49ページ B ライフステージに応じた支援  (B-1) 発達相談と療育・子育ての支援  障害や発達の遅れ,かたより及びそのおそれのある子どもについて相談を受け,早期に適切な療育や子育てサービスにつなげます。   前計画期間の振返り  ● 子ども発達センターでは,令和元年10月から試行実施していた土曜日の初回相談を,令和2年10月から本格実施しました。障害児相談支援事業については,利用者数・実施件数が増加しました。(子ども発達センター)  ● 市民向けに例年対面で行っていた「就学に関する説明会」について,コロナ禍の影響で,令和2年度・3年度は配信で行ったことなどにより,直接i(アイ)-ファイルを配布する機会が減りました。(子ども発達センター)  ● 子ども発達センターは,令和2年10月から通園事業で給食提供を開始したことで,設置基準を満たし,児童発達支援センターへ移行しました。また,地域の中核として,令和2年度から試行実施した巡回支援事業を令和3年度から本格実施するなど,地域支援の充実を図りました。(子ども発達センター)  ● 居宅訪問型児童発達支援事業については,令和3年2月に事業所として指定を受けましたが,まだ利用契約には至っていません。(子ども発達センター)  ● 令和4年11月から,子どもの発達相談に関する総合案内窓口として,新たに子ども発達センターに発達相談コーディネーターを配置し,保護者が抱えている子どもに関する心配ごとを整理し,必要な情報の提供や適切な支援機関の紹介に取り組んでいます。(子ども発達センター)  ● 聴覚障害は,早期に発見することで音声言語発達等への影響が最小限に抑えられることから,令和元年度から全ての新生児を対象に聴覚検査を行い,その費用を助成するとともに,精密検査が必要となった場合は,無料の受診票を交付し,早期に専門の療育機関につなげています。(健康推進課) 50ページ  ● 乳幼児健康診査について新型コロナウイルス感染症の感染状況に応じて,令和2年度・3年度は集団健診と個別検診を選択制で実施しましたが,受診率は低下しました。令和4年度から感染対策のもと従来の健診体制に戻し,受診率は回復しました。また令和5年度から3歳児健康診査の視覚検査において,弱視の要因の一つである屈折異常の早期発見を目的にスポットビジョンスクリーナーを導入し,全員に屈折検査を実施しています。(健康推進課)  ● 子ども家庭支援センターすこやかでは,令和3年度から直営化した児童虐待防止センターとも密に情報を共有し,庁内外の関係機関とも連携を図りながら,利用者へ支援を行っています。令和3年度からはオンライン相談も開始し,利用しやすい体制を作っています。(子ども政策課)  ● もうすぐママ・パパ教室は,教室の内容を一部動画にしてホームページ上に公開するとともに,コロナ禍の影響で外出に不安を感じる方への対応として令和3年3月からオンラインによるゆりかご調布事業や子育てに関する相談事業を開始し,不安や悩みに寄り添いながら丁寧に対応しました。また,令和5年2月からマイナポータルを利用した電子申請「ぴったりサービス」による妊娠届出を開始しました。(健康推進課)  ● 産後ケア事業はデイサービス型に加え,令和2年12月からショートステイ型を開始し,さらに令和4年度からアウトリーチ(訪問)型を開始しました。アウトリーチ(訪問)型では,対象者を1歳未満までへ対象範囲を拡大しています。(健康推進課)  ● 公立保育園では,職員配置や保育園内の整備を行いました。また,1か月に1~2回程度,障害児保育指導員,言語聴覚士による指導等を実施しています。私立保育園で専用の職員を配置する園には補助金を交付しています。(保育課)  ● 心身障害児を受け入れ,保護者の負担軽減を図っている私立幼稚園の設置者に対し,各心身障害児の在園月数に応じた金額の補助を行っています。(保育課)  ● 子どもショートステイ事業・トワイライトステイ事業において,障害児や発達に特性のある児,重篤アレルギー疾患児なども受入れ人数を調整するなどして可能な限り対応しました。(子ども政策課)   51ページ   今後の課題  ◆ 発達相談体制の充実  子どもの発達の遅れやかたよりの発見から適切な療育まで,保護者の不安解消とともにスムーズにつなげることのできる発達相談体制の充実が必要です。  子どもの成長や,就学などライフステージの変化によらず,分野を超えて切れ目なく支援をコーディネートできる役割が求められています。  保護者と支援機関をスムーズにつなぐツールの一つとしての「i(アイ)-ファイル」についても,期間の経過により内容の検証や見直しが必要な時期となっています。  ◆ 子ども発達センターを中心とした療育体制の充実  「児童発達支援センター」としての子ども発達センターを中心として,地域全体での療育体制を充実させていくことが必要です。  センターの相談事業,通園事業,発達支援事業,保育所等訪問支援事業,居宅訪問型児童発達支援事業,地域支援,関係機関との協議の場など,様々な事業を組み合わせ,地域の障害児支援における中核的な役割を果たす機関として,機能の充実や多様な療育ニーズへの対応を図っていくことが必要です。  ◆ 多機関連携による養育者支援・家庭支援  障害児を育てる親,障害のある親のどちらも安心して子育てができるよう,児童分野と障害分野が連携して家庭を支援していけるよう,分野を超えた相談支援体制の充実が必要です。  ◆ 子育てサービスでの受入れの拡充  障害児を育てる親,障害のある親のどちらにとっても,就労や自らが望む生活を実現していくために,保育園・幼稚園やその他の子育て支援施策が活用できることは重要です。障害があってもスムーズにサービスが利用できるよう,相談や受入れ体制を充実させていくことが必要です。  また,子ども自身にとっても,障害のない児童と共に地域で過ごし,成長することが出来る機会を保障することが重要です。   52ページ   取組の方向性 <発達相談体制の充実> ○ 障害や発達の遅れ,かたより及びそのおそれのある子どもについて,子ども発達センターを中心とする相談体制の充実を図るとともに,早期に適切な療育及び支援サービスへつなげます。 ○ ライフステージの移行期において,家庭や支援機関等と連携して情報の引継ぎなどを行うコーディネート機能の充実を図り,引き続き,子どもに対する一貫した切れ目のない支援を実施します。 ○ 「i-ファイル」について,保護者及び支援機関が活用しやすいものとなるよう内容の検証・見直しを行い,さらなる活用の推進を図ります。 <子ども発達センターを中心とした療育体制の充実> ○ 地域における中核的な支援機関である「児童発達支援センター」として,子どもと保護者に寄り添った事業の充実を図るとともに,「本人支援」「家族支援」「地域支援」の各分野において,関係機関と連携し,支援体制の充実を図ります。 ○ 子ども発達センターの機能の充実を図り,多様な療育ニーズへ対応するため,より良い支援を提供できる体制を整備し,運営方法の見直しを図ります。 <多機関連携による養育者支援・家庭支援> ○ 引き続き,母子保健部門,教育部門,児童・福祉部門が連携しながら,各家庭の状況に応じた事業の利用支援や様々な相談に応じられるよう,子育てや家庭の総合的な相談支援体制の充実を図ります。 <子育てサービスでの受入れの拡充> ○ 公立保育園においては,障害がある子どもについて,それぞれの状況に適した保育を行うことができるよう,引き続き受入れ体制を整備していきます。また,私立保育園及び幼稚園についても,障害児保育を拡充するための補助金を交付するなど,引き続き受入れ体制の支援を図っていきます。 ○ 巡回支援事業等の子ども発達センターの地域支援や相談支援と連携するほか,保育士の人材確保に努め,一人ひとりの子どもがより良い環境で育つことができるよう,引き続き支援します。 ○ 障害があっても必要なサービスをスムーズに利用できるよう,既存のサービスの内容や受入れ体制を見直すなど,検討していく必要があります。 53ページ   事業計画 【主要事業】 №B-1-01 子どもの発達相談 子ども発達センター 事業概要  18歳未満の子どもとその保護者を対象に,子どもの発達に関する相談を受けています。  障害児通所支援等のサービスを利用する障害児については,児童福祉法に基づく障害児相談支援事業を実施しています。 今後の 方向性  子どもの発達に不安を抱える保護者が,より相談しやすくなるよう,事業内容の充実を図るとともに,家庭や支援機関等と連携して,一貫した切れ目のない支援を実施します。  また,障害児相談支援事業については,利用者の増加に対応するほか,支援内容の質の向上にも努めます。 №B-1-02 乳幼児健康診査 健康推進課 事業概要  発育,発達状況を確認し,疾病や障害を早期に発見し,適切な治療や療育につなげます。養育者の育児上の悩みなどに対応し,育児負担の軽減や早期対応を図ります。 ○ 3~4か月児時健診,1歳6か月児健診,3歳児健診 ○ 乳幼児経過観察健康診査 ○ 乳幼児発達健康診査 ○ 乳幼児精密健康診査 今後の 方向性 保護者の心配事に寄り添い,子どもの発達段階に応じた各種健診を受けられるよう継続していきます。 №B-1-03 母子保健相談(子どもの相談室) 健康推進課 事業概要  言語の発達や心理面・運動機能について経過観察が必要な乳幼児や,育児の悩みや心配を抱える保護者に対して,具体的な助言を専門職がおこないます。 ○ 個別相談(こころの相談・ことばの相談・うんどうの相談) ○ グループワーク(1歳6か月児~2歳児のグループ) 今後の 方向性  保護者の育児不安や育児困難感等について丁寧に対応し,適切な支援が実施できるよう継続します。 54ページ  №B-1-04 発達相談コーディネーターの配置 子ども発達センター 事業概要  発達に遅れやかたよりがある子どもの就園・就学や療育機関の利用,医療機関の受診等について,保護者にライフステージに応じた情報提供を行うとともに,ライフステージの移行期において家庭や支援機関等と連携して情報の引継ぎを行い,支援サービスのコーディネートを行います。 今後の 方向性  相談者へ必要な情報提供をしたり,適切な支援機関につなぐことができるよう,相談者のニーズに応じた支援をしていきます。  また,就園・就学・進学などのライフステージの移行期において,必要な支援が途切れることのないよう,関係機関との連携・調整を図っていきます。 №B-1-05 i(アイ)-ファイルの活用推進 子ども発達センター 事業概要  子どもの生育歴や今まで受けてきた支援の内容をまとめて記載し,医療機関や保育園・幼稚園,学校など,様々な関係機関を利用する際に活用することで,子どもが一貫した継続的な支援が受けられるようにするための個別記録票「i(アイ)-ファイル」を配布しています。 今後の 方向性  保護者や関係機関の職員がより活用しやすいものになるよう,内容の見直しを行います。また,i(アイ)-ファイルやその活用方法等について,引き続き,保護者等への周知活動に取り組みます。 №B-1-06 障害児通園事業 子ども発達センター 事業概要  個別支援計画に基づいて,一人ひとりの発達に応じた専門的なグループ指導や個別指導を行います。  週5日通うことで,生活リズムを整えたり,身辺自立を促すほか,遊びを通して,コミュニケーション・社会性などの社会的能力,認知能力,運動・活動能力等の育ちを支援します。  また,医療的ケアが必要な子どもを受け入れる体制を整備しています。 (対象)障害のある3~5歳児,その家族 (定員)1日40人(月~金) 今後の 方向性  利用児の障害や疾病の状態,医療的ケアの内容,家庭支援のニーズが多様化していることから,よりきめ細かな対応を行えるよう,運営体制を整備します。 55ページ  №B-1-07 発達支援事業 子ども発達センター 事業概要  発達に遅れやかたよりのある,またはその心配のある子どもとその家族に対して,年齢や一人ひとりの発達に応じた専門的なグループ療育や個別療育を行うことにより,子どもの健やかな成長とその子育て家庭を支援しています。保護者に対し勉強会,面談等を実施するとともに,子どもが在籍している幼稚園・保育園に対して相談・助言を行い,連携を図っています。  その他にも,児童福祉法に基づく居宅訪問型児童発達支援事業を実施します。 今後の 方向性  子どもの成長・発達に合わせた療育を実施するとともに,保護者が子どもへの理解を深められるよう支援します。また,利用児の増加に対応するため,事業の内容や実施方法を検討していきます。  居宅訪問型児童発達支援事業については,事業を必要とする子どもにサービスが提供できるよう,引き続き,対象児の把握及び事業の周知に努めます。 №B-1-08 子ども発達センター地域支援機能の強化 子ども発達センター 事業概要  地域支援として,保育所等訪問支援事業や,子ども施設訪問事業,巡回支援事業を実施し,発達に遅れやかたよりがある子どもの特性に応じた対応や環境整備等について,子ども発達センターの言語聴覚士や作業療法士,保育士等の専門職が助言をするほか,子ども施設職員向けの各種研修会・療育見学会などを実施しています。  また,調布市障害児等福祉教育連携会議や調布市児童発達支援事業所等連絡会を開催するなど,関係機関との連携を進めています。 今後の 方向性  子どもたちが障害の有無に関わらず,様々な遊び等を通じて共に過ごし,それぞれの子どもが互いに学び合う経験をもてるよう,地域の障害児支援における中核的な役割を果たす「児童発達支援センター」として,保育園や幼稚園,学童などの子ども施設や小学校等への支援を充実させていきます。 №B-1-09 子ども家庭総合相談事業 子ども政策課 事業概要  子ども家庭支援センターすこやかに設置している相談窓口「すこやか相談コーナー」において,子どもの発達についての心配事,子育て相談,子どもと家庭に関する相談,また,子ども自身からの相談などに対応します。必要に応じて,専門機関と連携し,適切な助言を行うとともに,支援サービスの案内・提供を実施します。また,多様な相談内容に対応するため関係機関から情報収集を行っています。 今後の 方向性  相談事業については,件数の増加傾向が続いているとともに,内容の複雑化などにより対応が長期化するケースもあるため,児童虐待防止センターとも情報を共有し,庁内外の関係機関等と綿密に連携しながら,丁寧な相談対応を行います。 56ページ №B-1-10 保育園・幼稚園における障害児の受入体制の整備・支援 保育課 事業概要 (公立保育園)  専用職員の配置による保育体制の整備および,1か月に1~2回程度,障害児保育指導員,言語聴覚士による指導等の実施を行っています。 (公立保育園以外)  心身障害児の受入れの推進,障害児保育の拡充のために,職員配置や受入れ数に応じた補助金を交付しています。 今後の 方向性  公立保育園においては,心身障害児の受入れ体制の充実を図ると共に,ニーズに応じた保育の提供を実施していきます。  公立保育園以外については,受入推進のための補助事業を実施していきます。 №B-1-11 子ども家庭支援センターすこやか等での子どもの一時預かり事業 子ども政策課 事業概要  子ども家庭支援センターすこやか等で,子どもショートステイ事業,トワイライトステイ事業,すこやか保育事業,ファミリー・サポート・センター事業を実施します。 今後の 方向性 継続します。 №B-1-12 【新規】ヤングケアラー支援事業 子ども政策課 事業概要  ヤングケアラーを早期に発見し,家族の状況に応じた適切な相談窓口や支援サービスにつなげるため,ヤングケアラー・コーディネーターを配置するほか,家事・育児支援,ヤングケアラーに関する普及啓発を行います。 今後の 方向性  本人やその家族の意思を尊重しながら,支援していきます。また支援にあたっては関係機関と連携して取り組みます。 【その他関連事業】 事業名 事業概要 <№B-1-13> 新生児聴覚検査 (健康推進課)  先天性の聴覚障害を早期に発見し,適切な支援につながることを目的に新生児聴覚検査の費用を助成します。 <№B-1-14> 利用者支援事業(基本型) (子ども政策課)  子ども家庭支援センターすこやかの相談窓口「すこやか相談コーナー」や「ゆりかご調布面接」,電話などで,妊婦や子育て家庭からの相談を受け付け,教育・保育・保健その他の子育て支援サービスの情報提供と,必要に応じて関係機関との連絡調整を行い,適切なサービスの利用につなげています。 57ページ <№B-1-15> 出産子育て応援事業 (健康推進課)  すべての子育て家庭に対し妊娠期から専門職が関わり,出産・子育てに関する不安の軽減に努め,支援が必要な家庭の早期把握・早期支援を関係機関と連携を図り,実施します。さらに対象者には育児ギフト等の経済的支援を実施します。 〇 母子健康手帳の交付・ゆりかご調布面接 〇 ようこそ調布っ子サポート事業 〇 新生児訪問・乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん訪問) 〇 産後ケア事業 〇 多胎児家庭支援事業 〇 バースデーサポート事業 <B-1-16> 乳幼児交流事業 (子ども政策課)  親子遊びと保護者の情報交換,育児相談,仲間づくりの機会・場所を提供しています。乳幼児交流事業のうち,満3か月から1歳の誕生月までの乳児を対象にした事業「コロコロパンダ」については,子ども家庭支援センターすこやかを中心に,合計6施設で実施しています。 <B-1-17> 子育て講座事業 (子ども政策課)  健康,救急講座,子どもとの関わり方の講座など,子育てに関する内容を中心とした学習事業「エンゼル大学」を実施しています。 <B-1-18> 子育てひろば事業 (児童青少年課)  子育て中やこれから子育てを始める市民を対象に,全児童館で未就学児の子育てに関する各種相談を行い,必要に応じて各関連機関と連携し,育児に対する悩みや不安の解消を図っています。  また,栄養指導・歯科衛生指導等の健康講座を実施するとともに,レクリエーション,乳幼児サークルの支援を行い,地域の身近な場所での保護者同士の交流・仲間づくりを支援しています。  各児童館にWi-fiを設置し,子育てひろば内でのサークル活動や研修に活かしています。