通達第2号  令和4年10月7日      各部(局)長 様      市 長     令和5年度の市政経営及び予算編成に向けた基本的な考え方について(通達)      市は,これまで5次にわたる総合計画により,計画行政を進めており,これまでの取組を通じて得られたまちづくりの成果を今後の市政に引き継ぐとともに,2030年代の中長期的な将来を見据え,それらを更に発展させていくことを目指し,令和5年度を初年度とする第6次総合計画をスタートさせる。  この総合計画の前期の基本計画期間は,調布駅前広場や鉄道敷地の整備など,長い年月をかけて着実に進めてきた,京王線の地下化を契機とする南北一体のまちづくりが最終段階となるなど,調布のまちの骨格づくりが大きな節目を迎える時期となる。その他,社会保障関係経費や公共施設マネジメントに関する経費などの財政需要が見込まれることから,今後も市財政を取り巻く様々な状況に留意しながら,健全な財政運営を維持していくための対応を図ることとする。  また,一昨年来の新型コロナウイルス感染症の影響が続く中,今後の社会経済状況や景気動向は不透明であり,令和5年度は,引き続き,市民生活への影響が懸念される。そのため,感染症対応の3つの柱に基づくコロナ禍への対応の継続をはじめ,市政の第一の責務である,市民の安全・安心の確保と市民生活支援に継続的に取り組み,様々な困難を抱えている方に対して,必要な支援が行き届く,人にやさしいまちを目指していくことが重要である。併せて,地域共生社会の充実に向けた取組,ゼロカーボンシティの実現に向けた脱炭素・循環型社会の形成,更には,市民サービスや行政内部におけるデジタル化と併せ,地域社会のデジタル化の視点を踏まえた取組の推進を図ることが重要となる。  こうした市政を取り巻く状況を踏まえつつ,第6次総合計画においては,「共生の充実」を重要な視点の一つとして掲げ,年齢や性別,国籍,障害の有無などによって分け隔てられることのないまちを目指していく。  また,多様化・複雑化する行政課題の解決を図るに当たり,産学官民による連携の下,企業や大学等が有する技術やノウハウをより一層生かす中で,調布スマートシティ協議会の活動等を通して,市民ニーズを捉えた取組の実践を重ねていく。  こうしたことに留意しながら,次期基本計画に位置付ける各施策・事業の着実な推進及び施策横断的な取組への適切な対応を図ることで,市民福祉の向上につなげるため,全ての職員がこれらのことについて共通認識を持ち,市民と共に夢のある調布の未来を創造する次期総合計画の推進に向けて,全庁一丸となって取り組んでいく決意であり,この旨通達する。 記 1 令和5年度予算編成と次期総合計画の推進に向けて (1) 次期基本計画策定と連動した令和5年度予算編成    次期基本計画の策定と併行して取り組む令和5年度当初予算編成については,次期総合計画の計画期間全体にわたる財政見通しを踏まえつつ,想定される様々な財政需要に対応するため,中長期的視点での財政負担の縮減や平準化に加え,基本計画事業の優先度や規模等の厳しい精査に取り組むこと。 (2) 共生の充実(東京2020大会のレガシーの継承・発展)   ア 次期基本計画に位置付ける諸施策の推進に当たっては,今後のまちづくりにおける基本理念として,共生の充実を強く意識すること。   イ 東京2020大会のレガシーとして,とりわけパラリンピック開催を契機に展開した「パラハートちょうふ」の取組を継承し,年齢や性別,国籍,障害の有無などによって分け隔てられることのない,人にやさしいまちを目指して,各種取組を更に発展させていくこと。 (3) 重点プロジェクトの視点   ア 防災・減災,防犯,感染症対策に関する取組     これまでの経験と教訓を生かしながら,災害時における自助・共助の促進や避難所運営のほか,犯罪抑止対策,感染症対策などに取り組むこと。また,防災・減災に関しては,フェーズフリーの視点を踏まえた対応を図ること。   イ 子育て支援,子ども・若者支援,教育に関する取組     切れ目ない支援や困難を抱える子ども・若者への支援のほか,ICT教育・特別支援教育などの継続的な課題に加え,子どもの医療に関する更なる負担軽減やヤングケアラー支援,コミュニティスクールなど,新たな課題への対応を図ること。   ウ 福祉,健康づくりに関する取組     福祉施策相互の連携を一層深めつつ,地域包括ケアシステムの構築や重層的支援体制整備を進める。また,フレイル予防,包括的ながん対策,健康増進施策などは,多様な主体との連携による取組を推進すること。   エ 市街地整備,道路,交通環境,産業振興に関する取組     継続的な都市基盤整備の推進に加え,東部地域における連続立体交差事業を視野に入れた交通環境の改善に向けた取組を進めること。また,コロナ禍の影響を受けた市内事業者に対する支援を継続し,地域経済対策会議などを活用しながら,実態把握に基づく的確な対応につなげること。   オ 脱炭素,循環型社会,環境保全,公園整備等の取組     調布市ゼロカーボンシティ宣言を踏まえた地球温暖化対策など,脱炭素や循環型社会の形成に向けて,多角的な視点から横断的連携により取組を推進すること。併せて,自然環境の保全のほか,ごみの排出抑制等に取り組むこと。 (4) 横断的連携による施策の推進及び成果向上に向けた視点    重点プロジェクトの視点による取組をはじめ,施策全体をより効果的に推進していくため,施策を横断する連携テーマについては,組織横断的な連携により取組を推進すること。    また,次期基本計画に位置付ける施策の推進及び成果の向上に加えて,他の施策への波及効果を期待する観点から,各施策に関する他自治体の先進的な取組等を踏まえ,デジタル技術の活用や,共創,脱炭素,フェーズフリーなどの視点からの取組を推進すること。 2 市政経営の2つの基本的な考え方   「参加と協働のまちづくり」と「効果的・効率的な行財政運営の推進」を市政経営の2つの基本的な考え方に据え,限られた経営資源を最大限活用し,質の高い市民サービスを将来にわたり持続的に提供していくため,最少の経費で最大の効果を目指して不断の行政改革を推進すること。 (1) 参加と協働のまちづくり   ア 共創のまちづくり     多様な主体の参加と協働によるまちづくりを推進すること。また,社会課題の解決や地域社会のデジタル化に向けて,近隣自治体等との連携のほか,産学官民の連携・協働によるデジタル技術を活用した取組を推進すること。     その他,コロナ禍による社会状況の変化を捉えた参加手法の見直しや創意工夫に取り組むこと。   イ 情報の発信・共有化     参加と協働の前提となる市民との情報共有に向けて,市政情報を積極的に発信するとともに,デジタル機器に不慣れな高齢者や障害者等に対する丁寧かつきめ細かな情報提供に努めること。併せて,公文書管理や個人情報保護制度の適正な運用を図ること。 (2) 効果的・効率的な行財政運営の推進   ア 行政におけるデジタル化の推進     「どこでも市役所」を目指し,行政サービスや内部事務におけるデジタル技術の活用を加速させ,市民の利便性向上及び事務の効率化を進めること。併せて,専門人材の確保・育成を図ること。   イ 組織体制の整備     新たな行政課題や組織の枠組みを超えた対応が必要となる課題に対して,機動的な対処が可能となる簡素で効率的な組織体制を整備すること。   ウ 働き方改革の推進     働き方改革による生産性の向上とともに仕事と生活の調和を図り,女性の活躍推進をはじめ,全ての職員がそれぞれの能力を十分に発揮できる職場環境づくりを進めること。   エ 公共施設及びインフラマネジメントの推進     老朽化対策等に適切に対応し,公共施設やインフラを長期的に安全に安心して利用できるよう,民間活力の活用も含めて,市民サービスの向上とコストの最適化を図りつつ,計画的な維持保全・更新を実施すること。   オ 健全な財政運営と行政改革の推進     次期基本計画の策定・推進に当たっては,将来世代に過大な負担をかけることのないよう,健全な財政運営を維持するとともに,中長期的な財政見通しの下,財政基盤の強化を図ること。併行して,社会状況の変化等に柔軟に対応しながら,不断の行政改革に取り組むこと。