令和5年度 第5回調布市高齢者福祉推進協議会 議事要旨          令和5年10月5日(木)午後6時30分から          オンライン 1 開会 2 報告事項 3 議題 (1) 認知症施策の充実について (2) 医療と介護の連携強化について (3) 情報提供と相談体制の充実について 4 事務連絡 5 閉会 1 開会 2 報告事項 3 議 題 (1) 認知症施策の充実について ○事務局 資料5-1を用いて説明します。 社会的背景からです。令和元年6月に施行された認知症施策推進大綱では,認知症の発症を遅らせ,認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し,認知症の人や家族の視点を重視しながら,共生と予防を車の両輪として施策を推進していくことを基本的な考え方としています。認知症は誰もがなり得るものであり,身近なものとなっています。そのコンセプトの下,認知症の理解促進や認知症の予防,社会参加の支援などの具体的な施策について,認知症の人やその家族の意見を踏まえて推進していくことが求められています。 大綱で示された共生と予防を中心に,現在の第8期計画では認知症の人の意思が尊重され,できる限り住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられる社会の実現に向けた取り組みを推進してきました。その具体的な取り組みを報告します。 まず,認知症当事者の社会参加を応援するチームオレンジの設置,また通いの場の充実についてです。1つ目が注文を間違えるカフェ「オレンジデイSENGAWA」です。若年性認知症の人を含めた2人がウエイターとなり,月1回既存の店が休みのときにカフェを開けています。注文票をシンプルにして簡単に注文が取れたり,テーブルに目印を置いたりする工夫をしながらカフェを提供しています。参加する当事者は活動を楽しみに元気になってきていると支援者は感じています。この取り組みは運営スタッフの「やりたい」という思いを社会福祉協議会,調布ゆうあい福祉公社,地域包括支援センターが拾い,カフェオーナーの協力を得ながら広めてきた結果です。 次に,地域包括支援センターが仕掛け,当事者や家族を巻き込んできた活動の報告です。包括が神代団地で開催している出張相談窓口があります。そこのフリースペースに来る人に,認知症サポート月間のイベントで行う当事者作品展の展示物の1つとして,大量の折り鶴を作ってもらいました。このフリースペースには,令和4年から活動を開始している「オレンジの木」に参加する当事者とその家族も来て,会としても作品を提供してくれました。「オレンジの木」は当事者と家族のミーティングを中心に月1回開催していますが,今回のボランティア活動をきっかけに当事者から「これがしたい」と声が上がり,次は認知症サポーターと一緒に「考える」を設け,新しい取り組みに発展しようとしています。 当事者の活動を応援するためのメンバーを育成する,認知症サポーターステップアップ講座も工夫しています。チームオレンジの概要や当事者インタビューの動画を視聴し実態を知ってもらったところで,支援可能なサポートについて地域ごとにグループワークをしました。併せて,認知症サポート月間のボランティア募集,チームオレンジの活動募集を実施し,少しずつ協力者も増えています。 次に早期発見,早期フォローを目的とした認知症検診の実施についてです。昨年度から開始したもの忘れ予防検診では,74歳への個別通知と65歳から79歳の希望者を対象に185人が受診しました。「認知症の疑いがある」との結果が出た人には,包括が電話などで,その後の受診の確認や社会交流を促すためにイベントのお知らせを実施しています。本年度は74歳,76歳に対象を広げ,よりポイントが絞られた形でフォローを行う予定です。 報告しているこれらの取り組みは,地域包括支援センターに配置されている認知症地域支援推進員が中心となって実施しています。認知症疾患医療センターである青木病院と連携し,今年度も認知症サポート月間を実施してきました。この月間は,厚生労働省が定める9月の認知症の啓発月間と連動しています。調布市では,「認知症を知ろう・聞こう・語ろう」をテーマに,認知症サポーターや認知症疾患医療センター,訪問看護や訪問リハビリ,福祉用具事業者など関係機関,民間団体の協力を受けて実施しました。 次に課題です。令和5年6月に公布された「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」では,認知症の人を含めた一人一人が個性と能力を十分発揮し,相互に人格と個性の尊重,共生する社会の実現を推進することが明記されています。当事者にとって障壁(バリアー)となるものを除去することで,社会の中で対等な構成員として,安全・安心して自立した日常生活を営むことができること,また,本人の意見を表明する機会および活動に参加する機会の確保を通じて,その人の個性と能力を十分に発揮できることなどが基本理念と定められ,政策の策定・実施が国や自治体の責務と規定されています。 この社会の流れがある一方,前回の会議でも数回話題に上がっているとおり,調布市の傾向として認知症に関する相談窓口である地域包括支援センターの認知度が低く,相談体制やサービスの充実が求められているというニーズ調査の結果があり,周知すべきところがまだ多い状態です。 認知症連携会議とは,認知症支援に関わる病院,介護サービス支援施設,ケアマネジャーなど支援者たちの代表が集い,情報共有や課題検討を行っている会議体です。この会議体で,認知症の進行の度合いを3つに分けた形で課題を整理しています。認知症に気付いたときから受診まで,次に受診後からサービスの利用に至る前まで,そして介護保険サービスを利用した段階に分けた形です。それぞれの段階で見えてきた課題や取り組み案などを整理しました。 広報や情報発信の課題として,認知症の知識や情報が当事者や家族に不足しており,特に早期受診・治療の大切さや生活習慣の改善・対策の必要性,効果などについて,十分な理解が不足しているのではないかとの意見がありました。また,認知症ガイドブックの周知が不足しているため,「相談先がない」「分からない」と感じている人が多いこと,特に就労している世代への情報発信が大事との意見がありました。 居場所やつながる場所の確保として,当事者が今まで行っていたサークルや通いの場に参加し続けることや,地域とのつながり,役割を持てる活動,思いや生活の工夫が語られる場の充実が必要であるとの意見がありました。 最後に,介護サービスの充実,多様性として,当事者の揺れる気持ちや家族の苦しい胸の内に寄り添う伴走型支援が大事であることや,介護サービスの未利用により,支援が途切れがちになってしまうため,切れない関係の構築やニーズに合った柔軟なサービスも必要と考えられました。 「第9期計画での取組検討(案)」です。基本的に今まで行ってきたことを着実に進めるとともに,共生社会の実現に向けた取り組みを進めます。 まず,多くの人を対象にした認知症の正しい知識の普及啓発の取り組みです。正しい知識を伝える機会として,認知症サポーター養成講座の実施を拡大しています。認知症基本法には,子ども世代の学校教育の推進について言及されています。市内の小中学校への講座を拡大していきます。また,認知症サポーターを対象に認知症についてより理解を深め,当事者とともに活動してもらえる人材を育成するために,認知症サポーターステップアップ講座の充実に努めます。 早期の支援・相談の体制づくりについては,今行っているもの忘れ予防検診の受診からフォローまでを整理し,検証していきます。また,医師会とも連携し,受診から地域包括支援センターに相談する体制づくりと周知,介護保険サービスを必要としない早期の方向けのカフェや相談窓口などの環境整備,生活・運動習慣の改善についての情報提供,認知症ケアパスに沿った医療・介護による支援の充実に取り組みます。また,認知症に関する相談窓口の認知度が低いため,認知症ガイドブックを周知していきます。 最後に,認知症の診断を受けても以前と変わらぬ生活が送れるよう,認知症当事者の意見・意思に基づくまちづくりの推進に取り組んでいきます。認知症カフェ,だれでもカフェなど,当事者が社会とつながり続ける場の充実・実施を行います。そのため,認知症当事者の声や希望を反映した活動を意識し,参加しようと思える取り組み,仕掛けづくりが大切です。また,認知症の特性を踏まえた介護保険サービス,例えば,認知症対応型グループホームや小規模多機能型居宅介護などの整備や研修等を通じて,質の向上を目指します。 地域で支える仕組みづくりとして,チームオレンジの育成を行い,今後も展開していきたいと思います。地域で支える認知症に優しいまちづくりを具体的にイメージ・実施する取り組みとして,声掛け訓練を行っています。場面を想定しながら,声掛けとその後にどう対応していったら良いかを学ぶことが,認知症にやさしいまちづくりへつながっていくと考えています。そして,私たちの生活に欠かせないスーパーマーケット,金融機関,交通機関などに向け,その場面での対応方法など,認知症の理解促進と併せて伝えていきます。 認知症ケアプログラムは現在,認知症対応型デイサービスの現場で導入し,検証しています。導入箇所を拡大し,効果・活用の検証を継続します。また,IT化の進展が目覚ましい昨今,現在導入している徘徊高齢者探知システムに類似する商品が多く出てきています。このような機器・システムを使うことで,ケアラーの支援により有効かどうかを検証していきます。 これら認知症施策について9期計画以降,認知症当事者,家族,医療・介護の視点に基づく計画の策定となるよう取り組み方を検討し,推進していきたいと考えています。 ○顧問 ただ今の説明に対して意見,質問があれば挙手をお願いします。 ○委員 市は認知症検診を実施していますが,認知症の疑いがあっても,検診の場に行くということは難しいと思います。例えば,高齢者がよく通っている内科医で,認知症の疑いがあるかどうか簡単なテストをしてもらうということは難しいでしょうか。 ○委員 普段かかっている医師のところでの検診が難しいかどうかということですか。それとも,少しおかしいと思ったときに検診をしてもらえないかとの両方でしょうか。 ○委員 認知症の予防外来などに通う勇気,あるいは通いたいと思うきっかけがないと思います。例えば,かかりつけ医が疑問に感じたときや,かなり高齢になった場合にテストを勧められることができないかという単純な質問です。 ○委員 かかりつけ医での単純なテストは,できる医師が少ないと思います。 1つは,認知症の人の評価として,長谷川式やMMSEなど,幾つかの質問に答えられるかどうかで点数を付けるものと,MRIなどの画像診断になります。しかし,MMSEを行うだけで30分程度かかるため,午前中に何十人もの外来患者が訪れる中で,30分をつくるという意思決定は,一般の診療をされている医師の方には難しいかもしれません。意思を持って診療している専門医やジェネラリストの中で,認知症を診ていこうと決意している医師のところではできるかもしれません。また,テストは看護師や事務などのスタッフなどが訓練をすればできることでもあります。待ち時間にテストをして点数を評価し,次はどうするか判断する医師もいます。 ただ,多くの医師はそこに踏み込むのは難しいと思います。医師会では,認知症検診を始めようという議論で,診断後にMMSEテスト程度はスタッフを教育すればできると,専門の医師から一般医師への投げかけがありました。コロナ後のインフルエンザなど,発熱外来などの対応に忙殺され,医師にとってハードルは高いと思います。 疑問に思ったときに気付ける医師と,そうでない医師はまだまだいます。気付ける医師は,診診連携,病診連携といって専門の開業医や標榜している大きな病院に紹介し,自分ができないことは他の病院に依頼する連携をしています。 認知症の人は,親しい家族や医師の前では意外とそういう姿を見せないので,見つけ出すことは難しいです。家族から初めて聞いて,「そうだったのですか」ということも多いです。どちらかというとケアマネジャーやホームヘルパーなど,素の姿を見せやすい人が気付くことが多く,主治医の知らないところで,その人を通して専門の医療機関にかかっていることも多くあります。 認知症の予防医療はあまりありません。自覚症状はないが,測定したら高血圧が分かったケースと同じように,認知症検診も普通の検診と同じく実施して引っ掛けるのが目的です。認知症検診を実施している調布市内の医療機関は,内科・外科でジェネラルで診ているところの半分か3分の1くらいと聞いています。 ○委員 認知症の正しい知識の普及啓発について,誰もが認知症にかかる可能性があるという認識がまだ不足しており,また,恐れが大きいように思えます。認知症サポーター養成講座のサポーターという名称がやや重く,課題を与えられたり,支援まで認識して近づきがたい気がします。認知症を受け入れることについては,医師も本人にストレートに言いづらく,本人もなかなかのことだと思います。認知機能が落ちているとの自覚はあっても,認知症の医療機関に行くまではなく,もう少し大丈夫と思ってしまいます。高齢化によって,人間の体に起きることを順番に受け入れていくような配慮が必要ではないかと思います ○顧問 認知症の理解を広げるというテーマでした。委員の趣旨は,認知症についての恐れや誤解がある一方で,みんなもかかる危険性があることの認識や,対応などでの理解を進めること。もう1つは,サポーターという肩書きがある意味でハードルが高いのではないかということですね。 ○委員 講座の名称についてです。「認知症を勉強しよう」というと行きやすいのですが,サポーターとなると「サポートしなければならない」と,課題を1つ背負う感じがしています。 ○顧問 サポーターの議論はどのようにお考えになりますか。 ○事務局 認知症を学び,正しい知識を得るための発信の機会は,幾つも考えていかなければいけないと思います。高齢になると,認知症やフレイル予防という切り口では入りやすかったりします。逆に,若い人たちは自分ごとではないので,手伝いをするのに何が必要なのかというところで,「サポーター」の切り口で発信していけばいいと思っています。 「課題を背負わせられる感じがする」とのお話ですが,ボランティアで期待されるプレッシャーは,指摘を受けてうなずくところがあります。ただ,本当に少しのことであっても,互いが支え合ってもらえることを期待し,簡単なことでも支えてもらいたいという気持ちを含めてのサポーターと考えていたものですから,切り口は変えても,伝えることは変わらないと考えています。 ○顧問 1つの答えだと思います。声かけや発見などサポーターが行うことと,決してハードルは高いものではないことを明らかにすることが必要です。もう1つは,サポートをバックアップし,ともに学ぶ仕組みがあることが分かれば,委員が指摘したハードルは少し下がるのではないかと思います。いかがですか。 ○委員 サポーター養成講座そのものを否定するものではありません。高齢者や高齢者を抱える家族が持つ認知症に対する恐れを取り除くには,まず認知症を知ることがなければ,自分ごととして受け入れることは大変です。周りに高齢者がいたり,本人が高齢期に来ていたりする場合には最低限の知識を学ぶ場をつくり,サポーター養成との2本立てで取り組めばどうでしょうか。 ○顧問 ご意見としてお伺いさせていただきたいと思います。他にいかがですか。 今後の検討としてお願いがあります。こうした1つの取り組みの案が出ていますが,「誰がそれを行うか」を明確にしてほしいと思います。当事者が参加してみようと思える取り組みの仕掛けづくりやチームオレンジの育成は誰が行うのかなど,主語が明らかでないと計画として具体性が担保できなくなります。 最も怖いのは,認知症は病識がありません。認知症ではないと思って1人暮らしをしていると症状がどんどん悪化し,生活困難に陥ることは容易に想定できることです。それを早めにとどめておかないと,たくさんの人が問題に直面しますし,家族が参ってしまうケースが散見されます。その結果,虐待や心中などのさまざまな問題,犯罪が起こっている事実にどう対応していくかはかなり難しい問題で,取り組まないとその人自身の生活が脅かされます。家族ケアにも合わせながら,孤立し悪化していく危険にどう対応するのかはチームアプローチになると思いますが,いろいろな連携を取り協働して進めていかなければいけないと思います。「誰が」を焦点化したほうがいいと思います。今後の検討としていただきたいと思います。 ○委員 治療で治る認知機能の低下の病気もありますが,年齢を重ねることで薬ではどうにもならない認知機能が低下する認知症もあります。認知症を知ることは,検診や評価以外にその人の世界がどういうものかを知り,その世界に合わせてどう接したり,ケアをするかだと思います。直したり,予防したりするのではなく,その人をそのまま受け入れて心の交流を続け,最終的には尊厳を維持することになると思います。その受け入れ方や心の交流をするために,接し方やケアの方法を学ぶ必要もあると思っています。それは薬でもなければ,入院して直すことでもないということはお伝えしておきたいと思います。 ○顧問 もの忘れ外来の権威である神崎医師によると,認知症と分かった段階では医療の役割はあまりないそうです。むしろ医療の議論ではなく,ケアの中でその人たちの進行を防ぐか,安定をどう保つのかということになり,ただ今の委員の発言と共通していると思います。 ですから,福祉の担い手やサポーターなど,できる範囲で協働して取り組むことが不可欠と思います。行政も発見のための重要な方々ではある医療に全部かかるのではなく,それ以外の発見もあると理解し,一緒にケアしていくけれども主たるケアラーではなくなる可能性は高いと思います。その点は十分判断していただくことが大事だと思います。 それでは,(2)「医療と介護の連携強化について」の説明をお願いします。 (2) 医療・介護の連携強化について ○事務局 資料5-2で説明します。 まず社会的背景について,2020年から2040年は,85歳以上人口の急増と他の年齢階級の減少,特に15歳から64歳の人口の減少が同時に起こる時期となります。85歳以上の高齢者は複数の疾患を有する,入院・死亡リスクが高い,医療と介護の両方のニーズを有する,生活支援に対するニーズが高いなどの特徴を有します。医療と介護の両方のニーズを有する高齢者が,住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるように,在宅医療と介護を一体的に実施し,切れ目のない在宅医療と介護の提供体制の推進をしていく必要があります。 続いて,市の現状について説明します。 まず,在宅医療に関する情報について,市役所や地域包括支援センターで行っている相談業務等を通じ,市民および関係機関に提供しています。 在宅医療・介護連携推進事業は,四角の枠で囲ってあるア)からク)までの厚生労働省が示す8事業の取り組みを実施しています。内容は,ア)地域の医療・介護サービス資源の把握,イ)在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策の検討,ウ)切れ目のない在宅医療・介護の提供体制の構築推進,エ)医療・介護関係者の情報の共有の支援,オ)在宅医療・介護連携に関する相談支援,カ)医療・介護関係者の研修,キ)地域住民への普及啓発,ク)在宅医療・介護連携に関する関係市区町村の連携です。事業実施にあたり,一部を医師会等に委託しています。 相談体制として,調布市医師会が平成22年度に開設した「ちょうふ在宅医療相談室」の周知を図り,利用促進を行っています。「ちょうふ在宅医療相談室」は在宅医療についての全般的な相談,病院からの退院前あるいは退院が困難になった際の在宅医の紹介,先ほどご説明したア)からク)に沿った医療と介護の連携を支援するための事業を実施しています。 相談事業の実績は,令和4年度の相談件数は135件,在宅医の紹介は8件となっています。令和3年度の相談件数は100件,在宅医の紹介は14件でしたので,相談件数は増加傾向,在宅医の紹介件数は横ばいとなっています。 また,医師会,歯科医師会,薬剤師会等関係機関相互の情報交換の場である「調布市在宅療養推進会議」を設け,市内の医療・介護専門職等の連携体制の構築を図っています。 令和3年から5年までの市在宅療養推進会議の取り組みについて,一部をご紹介します。1つ目に,医療・介護の関係者へのヒアリングから入退院時の情報共有や連携が円滑ではない場合があるという実情が分かりました。そのような課題解決のため,医療・介護の双方の関係者がどのような視点やプロセスで入退院支援をしているのかをまとめた「医療・介護関係者のための入退院連携ガイドブック」を作成し,医療・介護関係事業所に配布しています。 ACPについての普及啓発も行っています。ACPとはアドバンス・ケア・プランニングの略称で,将来の変化に備えて医療・介護のケア,看取り等について本人,関係者が話し合い,本人の意思決定を支援する取り組みのことです。市民のACPに関する認知度は低いため,市民が主体的にACPについて考えるための仕掛けづくりとして,ACPについて分かりやすく解説したACP普及啓発プログラムを作成しました。 その他,医療・介護関係者や市民へのヒアリング,アンケート結果を基に在宅医療・介護連携に係る課題を抽出し,その対応策について順次検討しています。 次に,市民にとって身近な相談先についてです。平成28年度から在宅医療・認知症地域支援推進員をすべての地域包括支援センターに配置し,在宅医療について正しい情報の普及,利用の啓発を含めた相談対応を行うための体制を整えています。また,医療・介護専門職等の連携促進の一環として,MCSの普及啓発やタブレットの貸し出しを実施しました。MCSはメディカル・ケア・ステーションの略称で,調布市内の多職種間のコミュニケーションを促進し,在宅医療・介護の連携を拡充するためのネットワークです。完全非公開型の医療介護専用のSNSによるグループチャットのような情報共有するシステムで,調布市医師会が運営しています。MCSを利用することで,1回の送信でグループ全員への情報共有ができ,画像の送信も可能なため支援内容を「見える化」することができます。令和5年3月末でのMCS登録者数はちょうふ在宅ネット333名,市内医療介護職の利用者は748名となっています。 MCSは,新型コロナウイルス感染症の影響により,利用者数が令和2年度に200名から400名に倍増しました。令和4年度も利用者が約500名から約700名へと200名程度増加していることから,各組織でICTの活用を促進している様子がうかがえます。 MCSの利用にハードルを感じているという話を地域からキャッチし,ケアマネジャーをターゲットに絞って,利用講習会を実施する等,引き続きICTの活用を行っているところです。 令和4年度実施の調布市民の健康づくりに関する意識調査報告書の結果として,かかりつけ医がいる割合は53.9%でした。平成28年度調査では57.4%だったため,減少しています。また,かかりつけ歯科医のいる割合は50.3%で,平成28年度の調査では50.4%であったためほぼ横ばいとなっています。 次に課題について説明します。在宅療養者の生活の場において,医療と介護の連携が求められる4つの場面があります。1つ目は日常の療養支援,2つ目に入退院支援,3つ目に急変時の対応,4つ目に看取りがあります。こちらを意識した取り組みが必要になります。この4つの場面の考え方は,先ほど説明したア)からク)の事業に加え,厚生労働省が在宅医療の体制構築の方針として示しているものです。 住み慣れた地域で暮らし続けるための支援として,病院と地域の診療所,介護事業所等との連携や24時間対応可能な訪問診療や訪問看護の充実,ACPに関する普及啓発等,在宅医療を充実させ,介護やその他の福祉サービスとの連携を強化していく必要があります。また,在宅医療を身近に感じ,市民が選択肢の1つとして考えることができるよう情報提供を行っていく必要があります。 資料の右側に移り,「第9期計画での取組検討」について説明します。地域での療養生活を支援するために,医療・福祉と在宅療養者をつなぐ相談・コーディネート機能の充実を図ること,調布市医師会等の関係機関と連携し,要介護状態になる前から包括的・継続的な取り組みを推進することの2点を,医療介護の連携強化に関する方針として考えています。 具体的な施策について説明します。「在宅医療・介護連携推進事業の推進」として,調布市医師会および,ちょうふ在宅医療相談室と連携しながら,相談・支援や連携体制の構築を行います。市は保健所等の関係機関と連携しながら,難病や人工呼吸器,困難ケース対応等を行う地域包括支援センターを支援します。 次に,厚生労働省が示す在宅療養者の生活の場において,医療と介護の連携が求められる4つの場面を意識した取り組みを実施します。1つ目の日常の療養支援について,先ほど示した調査結果のとおり,かかりつけ医を持っていると回答した市民は約半数となっています。元気なうちからかかりつけ医を持ち,外来診療,在宅療養等を適切に受けて生活を継続していくことが大切であることから,引き続き市内の医療機関等の情報提供を行うとともに,健診の機会をかかりつけ医を持つきっかけとなるように働きかけます。また,市民および医療介護の専門職がかかりつけ医の必要性や重要性を理解できるように,研修やリーフレットの配布を行います。 2つ目の入退院支援については,病院から退院した後に本人が元の場所に戻ることができ,専門職の支援を受けながら不安なく生活を再開すること,本人・家族が入退院に向けて見通しを立てること,地域と病院の連携がスムーズに取れるようになることが重要であることから,令和5年度に発行した医療・介護関係者のための入退院連携ガイドブックの周知・活用の促進を行います。現在,ガイドブックを用いた事例検討や医療機関,ケアマネを対象にしたガイドブックの活用状況の調査等,ガイドブックの今後の展開について検討中です。 3つ目の急変時の対応について,在宅療養中に心臓発作が起き,脳出血で倒れるという急変時に適切に救急要請が行われ,本人の意思が尊重された治療を受けること,かかりつけ医や訪問診療医の負担軽減を図ることが重要であることから,24時間診療体制の構築についての検討,バックベッド体制整備についての検討を行います。また,日常の療養の場面でケアに関わることが多い福祉・介護職向けに,高齢者における急変時の対応についての研修を行います。 4つ目の看取りについて,家族及び支援者と意思を共有し,本人の望む場所で不安なく人生の最期を迎えることが重要であることから,ACP普及啓発プログラムを実施して,市民のACPについての理解を深めます。また,調布市版エンディングノートである「じぶんノート」の活用の周知を行います。 続いて,相談・コーディネート機能の充実について説明します。要支援・要介護状態にある人は医療と介護の両方のニーズを有するケースが多いため,ケアマネジャーや介護職員が医療と連携しやすくなるように,医療情報や連携方法などについて学ぶことができるように支援するほか,医療職と介護職の連携がよりスムーズにできるように合同での研修会などを実施し,顔の見える関係の構築を支援します。在宅や施設でのターミナルケア等の医療ニーズに対応していくためには,かかりつけ医,かかりつけ歯科医,かかりつけ薬局,メディカルソーシャルワーカー等の医療関係者とケアマネを中心とした福祉関係者が連携し,地域のあらゆる資源を包括的に提供していくことが必要です。 連携をスムーズに行うため,ICTの活用のための環境の整備が必要となります。ICTを用いた連携の促進のため,MCSの活用を広めるための研修会等を医療・介護専門職向けに実施します。 次に,「ちょうふ在宅医療相談室」の支援に関し,ホームページ,パンフレット等で周知を図り,市民および医療・介護専門職の利用を促進するとともに,在宅医療に関する情報を適切に提供します。また,「ちょうふ在宅医療相談室」が開催する調布市在宅療養推進会議を在宅医療に関する地域資源や課題等の情報共有,医師,・歯科医師,薬剤師,地域包括支援センター等の連携の機会,さらには新たな取り組みの検討の場として引き続き支援します。 最後に,在宅医療に関する情報提供として,療養者が住み慣れた地域で安心して主体的な生活を送れるよう,家族の身体的・精神的な負担が軽減できるように在宅医療に関するニーズの把握と市報,ホームページ等を用いた情報の提供に努めます。 ○顧問 質問,意見はありませんか。 ○モニター員 第9期計画での取組検討(案)の中で,相談・コーディネート機能の充実で,ケアマネジャーおよび介護職員の相互連携を強化すると説明されましたが,これは介護支援専門員調布市連絡協議会の機能と何か違うところがあるのでしょうか。 ○事務局 連携を深めるために,MCSを活用することで,本来であれば各関係機関に電話をしたり,出向いて説明するなどの手間がありましたが,一括でグループに情報を流すことができる点で,連携をしやすくするツールとして使用していますので,連携強化に役立っていると考えています。 ○モニター員 システムとして非公開ということですか。 ○事務局 患者の個人情報を扱っていることもあり,他の市民に漏れたりすることがないようにという意味での完全非公開です。 ○顧問 この部分を説明する際は,混乱を避けるためにどこかに書いておき,そこをたどれば意味が分かる仕組みを説明したほうがいいと思います。他にいかがでしょうか。 ○委員 地域包括ケアシステムの深化・推進のところでは,介護・医療の全体的な質を向上させる意味では,必要なことが多く書かれてあると思います。しかし,現場で働く医師や歯科医師,薬剤師,ヘルパー,ケアマネなどは人数が足りずかなり疲弊している状態と思います。今後,利用者が増える中,負担を減らす施策や逆に参入していない医療機関,サービス事業者が参入しやすく,サービスを提供しやすくすることについての市の考えを聞かせてください ○顧問 サービスの向上・集中のために,省エネ化,スリム化できるところがもっとあるのでないかという質問ですか。 ○委員 書いてあることを行えば,介護・医療の質は向上すると思います。しかし,そのために現場でしなければいけないことは増えてきます。MCSを使ったりして楽になっている部分はありますが,現場の負担を減らすことについてどう考えているのでしょうか。「24時間診療体制の構築についての検討」と書かれていますが,何を検討しているのでしょうか。実際に行うとなると,医師会や薬剤師会,歯科医師会に声がかかり,事業への協力が求められて負担は増えると思います。どのように負担を軽減する考えなのか,確認したいと思います。 ○委員 確かに負担は増えています。24時間の診療体制は,実際にどのようにできるか,医師会全体で階層別のシステム構築へ向けて議論しています。在宅医療を行っていない医師が,かかりつけの患者が在宅になった際に自分が診にいくために,長期休暇時などに他の医師に頼める仕組みをはじめ,在宅医療を行っている医師が数の限られた中で疲弊しないように,MCSやICTのネットワークを使って人員対策などのシステムづくりができないか議論しています。これは都の事業に医師会が手を挙げたもので,少しずつ取り組んでいます。その中で夜間に関しては困難で,夜間の往診をしてくれるところと契約し,どういうケースで依頼するかなどのルールづくりを検討している最中です。 その中で懸念されるのが,問題の根源になっている1つとして,患者側の安易な受診などをどう制限するかの基準を考えているところです。何でもいいことをばかりをしていては,指摘のとおり破綻するだけと思います。それに伴い,薬剤師や訪問看護などの皆さんに話がいくと思いますが,師会の中でも医師だけでなく,看護師,薬剤師らにとってどうなのか,さらに行ったことに対するインセンティブをどうシェアするかなどについても話し合っています。 介護サイドでは,労働人口の減少でヘルパーのなり手がいない問題があります。この点は他業種の給料の戦いになったりして難しいと実感しています。事業所の代表も常にその点を訴えています。それも含めて,最終的には1人の患者さんを診るときのチームのありようも,ヘルパーに負担がかからないように医師,看護婦が何をできるか,逆に私たちが助けていただくためにケアマネジャーやヘルパーの力をどのようにお借りするかなどの問題もあります。 ○委員 地域では実際に,医療・介護に対していろいろな取り組みをしている会があります。医療・介護・福祉で,利用者や患者本人の意思を尊重して支援できる人をどう育てていくかについても取り組んでいます。介護負担が大きいところは身体的な負担もありますが,悩みなどへの対応法についても,具体的に話し合う場を持っている会もあります。そういうグループを取り込むことがいいかどうかは分かりませんが,こういう機会に取り組んでいただきたい1つとしてあります。 医師会の取り組みについては,訪問看護ステーション協議会にも話が来ており,できるだけ協力して対応したいと思っていますが,負担とインセンティブの関係や,実際どう進めていくかをめぐっていろいろな形で対話が持てる場面が必要です。うまく進めるには,医療・介護・福祉の人たちがフラットな関係の中で意見を交わせる場所があるといいと思っています。 ○委員 調布市在宅療養推進会議の事業で,入退院連携ガイドブックに携わった経験があります。退院してその後,新しい情報を次のところに届けるかについて指しているのですが,非常によくできており,スムーズに機能してくると,無駄のない引き継ぎなどが行われると思います。家族構成の話など細かいところも書いてありますので,携わっている人の負担などが多少減少していくのではないかと期待しています。 胃ろうの場合,経口食事になると失っていた生気を取り戻して笑顔が出てきたり,人間性を取り戻せる機会でもあります。胃ろうから経口摂取への移行タイミングや,ペースト食から固形食に移行する際の判断は,ある程度専門知識が必要になってきます。ある程度専門性を持っている歯科医師もいますので,歯科医師会も連携に組み入れて活用していただければと思います。それが介護の負担軽減にもつながってくると思います。 ○委員 ACPの取り組みは大事と思っています。今回コロナの中で本人が望まない入院や,一時は(第5波では、高齢者と比べてワクチンの優先的な接種に及んでいない若・中年層の入院が増加しました。)入院調整が難航するなど緊急医療体制が逼迫し,呼吸器を付けないのであれば入院は厳しいといった,家族や本人の意思に反する状況にならざるを得なかったこともありました。そのため,ご自分の最期をどのように迎えたいか,少しでも本人や家族の間で話し合いができているかどうかが,大変重要なことだと改めて思っています。今後,命の選別のような危機が訪れないとも限りませんので,このことも含めてACPの取り組みを地域で進めていくと,自分の意思に沿わない最期が少しでも避けられ,対象者が安心して地域で過ごせることにつながるのではないかと思います。 ○顧問 その点は医療を行わないわけではなく,本人も延命についてどう考えるかという大きなテーマと関わってくるということですね。僕自身は意識も思考もなくなってくるのが嫌で,命の質が普及する中,その人が望まれても,その治療に疑義がある場合は検討を要するという意味で,延命のことを言われたと思います。そういう意味では,行政も「充実」と言うのはたやすいことですが,大変なことです。この近くのある医師会は,「夜中の診療も行う」といって50人が手を挙げたのですが,1年後にはほとんどいなくなりました。その人にずっと関わっていると,自分の開業医の仕事が全然できなくなるからです。そういうときに受け止めてくれる病院やバックアップできる医療機関がないまま進めると,医師はその負担に耐えられず参ってしまいます。 「充実」という議論よりも「検討する」「それを見守る」という言葉がとても大事だと思っています。苦しい時の医者頼みはいいのですが,医師も生身の人間です。できないことはできないと思いますので,その辺は慎重に記載していただきたいのがお願いです。その他にいかがでしょうか。 ○委員 地域包括ケアシステムの進化推進は,連携強化というテーマに対してはそれでいいと思います。連携強化すると質は上がりますが,実際問題としてマンパワーが現場では必要になってきますので,負担の軽減はできないのではないかと思います。これだけ利用者が増えている割に介護の税収が減ってくることを考えると,診療報酬や介護報酬は一定期間固定されたままで上げられず,肉体的・精神的・金銭的な負担をどう見ていくのか。質は高まるとは思いますが,それだけでは続けていけないのではないかというのが素朴な疑問です。 ○顧問 それについては,今のような意見があるということでとどめてよろしいでしょうか。薬剤師だけではなく,事業者についてもそういうところは出てきています。それをカバーするには,例えば保険料を上げたり,自治体の基金を取り崩してそこに充てるなど,そういうことが不可欠になるかもしれません。しかし,それもいつまでも続くわけではありません。ということは,今できることを模索していく検討が始まっているので,その中で今のようなご意見も出てくると思いますから,制度体系としてどうするかが問われざるを得ないと思っています。 ○委員 言われるとおり賛同する仲間が増えないと絶対に疲弊するので,薬剤師会から窓口になる人に入っていただき,インセンティブの再分配なども含めて,よろしくお願いします。 ○顧問 それでは,(3)「情報提供と相談体制の充実について」の説明を事務局からお願いします。 (3) 情報提供と相談体制の充実について ○事務局 資料5―3をご覧ください。社会的背景について,高齢者総合計画のベースとなる基本方針に書かれてある内容を記載しています。医療や介護サービス,総合事業,各種相談窓口等に関する市民へ向けた情報提供,周知の推進がうたわれています。また,属性,世代を問わない包括的な相談体制(重層的支援体制整備事業)の推進も示されています。 市の現状として,情報提供については学習ガイドブックや情報媒体,事業等を通じて情報提供・周知活動を図ってきましたが,過去の推進協でも委員から指摘があったように,市民と市の間で情報提供にかかる取り組みをめぐり認識に乖離がある状況です。 各種調査でも,情報提供や相談体制の重要性は今後の取り組み等でも求められていることからも,今後も調査を通じた把握,実態を確認しながら,引き続き創意工夫して取り組む必要があります。相談体制について,相談件数そのものの増加に加え,困難事例の増加や窓口の細分化・専門家が進んでいる状況です。この状態を踏まえ,幾つか課題を挙げています。キーワードでいうと,「市報ちょうふ」の有効活用,友人・知人等による口コミ,お誘いの拡大,元気高齢者,若年層への周知拡大,また関係者間の連携強化などが課題となります。 これらの市の現状や課題を受け,第9期計画では情報提供と相談体制の2つに分け,各施策に取り組んでいきたいと考えています。 具体的に,①情報提供では,高齢者に最も目にされやすい「市報ちょうふ」の効率的な活用を進めます。その際,友人・知人等による口コミやお誘いの視点を紙面,サイトづくりに取り入れていきたいと考えています。また,インターネットの活用促進とともに,各種事業がコロナ禍を経て再開されつつありますので,他事業との連携による積極的な広報活動や機会の創出を図っていきたいと考えています。加えて全事業に影響するところで,簡潔な文章や平易な表現,整理・選択による情報の優先度を意識した広報を展開していきます。現状では,各事業の情報提供・周知は各担当がそれぞれに取り組んでいますので,施策の状況を把握するとともに,一体的かつ合理的な情報提供に努めていきたいと考えています。 ②相談体制では,総合相談窓口である地域包括支援センターの機能の充実・体制整備を図るとともに,市として包括の活動を地域とともにバックアップしていきたいと考えています。またLGBTQなど新たな課題や増加する複合課題に対し,重層的支援体制整備事業はもとより,各相談先との連携・協働も含め適切に対応できる体制を充実していきます。既存の会議体も多くありますので,それぞれの目的や役割も整理しながら,関係者がそれぞれの力を発揮できるように連携体制を構築していきます。 ○顧問 質問,意見はありますでしょうか。 ○委員 「第9期計画での取組検討(案)」で,相談体制に総合相談と専門相談と書いてありますが,私たちの地域支え合い推進員では,相談と地域づくりに向けての課題を抽出するために,アウトリーチの相談に対応しています。 ○委員 情報提供に関して,資料に掲載されているKPI達成のために,今後,広報をどうしていくか検討すると思いますが,何の目的で,どのような広報をしているのかという詳細を調べた上で,何をやろうかというプロセスを経たほうがいいと思います。 ○事務局 まずは取り組むべき必要なことと考えています。市の情報提供については,各施策の中でも「情報提供」「周知」という言葉がよく出ています。各担当に任せる中で行っていますが,漫然に「情報提供」「周知」という言葉を使うだけでなく,それがどういうターゲットに刺さっているのか,どういう目的,狙いで周知をしているか整理していく必要があると思っています。ここについては第9期計画の中で取り組んでいきたいと考えています。 ○顧問 情報等に強い大学もあり,そういう面に秀でている企業もありますから,そういうところとの可能性を模索すれば調布のひとつの特徴になり,また負担もかなり軽減していくと思います。二重に情報を把握しても時間がもったいないわけですから,シンプルになるように検討してみたらいいと思っています。 ちなみに,このことは,調布は重層的支援体制整備事業で実施することが決まって,東京の動向についての資料を渡しました。12が実施し,16が準備に入っているということです。情報提供,総合相談について何かありますか。壁を取っ払って話を聞くということになっているけれども,こちらとの関係は全くありませんか。 ○事務局 重層的支援体制整備事業については,今年度から調布市も実施しています。多くの自治体で2択を迫られています。1つは,1つの窓口であらゆる相談という形です。もう1つは複数の高齢,障がい,児童,生活困窮のそれぞれの窓口がネットワークを組みキャッチした情報を共有していこうという体制です。調布市は後者を選んでおり,例えば地域包括支援センターに子どもの相談に行った場合,子ども関係の部署につなぐ役割を果たすことを想定しています。 ○顧問 こちらの仕組みは全く変わらないということになりますか。 ○事務局 基本的には高齢者を中心に相談体制を取り,その中でキャッチしたものに関しては情報共有することになります。 ○顧問 横のつながりは何なのかということが,どこかに入ってこないといけないのではないかと思います。そこでネットワークを総合的に張ろうということであれば,それがどのようにつながり,総合的な支援になるかが青写真に出てくればいいと思いますので,検討してください。 また,ここで大事と思うのは専門相談です。専門相談の連携はどうなっているのかと思います。一般的な相談だけでは太刀打ちできないので,専門家が関わっていかないと問題解決になりません。それが重層的支援体制整備事業でも1つの限界が出てきていて,1つにまとめたところで議論をする。しかし,専門の部分のバックアップがどうなっているかが曖昧になっていて,そこで課題が出てきています。専門相談は大事ですので,その中でどう連携,バックアップして互いに補っていくかは課題になっていることを理解していただきたいと思います。 調布の在宅医療相談室には注目しています。現状はいかがですか。 ○委員 相談室の責任者をしています。2名のソーシャルワーカーが事務局として有能に動いています。在宅医につなげるというので件数が減っていることを私たちは前向きに捉えています。調布在宅相談室に相談しなくても,地域は在宅医療を担っている医師らのことを知っていて,現場同士でつながっているので減っているわけです。逆に相談室に来る症例は困難事例で,在宅医に結び付けたほうがいいのか,1回入院したほうががいいのか,難しい人たちについては医師会と相談員の皆さん,場合によっては地域包括の皆さんとも相談しながら行っています。 病気があるだけではなくて薬がのむことができない,1人暮らしで食事が減っているなど,いろいろな環境下で問題が出てくる人たちがいます。そういう人たちを多職種でどう支えるかという視点で,事務局のソーシャルワーカー2人が地域包括センターを訪ね,見える化の関係で,圏域で異なる課題をディスカッションし,そこからあぶり出された課題を調布市と相談しながら,地域計画で取り組み,皆さんと連携を取っています。 入退院支援で,地域で生活支援される方々の病気以外の情報を入れるシートが出来ましたが,病院や診療所,地域の事業所にそのシートを回し,どのように情報有するかなど実現しなければいけない難しいところにあります。 ○顧問 今おっしゃった中で,重要なキーパーソンが相談室です。実際にどうなっているのかを把握して,相談体制の中でそれをうまくできるのか,課題をどう解決するか,そこをぜひ議論していただきたいと思います。包括は今のお話についてどうですか。 ○委員 医療連携について,包括としてはできる限りのことは行っていますが,難しいケースもあります。その点で,包括の職員みんなが力を発揮できるように,新人も教育も含めて専門職として相談のレベルを高く上げていく必要があることも感じました。どんな相談でもワンストップ窓口として直ちに対応できるような職員を増やしていかなければいけないと,あらためて感じました。 ○顧問 地域が地域包括を支え,地域包括だけが単体でいくと持ち答えられないと思います。地域包括の相談体制を強化するには,地域や住民などの理解者が周りにいることに配慮し,地域包括を孤立させないことを前提に考えていただきたいと思います。 ○委員 些細なことでもいろいろと話し合いをしたり,わずかな時間でも有効な話をするなど,そういうところから連携の質の高さが生まれてくると思います。話を長引かせるのではなく,簡潔に大切なことだけをきちんと話して,互いにコミュニケーションを取っていく専門職が必要と思います。 ○委員 介護の人が市民や利用者の近くにいたり,医療・介護連携の中で接しているヘルパーたちが見聞きして,情報を持っていても発言したり,吸い上げる場,共有できる場がなかなか難しいところがあります。小さな事業所の介護職の人たちがいろいろなところを支えて現場には出ていますが,そういう場には出てこられないのが現状です。そういう人たちをどのように市の計画に盛り込み,意見を聞いたり,上げていくことが全ての底上げにつながると思いますので,その点に取り組んでいただきたいと思います。 ○顧問 がんばっている人たちの声がきちんと届いているのかという貴重な意見と思います。それについては今後,丁寧に掘り起こしていくことが不可欠と思います。 ○モニター員 最後の資料の左側の表の右に「・認知度等」として「認知症の相談窓口23.7%」「地域包括支援センター55.9%」と記載されているのは,認知度の現状でしょうか。資料右側に記載されている「第9期計画での取組検討(案)」にあるKPIの目標数値が,特に包括支援センターの数字と合いません。令和4年度の認知度が39.7%と資料にありましたので,その点を教えてください。 ○事務局 地域包括支援センターの55.9%は,令和4年度介護予防日常生活圏域ニーズ調査の結果です。以前お伝えしたのは,令和4年度市民福祉ニーズ調査で確認した地域包括支援センターの認知度です。9期計画でのKPIに記載しているものは,市民福祉ニーズ調査で示された地域包括支援センターの認知度40%程度を50%にしていく内容です。誤解を招く書き方になり,申し訳ありません。 ○モニター員 相談窓口の現状はどうですか。 ○事務局 現状は,令和4年度介護予防日常生活圏域ニーズ調査に記載している,23.7%という理解をしています。 ○モニター員 これだけいろいろな取り組みをして,目標がやや低いのではないかと思います。上げていくことは大変と思いますが,そこはいかがですか。 ○事務局 市民福祉ニーズ調査は3年に1度実施していますが,数字が上昇しておらず,減少している項目もありますので,厳しい目標ではないかとは思いますが,今後第9期,10期を見据えながら,数字は着実に伸ばしていきたいと考えています。数字の見直しは十分可能ですので,皆さまからご意見を頂ければと思います。 ○事務局 本日もご議論をありがとうございました。先ほど市川顧問から頂いた宿題ですが,たぶん答えはないのだろうと思っています。24時間365日,医療も介護も万全ですという体制は理想だとは思いますが,とても無理なことです。それに伴うマンパワーや財源,市民の負担にも跳ね返ってきますので,そのような体制をつくることはなかなかできないと思っています。 そういう中でも,市民には一定のニーズがありますので,そのニーズがどのくらいあるのか,それに応えられる医療・介護のマンパワーがどのくらいあるのか,そこのバランスを取っていくことが,行政の役割と思っています。医療・介護関係者の処遇改善や報酬の改定について要望はしていきますが,行政の役割としては負担とサービスの量と質のバランスを取りながら進めていくことが役割と思っています。 ○顧問 この会議では皆さんから非常にポジティブに意見が出されていると思います。それぞれが挑戦していこうということが明らかになってきていますので,勇み足にならずにそれぞれの取り組みを尊重しながら,連携を強めていく方向で進んでいただきたいと強く思います。ヘルパーさんの小規模のところはなかなか意見が出せませんし,地域密着型もなかなか出ないなど,いろいろありますので耳を傾けて意見を聞きながら進めていただきたいと思います。この流れを止めないでいただきたいと思います。 4 事務連絡 5 閉会