているのが「飛田給薬師堂境内行人塚」と布多天神社にあります「太閤の制札」「布多天神狛犬」「布多天神社本殿」の説明板です。 (稲葉会長)予算的には,何本ぐらい建てられますか。 (事務局)新設ではなく貼り替えですので,2本か3本できます。 (生駒委員)ちなみに「太閤の制札」ですが,書き下し文に「右、条々」とありますが「右条々」と「、」を取ってください。また「天正十八年四月日」についても「天正十八年四月 日」と1文字分あけます。(太閤)御朱印の宛て所は補陀郷であって,布多天神にではありません。 (八木橋委員)原資料は赤外線写真でとっておいた方がいいです。 (3) 文化財指定候補「染地遺跡第128地点出土小銅鐸」について (事務局)市文化財の指定候補である染地遺跡出土の小銅鐸ですが,その時期については,はっきりとはしないのですが,調査を行った東京都埋蔵文化財センターでは弥生時代後期から古墳時代後期のものであろう,と捉えています。都内では3例目で,全国では58例あります。 (木下委員)小銅鐸は九州から栃木県が北限です。祭祀に関する道具と考えられています。 (事務局)こちらにつきましては,来年度指定に向けて御審議いただきたいと思います。 (稲葉会長)審議案件は,以上でよろしいでしょうか。 4 その他 (1) 次回開催日について (事務局)次回,来年度の第1回開催日は,令和5年5月30日(火)午後2時30分から場所は未定です。 (2) 展示見学「郷土学習展 ちょっと昔の暮らし」について  会議後,郷土博物館第一展示室で開催中の「郷土学習展 ちょっと昔の暮らし」の展示見学を行った。 以上