通達第4号 令和2年10月8日 各部(局)長 様 市 長 令和3年度の市政経営及び予算編成に向けた基本的な考え方について(通達) 調布市は,これまでの諸施策の成果を引き継ぎ,市政を取り巻く社会潮流や国・東京都等の動向を踏まえ,計画的なまちづくりを進めていくため,令和元年度から令和4年度までの4年間を計画期間とする後期基本計画を策定し,各施策・事業を推進している。その中で令和2年度は,計画に位置付けた重点プロジェクトを基軸とした取組に加え,東京2020大会の開催を契機とした多面的な取組の展開により,調布のまちの更なる発展につなげていくこととしていた。 しかしながら,令和2年に入って以降,国内外の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,市民生活や地域経済は非常に大きな影響を受け,市の施策・事業の一部においても縮小・中止を余儀なくされている。これらの状況を踏まえ,市は,「感染症拡大防止に向けた取組」,「市民生活及び子どもたちへの支援」,「地域経済への支援」の3つの緊急対応の柱により,国や東京都の緊急対策と連動した取組や市独自の対策に注力してきたが,現在においても感染症拡大の情勢は収束の見通しが立っておらず,予断を許さない状況である。 この新型コロナウイルス感染症による市政への影響は長期にわたることが想定される中で,令和3年度は,計画に位置付けた各施策・事業について,必要な財源対策とともに,優先度を踏まえた見直しや進捗調整等に取り組むことで,市政の第一の責務としての市民の安全・安心の確保と市民生活支援の取組を継続していく必要がある。併せて,調布の未来に向けたまちづくりを展望し,次期総合計画策定の取組を進める。 こうした令和3年度の市政を取り巻く状況として,現下の感染症拡大の収束時期やその影響の先行きが不透明な中で,更なる景気の悪化も懸念され,今後,歳入の根幹を成す市税及び各種交付金等の一般財源の大幅な減収など,極めて厳しい財政状況を見込まざるを得ない。個人市民税は前年の所得が課税対象となるため,令和3年度以降に本格的な減収影響が見込まれ,法人市民税は,市内法人の収益悪化等により本年度以降の減収が避けられないものと捉えている。税制改正では令和3年度以降,法人市民税の一部国税化による減収影響が通年化される。また,景気の影響により各種交付金についても減収が見込まれる中,特に地方消費税交付金について消費支出の落込みと連動した大幅な減収が懸念される。 一方の歳出では,社会保障関係経費や保育園関係経費等は引き続き増加傾向と見込んでいる。これに加え,新型コロナウイルス感染症関連の新たな財政需要が既に生じており,今後の状況により感染予防対策,PCR検査をはじめ,3つの柱による市の緊急対応の継続・拡充等も想定する必要がある。併せて,近年の気候変動に伴う風水害等への対策など,市民の安全・安心の確保に関する取組については,極めて厳しい財政状況においても,着実な推進を図る必要がある。 今後,新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響の長期化により,極めて厳しい財政環境下での市政経営が複数年にわたることが想定される。令和3年度当初予算は,大幅な財源不足の中での編成となり,基本計画事業を含む各種事業の見直し,進捗調整等が避けられない。 こうした状況について,職員全員が共通認識を持ち,不安を抱える市民に寄り添いながら,この未曾有の難局を乗り越えていく必要がある。 令和3年度における市政経営及び予算編成に向けては,各部のマネジメント機能をより一層発揮し,既成概念にとらわれない発想と創意工夫の下,減収影響に応じた財源対策と経費縮減といった歳入歳出の両面からの厳しい精査と必要な見直しを図らなければならない。これらの取組により,市政の第一の責務である市民の安全・安心を守り,市民生活を支える取組を継続するとともに,全庁一丸となって困難を乗り越え,未来につなぐまちづくりに向け真に必要な取組を進める決意であり,この旨通達する。 記 1 基本計画事業の時点修正と令和3年度予算編成等に向けて (1) 基本計画事業の時点修正について 基本計画事業については,令和3年度予算を編成する過程において,基本構想に基づく現行計画の枠組を継承しつつ,複数年次を見据えた事業の進捗調整や事業費の縮減等を図り,必要な時点修正に取り組むこと。 (2) 令和3年度予算編成に向けて 令和3年度の予算編成は,一般財源の大幅な減収が生じることを前提として,各種基金や市債の活用を含むあらゆる角度からの財源確保と併せて,市民の安全・安心の確保や市民生活支援の観点から緊急性が高い事業,法令に基づく事業以外の経費は,全て縮減を図ること。 (3) 次期総合計画策定に向けて 新型コロナウイルスの感染拡大による社会の変化や未来に向けたまちづくりを展望し,次期総合計画策定に向けた取組を進める。また,その過程では,感染症予防対策に留意し創意工夫を行いながら,市民や関係団体はもとより,大学や企業,NPO法人等,多様な主体と連携・協働した取組を進めること。 2 令和3年度の市政経営に向けた諸課題への対応 (1) 感染症拡大防止と社会・経済活動の両立に向けた取組 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う様々な影響について的確な把握に努めながら,市民一人一人の命と健康,安全を守るための対策と社会・経済活動の再活性化を両立させるべく,国や東京都はもとより,医師会,商工会をはじめ,各種公共サービスを支える団体・事業者等,多様な主体との連携・協力を図りながら,適時・適切な対応を図ること。 特に調布市医師会の多大な協力の下,取り組んできた感染拡大防止対策及び地域医療体制整備については,引き続き,状況の変化を踏まえ最善をつくすこと。 (2) 市民の安全・安心,市民生活等に関する諸課題への対応 これまでの地震や大規模災害への対策に加えて,近年の気候変動に伴う風水害等への対策に関しても,令和2年度に修正・策定する地域防災計画や国土強靭化地域計画等を踏まえ,不断の改善・強化に取り組むこと。 児童虐待防止や生活困窮者支援など,子ども・福祉分野における諸課題への対応のほか,公共施設・インフラの老朽化対策や児童・生徒の学習環境の整備,ソフト・ハード両面でのまちづくりへの対応などの諸課題については,法令上の位置付けや緊急性等の優先度を踏まえ,必要に応じた対応を図ること。 (3) 東京2020大会への対応 開催延期となった東京2020大会については,組織委員会及び東京都の方針や新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ,大会の簡素化への対策など必要な対応を図ること。 (4) 行政のデジタル化,働き方改革への対応 市民サービス向上や行政の効率化,働き方改革のより一層の推進に向けて,感染症拡大に伴い明らかとなった諸課題に対する国や東京都の動向を踏まえながら取り組む必要がある。そのため,費用対効果に留意しつつ,AIやRPA,ウェブ会議や在宅勤務型テレワークシステムなど,デジタル技術の積極的な導入・活用に向けて,必要な取組を進めること。 (5) 組織及び職員体制の整備と人材の確保・育成 以上の市政経営に関する諸課題を踏まえた中で,組織及び職員体制の見直し・強化と,専門性を有する人材の確保・育成を図ること。