議員提出議案第26号 2025年大阪・関西万博について責任を持った対処を求める意見書提出について 上記の議案を提出する。 令和5年12月13日 提出者 調布市議会議員 川畑 英樹 賛成者 調布市議会議員 榊原 登志子 同 阿部 草太 同 木下 安子 2025年大阪・関西万博について責任を持った対処を求める意見書 開催が1年半後に迫る大阪・関西万博の会場建設費がさらに500億円上振れし、2,350億円に達する見通しとなった。当初計画は1,250億円だったにもかかわらず、2020年に続く2回目の増額で、当初の1.9倍にも膨れ上がった。政府は今年3月、「会場建設費1,850億円を増額することはあるか」との質問主意書に対し、「1,850億円は物価上昇リスクを踏まえたものとなっている」と答弁して基本的に増額を否定しており、極めて見通しが甘いと言わざるを得ない。 そもそも、会場建設費は政府と大阪(府・市)、関西経済界が等分に負担することになっているが、周辺のインフラ整備に多額の公金が投じられている上、警備費の国庫負担(200億円とも言われる)や、さらなる会場建設費の増額等の可能性も指摘されており、これ以上の国民負担の増大は全く認められない。 まずは、今回の増額が真に必要か否か精査した結果を、国民に分かりやすく説明するとともに、目玉の「リング=大屋根」縮小など様々な工夫をしてコストカットするよう最大限の努力を求める。 また、政府・日本国際博覧会協会の見通しの甘さは、万博の「華」である海外パビリオンの建設遅れでも露呈している。60の参加国が自前で建設する「タイプA」の着工はいまだ皆無で、簡易型の「タイプX」への移行も進んでいない。「このままでは海外パビリオンの完成が間に合わない」との懸念が、去年秋の時点で建設業の業界団体から伝えられていたにもかかわらず、協会はこれを放置したまま、現在のような事態に至っている。 建設業に対する時間外労働の上限規制を適用しないよう求める意見が出ているが、国家事業に厳しい労働環境を推進すること自体、人命軽視も甚だしく、全くの論外と言わざるを得ない。 このほかにも本博覧会をめぐっては、目玉とも言える「空飛ぶクルマ」の大幅縮小や、軟弱地盤と高潮災害への懸念、さらには建設物のくいの撤去費用と跡地利用の問題や世論の関心の低さなど、数々の疑問が提起されている。 こうした状況を踏まえ、政府に対し、国民負担を増やさないとの前提の下,全ての国民が納得できるものとなるよう責任を持って対処することを求める。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 令和5年12月 日 調布市議会議長 井上 耕志 提出先 内閣総理大臣 経済産業大臣 衆議院議長 参議院議長