8ページ 第2章 調布市の福祉の共通事項 1 福祉3計画に共通する背景 (1)地域共生社会 国は,「ニッポン一億総活躍プラン」(平成28年6月閣議決定)で示された新しいビジョンである「地域共生社会」の実現に向けて様々な取組を展開しています。調布市においても,こうした国の取組を踏まえて,福祉3計画相互の分野横断的な連携により,各計画を推進する必要があります。 「地域共生社会」とは,制度・分野ごとの『縦割り』や「支え手」「受け手」という関係を超えて,地域住民や地域の多様な主体が参画し,人と人,人と資源が世代や分野を超えてつながることで,住民一人ひとりの暮らしと生きがい,地域をともに創っていく社会を指しています。 資料:厚生労働省「地域共生社会のポータルサイト」   9ページ (2)パラハートちょうふ 市は,東京2020オリンピック・パラリンピック大会の開催を契機として,共生社会の重要性をさまざまな分野にわたる取組を展開していくに当たり,市のキャッチフレーズとして「パラハートちょうふ つなげよう,ひろげよう,共に生きるまち」を定めました。国の「地域共生社会」の目指すところと「パラハートちょうふ」の理念は共通しています。そのため,福祉3計画の推進においても,「パラハートちょうふ」の理念に基づいて取組を展開していきます。 市では,「パラハートちょうふ」のキャッチフレーズのもと,さまざまな障害に対する理解を深め,一人ひとりが寄り添う心を持ち,手を取り合って暮らせる共生社会の実現に取り組んでいます。 (3)新たな総合福祉センターの整備について 市は,総合福祉センターの施設の経年変化や機能の改善等の課題を踏まえて,現在,京王多摩川駅周辺地区への移転に向けた取組を進めています。 新たな総合福祉センターの施設整備に当たっては,調布市地域福祉計画・調布市高齢者総合計画・調布市障害者総合計画の「福祉3計画」及び調布市福祉のまちづくり推進計画との整合を図りながら,各計画の将来像や基本理念の具現化を目指すとともに,基本理念に掲げた「地域共生社会を充実するための総合的な福祉の拠点」となるよう,取組を進めます。 (4)SDGs SDGs(エスディージーズ 持続可能な開発目標)とは,平成27(2015)年9月の国連サミットにおいて,日本を含む全193か国の合意により採択された国際社会全体の共通目標です。「誰一人取り残さない」ことを目指し,持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のため,平成28(2016)年から令和12(2030)年までの間に達成すべき17のゴール(目標)が定められました。 10ページ  我が国では,平成28(2016)年12月にSDGs実施指針が策定されました。自治体においても,各種計画,戦略の策定等に当たってSDGsの要素を最大限反映することを奨励するとともに,関係団体等との連携強化などにより,SDGsの達成に向けた取組を推進していくことが求められています。 市は,市民をはじめ多様な主体と連携・協働しながら,SDGsの目標達成につなげるまちづくりを進めています。福祉3計画においても,調布市基本計画で定めたSDGsの目標を念頭に取り組んでいきます。 ■福祉3計画で推進するSDGsの17の目標 計画 SDGs目標(ゴール) 調布市地域福祉計画 1貧困をなくそう 3すべての人に健康と福祉を 9産業と技術革新の基盤を作ろう 10人や国の不平等をなくそう 11住み続けられるまちづくりを 13気候変動に具体的な対策を 17パートナーシップで目標を達成しよう 調布市高齢者総合計画 (老人福祉計画,介護保険事業計画) 1貧困をなくそう 3すべての人に健康と福祉を 4質の高い教育をみんなに 9産業と技術革新の基盤を作ろう 10人や国の不平等をなくそう 11住み続けられるまちづくりを 13気候変動に具体的な対策を 17パートナーシップで目標を達成しよう 調布市障害者総合計画 (障害者計画,障害福祉計画,障害児福祉計画) 1貧困をなくそう 3すべての人に健康と福祉を 4質の高い教育をみんなに 8働きがいも経済成長も 9産業と技術革新の基盤を作ろう 10人や国の不平等をなくそう 11住み続けられるまちづくりを 13気候変動に具体的な対策を 16平和と公正をすべての人に 17パートナーシップで目標を達成しよう 資料:「調布市基本計画(分野別計画)に位置付けた30施策とSDGsの17の目標との関係」より作成 11ページ 2 将来像と基本理念 令和6年度からの福祉3計画においては,以下のとおり,共通の将来像と基本理念を定めました。 (1)将来像 みんなで支え合う,誰一人取り残されない,ともに生きるまち (2)基本理念 (理念1)誰もが自分らしく暮らし続けることができる地域社会   誰もが住み慣れた地域や自らが選んだ場所で,自分らしく,いきいきと,安心して,必要な支援を受けながら自立して暮らし続けることができる地域社会を目指します。   そのために,必要なサービスや支援が行き届く体制づくりと,主体的な活動や自己決定による暮らし,社会参加を促進する環境づくりを進めます。  (理念2)互いに認め合い,尊重し合い,ともに生きる地域社会   年齢,障害の有無,性別,人種その他の違いにかかわらず,多様性を認め合い,互いを尊重し合いながら,ともに生きる地域社会を目指します。   そのために,一人ひとりの能力・個性・意欲等が発揮・尊重され,誰一人社会から孤立することのない地域づくりに取り組みます。  (理念3)世代や属性を超えてつながり,住民全体で支え合う地域社会   一人ひとりが世代や属性を超えてつながり,互助・共助の担い手となって,住民主体の支え合いによる地域社会を目指します。   そのために,地域住民,地域組織,ボランティア,事業者などの多様な主体,関係機関,行政が連携・協働しながら,地域全体で支え合う仕組みづくりを進めます。  (理念4)多様なニーズに応じた切れ目のない包括的な支援体制   複雑化・複合化する多様なニーズを把握し,受け止め,切れ目のない支援を一体的・包括的に行う重層的な支援体制の充実を目指します。   そのために,福祉分野のみならず他分野とも連携し,多機関協働による包括的な支援や多世代・多分野の交流,多様な担い手が専門性や強みをいかす取組を進めます。 12ページ 3 福祉圏域 (1)福祉圏域の地域区分  福祉圏域は,福祉,教育,地域コミュニティ等の共通基盤である小学校区を基礎とし,それらの複数で構成される8つの圏域(中学校区規模)です。  多問題を有する個人や家庭が抱える福祉課題に対応するため,専門機関等の担当エリアの整合や地域での顔の見える関係づくりを行うことで,より重層的な支援による解決を図る必要性があること等を踏まえ,福祉3計画の圏域の整理・統一化を図り,共通の福祉圏域としています。  統一した8つの福祉圏域には,多機関協働の中心的な役割を担う地域福祉コーディネーターと,主に高齢者支援を担う地域支え合い推進員(生活支援コーディネーター)を各1名ずつ配置しました。また,地域包括支援センターの区域を福祉圏域と整合を図りました。障害者福祉の分野は市内全域を1圏域としていますが,障害福祉課や各相談機関において福祉圏域と整合した相談員を配置しています。  福祉圏域を基本に体制整備を進めることで,分野横断的な連携がより円滑になり,複合的な福祉課題に迅速かつ効果的な支援ができるようになりました。今後も引き続き,8つの福祉圏域を基本とする福祉3計画の連携強化を図っていきます。   ■福祉圏域の地域区分