通達第3号 令和3年10月8日 各部(局)長 様 市長 令和4年度の市政経営及び予算編成に向けた基本的な考え方について(通達)  市は,これまでのまちづくりの成果を基盤として,更に魅力あふれる豊かなまちの実現を目指し,令和元年度からの調布市基本計画に位置付けた重点プロジェクトを基軸に,関連する施策を有機的に連動させ,ソフト・ハード一体となった取組を推進してきた。  また,昨年来の新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」という。)への対応として,「感染症拡大防止に向けた取組」,「市民生活及び子どもたちへの支援」,「地域経済への支援」の3つの柱により,国や東京都の対策と連動した取組のほか,調布市医師会や調布市商工会をはじめとする多様な主体との連携・協力の下,市独自の取組を含む様々な対策を機動的に実施しているところである。  こうした中,感染症収束の見通しは,なお不透明な状況にあることから,令和4年度は,コロナ禍に伴う影響や社会経済状況の変化を踏まえつつ,現行総合計画の最終年次として,計画に位置付けた施策・事業の推進を図るとともに,引き続き,市民に寄り添い,市民生活に安心感をもたらすことができるよう,感染症対策を継続していく。あわせて,多様な市民参加と協働の取組に加え,デジタル技術の活用や産学官民の連携による新たな取組を積極的に実践しながら,2030年代を視野に入れつつ,令和12(2030)年度を最終年次とする次期総合計画を策定する。  このような令和4年度の市政を取り巻く状況として,市財政については,感染症の長期化による市税や各種交付金の主要な一般財源への影響が不透明な中で,厳しい状況が継続することが見込まれる。  歳入の根幹をなす市税のうち,個人市民税については,令和3年度は当初予算額を上回る見通しであるものの,令和4年度は現在の社会経済状況を踏まえると減収となることも懸念される。また,景気に連動する各種交付金は,財政フレームを大幅に下回ることが見込まれる。そのため,令和4年度の一般財源の総額は,臨時的な財源対策を極力回避する中で,令和3年度当初予算と同水準となる厳しい状況を想定せざるを得ない。  一方の歳出について,社会保障関係経費や公共施設の維持保全に係る経費は,引き続き,増加していくことを見込んでいる。加えて,新型コロナウイルスの感染状況や市民生活・市内経済の実情に応じた対策を継続的に実施するほか,地震対策や近年の気候変動に伴う大型台風,頻発・激甚化する風水害等への対策など市民の生命・財産を守るための取組を一層強化する必要がある。さらに,(仮称)公共施設マネジメント計画に基づく取組や都市基盤整備,行政のデジタル化への対応など,市政における重要課題に対応していかなければならない。  このようなことから,令和4年度は,歳入確保と経費縮減に取り組むほか,次期総合計画期間における諸課題への対応を見据えつつ,実施事業の調整や財政基盤の強化にも継続的に取り組む必要がある。  その中で,感染症や社会経済の状況に応じて,適時に必要な対策を講じながら,現行総合計画に位置付けた各種取組の最終調整を図り,ハード・ソフト両面での取組成果の継承と2030年度に向けた更なる施策の充実に取り組んでいかなければならない。  あわせて,ラグビーワールドカップ2019及び東京2020大会を契機としてもたらされたまちづくりの多面的な効果を有形・無形のレガシーとして継承していく必要がある。とりわけ障害者スポーツの振興や様々な障害への理解促進など,「パラハートちょうふ」に関連した取組を共生社会の実現につなげていくことが重要である。  これらについて,全職員が共通認識を持ち,令和4年度は,市民とともに夢のある未来を創造・共有する次期総合計画の策定と併行しながら,現行総合計画の最終年次として,引き続き,市政の第一の責務である市民の安全 ・安心の確保,市民生活支援のほか,コロナ後を見据えつつ市政の重要課題への対応に全庁一丸となって取り組んでいく決意であり,この旨通達する。 記 1 令和4年度予算編成と次期総合計画策定に向けて (1) 令和4年度予算編成と基本計画事業の総合調整   ア 予算編成過程において,コロナ禍の影響による社会経済状況の変化と厳しい財政状況を踏まえた基本計画事業の最終調整に取り組むこと。あわせて,現行計画期間における成果指標等の定量的評価と定性的評価の両面を勘案しつつ,次期総合計画に引き継ぐべき取組について総合調整を図ること。   イ 主要な一般財源の状況が不透明な中,市民の安全・安心の確保,市民生活支援や市政の重要課題への対応に継続的に取り組むため,事業費の精査・縮減と併せ,新たな財源を含むあらゆる角度からの歳入確保を図ること。   ウ 次期総合計画期間における様々な財政需要を見据え,中長期的視点での財政負担の縮減・平準化に留意しながら,事業の優先度や内容の確認・精査等に取り組むこと。 (2) 未来につなぐまちづくりに向けた次期総合計画の策定   ア 調布のまちの新たな将来ビジョンとその実現に向けた施策・事業を示す次期総合計画を策定すること。   イ 計画の策定に当たっては,多様な主体との連携(各種協定に基づく連携,調布スマートシティ協議会※1における取組の実践,シビックテック※2の活用など)や広域連携の視点に留意すること。   ウ 次期総合計画において,市におけるまち・ひと・しごと創生総合戦略の体系を一体的に示すとともに,各施策においてSDGsの目標達成に寄与する視点を位置付けること。   エ ラグビーワールドカップ2019及び東京2020大会の開催に連動して実施した様々な取組の成果を有形・無形のレガシーとして,調布のまちの更なる発展と魅力向上につなげていくこと。   オ 次期総合計画に位置付ける施策・事業の推進や,緊急時・非常時に対応できる組織及び職員体制の強化に取り組むこと。 2 市政の重要課題への取組 (1) 感染症対策とコロナ後への対応   ア 変異株による感染の拡大や,これに起因した医療提供体制のひっ迫が見られるなど,未だ収束が見通せない状況であることから,長期化している市民生活や市内経済への影響を踏まえ,引き続き,調布市医師会をはじめ関係機関と緊密に連携を図りながら,市の実情に即した実効的な対策を的確に実施すること。   イ 調布市商工会をはじめ多様な主体との一層の連携を図る中で,コロナ後におけるまちの再活性化に向け,市内事業者の実態把握に努めながら,商店街活性化や消費喚起,事業者支援などの対応を図ること。 (2) 基本計画の重点プロジェクトに関連する諸課題への対応   ア 防災・減災への不断の取組    (ア) 震災や近年の気候変動の影響に伴い頻発・激甚化する風水害,土砂災害などの自然災害に対して,自助・共助の促進やフェーズフリーの観点も含めた防災・減災対策の不断の改善,強化を図ること。あわせて,令和元年台風第19号の浸水被害を踏まえた対策をはじめ,多様な主体との連携強化など,ハード・ソフト両面からの取組を推進すること。    (イ) 感染症を踏まえた避難所運営における対策の推進,必要な資機材の確保・充実,デジタル技術を活用した避難所情報の収集・提供を図ること。    (ウ) 災害対応における広域的な連携,国土強靭化地域計画に基づく取組を推進すること。   イ 子ども・福祉分野における諸課題への対応    (ア) 困難を抱える子ども・若者及びその家族への支援,ケアラー支援,出産・子育て期にわたる切れ目ない支援,児童虐待防止などの課題に継続的に取り組むこと。    (イ) ICT教育の推進や学習環境改善の取組,個に応じた支援・指導(特別支援教育の推進,不登校対策など)への対応を図ること。    (ウ) 地域共生社会の実現に向け,高齢者の介護予防やフレイル予防への継続的な取組のほか,包括的な相談・支援体制の充実や新たな交流・活動の場の整備に取り組むこと。   ウ 次期都市計画マスタープランの策定と都市基盤整備の取組    (ア) 次期都市計画マスタープランの策定に当たっては,次期総合計画の策定と連動した検討と併せ,多様な市民参加を実践すること。    (イ) 総仕上げの時期を迎えている調布駅前広場整備,鉄道敷地整備などの中心市街地のまちづくりの着実な推進を図ること。    (ウ) 道路網計画に基づく取組(都市計画道路・生活道路の整備)の推進を図ること。    (エ) 東部地域における交通環境の改善に向け,沿線まちづくりの機運を高めながら,国や東京都,鉄道事業者等との調整を図りつつ,連続立体交差事業を視野に入れた取組の検討・推進を図ること。   エ 環境基本計画に基づく取組    (ア) ゼロカーボンシティの実現に向けた地球温暖化対策実行計画(区域施策編)に基づく取組の推進を図ること。    (イ) 市の貴重な自然環境や都市農地の保全・活用に取り組むこと。 (3) 公共施設・インフラマネジメントの取組   ア 現在策定中の(仮称)公共施設マネジメント計画に基づく取組として,調布駅周辺大型公共施設(総合福祉センター・グリーンホール)の整備,学校施設整備方針を踏まえた学校施設の老朽化対策・不足教室対策(35人学級制への対応を含む。),公有地を活用した公共施設マネジメントの推進を図ること。   イ まちづくりと連動した周辺公共施設の集約・複合化を図るとともに,計画的な維持保全を推進すること。   ウ 道路,橋りょう,公園,下水道施設における老朽化対応など,インフラの総合的かつ計画的な管理に向けた取組を推進すること。 (4) (仮称)デジタル化戦略に基づく行政のデジタル化の推進    行政のデジタル化による市民の利便性向上(諸手続や相談対応のオンライン化,キャッシュレスの更なる導入など)やデジタルディバイド※3対策に計画的に取り組むこと。あわせて,デジタル人材の確保・育成やデジタル技術を活用した業務の効率化・働き方改革(情報システムの標準化・共通化,テレワークなど)を推進すること。 ※1 調布スマートシティ協議会:産学官民の連携の下,デジタル技術等を活用し,市が抱える社会的課題の解決を図ることを目的として,アフラック生命保険株式会社,国立大学法人電気通信大学,特定非営利活動法人調布市地域情報化コンソーシアムとの4者共同で設立した団体 ※2 シビックテック:市民自らがICTを活用して社会的な課題を解決しようとする活動 ※3 デジタルディバイド:インターネットやパソコン等の情報通信技術や機器を利用できる人と利用できない人との間に生じる格差