通達第3号 令和5年9月28日 各部(局)長 宛 市 長 令和6年度に向けた市政経営の基本方針について(通達)  令和6年度は,前期基本計画の2年目として,計画に基づき,重点プロジェクトを基軸に各施策・事業を着実に推進しなければならない。また,令和7年度末までに調布駅前広場整備や鉄道敷地整備が完了を迎えるといった,長年にわたる中心市街地の街づくりにおける大きな節目を見据え,関連する取組を円滑に進める重要な年となることを念頭におく必要がある。  こうした中,市民生活や地域経済に大きな影響を及ぼしてきた新型コロナウイルス感染症については,今後とも事態の推移を注視しながら,万全な対応を継続することとする。他方,現在わが国が直面する諸要因に基づく物価高騰が市民生活に及ぼす影響に関しては,状況を的確に把握し,適時適切な対応を図っていかなければならない。これらのことを踏まえ,引き続き,市民の安全・安心の確保と市民生活支援を市政の第一の責務として,市民に身近な基礎自治体の役割を果たしていく。  財政運営は,堅調な市税収入に支えられ健全性を維持している。しかし,今後も社会保障関係経費の増加や,公共施設及びインフラの維持管理・更新への対応に関する大きな財政需要が見込まれる。また,ふるさと納税による減収影響の拡大や前述した物価高騰が事業遂行上の各種経費に及ぼす懸念についても留意する必要がある。  他にも,重要課題への対応として,災害対応能力の向上をはじめ,脱炭素社会の実現やデジタル化の推進のほか,多様性社会の実現などに取り組んでいかなければならない。  こうした様々な状況を踏まえつつ,それぞれの課題に適切に対応するためには,歳入確保と経費縮減の両面からの取組及び将来の財政需要を見据えた対応の必要性を常に意識することが重要である。  これらのことについて,全ての職員が共通認識を持ち,市民と共に,まちの将来像「ともに生き ともに創る 彩りのまち調布」を実現するため,令和6年度に向けた基本方針を定め,全庁一丸となって,市民福祉の一層の向上に資する市政経営に取り組むこととし,この旨通達する。 1 市政経営の基本的な考え方   「参加と協働のまちづくり」と「効果的・効率的な行財政運営」を踏まえ,多様な市民参加手法の効果的な活用による施策・事業の推進と併せ,限られた経営資源の効果的・効率的な活用による質の高い市民サービスの持続的な提供に取り組む。 (1) 参加と協働のまちづくり   ア 多様な市民活動への支援と併せ,参加と協働による共創のまちづくりを推進する。   イ 調布スマートシティ協議会の活動をはじめとする産学官民の連携により,地域課題の解決につなげる。   ウ ホームページのリニューアルを機に,市民との情報共有の充実を図る。 (2) 効果的・効率的な行財政運営   ア 「どこでも市役所」の実現に向けた取組及び事務の簡素化・効率化等の更なる推進と併行して,デジタル技術に不慣れな方への支援に取り組む。   イ 民間活力の活用や広域連携の視点も含め,簡素で効率的な組織人員体制を整備する。   ウ 働き方改革を推進し,人材育成と併せ,職員の誰もが活躍できる職場環境の整備に取り組む。   エ 中長期的に見込まれる多大な財政需要を踏まえ,引き続き,歳入確保と経費縮減の徹底による健全な財政運営を図る。   オ 総合福祉センターの設計やグリーンホールの建替え検討のほか,小・中学校等公共施設や各種インフラの整備については,経費の適正化と併せた計画的な取組の調整を図る。 2 前期基本計画の推進   基本計画に位置付けた重点プロジェクトを基軸に,施策の推進,成果向上の視点を踏まえた取組について,施策及び組織を横断した連携による対応を図る。また,様々な機会を通じて,市民生活や市内経済の状況を的確に捉え,市民ニーズに即した対応を図ることで,市民生活に安心感をもたらす施策を推進する。 (1) 重点プロジェクトの取組   ア 自助・共助の取組の推進や災害時の適切な情報伝達のほか,耐震化,浸水対策等による災害への備えに加え,擁壁やがけの安全対策に取り組む。また,特殊詐欺被害防止や犯罪抑止を図る。   イ 子どもの医療費負担軽減や保育サービスの充実などの子育て環境の充実,ヤングケアラーなど困難を抱える子ども・若者への支援,児童虐待防止等に取り組む。そのほか,コミュニティスクールや部活動の地域連携など,新たな課題への対応を図る。   ウ 新たな福祉3計画に基づき,パラハートちょうふの取組を一層充実させる観点も踏まえた施策展開を図る。その中で,関係機関等との連携による地域包括ケアシステムの深化や重層的支援体制整備,総合的ながん対策等を進める。   エ 鉄道敷地や調布駅前広場の整備完了時期を見据えながら,快適で利便性の高いまちを形成するととともに,都市計画道路及び生活道路の計画的な整備や,東部地域の連続立体交差事業に向けた取組を促進する。また,文化芸術・スポーツなどに関する貴重な地域資源を生かしたにぎわい創出や魅力発信を通じて,まちの活力をさらに高めていく。   オ 脱炭素社会の実現,自然との共生,循環型社会の形成に向けて,近年の気候変動による影響を踏まえ,地球温暖化対策の一層の充実を図る。また,自然環境の保全,公園整備の継続的な取組や,深大寺・佐須地域における都市農地と水辺環境の保全・活用のほか,ごみの減量及び資源化の取組を促進する。 (2) 施策の推進及び成果向上に向けた視点   ア デジタル技術の積極的な活用     国や東京都の方針に基づく諸対応はもとより,調布市デジタル化総合戦略に基づき,デジタル技術を積極的に活用し,市民サービス向上や業務効率化を図る。また,GovTech東京への参画を通じて,効果的・効率的なデジタル化を推進する。   イ 共創のまちづくりの推進     多様化・複雑化する市民ニーズに的確かつ迅速な対応を図るため,大学や企業等の多様な主体と連携し,適切な役割分担の下,市における課題解決に取り組む。   ウ 脱炭素社会の実現に向けた行動     市と市議会が共同で宣言した「ゼロカーボンシティ調布」の実現に向けて,多様な主体との連携・協働による「オール調布」での取組を推進する。また,公共施設の脱炭素化をはじめとする市の率先行動を全庁で展開するとともに,環境学習・教育等を通じた市民一人一人の意識啓発により,環境配慮行動につなげる。   エ フェーズフリーの視点を踏まえた取組     市民サービスや施設機能の向上等を図る取組について,地震や風水害等の場合にも役立たせる視点での創意工夫に努め,市民生活を豊かにすると同時に,非常時の安全・安心を確保する。